ダンスダンスダンス!!

カナブン

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十一話

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すぐ後ろに聞こえる声に心底ビビりながら現状を打開させる方法がないかと必死に頭をフル回転させる。

どうしたらいい。どうしたらいい!?

その時、地図に写る点が黄色から橙色に変わったことに気づく。
なんだ!?赤でも黄色でもないこの色!?もうやだ!!

警戒の上のサインってなんだ!?
地図上の点の色の変化に思わず移動スピードが僅かに落ちるが、今は気にしている場合じゃないと何とか持ち直して再びスピードをあげようとした、その瞬間。



ヒュ。



小さな小さな音が僅かに聞こえたかと思うと。足を始点として下半身に何かが巻き付く感覚があり。

あ、と思う間もなくバランスを崩した自分の体は地面に向けて落下を始めていた。

ヤバイヤバイヤバイ!!

必死に先ほどと同じように浮力でなんとか地面に激突することなく着地するが、足というか、下半身に絡みついたツタのようなもののせいで立ち上がることができない。

上半身だけを起こし、なんとかツルらしきものを切り払おうと、ナイフを手に持ったその時。

「そこまでだ」


のど元にキラリと光る刃物。長剣の切っ先が突き付けられていた。


「ッ」


思わず息を飲む。ビシリ、と固まった私の目の前には。いつの間やら追いついていた追手の足元が見えた。

ああぁぁ、ですよねぇぇぇ!!


クソ。捕まった。

逃げ切れなかった悔しさと、何も悪いことはしていないのにのど元に切っ先を突き付けられているこの現状への苛立ちに思わず頭を挙げ相手を睨みつけてしまう。

「え?」

その拍子にあらわになった私の顔を見て相手から漏れたのは何ともこの場にそぐわない戸惑いがこもった声だった。

「あ〃?」

なんだ、この野郎、やんのかこらぁ。言外にそんな雰囲気を醸しながら半ギレで睨むことしばし。
戸惑ったような最初の一言を発したっきり黙り込んでしまった相手を見ながら、威嚇してしまったのは失敗だったかと頭をフル回転させていると。

「お。やったね。当たってるじゃん。」
「なになに、悪い人?悪い人?」
「…」
「…」

軽い口様で、合流するローブ二人。無言で合流するローブ二人。畜生、敵が増えた。

そちらにちらりと 目をやると。

「え」
「ふわー」

軽口をたたいていた背の高い追手、めんどくさいのでノッポローブと呼ぶ。と同じく軽口をたたいていた小さい追手、おチビローブと呼ぶことにする。が信じられないものを見たかのようにこちらを見ていた。

同じように、無言で集まってきていたローブ達、こちらはローブ2,3とする。ローブ1は目の前の剣を突き付けているやつにご進呈だ。も息を飲むんでこちらを凝視している。

…なんだ?

その場の異常な雰囲気に内心首をひねっていると、仲間が揃ったことにより気を取り直したのかローブ1が口を開いた。

「…何者だ?いや、その前にこれ以上の抵抗はしないでもらおう。いいな?」

急に戦闘という展開ではなく、会話ができそうな雰囲気に内心安堵しつつ、こちらも口を開く。

「先に剣をしまってもらおう。話はそれからだ」

上半身しか動かせない現状で、のど元には剣の切っ先。偉そうな口をたたける状況ではないが、なけなしの勇気を振り絞り剣を引くように伝える。

しばし考えた後、ローブ1はこちらの必死の虚勢を憐れんでくれたのか、あるいは、抵抗された所ですぐさま制圧可能と考えたのか剣をしまってくれた。

おもわず、安堵の息を吐いてしまう。思い出したかのように手が震えるが、気づかれないに力を入れ抑え込む。

手に持ったナイフを、目の前の地面に置いて抵抗する意思がないことを示すとそれを見ていたローブ1が聞く。

「名前は?どこから来た?」

「…イト。日本。」

「…二ホン??どこの国だ。」

どこまで話せば良いのだろう。

「…東の国だ」

「聞いたことがないな」

「遠いところにある」

どこまで話せば信用してもらえるのか、どこからが話してはいけない部分なのか頭の中で考えながら会話する。
名前は、別になんでもいいだろうと最初の部分だけを伝える。
日本の名は出してもよ良いものだっただろうか?しくじったか?
転生は?女神さまは?それらはおそらく悪手。信じてもらえないだろう。下手すれば頭の残念な人認定だ。

出してもいい内容を選ぶにしても、相手の情報が少なすぎる。こちらからも聞かねば。
詳細で見たいが、相手に感付かれるだろう。不信感を与え危険。却下だな。

残る頼みの綱は交渉力だ。まだ使い方がわからないが、交渉力を使おう。意識した瞬間、全身のこわばりが抜けていく感覚がした。なんだ?剣を突き付けていた相手を前に緊張していた体からこわばりが取れ、冷静に相手を見ることができるようになった。更に、視界が広がったように相手の身なり、動き、視線などがよく見て取れるようになる。
これが交渉力の作用なのだろうか?これならばいける…か?

すっかり緊張の抜けた私は息を一つ吐くと、背筋を伸ばしまっすぐに相手を見ながら問いかけた。

「そちらは?」

雰囲気の変わった私に気づいたのか、少し戸惑ったようにローブ1が身じろぎする。残りの人たちも息を潜めてただじっとこちらを見るばかりだ。

なんだ?気圧されている?私に?なぜ?

「私たちは…」

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