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第一章
出会い
しおりを挟む~無吾非のパートナー~
僕は人造人間37号【無吾非】
人造人間は、103号までいるらしい。
そして、それ以上は作られなかった。
だから僕は比較的最初の方で作られた人造人間ってことだ。
1号、2号、、、と、数字が上がっていくほど、性能が上がっていくらしい。
だから僕の性能は、人造人間の中でも比較的悪い方なんじゃないかな。
でも、僕はそれで良かったと思う。
そもそも、人造人間って何?って思う人が多いと思う。
人造人間はね、人工的に作られた人間のことだよ。
僕達は人間の都合が良いように作られているんだ。
だからね、性能が上がるほど、人間にとって都合が良くなる。
1号から10号までは、戦闘、ボディーガード機能だけ、
11号からは、家事、育児機能が追加される。
21号からは、人造人間に「心」が追加される。
31号からは、学習能力が追加される。
41号からは、美男美女になる。
51号からは、忠誠心が追加される。
61号からは、✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗、、、、企業秘密とかで、人造人間の僕にも教えてくれない。
僕たちは何回もテストを繰り返して、三年たっても壊れなかったら、お金持ちに売られる。
昔はほとんどが戦闘させるために人造人間はお金持ちに買われていたらしいが、比較的平和になった今では、だいたいが愛玩用や○○用だ。
そのため、最近売られ始めた30号からは、人間の都合の良いようにするために、ある機能が追加された。
簡単に説明すれば、こうだ、
『パートナー(主人)が、その人造人間への関心がなくなると、その人造人間は死ぬ。』
つまり、いらなくなったら、命ごと、ポイっと、捨てられるのだ。
冗談じゃない
41号からなら顔がよいから、まだ長生きできるだろうが、そうでも、そうでなくても、パートナーに飽きられたら、結局死ぬ。
お金持ちに買われたら、その場でその忌々しい呪いの契約しないといけないし、逃げたとしても、買われたときに栄養補給線を切られているから、三日以内に契約しないとドちみち死ぬ。
人造人間はその、契約をしたパートナーの関心を栄養として、初めて生きていけるのだから。
嫌だ。
死にたくない死にたくない死にたくない・・・・・・・・
――――――――――――――――――――――――――――――
「無吾非。おめでとう、幸せにね。」
研究員の一人が僕の体から栄養補給線を引きちぎった。
とうとう、僕は買われてしまったのだろう。
「嫌だ。行きたくない。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「嫌だ!」
「わがまま言わないの。」
僕は研究員に手を引かれて、研究室の外に連れてこられた。
怖い
研究室の外に出ると、白いスーツを着た20代ぐらいの男性と、金髪ポニーテールの17歳くらいの少女が無吾非のことを待ち構えていた。
男性のほうが契約書を手に持っているため、あの男性が僕の契約主だ。
少女のほうは左手の薬指に契約リングがはめてあるので、きっとあの男性の人造人間(パートナー)なのだろう。
複数のパートナーを持つ契約主は一人当たりの関心が薄まる傾向がある。
ますます僕は契約したくなくなった。
それに、どうせ契約するなら、女の子がいい。
だから僕はすきを見て、男から契約リングを奪い、こっそり調べていた、非常用裏ルートを使ってここから逃げ出した。
急げ
急げ
急げ!
僕は全速力で足を動かす。
できるだけ遠くへ逃げなければ!
でも、結局、体力には限界がある。
どうすれば・・・・・
ガタンっゴトっガタンっゴト・・・・・
この音は…
「電車っ‼」
そうだ!電車だ!
電車に乗れば、僕が走るより速く遠くへいける・・・
お金は持っていなかったので、無断で改札口を通り抜け、僕はふらつきながらも、駅のホームに向かって走る。
どんっ!!
「きゃあ!」
疲れすぎていて、前をよく見ていなかったからか、人にぶつかってしまった。
ツインテールで眼鏡をかけた少女が僕のことをすごい顔でにらみつけ、
「ちょっ、何するのよ!」
と、どなってきた。
少女の怒りはごもっともだ。
「ごっ、ごめんなさい。」
僕は素直に少女に謝罪をした。
「ええっ!?」
ツインテールの少女僕のことを見て凄く驚いたような顔をした。
もしかして、、、
僕が人造人間だって早速ばれてしまったのか!?
僕が内心焦っていると、ツインテールの少女は、
「ちょっ、超絶美少年!!!!」
と、悲鳴のように叫んで、顔をまるでリンゴのように真っ赤にしてポーと、僕のことを見つめてきた。
?
?????????
あまりに予想外のことを少女が叫んだので僕は頭が混乱した。
タンッ
見覚えのある金髪ポニーテールが僕の前に立ちはだかった。
あの男性のパートナー(人造人間)だ。
「無吾非!サッサと鈴川様のパートナーになりなさーい!」
やっぱりそうだ。あの男性(鈴川というらしい)からの命令で僕のことを追いかけてきたんだ!
僕は身をひるがえして、逃げ出した。
だが、金髪ポニーテールが僕のことを追いかける気配はなかった。
あれ?っと、思いながら逃げていると、
後ろからものすごい電流気が襲ってきた。
痛い。
自分の内臓がはちきれる音がした。
体のバランスが保てなくなり、僕は倒れた。
しばらくは動ける気がしない
でも、逃げないと。
動け!
動け!
そうしているうちに、金髪ポニーテールが僕の目の前にやってきてしまった。
ツインテール眼鏡の少女もいる。
ああ、終わったな・・・・
さよなら。
僕のかすかな希望・・・・・
そう思って、僕は目を閉じた。
ゴン!
鉄が激しく当たる音がした。
痛くない?
どうして?
僕は不思議に思い、目を開けて、鉄の音がしたほうをみた。
・・・・・・・・ツインテール眼鏡の少女が金髪ポニーテールの頭部を鉄の水筒で殴りつけていた。
え?
はあ?!
金髪ポニーテールが気絶しているうちに、ツインテールの少女は僕に近づき、僕のことを背負って、ふらつきながらも走り出した。
どうやらこの、ツインテール眼鏡の少女は僕のことを心配して、助けようとしてくれているみたいだ。
優しい子なんだな・・・・
だけど、そんな子に頼って甘えてはいけない。
この少女までも巻き込んで命の危険にさらさせる危険があるのだ。
幸い、数分経ったことで完全ではないが大体の傷は修復できた。
僕はツインテール眼鏡の少女に言った。
「もういいよ。降ろして。」
そうすると、少女の咎めるような声が返ってきた。
「ダメだよ、大怪我してるし。」
彼女は僕の身を案じてくれている
だけど、
「それなら大丈夫。」
ペタッ
僕は自分のさっきまでの内臓が張り裂けていたお腹に彼女の手で触らせた。
「えっ、ちょっ、ひゃあああああ!!!!」
「もう、治ってるから」
「ひゃっ!治ってる・・・・・」
わかってもらえたみたいだ
ツインテール眼鏡の少女は不思議そうに僕のおなかを見つめた。
それを見て、僕は勝手に少し傷ついた。
・・・・・・・・こんなにすぐ傷が治るなんて、気持ち悪いよね・・・
「僕は人間じゃない。だから簡単には死なない。ほっといてください。あなたを巻き込みたくないんです。」
僕がそういうと、なぜか彼女はムスっとして
「君みたいなイケメン、なかなか見つからないのよ!?ほっとけないわよ!」
と、何故か怒られた。
イケメン・・・・・・・・?
顔がいいってことだよね、、、、
この僕が?
少し、うれしかった。
どうせ僕は人造人間。三日以内に契約主を見つけないと、死ぬ。
死にたくないから逃げ出した。
契約するなら、僕に興味を持ってくれる人がいい。それと、女の子がいい。
少女には自分で言った言葉に責任を取ってもらおう
僕はその、ツインテール眼鏡の少女に自分の命を託すことに決めた。
「じゃあ、構ってもらうから。」
僕は彼女の薬指と、自分の薬指に契約リングをはめた。
もう、僕も君も逃げられなくなった
…………続く……………
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