騙されて異世界へ

だんご

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51 ふとした疑問

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  自分の金銭感覚に遠い目をしてしまう……事は置いといて。
  食後の片付けを皆で終え、キナコを囲んでまったり過ごし、適当な話題で和んでいた時。
 フッと思った。
 なんて言うか、違和感?

「そう言えば……なぁ、リック?」

 「なんだ?」

 「今回さ、かなり不思議な事になってたよな?」

 「変異種か?まぁ、不思議っちゃ不思議だが、ない訳でもないぞ?」

 「いや、変異種より、坊っちゃんだよ」

 「うん?」

 だってよ?
 前日に鉄拳制裁食らって、遠征が解散になったのに、変異種の所で坊っちゃんを踏みつけたのが翌日だぞ?
 リックとタバサが来る所を狙って来たにしても、いつ、誰に聞いた?
 しかもだ。
 しかも坊っちゃんがダウンしてたのは、結構内側に近い。
 腐りかけたゴブリンなんかもいた辺りだぞ?
 更に言えば、坊っちゃんは1人だけだった。
 従者も取り巻き的な誰かもいなかった。
 家出って言われればそれまでだが……
 馬はどうしたんだ?
 流石に徒歩で来ないよな?
 迷い馬なんていたか?
 普通の感覚持ってる馬は、魔の森を避けるって言ってたよな?
 かなりの勢いで気になるんだが?

 って事をリックに言ってみたんだが。

 「確かにな……」

 「確かにおかしいねぇ……」

 「面倒だってのが先にきて、気付かなかったな……」

 「だねぇ……」

 「まぁ、2人共に後家来衆じゃないからな。パッと思いつかんだろうし」

 それでも2人共に渋い顔。
 まぁ、そうだよな。

 「坊っちゃんが森に来る動機も経緯も知らんからな……知らない方がいいって事もあるが、今回はヤバいんじゃねぇか?」

 「あぁ。ヤバいヤツだ。ちょっとギルドに行って来る」

 「あたしも行って来るよ」

 「おう。あっ、坊っちゃんを踏みつけたってナシで話といてくれよ?」

 「ぶふっ!おう。行って来る」 

 冗談を混ぜながらリック達を見送る。
 多分、これから存分に巻き込まれるだろうな……
 お偉いさんのグチャッとゴチョッとしたやつに。
 勘弁して貰いたい所だけども、坊っちゃんと1度でも関わってしまったからな……
 仕方ない事と諦めよう。
 
 「にゃん……」

 「キナコも心配か?」

 「……にゃん」

 「そうだよな……坊っちゃんはまだ子供だもんな……」

 「にゃん……」

 賢いキナコにとっても、坊っちゃんは保護対象になったらしい。
 俺の甥っ子を思い出した可能性もあるな。
 幼い者=保護対象っぽいからな……
 こっちじゃ坊っちゃんは成人の歳になるそうだが……
 中身が全然、お子様だしな。
 キナコがお子様認定したのも仕方ない話だ。

 「まぁ、リックも行ってくれるし。ギルドも通して親父さんまで届くだろうからな」

 「にゃん……」

 「……手助け出来る時が来たら、すぐ確保するか?」

 「にゃんっ!」

 即答……
 母性溢れるウチの子……マジで尊い。

 
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