花恋甘檻物語

緑山紫苑

文字の大きさ
上 下
19 / 27
第四章

都市伝説っていっぱいあるんだよ

しおりを挟む

 ――驚かないんですね――


 僕と蓮花君は、公園のブランコに座った。


 「それで、紫苑さんのいる場所と、お月様、なんの関係があるんだい?」


 僕は早速蓮花君に聞いてみた。


 「紫苑さんは『月夜神都市伝説』の、シルバーさん、(月夜神様)の世界に囚われてしまったのかもしれません。」


蓮花君は真面目な顔で、都市伝説の話を持ち出してきた。


 「『月夜神都市伝説』って、先月、昼休みに僕が君たちに話した都市伝説のことだよね。」

 「はい、そうです。」

 「どうしてそうなる?」


 蓮花君は案外、宇宙人とかオカルト系を信じてしまう系だったの?

彼は冗談とかあまり言うようなキャラで無いし、、、


 「カエアンさん、信じられないかもしれませんが、事実、先月、月が満ちたとき、紫苑さんとあの都市伝説を実行してみたんです。そしたら本当に異世界にたどり着いてしまって、、、」
 
「調べてみる価値はありそうだね。」

 
 きっと、僕が普通だったら、全くこの話を信じなかっただろうね。

 幼い頃から僕は、シャルナさんに都市伝説を寝物語のように聞かされてきて、今でも毎日のようにたくさんの都市伝説を聞かされてる。

 いつもシャルナさんが、自分が実体験したかのようにリアリティーに話すから、僕はいつの間にかに『都市伝説』が実現するって洗脳されていたのかもしれない。


 「驚かないんですね。」
 
「何が?」

 「俺の、俺と紫苑さんが異世界に行ったって話です。」
 
 「この件の話はうちのシャルナさんでお腹いっぱいさ!」


 そう、このような話は家でたくさん聞いてるからね。

蓮花君が不思議そうに僕に聞いてきた。


 「えっと、あの、そういえば、カエアンさん、『シャルナさん』とは?」

 「僕の父親さ!僕達の通っている高校の校長でもあるじゃないか。」

 「ええええええええ?!」


 あれ?僕、蓮花君に今まで言って無かったっけ?

 蓮花君が驚いたことに僕も驚いたよ。

 僕の高校に通っているなら、大体の生徒が知っていることだし。

 僕は勢い良くブランコから降りた。


 「よし!蓮花君、僕の家においでよ!蓮花君にシャルナさんを紹介するね!」

 「え、でも、、、今そんな余裕無いんじゃ、、、」


紫苑さんを探さないとって思っているのだろう、

 心配そうな顔してブランコに座ったまま僕を見上げる蓮花君に僕は笑ってこう言った。


 「ねぇ、知ってた?都市伝説ってたくさんあるんだよ。」




 
ー一1人足りない図書室ーー



 放課後、集まったのは、静川カルマ、長城万里、私、春風実の三人だった。

 私達はいつも、放課後で7、8限授業がない日は図書室に集まっておしゃべりをしていた。

いつもなら蓮花君と一緒に紫苑ちゃんも図書室に来るのだが、、、今日は紫苑ちゃんがお休みなため、三人だけなのだ。


 「今日、紫苑ちゃん学校来なかったね。」


 カルマちゃんが明日の小テストの範囲を確認しながら、私達にそう言う。


 「そうだね、風邪かな?」


 万里ちゃんがスマホで推しキャラを描きながら言った。


 「最近休む人多いよねぇ。」


 私は何気なくそう言った。



 ーーカエアンの家族ーー


 カエアンの家は、、、、、、高かった。

 99階建てマンションであり、それ全てカエアンの父親のシャルナさんの所有物なようだ。

 部屋はなんと階ごとに10部屋、、、つまり、合計990部屋もあるという事だ。

 しかも誰にも部屋を貸していないらしい。

 なぜ?

 これだけ部屋があるなら貸したほうが家賃で稼げそうだが、、、

 そう思って俺が聞いてみたところ、、、カエアンはシャルナさんに聞いてみないとわからないと言った。

 シャルナさんとはどのような方なのだろうか?

 カエアンさんに似ているのかな。


 「シャルナさん、今何階にいる?友達連れてきた。」

 
カエアンはシャルナさんと電話をしているようだ。


 「うん、うん、分かった。今行く。2階の1号室ね。」


 カエアンはスマホを制服の左ポケットに入れた。

 電話をし終えたようだ。


 「じゃあ、行こうか。」

 「はい。」


 俺とカエアンさんはエレベーターで2階に上がり、1号室へ歩いた。


 「あ~」


 カエアンさんがそうつぶやくと1号室のドアが開いた。

 恐らく、今最新端の、家の持ち主の音声を登録すると、その人が声を出すだけでドアが開くシステムだ。

 すごい。


 「ただいま~!シャルナさん!」

 「おかえり!カエアン!ほら、君も!上がって上がって~!」

「はい、おじゃまします。」

 
 俺は靴を脱ぎ、カエアンさんたちの家にお邪魔した。

 シャルナさんは高身長で紫色の髪の毛のお兄さんだった。

 顔はカエアンと似てないが、髪の毛の色と髪型は親子を思わせる。

部屋の中はガランとしていてほとんど何にもなかった。

 あるとしたらテーブルと、椅子が4つあるくらいだ。

 きっと普段はあまり、この部屋では生活していないのだろう。


 「掛けてくれたまえ、君!」

 「ハイ。では、お言葉に甘えて、、、あと、俺は黒川蓮花です。」


 俺はシャルナさんに進められ、椅子に腰をかけた。


 ガチャ


 誰かが部屋に入ってきた。

 入ってきたのは金髪長身のお兄さんだった。

 白い肌で、うっすらとそばかすが散っている。

 そして、童顔だ。

 きっと俺と同じ高校生だって言われたら自分はきっと納得してしまうだろう。


 「お母さん!おかえり!」

 「え、?」


 カエアンさんが金髪色白お兄さんの事を『お母さん』と、言って、その人に抱きついた。

その人も「おかえり」と言ってカエアンの事を抱きしめ返している。
 
俺が驚いていると、


 「驚いただろう。あいつは惹 白龍って言って、カエアンの母親の弟だ。カエアンの母親はカエアンが6つのときに梅毒で死んじまってな~、そんで、母親に似ている白龍はそんままカエアンの母親役みたいになっちゃったのさ!」

 「そ、そうなんですね、、、」

 「あの頃は色々大変だったなぁ、、、」


シャルナさんがしみじみとつぶやいた。

 どうやらこの家族には大変辛い過去があったようだ。

 言われてみると、確かに白龍さんとカエアンさんの顔は似ている。

 白龍さんはとてもお姉さんと似ていたのだろう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語

瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。 長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH! 途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!

私はただ一度の暴言が許せない

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。 花婿が花嫁のベールを上げるまでは。 ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。 「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。 そして花嫁の父に向かって怒鳴った。 「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは! この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。 そこから始まる物語。 作者独自の世界観です。 短編予定。 のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。 話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。 楽しんでいただけると嬉しいです。 ※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。 ※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です! ※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。 ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。 今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、 ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。 よろしくお願いします。 ※9/27 番外編を公開させていただきました。 ※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。 ※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。 ※10/25 完結しました。 ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。 たくさんの方から感想をいただきました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

無吾非君は知らない

緑山紫苑
ファンタジー
主人公の宝山明依美が高校へ行くために電車を待っていると、後ろから美少年がぶつかってきた!?そして、その美少年は謎の力を使う少女に命を狙われていた?! ドキドキな逃亡ストーリー!!!!

処理中です...