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2度目の生き様
紅き炎の王
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「竜星国が滅びただと!!?」
声を荒げて叫ぶのは、琥珀の髪に翡翠の瞳をもつ、この場で最も尊き存在─国王─である。
その整った顔立ちと有能さ故に、紅炎国では絶大な人気を誇るカリスマである。
「どういう事だ!」
王座を強く叩き、目の前に跪く5人の兵士を、王は睨めつけた。
全速力で旅路を駆け抜けたのであろう。兵士たちは汗水漬くであり、呼吸は酷く乱れている。
しかしそんな様相よりもなお目を引くのは、皆一様に蒼白であり、涙を流している者すらいるという事だ。
その中でも最年長であろう青年が、零れ落ちそうな涙を必死で堪え答えた。
「っ・・・森の向こうに異変を感じ、我ら5人は偵察に参りましたっ。隣国、流星国の南門は瓦礫も残さず失せっ、見渡す限りに荒野が広がるばかりっ!至る所から火の手が上がりっ、生存者は確認出来ませんでした!王城や神殿も瓦礫を残すばかりっ」
「嘘を申すなっ!!!」
途切れ途切れの報告を打ち消すように否定する。それは家臣達が聞いた事のない様な、悲痛を秘めた王の叫び。また、家臣達の思いでもあった。何しろ、流星国は世界最強と呼ばれる民族の国なのだ。強く、気高く、魔族達から他国をも守護する最も尊き民族。全滅など、到底信じられるものでは無い。
しかも、流星国はこの紅炎国の同盟国であり、兄弟国でもあるのだ。王族は姻戚関係にあり、紅炎国王は流星国王の片腕とすら言われる。
偵察隊の長は、今度こそ涙を流しながら、言葉を繋いだ。
「っ・・・いいえ陛下っ!誠にございます!そこかしこに遺体が転がり、爆発の発生源からは確かな魔族の気配がっ感じられました・・・」
その言葉に周囲は大いにザワついた。
やはり・・・だの、流星王族がいながら襲撃に対応出来なかったのか?という言葉が飛び交い、皆一様に顔色が悪い。気遣う様な視線を王に向けるものもいる。
王・・・紅炎国王─緋炎光輝は、ドサリと王座に沈み込む。
「魔族が・・・流星国を・・・我が義弟、流衣を・・・弑したと言うのか・・・我が従兄弟殿達を吹き飛ばしたと?」
力ないその声は、光輝の掌に覆われており、表情を垣間見ることは出来ない。しかし、義弟と言って幅からないほど仲のい従兄弟同士であった、流星国の王族兄弟達を喪ったであろう我が王を思い、家臣達は暗い顔をした。
幾許かたった後、光輝は不意に顔を上げた。その顔は、誇り高き国王の顔であった。
「世界最強と言われた流星国が、魔族の手により滅びた。魔族共はいつの世でも世界をその手にせんと、争いや諍いを求めている。そんな卑怯者共に、我らが同盟国は・・・兄弟国は一瞬にして吹き飛ばされたのだ!皆よく聞け!流星国亡き今、世界最強は我が紅炎国である!守りを固めよ!民に注意喚起を!各国に使者を出すのだ!各国で手に手を取り合い、世界を守らねばならん!」
強い覇気と鋭い視線を向けられ、さらに国王の的確な勅命に、その場にいた家臣達は返事を返そうとした─その時。
優しくも麗しい、懐かしくも切ない、聞きたくて堪らなかった声が、大広間に静かに響いた。
「その通り、です。」
声を荒げて叫ぶのは、琥珀の髪に翡翠の瞳をもつ、この場で最も尊き存在─国王─である。
その整った顔立ちと有能さ故に、紅炎国では絶大な人気を誇るカリスマである。
「どういう事だ!」
王座を強く叩き、目の前に跪く5人の兵士を、王は睨めつけた。
全速力で旅路を駆け抜けたのであろう。兵士たちは汗水漬くであり、呼吸は酷く乱れている。
しかしそんな様相よりもなお目を引くのは、皆一様に蒼白であり、涙を流している者すらいるという事だ。
その中でも最年長であろう青年が、零れ落ちそうな涙を必死で堪え答えた。
「っ・・・森の向こうに異変を感じ、我ら5人は偵察に参りましたっ。隣国、流星国の南門は瓦礫も残さず失せっ、見渡す限りに荒野が広がるばかりっ!至る所から火の手が上がりっ、生存者は確認出来ませんでした!王城や神殿も瓦礫を残すばかりっ」
「嘘を申すなっ!!!」
途切れ途切れの報告を打ち消すように否定する。それは家臣達が聞いた事のない様な、悲痛を秘めた王の叫び。また、家臣達の思いでもあった。何しろ、流星国は世界最強と呼ばれる民族の国なのだ。強く、気高く、魔族達から他国をも守護する最も尊き民族。全滅など、到底信じられるものでは無い。
しかも、流星国はこの紅炎国の同盟国であり、兄弟国でもあるのだ。王族は姻戚関係にあり、紅炎国王は流星国王の片腕とすら言われる。
偵察隊の長は、今度こそ涙を流しながら、言葉を繋いだ。
「っ・・・いいえ陛下っ!誠にございます!そこかしこに遺体が転がり、爆発の発生源からは確かな魔族の気配がっ感じられました・・・」
その言葉に周囲は大いにザワついた。
やはり・・・だの、流星王族がいながら襲撃に対応出来なかったのか?という言葉が飛び交い、皆一様に顔色が悪い。気遣う様な視線を王に向けるものもいる。
王・・・紅炎国王─緋炎光輝は、ドサリと王座に沈み込む。
「魔族が・・・流星国を・・・我が義弟、流衣を・・・弑したと言うのか・・・我が従兄弟殿達を吹き飛ばしたと?」
力ないその声は、光輝の掌に覆われており、表情を垣間見ることは出来ない。しかし、義弟と言って幅からないほど仲のい従兄弟同士であった、流星国の王族兄弟達を喪ったであろう我が王を思い、家臣達は暗い顔をした。
幾許かたった後、光輝は不意に顔を上げた。その顔は、誇り高き国王の顔であった。
「世界最強と言われた流星国が、魔族の手により滅びた。魔族共はいつの世でも世界をその手にせんと、争いや諍いを求めている。そんな卑怯者共に、我らが同盟国は・・・兄弟国は一瞬にして吹き飛ばされたのだ!皆よく聞け!流星国亡き今、世界最強は我が紅炎国である!守りを固めよ!民に注意喚起を!各国に使者を出すのだ!各国で手に手を取り合い、世界を守らねばならん!」
強い覇気と鋭い視線を向けられ、さらに国王の的確な勅命に、その場にいた家臣達は返事を返そうとした─その時。
優しくも麗しい、懐かしくも切ない、聞きたくて堪らなかった声が、大広間に静かに響いた。
「その通り、です。」
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