寝取り寝取られ家内円満 ~最愛の妻をなんと親父に寝取られたのに幸せになっちゃう男の話~

kei

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02 実の父親に愛妻を寝取られる

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 まだ誰も出社していないだろう。そう思っていたらオフィスに着くなり、
「おう、早いな」と声を掛けられました。
 社長が独りでコーヒーを淹れて給湯室を出てくるところでした。
 四十台の後半で脂の乗り切ったタフガイという感じの人です。広告代理店のバリバリの営業マンだった社長は、十数年前に数人でこの会社を興し、以来、
「俺はこれ以上会社を大きくするつもりは無えんだ」
を口癖にしつつ、毎年右肩上がりに業績を伸ばし、着実に会社を大きくしてきました。
 挨拶すると社長はつかつかと俺のデスクにやってきて、今日は外回りか、と言いながらコーヒーを啜り、
「お前も、だいぶ苦労してるようだな。でも逆風もあれば順風もある。今は耐える時だ。ガンバレ」
 そう言って俺の肩を叩き、自席に引き上げて行きました。
 その後。
 出社してきたミヤモト課長に呼ばれ、社長の声掛けの真意を聞くことになりました。課長は、今月も目標未達の場合、リーダーをタキガワという後輩と入れ替える、と通告しました。マユと同期入社の男です。
「あいつは相当やってきてるからな。わかってると思うが、年次じゃないぞ、この会社は。あくまでも実績だからな」
 暗い気持ちで自席に戻ると、当のタキガワが出社してきました。
「おはようございます、ハセガワさん」
 入社直後から新人らしからぬ成績。将来の幹部候補などと噂されていました。
 いつも爽やかなコロンの匂いを振りまき、颯爽としているこの後輩が俺の事を意識していることは知っていました。俺はリーダー職ですが、いつの間にか給与全額は彼の方が上になっていると課長が教えてくれました。歩合給が相当大きいのです。課長はたぶん俺に発破をかけたかったからそう言ったのでしょう。
 タキガワと同じ空気を吸うのはいい気分ではありませんでした。準備を済ませ外回りに行こうとしていると、課長とタキガワの笑い声が聞こえてきて、さらに気分が悪くなり早々に社を出ました。
 ですが、調子の悪いときは何をやってもダメなものです。結局その日は何の成果もなく社に戻り、報告書を書き終えたときには既に終電の時間でした。結果が出ず、疲労と徒労感だけを土産に帰宅し、マユの顔を見なくてはならないのは辛いものでした。それが常態になってしまっていたのです。
 何とかしなければ・・・。
 そう思えば思うほど、求められているものと自分の置かれている現実との隔絶感に苛まれ、底無しの深淵に落ち込んでゆくような気分に滅入っていきました。
 

 その晩は蒸し暑く、寝苦しい夜でした。
 家に帰ったのは一時を回るころで、もうクタクタで食欲も無く、簡単にシャワーだけ浴び、薄暗い寝室に入りました。
 ベッドの中のマユはすでに深い眠りに落ちているようでした。薄いタオルケットが正確な間隔で上下していました。そのマユの隣に疲れた体を忍ばせました。
 ですが、横になっても体は怠いのに頭が冴えすぎてすぐには眠れません。連夜の残業が祟ったのか、熟睡できない日が続いていました。
 どのくらい経ったでしょうか。
 半覚半睡。暑さで喉の渇きを覚え、体を起こしました。
隣で寝ていたはずのマユがいませんでした。夢の中で彼女が寝返る衣擦れを聞き寝室を出て行ったように感じましたがあれは本当だったのだと思いました。トイレだろうと思い、しばらく待っているうちにいつの間にか再び寝入ってしまったんでしょう。
 とにかくおそろしい暑さでした。額から流れる汗を拭ってエアコンの表示を確認したら『暖房』になっていました。バカヤロウと頭にきて、完全に目が覚めました。もともとマユは冷房が苦手で、暑いのが大嫌いな俺とは正反対です。寝入りばなに冷房を強にしたので、切ろうとして間違えたのだ。その時はそう思いました。
 ふと、ベッド脇の安楽椅子の上にマユのフリップ式の携帯電話があるのに気づきました。ポップアップ表示がピコピコ点滅していたのです。
 それまで夫婦の間でも互いの携帯を見たりすることはありませんでした。
 ですがやはり気になってしまったのです。取り上げてその表示を見てしまいました。
「すぐに来い」
 は?
 その異様なメッセージに目を奪われました。
 額から流れる汗を払い、俺はフリップを開いてマユの携帯の画面を見ました。未開封のメールがあり、ポップアップと同じ表題が付いていました。
 送り主が「おとうさん」になっていました。
 胸騒ぎがしました。
 矢も楯もたまらず、部屋を出てギシギシ鳴る暗い階段を押し音を忍ばせて降りました。
 すると、リビングの向こう側、西の端にあるオヤジの二十畳間の襖が少し開いていて、中から淡い豆球のオレンジ色の灯りが洩れているのが見えました。吐息としわぶきと呻き声がかすかに聴こえました。
 オヤジは起きている。しかも誰かと一緒にいる。
 胸の動悸が最高潮に達していました。
 ゆっくりと襖の隙間に忍んでゆき、息を殺して隙間から中を覗きました。
 豆球の薄暗い淡い光に、裸の男女がベッドの上で絡み合っている姿が照らされていました。
 オヤジに後ろから抱かれた女は、濃厚なディープキスを受けていました。豊満な乳房を乱暴に揉みしだかれている女の、その表情が徐々に恍惚としてゆくのがわかりました。
 女は、妻のマユでした。
 衝撃以外の何物でもありませんでした。
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