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前編
第四章 帰国と再訪-1
しおりを挟むディルクは結局、ニーマの記憶を操作することなく、その日以降もお互いの世界のことを教え合った。
「つまり、話すのと聞くので、別の魔法を使っているってこと?」
「簡単に言えばそういうこと」
会話の時に一瞬違和感があるんだけどというニーマの指摘に、ディルクは隠さずそう説明した。
「違和感あるか? やっぱり……」
「僅かなものだよ。僕も君から魔法使いって聞かなきゃ気づかない」
人から意見を聞けるのは有り難い。
「てか、文字を読むときとかどうしてるのさ?」
「ん、文字は絶賛勉強中ー」
そう言って彼が見せたノートには、この世界の言葉とニーマの知らない文字が両方並んでいた。
ニーマはパラパラと確認すると、ハァーッとため息をつく。
「だからか……ディルクがテストできないの……」
当てられた時はそこそこ答えるのにと。
「最近ようやく問題文がわかるようになったよね」
この文字が並んでいるときが疑問形でさ、読み方わかんないけど、などとディルクは飄々と挙げていく。
「その会話の時の魔法やめなよ。そのほうが早くこっちの言葉覚えるだろ」
つまり、文字がわかっても発音がわからなくて話せないんじゃないかとニーマが指摘する。
「無理。俺がこっちの言葉を話した時点で異国人なのバレる」
違和感なく異国の言葉を話すには相応の練習が必要だが、今現在ディルクはその練習をできる環境になんてなかった。
「まぁねぇ……魔法使いだなんて、警察どころか軍隊出てきちゃうよね」
さらっと言った彼の言葉に、ディルクは今更ながらゾクっと背筋が凍りつくのを感じた。
それはそうだ。受け入れる受け入れないの問題ではないのだと。
そんな魔法使いを見てニーマは苦笑する。
「ディルクも大概、人を疑うことしないよね。もっと気をつけた方がいいよ」
「ニーマに言われるとは……てかお前は言ったりしないのか?」
ニーマは誰かに言いふらすようなことはしなかったし、むしろまずい局面ではフォローすらしてくれる。
「少なくとも僕は、自分の夢を応援してくれる人を売ったりしたくないけど」
ましてや同じ夢を持つ人をね、と笑う。
「そんな状況にしないでよね、ディルク」
「ん、善処する」
ニーマという理解者が出来てから、ディルクの心の奥底で無意識に働いていた科学への恐怖は、驚くほどに消えていった。
それに伴い、この魔法使いの少年はどんどん、この他世界での生き方に順応していく。
穏やかな季節が終わり、夏が近づいていた。
◇◆◇◆◇
「さて、みなさん、明日から夏休みです。しっかり勉強して遊んで充実した時を過ごしてください」
教師の合図で生徒がわっと解散する。長期の夏休みに入るのだ。
「ディルク! お前夏休みどーすんの?」
ボビイの言葉に、ディルクは軽く答えた。
「田舎に帰ろうかと思って。また休み明けにな!」
「そっか、じゃーな」
バイバイする横でニーマが驚いた目で見ていた。
「田舎って……もしかして、帰るんだ?」
「まぁね。てか、帰る努力をしようかって。随分長くいるし、流石に心配かけてるかもと」
それもそうかとニーマは頷くが、少し寂しそうな目を向けてくる。
「戻ってくるよな?」
彼の質問に、ディルクは笑って即答した。
「もちろん。行けたら帰れるだろ、普通は。また来るぞ俺は」
「そっか、新学期楽しみにしてる」
ニーマと別れ診療所に帰ると、マリエルが待っていた。
ドクターとマリエルには、少し前に王都に行くと伝えてある。彼らが想定する王都とは全く違うが、この際それはスルーする。
ちまちまと診療所の手伝いを続け、得たお小遣いも十分だ。
二人は少し寂しそうな顔をしたが、行くところがあるならばとマリエルもドクターも快く見送ってくれた。
また戻ってくると念をおして、ディルクは診療所を後にした。
