11 / 14
十一話
しおりを挟む
すぐ後ろに聞こえる声に心底ビビりながら現状を打開させる方法がないかと必死に頭をフル回転させる。
どうしたらいい。どうしたらいい!?
その時、地図に写る点が黄色から橙色に変わったことに気づく。
なんだ!?赤でも黄色でもないこの色!?もうやだ!!
警戒の上のサインってなんだ!?
地図上の点の色の変化に思わず移動スピードが僅かに落ちるが、今は気にしている場合じゃないと何とか持ち直して再びスピードをあげようとした、その瞬間。
ヒュ。
小さな小さな音が僅かに聞こえたかと思うと。足を始点として下半身に何かが巻き付く感覚があり。
あ、と思う間もなくバランスを崩した自分の体は地面に向けて落下を始めていた。
ヤバイヤバイヤバイ!!
必死に先ほどと同じように浮力でなんとか地面に激突することなく着地するが、足というか、下半身に絡みついたツタのようなもののせいで立ち上がることができない。
上半身だけを起こし、なんとかツルらしきものを切り払おうと、ナイフを手に持ったその時。
「そこまでだ」
のど元にキラリと光る刃物。長剣の切っ先が突き付けられていた。
「ッ」
思わず息を飲む。ビシリ、と固まった私の目の前には。いつの間やら追いついていた追手の足元が見えた。
ああぁぁ、ですよねぇぇぇ!!
クソ。捕まった。
逃げ切れなかった悔しさと、何も悪いことはしていないのにのど元に切っ先を突き付けられているこの現状への苛立ちに思わず頭を挙げ相手を睨みつけてしまう。
「え?」
その拍子にあらわになった私の顔を見て相手から漏れたのは何ともこの場にそぐわない戸惑いがこもった声だった。
「あ〃?」
なんだ、この野郎、やんのかこらぁ。言外にそんな雰囲気を醸しながら半ギレで睨むことしばし。
戸惑ったような最初の一言を発したっきり黙り込んでしまった相手を見ながら、威嚇してしまったのは失敗だったかと頭をフル回転させていると。
「お。やったね。当たってるじゃん。」
「なになに、悪い人?悪い人?」
「…」
「…」
軽い口様で、合流するローブ二人。無言で合流するローブ二人。畜生、敵が増えた。
そちらにちらりと 目をやると。
「え」
「ふわー」
軽口をたたいていた背の高い追手、めんどくさいのでノッポローブと呼ぶ。と同じく軽口をたたいていた小さい追手、おチビローブと呼ぶことにする。が信じられないものを見たかのようにこちらを見ていた。
同じように、無言で集まってきていたローブ達、こちらはローブ2,3とする。ローブ1は目の前の剣を突き付けているやつにご進呈だ。も息を飲むんでこちらを凝視している。
…なんだ?
その場の異常な雰囲気に内心首をひねっていると、仲間が揃ったことにより気を取り直したのかローブ1が口を開いた。
「…何者だ?いや、その前にこれ以上の抵抗はしないでもらおう。いいな?」
急に戦闘という展開ではなく、会話ができそうな雰囲気に内心安堵しつつ、こちらも口を開く。
「先に剣をしまってもらおう。話はそれからだ」
上半身しか動かせない現状で、のど元には剣の切っ先。偉そうな口をたたける状況ではないが、なけなしの勇気を振り絞り剣を引くように伝える。
しばし考えた後、ローブ1はこちらの必死の虚勢を憐れんでくれたのか、あるいは、抵抗された所ですぐさま制圧可能と考えたのか剣をしまってくれた。
おもわず、安堵の息を吐いてしまう。思い出したかのように手が震えるが、気づかれないに力を入れ抑え込む。
手に持ったナイフを、目の前の地面に置いて抵抗する意思がないことを示すとそれを見ていたローブ1が聞く。
「名前は?どこから来た?」
「…イト。日本。」
「…二ホン??どこの国だ。」
どこまで話せば良いのだろう。
「…東の国だ」
「聞いたことがないな」
「遠いところにある」
どこまで話せば信用してもらえるのか、どこからが話してはいけない部分なのか頭の中で考えながら会話する。
名前は、別になんでもいいだろうと最初の部分だけを伝える。
日本の名は出してもよ良いものだっただろうか?しくじったか?
転生は?女神さまは?それらはおそらく悪手。信じてもらえないだろう。下手すれば頭の残念な人認定だ。
出してもいい内容を選ぶにしても、相手の情報が少なすぎる。こちらからも聞かねば。
詳細で見たいが、相手に感付かれるだろう。不信感を与え危険。却下だな。
残る頼みの綱は交渉力だ。まだ使い方がわからないが、交渉力を使おう。意識した瞬間、全身のこわばりが抜けていく感覚がした。なんだ?剣を突き付けていた相手を前に緊張していた体からこわばりが取れ、冷静に相手を見ることができるようになった。更に、視界が広がったように相手の身なり、動き、視線などがよく見て取れるようになる。
これが交渉力の作用なのだろうか?これならばいける…か?
すっかり緊張の抜けた私は息を一つ吐くと、背筋を伸ばしまっすぐに相手を見ながら問いかけた。
「そちらは?」
雰囲気の変わった私に気づいたのか、少し戸惑ったようにローブ1が身じろぎする。残りの人たちも息を潜めてただじっとこちらを見るばかりだ。
なんだ?気圧されている?私に?なぜ?
