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第二章
姉の心情
しおりを挟む「えっ!?弟が学校を休んだ?!」
私は黒川 蓮玲。
黒川 蓮花の姉です。
現在二十五歳。
どうやら私のたった一人の可愛いい弟、蓮花が、今日、学校を休んだらしい。
心配だわ。
弟は少々無理をしがちな性格なので体を壊してなければよいけれど…。
私は弟にメールを送った。
弟からの返信はすぐに来た。
学校を休んだ理由は体を壊したからではないらしい。
ただ単に学校に行きたくなかったらしい。
今までどんなことがあろうと、真面目に休まず、学校に通っていた弟のことだ。
よっぽどな理由があったのだろう。
いじめを受けているわけでもない…。
ではなぜ?
私が理由を聞いても弟は学校に行きたくなかったわけを話してくれない。
「これは…問題だわ!」
弟は人に頼らず、悩みは自分で解決しようとする癖がある。
大抵は自分で解決できるのだが、今回はなかなか解決することができずにきっと、今でも頭を悩ませているのだ。
「かわいい弟が悩んでいる・・・これは姉として、助けなければ!」
私は明日の仕事をすべて断ってかわいい弟の悩みを聞くことにした。
「せっかく久しぶりに弟に合うんですもの。私の手作りのクッキーでも持って行って、食べてもらいましょう!」
私は早速クッキーづくりを始めた。
「お久しぶりです。蓮玲姉上。」
「そうね。三か月ぶり…かしら?」
弟は、私の前の席に向き会って座った。
ああ、いつの間にこんなに大人になって…背も、少し見ない間にちょっと伸びたかしら?
「姉上はこのカフェを気に入ってますね。」
「ええ。ここのカプチーノはとてもおいしいので。」
私はそう言ってカプチーノを口に含む。
おいしい。
その間に弟はバリスタにアイスコーヒーを頼んだ。
「ふふ、ねえ、蓮花。実は姉上、手作りクッキーを持ってきたのです。」
「っつ・・・・・・・#$%&’!?」
私がそう言うと弟は、口をパクパクさせて、顔は真っ青になった。
そんなに驚かなくてもいいのに。
「それは・・・・姉上の手作りですか?」
「ええ。今回もおいしく作れたと思うのよ!」
「・・・・・・・・」
「さあさあ。たべてみてください!」
「いっ・・今はちょっとおなかがすいていなくて…。」
「そお?では、おなかがすいたらいつでも言ってくださいね。」
「・・・・・・・・はい。」
今すぐ弟に私の手作りクッキーを食べてもらいたかったが…おなかがすいてないのなら仕方がない。
私は、本題に入ることにした。
「それで、蓮花はいったい何に悩んでいるのです?」
「えっ」
弟はわかりやすくうろたえた。
「姉上は、いつでも蓮花の味方ですよ。どんなことでもいいので姉上に悩みを話してみなさい。貴方のことが心配で、姉上は、仕事に集中できないのです。それとも、姉上では役不足ですか?」
弟はしばらく困った顔で目をきょろきょろとさまよわしていたが、やがて、口を開いてこういった。
「好きな人ができました。」
え?
好きな子ができた?
弟に?
「よっしゃああああああああああ!!!!ついに弟に、春が!」
あまりの嬉しさに私は、ここがお店の中だということを忘れて、叫んでしまいました。
「姉上!?お、落ち着いてください!」
「はい、落ち着きました。それで?蓮花、それで?」
「それでって…?」
「好きな子に思いは伝えたのですか?」
「え・・・あ、はい。」
「返事はもらったのですか?」
「いえ、まだです。時間が欲しいといわれました。」
さすが私の弟…。
もうそんなところまでいっているとは・・・・。
「蓮花の好きな子は、同じクラスの子かしら?」
「あ、姉上!なぜそれを…」
「思いを伝えた子に、顔を合わせることが気まずいので、学校を休んだということでよいかしら?」
「はい。姉上のおっしゃる通りです。・・・・・・・・素晴らしい考察力ですね。」
「成程・・・・・」
なんと初々しい悩み。
弟が好きになるような子だ。
きっと、賢い美少女なのだろう。
是非一度お会いしてみたいわ。
「蓮花の好きな子はどのような子なのですか?」
「かわいらしい方です。」
「どのような性格の方なのですか?」
「食べることが好きな方です。」
何故かちょっと話がかみ合っていない気がしたが、まあ、恋は盲目というやつのだろう。
「手ごたえはあるのですか?」
「わかりません。」
「その方はどのような男性が好みなのですか?」
「わかりません。」
うーん。
弟の恋が手ごたえあるのか、うまくいくのか私には全く見当がつきませんでした。
「蓮花はその人のことを顔で好きになったのですか?」
「顔も好きですけれど・・・それだけではないです!」
「そうなの?では、蓮花はもっとその方のことを知ったほうがよくてよ。学校を休んでいる場合ではないわ!せめて好きなタイプ、誕生日、血液型、好きなもの、嫌いなもの、ぐらいは知っておきなさい!好きなら常識よ。」
「そっそうなのですか!?」
「そうよ。あと、何か身に着けられるものをプレゼントするとよいです。」
「身に着けられるものをプレゼント…ですか?」
「そうよ!女の子はね、異性からもらったものを身に着けていると、その人のことを意識をしてしまうものなのですよ。」
「そうなのですか!!」
こうして弟に女の子とはこういうものだと話していくと、弟は、尊敬の顔つきで私の話に耳を傾けた。
私はかれこれ五時間ぐらい女の子が男の子にされるとうれしいことを、話した。
「姉上、ありがとうございます!姉上に相談してよかったです!さっそく実行してみることにします!!!」
「がんばりなさい。姉上は応援しています。」
弟が元気になって本当に良かった。
私は弟と別れた後、家に帰ってからすぐに弟が好きになった女の子のことを調べ始めた。
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