花恋甘檻物語

緑山紫苑

文字の大きさ
上 下
9 / 27
第三章

鈍感な蓮花

しおりを挟む


――黒川ファンクラブ――


 
 

「あの二人最近、仲良すぎない?」

「確かに・・・・・付き合ってたりして!」

「えー!ナイナイ、だって、黒川君がこの高校に来てからまだひと月もたってないよ。」

「ひと月もあれば、恋愛ぐらいできるよぉ♥」

「そうかなぁ。じゃあ、もし付き合ってたとしたら、どっちからだろ?」

「絶対、緑川さんからだよぉ!きっと、黒川君に必死になって、告白して、OKもらったんだよぉ♥」

「あー。ありえそー!きっと、優しい黒川君は緑川さんに必死になって告白されて、断れなくて仕方がなく付き合っちゃったんだ!」

「そうだね!そうじゃないと緑川さんが黒川君と付き合えるなんてありえないよ!」

「そーそー。緑川さん、たいしてかわいくないのにいつも黒川君と一緒にいるなんて・・・・・・絶対に調子に乗ってるよね!」

「黒川君可哀想・・・・・・あんなぶすと付き合ってるなんて・・・」

「いやいや、まだ付き合ってるって確定したわけじゃないって!」

「そうだねぇ~。本人に直接聞いてみる?」

「ええ~⁈緑川さんに?」

「違うって!黒川君に、だよ!緑川さんだと噓つくかもしれないじゃん!」

「だねぇー。誰が黒川君に聞きに行く?」

「私やだよぉ?だって、恥ずかしい(n*´ω`*n)」

「うちだってそうだよ!・・・・・・そうだ!みんなで聞きに行こうよ!」

「「「「「さんせーい!」」」」」








 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。黒川君が転校してきて、三日でできた黒川ファンクラブ。 

 紫苑が黒川ファンクラブの部室の前を通るときに、女の子たちの、このような話声が聞こえてきた。

 なにこれ?

 完全に紫苑が悪者みたいじゃない?

 紫苑はいらいらしながら黒川ファンクラブの部室の前を通り過ぎた。








 ――紫苑のどこが好きなの?――


 


 紫苑が一階に降りると、蓮花がいた。

「あれ?蓮花君、今日木曜日だから、弓道部じゃなっかったけ?」

「先輩たちが校外学習で、学校にいないので、今日の部活はお休みになったんです。」

「そうなんだ。」

「なので、今日は紫苑さんと一緒に帰れます。」

 蓮花はそう言って、ほほを紅色に染めてほほ笑む。

 これ、完全に恋する乙女でしょ!

 かわいい・・・・。

 そういえば、蓮花は紫苑のどこを好きになったのだろう?

 彼は紫苑のことを好きだと言ってくれたが、どこが好きなのかは聞いたことがない。

 あの、黒川ファンクラブの子が言ってたように紫苑とは仕方がなく付き合っているのだろうか?

 いやいや、

 そもそも告白をしてきたのは蓮花からだし、紫苑たちは本当の恋人ではなく、恋人という名の友達だ。

 では、蓮花はあの子たちに紫苑と付き合っているのかと、聞かれたら、なんて答えるのだろう。

 友達、だというのだろうか

 恋人、だというのだろうか

 紫苑はそんなことを考えながらも蓮花に聞いてみた。

「そういえばさ、蓮花君は、紫苑のどこが好きなの?」

「全てです。」

 蓮花はそれが当たり前だというように即答した。

「ぜ、ぜんぶ?」

「はい。紫苑さんの全てが愛おしいです。」

「・・・・・・・・・。ありがとう。」

 恥ずかしい。

 何で、簡単にそんなことを言えるのだろう。

「これはモテるにきまってる・・・・・。」

「え、」

 蓮花は不思議そうな顔をして、紫苑のことを見た。

 ・・・・・・・鈍感

 彼は気づいてはいないのだろうか?

 自分が本当にイケメンで、たった数日で【黒川ファンクラブ】が、できてしまうほどだということを。


 ・・・・・・やっぱり紫苑は、蓮花君と釣り合わないよ・・・・・・。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

無吾非君は知らない

緑山紫苑
ファンタジー
主人公の宝山明依美が高校へ行くために電車を待っていると、後ろから美少年がぶつかってきた!?そして、その美少年は謎の力を使う少女に命を狙われていた?! ドキドキな逃亡ストーリー!!!!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

処理中です...