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第6章 嫉妬したオルフェウスに…
6 抱かれる側の身
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仮にその場を離れるつもりが元々なかったとするならば、王からも低下層にあたる元囚人が唐突に愛する妻に対して不埒な行いに出たと勘違いされてもおかしくない。
(オレが…まずかったのか…)
サーッと青ざめて口元を手で覆った。
冥界の王とその妃にとんでもない失礼をやらかしてしまったのだ。
「オレ…オレ、もしかしたら…無礼な態度を取ってしまったのかも…」
悪気はなくても痛恨の失敗だ。
猛烈に落ちこんでくる。
「こちらの許容範囲を超えた接近が理由だったのか、それともハデスの元々の狭量の問題か…いずれにせよ…」
口を塞いでいた手をいきなり強く握られて、えっ…と声を出した。
気がつくと上下の簡易な服だけの状態となっている。
そんな、いつの間にか薄着となっていた身が引き締まった胸元へと強引に引き寄せられた。
あごを長い指で掴まれて顔を上げさせられる。
なんだろうと戸惑った視線の先で――
「君がもっと知りたいと思う相手は…私だけであるべきだ」
美しく整った顔がかすれるような声で囁き、狙いを定めたかのように斜めに傾きながら接近してくる。
その様に目を見開いた。
「ま、待ってくれ…っ……んっ」
制止する隙もない。
咄嗟に顔を背けたものの、頭の後ろを大きな手で固定され、たやすく塞がれた。
「だめ、だっ…て…んぅ…オルフェウス…よせっ…んんっ」
なんとかして逆の方向へと顔の向きを変えて逃げるが、それもまた難なく捕らえられる。
何度も左右に顔を振って逃げるものの、その都度執拗な相手に唇を重ねられた。
(なんで…)
いやだと自分が少しでも示したことは、いつだって無理強いはしないはずなのに、今日はどこか様子が変だ。
「ぁっ…」
横から正面へと、しっかりと向き合ってきた大柄の肉体にドサッとそのまま押し倒された。
「よ、せっ…て…ばっ…んぅっ」
上からのしかかられた状態でとうとう本格的な口づけが始まる。
ぬめっとした厚みのある舌が遠慮なく挿し入れられた。
(あぁ…)
唾液とともになだれこんきたのは、ふわぁっとした熱情だ。
肉厚な胸板を押し返そうとしていた両腕からダラリと力が抜け落ちて、逆にその頑丈な体躯に縋りつくような形へと変化した。
「ふっ…んぅっ…んんっ…」
一気に奪いに来られて、重なり合った唇から、まるでこうされるのを待っていたと告げんばかりの甘ったるい吐息が漏れ始める。
その自分のモノとは到底認めがたい、鼻にかかったような声が、くちゅっくちゅとした怯える舌を好き放題に貪られる音と混ざり合って耳を襲う。
カァッと全身が熱くなった。
(こんなの…こんなの…)
好きな相手からの情熱的な口づけだというのに。
嬉しいと思うよりも困惑が上回った。
わずかに身じろいだことで、どんな格好をさせられているかをまざまざと認識させられるのだ。
股を大きく開かされて、その両脚の間に揺るがなく陣取られて。
逃げる余地などなく覆い被さられている体位で、布越しに感じる相手の肉体がどうしようもなく知らしめてくる。
この男を相手にした場合、自分は間違いなく抱かれる側の身なのだと――
(オレが…まずかったのか…)
サーッと青ざめて口元を手で覆った。
冥界の王とその妃にとんでもない失礼をやらかしてしまったのだ。
「オレ…オレ、もしかしたら…無礼な態度を取ってしまったのかも…」
悪気はなくても痛恨の失敗だ。
猛烈に落ちこんでくる。
「こちらの許容範囲を超えた接近が理由だったのか、それともハデスの元々の狭量の問題か…いずれにせよ…」
口を塞いでいた手をいきなり強く握られて、えっ…と声を出した。
気がつくと上下の簡易な服だけの状態となっている。
そんな、いつの間にか薄着となっていた身が引き締まった胸元へと強引に引き寄せられた。
あごを長い指で掴まれて顔を上げさせられる。
なんだろうと戸惑った視線の先で――
「君がもっと知りたいと思う相手は…私だけであるべきだ」
美しく整った顔がかすれるような声で囁き、狙いを定めたかのように斜めに傾きながら接近してくる。
その様に目を見開いた。
「ま、待ってくれ…っ……んっ」
制止する隙もない。
咄嗟に顔を背けたものの、頭の後ろを大きな手で固定され、たやすく塞がれた。
「だめ、だっ…て…んぅ…オルフェウス…よせっ…んんっ」
なんとかして逆の方向へと顔の向きを変えて逃げるが、それもまた難なく捕らえられる。
何度も左右に顔を振って逃げるものの、その都度執拗な相手に唇を重ねられた。
(なんで…)
いやだと自分が少しでも示したことは、いつだって無理強いはしないはずなのに、今日はどこか様子が変だ。
「ぁっ…」
横から正面へと、しっかりと向き合ってきた大柄の肉体にドサッとそのまま押し倒された。
「よ、せっ…て…ばっ…んぅっ」
上からのしかかられた状態でとうとう本格的な口づけが始まる。
ぬめっとした厚みのある舌が遠慮なく挿し入れられた。
(あぁ…)
唾液とともになだれこんきたのは、ふわぁっとした熱情だ。
肉厚な胸板を押し返そうとしていた両腕からダラリと力が抜け落ちて、逆にその頑丈な体躯に縋りつくような形へと変化した。
「ふっ…んぅっ…んんっ…」
一気に奪いに来られて、重なり合った唇から、まるでこうされるのを待っていたと告げんばかりの甘ったるい吐息が漏れ始める。
その自分のモノとは到底認めがたい、鼻にかかったような声が、くちゅっくちゅとした怯える舌を好き放題に貪られる音と混ざり合って耳を襲う。
カァッと全身が熱くなった。
(こんなの…こんなの…)
好きな相手からの情熱的な口づけだというのに。
嬉しいと思うよりも困惑が上回った。
わずかに身じろいだことで、どんな格好をさせられているかをまざまざと認識させられるのだ。
股を大きく開かされて、その両脚の間に揺るがなく陣取られて。
逃げる余地などなく覆い被さられている体位で、布越しに感じる相手の肉体がどうしようもなく知らしめてくる。
この男を相手にした場合、自分は間違いなく抱かれる側の身なのだと――
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