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愛に囚われた天使~シャルスティーヤ~

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 こうして、生命の樹に誕生したのがラシュレスタだ。誰よりも清らかで感受性が高く純粋な天使として、天から自分に与えられた番いの天使―――その姿に一目見た瞬間から心惹かれた。

 一瞬にして愛したのだ。だからこそ、ラシュレスタはあれほどまでに執拗に仕掛けられ続けたのだ。自分が特別に愛したことを察したからこそ、ゼフォーと化した兄に。

 ただ美しく清純な上級天使であるのなら、あそこまでされることはなかったのだ。わかっていたはずだったのに――

 (あぁ・・・)

 いつしか魔界の王らしい狡猾な人格一色と化していった兄が。そのゼフォーが何もかもを誘導したのだ。まずは地上で。性行為に耽る人間たちの姿をラシュレスタに見させることから始まった。

 『絶景よのぅ。そう思わぬか、ラシュレスタ? ついさっきまで純粋に祈っていたかと思いきや、たやすく肉欲に夢中になる。人間とは誠に愉快な生き物だ。

 それにどうだ。あの者たちを見るがよい。勃起した肉の棒で後ろの孔を貫かれてよがって喘いでいるあの男、白金の髪とはまるで、そなたのようだな・・・フフフ』

 光と闇が入り混じり共存する領域の、人間界で待ち伏せされて。天界を去った者の出現とその言葉にラシュレスタは激しく動揺した。

 なぜ、ここにいるのか。元々は神を称えて祝いの舞を奉納する儀式だというのに。祝福を与えるために降りたったというのに。

 聖なる儀を終えたはずの神殿が、魔王の力によって淫欲の闇へと覆われた。男も女も。喘ぎ声が溢れかえり、肉と肉がぶつかり合うその獣欲の限りにまぐわう姿に、清麗な天使の心はすぐさま驚きと悲しみに染まった。

 『かたや、相手に獣のようにカクカク、カクカク・・・と。一心不乱に腰を振って突き入れている男はどうだ? ん? 金色の長い髪に青色の瞳とは、もちろん美しさでは話にもならないが、まるで我が弟のようではないか。誠にそなたにとってはたまらない光景よのぅ? どうだ、楽しいだろう?』

 『我らが大天使を愚弄するとは・・・』

 崇拝する最愛の存在を性行中の人間に重ねられ、ラシュレスタの中で怒りが頂点に達した。全身から光を放ち、魔王を攻撃する。そうやって、最後には光の渦にのまれながら形だけ退散していく相手に、

 (ラシュレスタ、卑しくも最高天使を汚す者よ。そなたは必ずや魔界に来るぞ)

 と聞かされ続けて、暗示の網に絡め取られていったのだ。

 そして、そんな挑発行為を繰り返される中、ラシュレスタはある一組の人間たちと出会い、その彼らの姿を通して欲するようになるのだ―――自分もまた、ああなりたいと。

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