「さて」
世界の境界、そびえる壁を前にして、ディルクは両腰に手を当てる。
クアラル・シティからここへの数百キロは、飛んで休んでを繰り返し、何とか丸一日で辿り着いた。
一度来られて、場所もイメージも掴んだので、次からは転移魔法も使えるだろう。
魔法は極力使わないつもりでいたが、こればかりは交通手段もないので仕方がない。
そして問題はこの先である。
「探査魔法ダメ、遠目も効かない、触れることもできないときたかぁ」
目に見える高い壁をすっぽりと結界が覆い、空高く伸びている。
そして何度か試みたが、飛んで超えることも地下を潜ることもできない。
流石は、両国が力の限り尽くした障壁である。
「こんな壁、よく越えたよ俺……重傷だけで」
通常転移魔法の先に結界がある場合、その結界内には入れない。その手前か結界を避けて転移される。
だから壁を越えるだけの近距離転移を試みても、元の位置か、少し横にずれた形で戻ってきてしまう。
「あとはあれしか……あーあれだけは避けたかったんだけどなー」
ここに来た時の魔法を真逆にする方法。鏡のように左右逆転すれば、その逆のことが起きる、という理屈。
しかし確実にできるかは不明であり、またうまくいって無理に通ったとしても、今度は生きているのだろうかーーゾクッと悪寒が走る。
あの時の死の感覚を忘れるわけがない。
しかし現状それしか方法が思い浮かばない。調べることも師に聞くこともできないのだから。
「確かこんな感じの転移魔法……」
ディルクはあの時の魔法を思い浮かべ、地にガリガリ描いてみる。更にそれを魔力でなぞり、
「逆転」
掛け声と同時にぱっと裏表が逆になった。
ディルクは続けて自分の身に肉体増強魔法をかけ、魔力結界に対する防御魔法も思いつく限りかける。
一歩、二歩近づき、すぐ手前で止まると、ひとつ大きく深呼吸をした。
そして、覚悟を決めると、祈るようにその転移魔法を発動させた。
来た時と同じ、真っ白になる感覚。死の気配。
今度は成功だ、この壁は越えられると確信する。
(あとは、生きて辿り着いてくれよ!)
そこまで考え、ディルクは気を失った。
夢うつつの中、憧れの女性の姿が目に映る。少年は随分とその彼女を見上げている。
出会った時にはそのくらい離れていた。
ディルクはまだまだ子供で、ナリィの身長には到底及ばなくて。
(あれ、最近はもう少し差はなくなった筈……また夢を見ていたのかな。ああもう、彼女を越すのにあとどれだけかかるんだろう……)
その彼女が苦笑し、今度は少年から徐々に離れていく。
いつまで待っても追いついてくれないからと言われているようで、少年は慌てて彼女に手を伸ばした。
(待って! すぐに追いつくから行かないで!)
ガシッ!
「きゃっ!」
驚いたナリィが振り向。その綺麗な瞳が見開かれ、少年と視線が重なる。
と同時に、彼のその小さな身体に激痛が走った。
「いっっったああ」
伸ばして掴んだ手を引っ込め、少年が身を丸くしてうずくまる。すると即座に頭上から懐かしい声がかかった。
「ディルク!! 気がついた!? 私がわかる!?」
彼女に痛いくらいに肩を掴まれ、必死に問いかけられる。
「だ、だい、じょぶじょぶ……いたいって、ナリィ」
ゆさゆさ揺さぶられながら、ディルクはなんとか答えることが出来た。
「もう! 馬鹿馬鹿ディルク! 五ヶ月もどこに行っていたのよ! 心配したんだからね!」
一気に言うと、ナリィは涙を浮かべながらディルクに腕を回し、ぎゅうっと抱きしめた。
途端にディルクの胸がきゅうっと締めつけられ、懐かしい気持ちでいっぱいになる。彼もナリィに腕を回し、いつもしていたように震える彼女を抱きしめた。
目を閉じて安心させるように囁く。
「うん、ごめん、ナリィ。大丈夫だから……泣かないで」
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