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第四章
都市伝説っていっぱいあるんだよ
しおりを挟む――驚かないんですね――
僕と蓮花君は、公園のブランコに座った。
「それで、紫苑さんのいる場所と、お月様、なんの関係があるんだい?」
僕は早速蓮花君に聞いてみた。
「紫苑さんは『月夜神都市伝説』の、シルバーさん、(月夜神様)の世界に囚われてしまったのかもしれません。」
蓮花君は真面目な顔で、都市伝説の話を持ち出してきた。
「『月夜神都市伝説』って、先月、昼休みに僕が君たちに話した都市伝説のことだよね。」
「はい、そうです。」
「どうしてそうなる?」
蓮花君は案外、宇宙人とかオカルト系を信じてしまう系だったの?
彼は冗談とかあまり言うようなキャラで無いし、、、
「カエアンさん、信じられないかもしれませんが、事実、先月、月が満ちたとき、紫苑さんとあの都市伝説を実行してみたんです。そしたら本当に異世界にたどり着いてしまって、、、」
「調べてみる価値はありそうだね。」
きっと、僕が普通だったら、全くこの話を信じなかっただろうね。
幼い頃から僕は、シャルナさんに都市伝説を寝物語のように聞かされてきて、今でも毎日のようにたくさんの都市伝説を聞かされてる。
いつもシャルナさんが、自分が実体験したかのようにリアリティーに話すから、僕はいつの間にかに『都市伝説』が実現するって洗脳されていたのかもしれない。
「驚かないんですね。」
「何が?」
「俺の、俺と紫苑さんが異世界に行ったって話です。」
「この件の話はうちのシャルナさんでお腹いっぱいさ!」
そう、このような話は家でたくさん聞いてるからね。
蓮花君が不思議そうに僕に聞いてきた。
「えっと、あの、そういえば、カエアンさん、『シャルナさん』とは?」
「僕の父親さ!僕達の通っている高校の校長でもあるじゃないか。」
「ええええええええ?!」
あれ?僕、蓮花君に今まで言って無かったっけ?
蓮花君が驚いたことに僕も驚いたよ。
僕の高校に通っているなら、大体の生徒が知っていることだし。
僕は勢い良くブランコから降りた。
「よし!蓮花君、僕の家においでよ!蓮花君にシャルナさんを紹介するね!」
「え、でも、、、今そんな余裕無いんじゃ、、、」
紫苑さんを探さないとって思っているのだろう、
心配そうな顔してブランコに座ったまま僕を見上げる蓮花君に僕は笑ってこう言った。
「ねぇ、知ってた?都市伝説ってたくさんあるんだよ。」
ー一1人足りない図書室ーー
放課後、集まったのは、静川カルマ、長城万里、私、春風実の三人だった。
私達はいつも、放課後で7、8限授業がない日は図書室に集まっておしゃべりをしていた。
いつもなら蓮花君と一緒に紫苑ちゃんも図書室に来るのだが、、、今日は紫苑ちゃんがお休みなため、三人だけなのだ。
「今日、紫苑ちゃん学校来なかったね。」
カルマちゃんが明日の小テストの範囲を確認しながら、私達にそう言う。
「そうだね、風邪かな?」
万里ちゃんがスマホで推しキャラを描きながら言った。
「最近休む人多いよねぇ。」
私は何気なくそう言った。
ーーカエアンの家族ーー
カエアンの家は、、、、、、高かった。
99階建てマンションであり、それ全てカエアンの父親のシャルナさんの所有物なようだ。
部屋はなんと階ごとに10部屋、、、つまり、合計990部屋もあるという事だ。
しかも誰にも部屋を貸していないらしい。
なぜ?
これだけ部屋があるなら貸したほうが家賃で稼げそうだが、、、
そう思って俺が聞いてみたところ、、、カエアンはシャルナさんに聞いてみないとわからないと言った。
シャルナさんとはどのような方なのだろうか?
カエアンさんに似ているのかな。
「シャルナさん、今何階にいる?友達連れてきた。」
カエアンはシャルナさんと電話をしているようだ。
「うん、うん、分かった。今行く。2階の1号室ね。」
カエアンはスマホを制服の左ポケットに入れた。
電話をし終えたようだ。
「じゃあ、行こうか。」
「はい。」
俺とカエアンさんはエレベーターで2階に上がり、1号室へ歩いた。
「あ~」
カエアンさんがそうつぶやくと1号室のドアが開いた。
恐らく、今最新端の、家の持ち主の音声を登録すると、その人が声を出すだけでドアが開くシステムだ。
すごい。
「ただいま~!シャルナさん!」
「おかえり!カエアン!ほら、君も!上がって上がって~!」
「はい、おじゃまします。」
俺は靴を脱ぎ、カエアンさんたちの家にお邪魔した。
シャルナさんは高身長で紫色の髪の毛のお兄さんだった。
顔はカエアンと似てないが、髪の毛の色と髪型は親子を思わせる。
部屋の中はガランとしていてほとんど何にもなかった。
あるとしたらテーブルと、椅子が4つあるくらいだ。
きっと普段はあまり、この部屋では生活していないのだろう。
「掛けてくれたまえ、君!」
「ハイ。では、お言葉に甘えて、、、あと、俺は黒川蓮花です。」
俺はシャルナさんに進められ、椅子に腰をかけた。
ガチャ
誰かが部屋に入ってきた。
入ってきたのは金髪長身のお兄さんだった。
白い肌で、うっすらとそばかすが散っている。
そして、童顔だ。
きっと俺と同じ高校生だって言われたら自分はきっと納得してしまうだろう。
「お母さん!おかえり!」
「え、?」
カエアンさんが金髪色白お兄さんの事を『お母さん』と、言って、その人に抱きついた。
その人も「おかえり」と言ってカエアンの事を抱きしめ返している。
俺が驚いていると、
「驚いただろう。あいつは惹 白龍って言って、カエアンの母親の弟だ。カエアンの母親はカエアンが6つのときに梅毒で死んじまってな~、そんで、母親に似ている白龍はそんままカエアンの母親役みたいになっちゃったのさ!」
「そ、そうなんですね、、、」
「あの頃は色々大変だったなぁ、、、」
シャルナさんがしみじみとつぶやいた。
どうやらこの家族には大変辛い過去があったようだ。
言われてみると、確かに白龍さんとカエアンさんの顔は似ている。
白龍さんはとてもお姉さんと似ていたのだろう。
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