36 / 44
第三十三話 冬の友
しおりを挟む
時間は過ぎ季節は春と言いたいところだが、王国の冬は長い。探知魔法の完成後少しずつ範囲を広げ、紙が耐えられる範囲を探す。結果として俺の魔力量と紙の耐久性を考慮した範囲として十六メートルが限界だとわかった。それでもまったく分からないよりはマシである。
さて刻印魔法の研究が一段落過ぎて今俺が切実に思っていることは「暖房が欲しい」ということである。
この世界当たり前だが電気はない。その代わり様々なものを魔力で補っている。火をつけるのも水をくみ上げるのもすべてが魔力に依存している。
ここで疑問なんだが一端の高校生が異世界に電気を普及することはできるか。答えは不可能である。そもそも電気の作り方を知らない。
というわけで俺は結局魔力に頼った防寒具を作ることにした。
この世界の防寒具と言えば暖炉、風呂、厚着をするの以上である。そのため何かできないかと考える。ブツブツ独り言を言っていると俺は男風呂の前に立っていた。
そういえばここの風呂はどうやってお湯を沸かしているんだ?
俺はその辺のメイドに聞いてみると地下にボイラー室的なものがあるらしくそこで常にお湯を沸かしているらしい。行ってみたいと言ってみるとあっさり連れて行ったくれた。
そこには大きな窯があり、常に窯じいみたいな人が黒い塊を操って石炭を入れているなんてことはなく、ケイル鉱石という火山地帯に存在する鉱石によりお湯を沸かしていた。この鉱石は常に熱を放出しており、その温度は百℃と言われている。
これが買えないかと聞いてみたが、その鉱石は希少らしく発見されてもまず運び出すのに貴族の屋敷が立つ程度金が要るらしい。
俺は諦めて地下から出る。メイドに礼を言いまた考える。取り敢えず今ある素材で何か作れないかとアイテムボックスの中に手を入れる。
魔石(中)×3 魔石(小)×12 エレメンタルヒルの外骨格(赤)×2 外骨格(黄)×1 外骨格(橙)×1 オオムカデの外骨格×3 ニードルラビットの角×5 フレアボアの皮×10 刻印魔法用の紙×3 インク×1 蜈毒牙×2 伸縮する剣×1 涅鉄の剣×1 鉄の片手剣×2 小盾×2 鉄の短剣×1 回復薬×3 解毒薬×3 閃光玉×2 催涙スライムゼリー改×4
の以上だった。何もできないやないかい。俺はしばらく考える。俺は一度諦めた実験に再度挑戦することにした。
あれは雅人との決闘の後、俺はある程度鍛冶が出来、錬金壺にも慣れてきた頃のこと、どうしても炎出す剣つまりは魔剣を作りたくてエレメンタルヒルの外骨格を剣に混ぜたり、熱した木炭を加えたこともある。だがすべてがことごとく失敗。炎を出さなかった。
今回はグレード下げ、熱を発する石を作成することにした。
まずは『適当』と『調合Ⅱ』と使い、熱を発する石をイメージ。前回同様、燃えた木炭と今回は魔石を入れる。錬金終了。結果はやはり失敗。魔石に熱は籠っていない。俺は一つ実験を行った。火のついた紙を入れて同様に錬金。結果やはり混ざらない。ここで両者を見比べてみる。木炭も紙も火が消えている。
俺はここであることに思い出す。この錬金壺はそのもの特性を移すことが出来る。それは伸縮する剣(シュリンクソード)と涅鉄(スラメタ)の剣で分かっていることだ。俺は紙と混ぜたものに火をつける。すると発火するはずがない魔石が発火し塵となった。
漸く炎を出す剣が出来なかったが分かった。あの剣が移した特性は全て炎そのものではなくそれを出す前段階の特性を移していた。
今回の場合は発火している紙ではなく、紙本来の発火点を魔石に移したことになる。エレメンタルヒルの外骨格が成功しなかったのはそもそも素材として弱かった可能性がある。それは後の課題として残しておく。
これが分かれば後は計画を進めるだけである。俺はガテンさんのところに行き、作ってほしいものを伝える。と同時に城下町の服屋に行き、フレアボアの皮を渡し大きな布を作ってもらうようの予約をした。それから一週間、ガテンさんの店に向かうと、仕事が早く正方形の机が完成していた。中央には金属で作られた金網そして被せ蓋。
