花恋甘檻物語

緑山紫苑

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第二章

カエアンの悩み

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 やあ!僕はカエアン!
紫苑君の幼馴染さ!
実は最近、僕には悩み事ができたんだ。・・・・・・・・幼馴染の紫苑君のことで。
 
 紫苑君が最近、ソワソワしていたからね、僕は『どうしたの?』と、聞いてみたのさ!
そしたら、紫苑君は言ったんだ。


「恋人ができたの!」



「・・・・・。」

 これを聞いて、僕が叫ばなかったのは偉かったと思う。
ほんと、もう、最初、僕は、紫苑君は冗談を言ったんだと思った、いや、思いたかった。

「誰?」

「え、」

「ねえ、いったい誰なんだい?紫苑君の好きな人って!僕の知ってる人?」

 これで、もし、すぐに答えられなかったら、紫苑君はうそをついている。
僕と彼女は十年間も一緒にいたのだ。
彼女の噓はすぐに見抜ける。

「・・・・・・・・・・・内緒。」

 ほーら、答えられない。
やっぱりうそだったん・・・・・・・・え?
 紫苑君はほんのりとほおを薄桃色に染めて、微笑んでいた。
これは・・・・・・・・・認めたくはないが、認めるしかない。
彼女の顔はうそをついている顔ではなかった。
紫苑君には本当に恋人ができたようだ。
 ・・・・・・・・・誰だ?
僕の紫苑君をたぶらかした野郎は。

「えー、教えておくれよ!僕、紫苑君の彼氏、気になるよぉ!」

「だーめ!」

 結局、僕は紫苑君の恋人のことを聞き出せなかった。
・・・・・・まさか、僕に言えないほどやばい奴と付き合ってるのかな?
優しい彼女のことだ、野蛮な男に言い寄られても、断ることができなかったに違いない。
もし、そうだったのなら・・・・・・・

「殺そう。」

 でも、本当に紫苑君がその人のことが大好きで、その人も、紫苑君のことをとても大切にしていたとしたら・・・・・・

「誰もが認めるほどの容姿をしていて、紫苑君が一生不自由のない生活を保障できる学力、経済力があって、紳士的で、強くて、優しくて、彼女を絶対に幸せにすることができる人なら、・・・・・・・・認める。」

 
 僕の幸せは紫苑君が幸せになること。

 ・・・・・・欲を言えば僕の手で幸せにしたいけどね。

 でも、彼女を本当に幸せにできる人なら文句は言わないさ。

 文句は言わない。文句は言わないけど・・・・・・・・



「・・・・・・一発ぐらいは殴らせて。」











―――――――――――――――――――――――――――――――


 ・・・ 蓮花がカエアンに殴られるのもそう遠くない話かもしれない。










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