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会いたくて

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 「えぇえぇ~? いやいやいや、これは検索に必要な反応時間・・・でありんすよ。高速でしかも高画質。さらには、魔鏡族の中でも途中で広告宣伝が入らないのは、アブラハムだけ・・・でありんすよぉ~ へへへ・・・」

 本体とチビが左右の手のひらを重ねるとを右に左に振って、自慢げに小躍りをしてみせた。

 「・・・いいから、今後は十三体、一気にそろって検索しろ。従わない場合は永久凍結だと思え。いいな?」

 反論など許さない冷淡無情な瞳。魔鏡たちが一斉にヒッと震え上がって、コクコク、コクコクと頷いた。

 モコモコモコモコモコモコモコモコモコッ・・・・・・

 残り十二体が打ち合わせもなく一斉に立ち上がった。その場の空気を読んで急遽きゅうきょ対応したものの、大から小まで階段状になるよう、きちんとそろっての出現ができている。

  アブラハムには 十三体の子~
  チビから始まり 最後まで~

 倍速で速やかに歌い、合唱し終わると、ボボボボボボボボッ・・・・・・とこれまた最速で紫色の輝きを点した。

 同時に、ふわん・・・と本体の鏡面部分が映像を映し出す。空を飛ぶ鳥から見下ろしているような光景。どこまでも広がる青い大空と海。人間界だ。

 (どこだ?)

 頬杖をついたまま興味深げに見つめ始めたあるじに、魔鏡が状況を説明をした。

 「現地の大烏おおがらすと正式に業務提携をしている・・・でありんすよ。情報収集担当のフギンギンとムニンムニ、なかなか有能な奴ら・・・でありんす。奴らの視界を利用して、検索をかけている・・・でありんすよ」

 (大烏・・・魔鳥か・・・)

 二羽が縦列して飛んでいるのだろう。斜め前方に黒く大きな烏が大きく羽ばたいている姿が映る。その首には魔鏡アブラハムとよく似た形のバッジのようなモノ。キラリと光った。

 「は~い。アブラハムさんと十三体の子さんたち~ こんにちは~ こちら現地の~ フギンギンとムニンムニで~す。お変わりないですかぁ~? あれ、ちょっと雰囲気、変えた~?」

 クッと首を横にして視線を向けてきた大烏が、どこかカタコトな発音で口を開いた。

 「あ、今、こちらの最新情報を伝送する・・・でありんすよ。あるじが変わった・・・でありんすよ」

 「だと思った~ なんか初めて感じる魔気? ・・・なんだろ、それだけじゃないみたいだけど・・・ん~ なに~? 今度も偉い方~? アブラハムさん、ご出世~?」

 「実は払い下げとかなんじゃないのぉ~?」

 もう一羽が声を出して入りこみ、それに対して映されている側が、カァァアァ~(ウケるぅ~)と愉快げに鳴いた。

 この軽い感じは一体、なんなのか―――

 (道化の縁故は、しょせんは道化か・・・)

 新しい主の冷ややかな視線に気がついて、魔鏡が慌てて否定した。

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