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ホストなクラブ?

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「こ、これは一体…」

 おじいさんとおばあさんは大変なことになっていると圧倒されてしまいました。

 全体的には薄暗い室内です。
 ですが、暗さを全く感じさせません。
 その部分的な黒さはむしろ明るさの対比として生かされているようです。
 そんな陰影が維持されている空間で。
 あたかも壊れた光源からでも放たれているかのように。
 色とりどりの長い光の線が絶え間なくあちらにもこちらにも行き交い、天井から下がるキラキラとした球体ミラーボールからは光の粒が四方に振りまかれています。
 さらに奥には舞台らしき空間が作られていて、即席で設けられた観覧席へと突き出すようにして同じ高さの道があります。
 そうか、きっとこれが花道というものなんだと。
 おばあさんは書物で知っている知識と一致させると感じ入りました。
 しかも、それだけではありません。
 花道の左右にはガラスでできたグラスを重ねたタワーが大きな台の上に置かれていて。
 一番下の段は一辺に六個のグラスを並べた正方形で、五個、四個、三個、二個と上に重ねていくにつれて小さくなり、頂点にちょこんと一つがきれいに乗っている見たこともない物体です。
 うわぁと気圧されていると金色の長い髪をしたお地蔵さんが叫びました。

「じゃ、早速始めるとしようぜぇ~!!」

 ジャラジャラと指輪や腕輪を余計なまでに付けた手には先が丸い、黒い棒のような物を斜めにして持っています。

「ちょっとヤンチャ、音響機器マイク霊源スイッチ入ってないよ」

 先ほどショタと呼ばれていた子供のようなお地蔵さんが仕切り始めた元気のいいお地蔵さんに言いました。
 あ、ほんとだ、やっべと慌てて金髪がスイッチを入れます。

「じゃ改めて~、右はおじいさんのためのどぶろくタワー、左はおばあさんのための梅酒タワー、どっちも最高だぜ~、オオゥイヤァ!!」

(どぶろくタワー? 梅酒タワー?)

 困惑の塊となっているおじいさんとおばあさんを、ささ、こっちこっちとショタ地蔵が手で背中を押してタワーの近くに立たせました。

「今日の姫さま殿さまは知る人なんていな~い、この人たち~!! イェーイ!!」
「イェーイ!!」
「始めちゃうよ~!!」
「イェーイ!!」

 ヤンチャ地蔵がマイクを片手に右の手のひらを上に上にと上げながら音頭を取り始めました。

 ハイハイ、ハイハイ
 (ハイハイ、ハイハイ)
 イケオジ、イケオジ
 (イケオジ、イケオジ)
 ハイハイ、ハイハイ
 (ハイハイ、ハイハイ)
 イケバァ、イケバァ
 (イケバァ、イケバァ)

 他のお地蔵さんたちも両手のひらを上にして、宙に風を立てるようにして合いの手を入れます。

 ハイハイ、ハイハイ
 (ハイハイ、ハイハイ)
 イケオジ、イケオジ
 (イケオジ、イケオジ)
 ハイハイ、ハイハイ
 (ハイハイ、ハイハイ)
 イケバァ、イケバァ
 (イケバァ、イケバァ)

「ささ、こちらの中身を一番上のグラスに注いで下さい」

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