さっき作った木炭魔石をすでに暖炉としか使われいない炉の中に入れ一分ほど待つ。もちろん魔石は熱々に熱されていた。
それを机のくぼみに入れ蓋をし、フレアボアの布を被せる。最後に平たい板を乗せれば・・・・日本人の冬の友こたつの完成である。
まずこのアイデアは古いこたつからである。古いこたつは机の中に炭など入れて温まっていた。だがそれには問題があり、まず炭は燃やす際に一酸化炭素を出す、次に布に燃え移ることがある。だがこのこたつはそれらすべてを解決させる。魔石自体は熱を発するだけで火は出ていない。さらに一酸化炭素を出さない。そしてフレアボアの布は保温性が高く熱を逃がしにくい。
俺は我慢できず、こたつの中に入る。
温いーーーーーー。
それ見てガテンさんも入る。いつもの職人面はどこへやらへにゃへにゃに溶けていた。
その後俺たちはこたつの中でこのこたつについて話し合った。魔石の価格やフレアボアの布を作る際の費用諸々を話し合う。それは二人とも悪い顔していた。
その後こたつは飛ぶように売れる売れる。閑古鳥が鳴いていたガテンさんの店は大盛況。城の中でもいたるところでこたつを見るようになった。
その威力はあのアリアさんを骨抜きにするほどである。
俺の部屋にももちろんこたつを用意した。毎日のようにこたつに入りごろごろしている。
こたつと言えばこの世界にはミカンはあるのだろうかなどと考える。
さて刻印魔法の研究が一段落過ぎて今俺が切実に思っていることは「暖房が欲しい」ということである。
この世界当たり前だが電気はない。その代わり様々なものを魔力で補っている。火をつけるのも水をくみ上げるのもすべてが魔力に依存している。
ここで疑問なんだが一端の高校生が異世界に電気を普及することはできるか。答えは不可能である。そもそも電気の作り方を知らない。
というわけで俺は結局魔力に頼った防寒具を作ることにした。
この世界の防寒具と言えば暖炉、風呂、厚着をするの以上である。そのため何かできないかと考える。ブツブツ独り言を言っていると俺は男風呂の前に立っていた。
そういえばここの風呂はどうやってお湯を沸かしているんだ?
俺はその辺のメイドに聞いてみると地下にボイラー室的なものがあるらしくそこで常にお湯を沸かしているらしい。行ってみたいと言ってみるとあっさり連れて行ったくれた。
そこには大きな窯があり、常に窯じいみたいな人が黒い塊を操って石炭を入れているなんてことはなく、ケイル鉱石という火山地帯に存在する鉱石によりお湯を沸かしていた。この鉱石は常に熱を放出しており、その温度は百℃と言われている。
これが買えないかと聞いてみたが、その鉱石は希少らしく発見されてもまず運び出すのに貴族の屋敷が立つ程度金が要るらしい。
俺は諦めて地下から出る。メイドに礼を言いまた考える。取り敢えず今ある素材で何か作れないかとアイテムボックスの中に手を入れる。
魔石(中)×3 魔石(小)×12 エレメンタルヒルの外骨格(赤)×2 外骨格(黄)×1 外骨格(橙)×1 オオムカデの外骨格×3 ニードルラビットの角×5 フレアボアの皮×10 刻印魔法用の紙×3 インク×1 蜈毒牙×2 伸縮する剣×1 涅鉄の剣×1 鉄の片手剣×2 小盾×2 鉄の短剣×1 回復薬×3 解毒薬×3 閃光玉×2 催涙スライムゼリー改×4
の以上だった。何もできないやないかい。俺はしばらく考える。俺は一度諦めた実験に再度挑戦することにした。
あれは雅人との決闘の後、俺はある程度鍛冶が出来、錬金壺にも慣れてきた頃のこと、どうしても炎出す剣つまりは魔剣を作りたくてエレメンタルヒルの外骨格を剣に混ぜたり、熱した木炭を加えたこともある。だがすべてがことごとく失敗。炎を出さなかった。
今回はグレード下げ、熱を発する石を作成することにした。
