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ふざけたハンドルネームのままBLゲームの世界に転生してしまった話

3 王子様風のイケメンがあらわれた ☆

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(後半にお上品ではない内容が含まれます。お食事中の方はご注意下さい)




 声の主に目をやると、背景に花でも背負ってそうな、金髪碧眼の王子様っぽいド派手なイケメンが立っていた。
 俺と同じような制服っぽいブレザーを着ているが、所々に青の差し色が入ってて、うん……とにかく派手だ。
 
「いや、だいじょばないっす。
 頭から血が」
 俺は頭を押さえていた血だらけの手を、イケメンに見せた。
「それは大変だ! どのあたりか、詳しく見せてくれ」

 イケメンは屈み込んで俺の頭を押さえると、サルの毛繕いのように髪の毛をまくり、怪我を探しているようだった。
 おいおい、ずるむけてる所は引っ張らないでくれよと思っていると、

「どうやら血は出ていないようだが、ここにこぶが出来ているな」
「いてっ」

 イケメンが「ここ」と言って軽く押した箇所が痛み、思わず声が出た。

「おっと、痛くしてすまない。応急処置になってしまうが、痛みを和らげさせてくれ」
 そう言って、イケメンは俺の頭に手をかざした。
 
 なんだ、痛いの痛いのとんでけ~☆でもするのか? と思っていたら、奴は何やら呪文的なサムシングを唱え始めた。とんでけ~☆の海外版……?
 すると、痛かったところが徐々にひんやりとしてきて、いつの間にか痛みがすうっと消えていた。

「……え、何これ」
「私は水魔法が使えるんだ。今は君の瘤に溜まった血液を冷却する事で凝固させて、痛みを麻痺させている」
「魔法……? すげーな。あざっス」
「しかし……」
「?」
 なんだ、副作用でもあんのか?
 
「そちらの右手の怪我の方が、深刻な気がするのだが……痛くないか?」

 ゆっくりと右手を見ると、ガラス片が数箇所に刺さっており、そこから血が滲んでいた。
 出血していたのは頭ではなく、俺の右手だった。
 
「あひゃあああ!痛い‼︎」
 
 怪我の存在を認識すると、たちまち痛みを感じるようになるのは何故だろう。さっきまで何ともなかった右手が、激しく痛み出した。
 軽くパニックになると、「こちらも一時凌ぎにしかならないが」とイケメンが俺の右手を取り、噴水から流れる水をこちらに少し引き寄せて傷口をすすぐと、また例のひんやりエフェクトで血と痛みを止めてくれた。
 
「……どうも」

 とりあえず再び礼を言ったが、男は沈痛な面持ちで、噴水の下の方を見ていた。
 
「君の、月桂樹げっけいじゅしずくが入った瓶が…割れてしまったな……」
 
 イケメンの視線の先を辿ると、噴水の、俺の血が付着していたと思われる所の下の方に細かいガラス片が散乱していた。

 というかさっきこの男、げっけい…なんとかの雫?がどうこう言ってたけど、この赤いやつ、まさか俺のお手手の血じゃなくて……割れちゃった瓶の内容物…? 

「ええ……、この……?なんとやらは、俺が持っていたモノなんですか?」

 俺はこんなモブ顔のくせに、経血収集癖があるド変態って設定なのか⁉︎ 
 
「それは間違いなく君のものだった」
「まじすか……」

 しかもそれが目の前のイケメンにバレている惨状。

 なんだこれ。しにたい……神様、テレビに頭打ったしげるに戻してくれ。
 茫然自失となった俺に、男が真面目な顔で追い討ちをかけた。

「月桂樹の雫は再び手に入れる事が難しい、非常に貴重なものなんだ。
 大変申し訳ない。責任を取って、代わりに

 ……は?
 こいつ今、なんて……⁉︎

「え……今っ、あんたの経血ヤツを…俺にくれるって言いました……?」

 
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