嫌われものと爽やか君

黒猫鈴

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菅原視点

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槻嶋夏。
深文静雄…生徒会長の親衛隊長。
深文に近付く奴を悉く制裁していた奴。
可愛い容姿をしていたが、好きな奴の為なら何して遠ざけるってのが気に食わなかった。

だから関わらなかった…
向こうも俺には無関心みたいだったし。

そんなときにやってきた季節はずれの転入生。
名前を高宮優雅と言った。
優雅はボサボサの髪に瓶底みたいな眼鏡を掛けていて、教室ではかなりブーイングを受けていた。

基本的小綺麗な生徒ばかりだから、汚い優雅をみんな嫌った。
しかし優雅はいい奴だった。

顔が良くクラスから奉られる程ではないにしろ、遠目で見られる俺。
そんな状況に諦め掛けていた俺になんの躊躇なく話掛けて更には友達になってくれた。

初めての友人を…俺は大切にしたいと思った。

それから優雅は生徒会の奴らと仲良くなったばかりに、制裁されていると知り激怒した。
しかも制裁しているのは過激派の深文会長の親衛隊だ。
あの親衛隊に制裁され、無事だった者はいないと聞いていたので、それからは優雅から離れないように心掛けた…。
しかし優雅は時々意味のわからない行動に移るので、目を離した隙に制裁されることも屡々あり、しかし優雅は殆ど無傷だった。
優雅は俺は強いんだ!と言っていたが、やはり心配だった。



そんな日々が続き、突然それは起こった。
優雅が食堂で鬘だったボサボサの髪と眼鏡を取ったのだ。
それは見せつけるように。
そして本当の優雅が可愛い顔をしているとわかると、嫌がっていた生徒達は優雅を奉り、生徒会役員になれば親衛隊長の槻嶋夏を親衛隊から追い出した。

故に一気に嫌われ者になり1人になった槻嶋夏を俺は笑いながらみていた。



そんな時、体育館の準備室でボールを取りに行く際に、外から聞こえた下品な笑い声と、息を殺す声。
窓外を見たら丁度真下にがたいのいい男が三人、それに槻嶋夏がいた。
槻嶋が無理矢理ヤられていると状況をみてわかった。

しかし助ける義理はないと、俺は見て見ぬ振りをすることにする。

暫くして行為が終わったのか下品な声が遠ざかっていった。
真下には槻嶋のみがおり、壁に寄りかかってすぐ体が地面に落ちる。
槻嶋は、悔しそうに、でも諦めたような微妙な顔をしていた。
その顔が…昔の俺みたいで…たまらなくなり窓を開けたら、丁度槻嶋も此方を見た。

吃驚した瞳に俺を映し出す。

顔は近くで見たのは初めてだった。
まさかこんなに可愛い顔立ちとは思わず息を呑む。
しかし相手はただジッと見てくるので何か言わなければならないと口を開いたら

「ざまぁ、だな。優雅をいじめるからそうなるんだよ」

つい悪口を言っていて、取り消すまもなく槻嶋は笑みを浮かべて

「道万くんに会えるなんて僕嬉しいなぁ」
「っ」

道万という名前を嫌っていることを知ってか、わざと言った槻嶋を睨み付けた。
こいつやはり悪い奴だ。
と再度口を開き掛けた、しかし先客がいた。

「…また穴売ってんのかキモい」
「え…っ!?」

反対側の特別棟の校舎から深文会長が顔を出していた。
憧れの深文会長から言われたのだ、ショックでたまらないのだろう。
遂には下を向いてしまった

深文会長はつまらなさそうに鼻を鳴らし去っていった


沈黙が続く中、また槻嶋が顔を上げた。

「道万くんはどう?道万くんとなら僕出来そうかなぁ?」
「…」

その槻嶋の表情をみて顔を歪めた。

槻嶋は泣きそうな、そんな顔を我慢して笑っていた。

泣きたきゃ泣けばいいだろう?
そんな言葉が出掛かったが、そんなことを言ってどうするつもりだと思い直し口を閉ざした。

槻嶋は俺の様子を愉快そうに笑っていたが

「…何てね、嘘だよ嘘」
「…」
「…ねぇ何のようなの?僕に構うと愛しの高宮優雅に何か言われるんじゃないの?」

途端に無表情になった。
俺に興味がないんだろう。
今までのが愛想の口調が冗談だとわかり何故か虚しくなり、慰めてくれるの?と冗談の槻嶋の言葉に「ない」と言って窓を閉めた

しかし、閉めてから後悔した。
自業自得とはいえ、ヤられ好きな者から悪く言われ…辛いだろう。

「…」
だからか近くにあった痛み止めの軟膏を落としてやった。
本当は手渡ししたかったが今は1人の方がいいだろうと、そう思ったから。

これで少し痛みが和らげばいいと…。

しかし、何故自分がここまで首を突っ込みたがるのか、自問してもわからなかった。。
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