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第8章 淫毒におかされた肉体が…
4 蟹になった甲斐があったな
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ギャァア"ァア"ァァ"ァーーー…ギャァア"ァア"ァァ"ァーーー…ギャァア"ァア"ァァ"ァーーー…ギャァア"ァア"ァァ"ァーーー…
間髪入れずに、世にもおそろしい断末魔の叫び声が上がり、それに被さるように謎の音が続き、さらにまた悲鳴が上がり、それらを追いかけるようにして続く。
その聞くに耐え難い阿鼻叫喚とまるで灼熱の鉄板の上で肉でも焼いたかのような異臭が漂ってきた中で。
「全てを焼き払え、全てだ。汚れた大気も全て浄化しろ」
そう神々しさすら感じる声が凜として命じると、今度はボワァァアァーーッ、ボワァァアァーーッ、ボワァァアァーーッと猛火が立て続けに上がるような気配が始まった。
何が起きているのかと。
ただただ音を拾うことしかできない身が、乱れて苦しい呼吸を堪えながら必死になって状況を追う。
剥がれないイオンの羽に手を置いたままゴクリと嚥下した。
「ま、まさか…ありえない…そんな…ありえない…」
離れたところから弱々しく聞こえてきた、何かに激しくおののいているようなしゃがれた声はあの巨大蟹の頭胸部で息巻いていた鎌首、ヒュドラだ。
そこにジャリッ、ジャリッ、ジャリッと大柄な体躯が強い意思でもって歩み近づいていくような音が加わる。
「せっかくだ。身の程知らずのお前には特別に手間をかけてやろう」
「おめぇは…まさか…おめぇは…アルファ神…」
ヒュドラ本体が何かを言いかけたその時、ビュォオォンッと宙を切るような異音が続く言葉を遮り、ギャァア"ァア"ァァ"ァーーーと耳を刺すような絶叫が響いた。
(ッ!!)
続けて、ブッシャァと体液が豪快に吹き上がる音とゴキィ、バキィ、メリメリメリィィッという、身震いがするほどの不快な破壊音がそこに混ざる。
「どうだ? 合体したお友達の大きな体のおかげで仲良く痛みが共有できるんだ、楽しいだろう?」
「ぐえ"ぇえ"ぇぇーーっ!!」
「まだまだ、こんなものじゃないぞ。不死で無敵なんだろう、もっと味わえ」
「うぎゃぁあ"ぁあ"ぁぁーーっ!!」
(そ、そんな…)
視界を奪われていようとも、バキバキィ、メリメリメリィィッ、グッシャァアァッと終わらない粉砕音に、ひっきりなしに上がる悲鳴に、誰が誰に何をされているのかなんて考えるまでもない。
「そうか、楽しくてたまらないか。蛇から蟹になった甲斐があったな。これはどうだ?」
「げぇえ"ぇえ"ぇえ"ぇぇーーっ!!」
いたぶるような言葉から、続く苦痛に満ちた叫び声から、微に入り細を穿つように嬲られていることがわかる。
(な、なんで…)
故意に長引かせているような気配に、おそろしいという気持ちが湧き上がった。
プロメテウスの浄化の火で、ある程度燃え殻になったら外套に包んで燃やしながら神殿に運ぶと言っていたのではなかったのか。
どうしてそれをすぐにでも実行しないのか。
大気を通して感じるほどの、そのただならぬ衝撃とその凄まじい怒気は実に執念深く、制裁を徹底的に加えている側に恐怖を感じずにはいられない。
「オル…フェ…ウス…」
震える声が乱れた息の間から思わず漏れた。
確かに下劣な怪物ではあるが、もういいじゃないかと。
早くケリをつけてやれと耳を両手で押さえて心の中で訴えた。
間髪入れずに、世にもおそろしい断末魔の叫び声が上がり、それに被さるように謎の音が続き、さらにまた悲鳴が上がり、それらを追いかけるようにして続く。
その聞くに耐え難い阿鼻叫喚とまるで灼熱の鉄板の上で肉でも焼いたかのような異臭が漂ってきた中で。
「全てを焼き払え、全てだ。汚れた大気も全て浄化しろ」
そう神々しさすら感じる声が凜として命じると、今度はボワァァアァーーッ、ボワァァアァーーッ、ボワァァアァーーッと猛火が立て続けに上がるような気配が始まった。
何が起きているのかと。
ただただ音を拾うことしかできない身が、乱れて苦しい呼吸を堪えながら必死になって状況を追う。
剥がれないイオンの羽に手を置いたままゴクリと嚥下した。
「ま、まさか…ありえない…そんな…ありえない…」
離れたところから弱々しく聞こえてきた、何かに激しくおののいているようなしゃがれた声はあの巨大蟹の頭胸部で息巻いていた鎌首、ヒュドラだ。
そこにジャリッ、ジャリッ、ジャリッと大柄な体躯が強い意思でもって歩み近づいていくような音が加わる。
「せっかくだ。身の程知らずのお前には特別に手間をかけてやろう」
「おめぇは…まさか…おめぇは…アルファ神…」
ヒュドラ本体が何かを言いかけたその時、ビュォオォンッと宙を切るような異音が続く言葉を遮り、ギャァア"ァア"ァァ"ァーーーと耳を刺すような絶叫が響いた。
(ッ!!)
続けて、ブッシャァと体液が豪快に吹き上がる音とゴキィ、バキィ、メリメリメリィィッという、身震いがするほどの不快な破壊音がそこに混ざる。
「どうだ? 合体したお友達の大きな体のおかげで仲良く痛みが共有できるんだ、楽しいだろう?」
「ぐえ"ぇえ"ぇぇーーっ!!」
「まだまだ、こんなものじゃないぞ。不死で無敵なんだろう、もっと味わえ」
「うぎゃぁあ"ぁあ"ぁぁーーっ!!」
(そ、そんな…)
視界を奪われていようとも、バキバキィ、メリメリメリィィッ、グッシャァアァッと終わらない粉砕音に、ひっきりなしに上がる悲鳴に、誰が誰に何をされているのかなんて考えるまでもない。
「そうか、楽しくてたまらないか。蛇から蟹になった甲斐があったな。これはどうだ?」
「げぇえ"ぇえ"ぇえ"ぇぇーーっ!!」
いたぶるような言葉から、続く苦痛に満ちた叫び声から、微に入り細を穿つように嬲られていることがわかる。
(な、なんで…)
故意に長引かせているような気配に、おそろしいという気持ちが湧き上がった。
プロメテウスの浄化の火で、ある程度燃え殻になったら外套に包んで燃やしながら神殿に運ぶと言っていたのではなかったのか。
どうしてそれをすぐにでも実行しないのか。
大気を通して感じるほどの、そのただならぬ衝撃とその凄まじい怒気は実に執念深く、制裁を徹底的に加えている側に恐怖を感じずにはいられない。
「オル…フェ…ウス…」
震える声が乱れた息の間から思わず漏れた。
確かに下劣な怪物ではあるが、もういいじゃないかと。
早くケリをつけてやれと耳を両手で押さえて心の中で訴えた。
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