「私たちは…」
どうしたらいい。どうしたらいい!?
その時、地図に写る点が黄色から橙色に変わったことに気づく。
なんだ!?赤でも黄色でもないこの色!?もうやだ!!
警戒の上のサインってなんだ!?
地図上の点の色の変化に思わず移動スピードが僅かに落ちるが、今は気にしている場合じゃないと何とか持ち直して再びスピードをあげようとした、その瞬間。
ヒュ。
小さな小さな音が僅かに聞こえたかと思うと。足を始点として下半身に何かが巻き付く感覚があり。
あ、と思う間もなくバランスを崩した自分の体は地面に向けて落下を始めていた。
ヤバイヤバイヤバイ!!
必死に先ほどと同じように浮力でなんとか地面に激突することなく着地するが、足というか、下半身に絡みついたツタのようなもののせいで立ち上がることができない。
上半身だけを起こし、なんとかツルらしきものを切り払おうと、ナイフを手に持ったその時。
「そこまでだ」
のど元にキラリと光る刃物。長剣の切っ先が突き付けられていた。
「ッ」
思わず息を飲む。ビシリ、と固まった私の目の前には。いつの間やら追いついていた追手の足元が見えた。
ああぁぁ、ですよねぇぇぇ!!
クソ。捕まった。
逃げ切れなかった悔しさと、何も悪いことはしていないのにのど元に切っ先を突き付けられているこの現状への苛立ちに思わず頭を挙げ相手を睨みつけてしまう。
「え?」
その拍子にあらわになった私の顔を見て相手から漏れたのは何ともこの場にそぐわない戸惑いがこもった声だった。
「あ〃?」
なんだ、この野郎、やんのかこらぁ。言外にそんな雰囲気を醸しながら半ギレで睨むことしばし。
戸惑ったような最初の一言を発したっきり黙り込んでしまった相手を見ながら、威嚇してしまったのは失敗だったかと頭をフル回転させていると。
「お。やったね。当たってるじゃん。」
「なになに、悪い人?悪い人?」
「…」
「…」
軽い口様で、合流するローブ二人。無言で合流するローブ二人。畜生、敵が増えた。
そちらにちらりと 目をやると。
「え」
「ふわー」
軽口をたたいていた背の高い追手、めんどくさいのでノッポローブと呼ぶ。と同じく軽口をたたいていた小さい追手、おチビローブと呼ぶことにする。が信じられないものを見たかのようにこちらを見ていた。
同じように、無言で集まってきていたローブ達、こちらはローブ2,3とする。ローブ1は目の前の剣を突き付けているやつにご進呈だ。も息を飲むんでこちらを凝視している。
…なんだ?
その場の異常な雰囲気に内心首をひねっていると、仲間が揃ったことにより気を取り直したのかローブ1が口を開いた。
「…何者だ?いや、その前にこれ以上の抵抗はしないでもらおう。いいな?」
急に戦闘という展開ではなく、会話ができそうな雰囲気に内心安堵しつつ、こちらも口を開く。
「先に剣をしまってもらおう。話はそれからだ」
上半身しか動かせない現状で、のど元には剣の切っ先。偉そうな口をたたける状況ではないが、なけなしの勇気を振り絞り剣を引くように伝える。
しばし考えた後、ローブ1はこちらの必死の虚勢を憐れんでくれたのか、あるいは、抵抗された所ですぐさま制圧可能と考えたのか剣をしまってくれた。
おもわず、安堵の息を吐いてしまう。思い出したかのように手が震えるが、気づかれないに力を入れ抑え込む。
手に持ったナイフを、目の前の地面に置いて抵抗する意思がないことを示すとそれを見ていたローブ1が聞く。
「名前は?どこから来た?」
「…イト。日本。」
「…二ホン??どこの国だ。」
どこまで話せば良いのだろう。
「…東の国だ」
「聞いたことがないな」
「遠いところにある」
どこまで話せば信用してもらえるのか、どこからが話してはいけない部分なのか頭の中で考えながら会話する。
名前は、別になんでもいいだろうと最初の部分だけを伝える。
日本の名は出してもよ良いものだっただろうか?しくじったか?
転生は?女神さまは?それらはおそらく悪手。信じてもらえないだろう。下手すれば頭の残念な人認定だ。
出してもいい内容を選ぶにしても、相手の情報が少なすぎる。こちらからも聞かねば。
詳細で見たいが、相手に感付かれるだろう。不信感を与え危険。却下だな。
残る頼みの綱は交渉力だ。まだ使い方がわからないが、交渉力を使おう。意識した瞬間、全身のこわばりが抜けていく感覚がした。なんだ?剣を突き付けていた相手を前に緊張していた体からこわばりが取れ、冷静に相手を見ることができるようになった。更に、視界が広がったように相手の身なり、動き、視線などがよく見て取れるようになる。
これが交渉力の作用なのだろうか?これならばいける…か?
すっかり緊張の抜けた私は息を一つ吐くと、背筋を伸ばしまっすぐに相手を見ながら問いかけた。
「そちらは?」
雰囲気の変わった私に気づいたのか、少し戸惑ったようにローブ1が身じろぎする。残りの人たちも息を潜めてただじっとこちらを見るばかりだ。
なんだ?気圧されている?私に?なぜ?
「私たちは…」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる