10 / 27
第三章
いじめ
しおりを挟む――ファンクラブの質問攻め【蓮花目線】――
「ねぇねぇ!黒川君ってさぁ、緑川さんとお付き合いしちゃってたりする?」
「そーそー。なんか最近二人いつも一緒じゃない?私たち、気になっちゃってぇ~」
俺は今、何故かクラスの女子、いや、ほかのクラスの子もいる・・・・に、囲まれていた。
そして、俺と紫苑さんの仲を聞かれている。
俺は、果たして、この子たちになんて答えたらよいのだろうか?
正直、紫苑さんとお付き合いをさせていただいている、と、言ってしまいたい。
この機会を通じて、悪い虫を払っておきたい・・・・
でも・・・
勝手なことを言ったら、紫苑さんに嫌われてしまうかもしれない。
それは困る・・・・・
「え~と…紫苑さんに聞いてみたらどうですか?」
俺が答えを濁して彼女たちにそう言うと、彼女たちは、
「え~。うちらは、黒川君に聞いているんだよぉ?」
「で?実際はどうなの?」
と、ぐいぐいと詰め寄ってきた。
どうしよう・・・
ちょうどそのころ、カエアンが教室へ帰ってきた。
カエアンは、怪訝な表情をして、俺と彼女たちを見つめていた。
そして、
「蓮花君と紫苑君が付き合ってる?なにそれ・・・・ありえないんだけど!」
カエアンは俺のことを見て、鼻で笑った。
・・・・・・・むかつくっ
「ありえなくないですよ。だって、今、実際に俺と紫苑さんは恋人ですから。」
「なっ??!!!」
「「「「「ええええええええええ?!!!!!!」」」」」
学校の外まで聞こえるんじゃないかと思うほどの叫び声が俺のクラスから響いた。
・・・・・・ガラララ
・・・・紫苑さんが、移動教室から帰ってきた。
「っあ・・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・・」」
俺と紫苑さんはしばらく見つめあった・・・・
「な、七限、遅れるから、もう行かなくちゃ!」
「え、あ、頑張ってください……いつものところで待っています。」
紫苑さんは、パタパタと教室から出ていった。
紫苑さんは、さっきの話を聞いていたのだろうか?
だらだらと冷や汗がたれる...。
「・・・・・紫苑さん・・・。」
彼女はさっきの出来事をどう思ったのだろうか。
……やっぱり、公にはしたくなかったのだろうか
俺は紫苑さんの意思を聞かずに皆に恋人だと言ってしまったことを後悔した。
――ファンのねたみ――
次の授業も移動である。
紫苑の通っている高校はちょっと変わった高校で、自由選択制で、七、八限授業がある。
ピアノ、バスケ、お琴、太鼓、朗読、茶道、華道、囲碁、将棋、フランス語、韓国語、中国語・・・・・・などなど、様々な教科を学ぶことができる。
別に自由選択制なので受けなくてもいいのだが、せっかくタダで学べるのだから、ちょっとした習い事をする気分で、受けれるだけ、受けておこう、と、いうのが紫苑の考えだ。
囲碁や将棋などのゲームでも、しっかりと授業を受けさえすれば、単位を取ることができるのでちょっぴりお得な気分だ。
ちなみに紫苑はお琴と囲碁を選択して、授業を受けている。
次の七限の移動教室はお琴だ。
蓮花と紫苑が、恋人という名のお友達、を、始めてからは、蓮花の部活が遅くなる時以外は一緒に帰っている。
同じマンションに住んでるし・・・・
蓮花は七、八限授業を取っていないが、一、二時間くらいなら待てると言って、いつも紫苑の授業が終わるまで、自習室で待ってくれている。
紫苑の足はいつものように教室へ向かっていたが・・・・・
「ありえなくないですよ。だって、今、実際に俺と紫苑さんは恋人ですから。」
「なっ??!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
蓮花君?
紫苑の教室の中から蓮花のイライラしたような声が聞こえてきた。
「「「「「「えええええええええええ?!!!!!!」」」」」
次の瞬間、叫び声が聞こえてきた。
もちろん、紫苑のクラスからである。
・・・・・どうしよう。
今、教室に入るのは勇気がいる。うん。
でも、次の移動授業の時間は迫ってきている。
荷物も、教室の中にある。
紫苑は覚悟を決めて教室の戸を開けた。
・・・・・ガラララ
「っあ・・・・・・・」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」
紫苑は教室に足を踏み入れた途端に蓮花と目が合った。
・・・・き、気まずい・・・・
「な、七限、遅れるから、もう行かなくちゃ!」
紫苑は蓮花から目をそらし、荷物を持って、急いでここから飛び出した。
後ろから蓮花君が何か言っていた気がしたが、紫苑は構わず走った。
だって、紫苑は今すぐその場から離れたかったんだもの。
・・・・・・・ なんだか、悪い予感がする
紫苑は、七限授業が終わっても、蓮花が自分を待ってくれていうだろう自習室に寄ることをせず、一人で家に帰った。
悪い予感は本当だった。
次の日、紫苑が学校に行くと、そこは、地獄に変わっていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる