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最愛の者 腕の中に

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 あぁ、こんなになっても愛している。なに一つ変わることなく、愛している。最愛の存在。自分の全て。

 (シャルスティーヤさま・・・)

 漏れそうになる嗚咽を堪えながら、ラシュレスタが求める。その美しい存在を。大好きな存在を。失いたくない唯一無二の存在を。

 (シャルスティーヤさま・・・ずっとずっと・・・あなたを想い続けていたいのです・・・)

 発せずにはいられない心の声。たとえ聞き手がいなくても。空しく宙に向けるだけのものであっても。ラシュレスタが自身の想いを噛みしめる。

 意識を失う最後の瞬間。闇の胞子なんかに乗っ取られたくない。忘れたくない。ずっと愛したい。そう願ったのだ、あの美しい姿に。

 そして、我を取り戻した今も、こうして願い続けている。

 (シャルスティーヤさま・・・愛しています・・・どうか・・・それだけは・・・その想いだけは失いたくないのです・・・守りたいのです・・・シャルスティーヤさま・・・)

 祈るようにして、ラシュレスタが切望する。それは純然たる願い。

 とその時―――――

 ふわんっ

 とラシュレスタの視界の先、右の手のひらが金色に光った。

 (えっ?)

 驚愕で目を見開いたラシュレスタの体内で、そのまま連動するかのように、ふわんっ、ふわんっ、ふわんっと光の波が立て続けに湧き上がる。

 その場所、額、喉、左胸、右胸と。りんで発生した光が体内で密かに繋がり始めた。

 (な、なにが・・・こ、これは・・・一体・・・)

 自分の中で突然、起き始めた現象。思い違いでもなく、幻覚でもなく。その確かなる感覚に、ラシュレスタがおののく。

 間違いなく霊気が発生しているのだ。しかも最上位の。身に覚えのある、あの・・・

 (こ、これは・・・ま、まさか・・・)

 ラシュレスタがその聖なる気に息をのんだ。

 (シャ・・・シャルスティーヤ・・・さま・・・?)

 こんなことができる存在、それは、あの方しかいない。

 でも、一体、どうして? これは、どういうことなのだろうか―――考えを巡らせるラシュレスタの脳裏に、最後に地上で見た美しい姿が思い浮かんだ。

 そうだ。あの時の、あの金色の欠片が舞った、あの光景は――――

 (まさか・・・)

 あれは意図があってなされた行為だったというのか。自分に向けて。

 だが、だとすると、それではまるで魔族が得意とする呪のようではないか。咄嗟に、ラシュレスタが否定する。

 天界の最上位たる存在なのだ。まさか、その偉大なる天使が仕掛けるなんて。到底、信じがたい。

 それでも、体内で着実に、自分が本来持つ霊気よりも遙かに上質な聖気によって、陣が築かれた。

 (そ、そんな・・・)

 『ラシュレスタ・・・大丈夫だ・・・願え・・・』

 突如として内側から聞こえてきた声に、ラシュレスタが目を大きく見開いた。

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