まずは『適当』と『調合Ⅱ』と使い、熱を発する石をイメージ。前回同様、燃えた木炭と今回は魔石を入れる。錬金終了。結果はやはり失敗。魔石に熱は籠っていない。俺は一つ実験を行った。火のついた紙を入れて同様に錬金。結果やはり混ざらない。ここで両者を見比べてみる。木炭も紙も火が消えている。
俺はここであることに思い出す。この錬金壺はそのもの特性を移すことが出来る。それは伸縮する剣(シュリンクソード)と涅鉄(スラメタ)の剣で分かっていることだ。俺は紙と混ぜたものに火をつける。すると発火するはずがない魔石が発火し塵となった。
漸く炎を出す剣が出来なかったが分かった。あの剣が移した特性は全て炎そのものではなくそれを出す前段階の特性を移していた。
今回の場合は発火している紙ではなく、紙本来の発火点を魔石に移したことになる。エレメンタルヒルの外骨格が成功しなかったのはそもそも素材として弱かった可能性がある。それは後の課題として残しておく。
これが分かれば後は計画を進めるだけである。俺はガテンさんのところに行き、作ってほしいものを伝える。と同時に城下町の服屋に行き、フレアボアの皮を渡し大きな布を作ってもらうようの予約をした。それから一週間、ガテンさんの店に向かうと、仕事が早く正方形の机が完成していた。中央には金属で作られた金網そして被せ蓋。
さっき作った木炭魔石をすでに暖炉としか使われいない炉の中に入れ一分ほど待つ。もちろん魔石は熱々に熱されていた。
それを机のくぼみに入れ蓋をし、フレアボアの布を被せる。最後に平たい板を乗せれば・・・・日本人の冬の友こたつの完成である。
まずこのアイデアは古いこたつからである。古いこたつは机の中に炭など入れて温まっていた。だがそれには問題があり、まず炭は燃やす際に一酸化炭素を出す、次に布に燃え移ることがある。だがこのこたつはそれらすべてを解決させる。魔石自体は熱を発するだけで火は出ていない。さらに一酸化炭素を出さない。そしてフレアボアの布は保温性が高く熱を逃がしにくい。
俺は我慢できず、こたつの中に入る。
温いーーーーーー。
それ見てガテンさんも入る。いつもの職人面はどこへやらへにゃへにゃに溶けていた。
その後俺たちはこたつの中でこのこたつについて話し合った。魔石の価格やフレアボアの布を作る際の費用諸々を話し合う。それは二人とも悪い顔していた。
その後こたつは飛ぶように売れる売れる。閑古鳥が鳴いていたガテンさんの店は大盛況。城の中でもいたるところでこたつを見るようになった。
その威力はあのアリアさんを骨抜きにするほどである。
俺の部屋にももちろんこたつを用意した。毎日のようにこたつに入りごろごろしている。
こたつと言えばこの世界にはミカンはあるのだろうかなどと考える。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!
のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、
ハサンと名を変えて異世界で
聖騎士として生きることを決める。
ここでの世界では
感謝の力が有効と知る。
魔王スマターを倒せ!
不動明王へと化身せよ!
聖騎士ハサン伝説の伝承!
略称は「しなおじ」!
年内書籍化予定!
半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
とある婚約破棄の顛末
瀬織董李
ファンタジー
男爵令嬢に入れあげ生徒会の仕事を疎かにした挙げ句、婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を告げた王太子。
あっさりと受け入れられて拍子抜けするが、それには理由があった。
まあ、なおざりにされたら心は離れるよね。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる