61 / 90
061
しおりを挟む購入した防具を全て身につけたまま武器屋を出た。収納から茶色のブッシュハットを取り出して鉢金の上にかぶる。気分はカウボーイだ。
「次はお隣の雑貨屋さんですね。こちらです。」
アナベルさんに案内される。雑貨屋も大きな建物だった。中に入るととにかく品数が豊富だ。広い売り場を活かして見やすくレイアウトされている。
棚にはキチンと値札が付けられていて、安心して買い物が出来るようになっていた。
俺は携帯食を見させてもらう。大きな町ならもう少しマシな物があるかと思ったのだが、残念ながら携帯食はどこで売っている物も同じようだ。
雑貨類はポルカで仕入れてあるので、ここは見るだけで早々に出る。残すは八百屋だ。
「八百屋さんは居住区に近い所にありますので少し歩きます。離れないで着いてきてくださいね。」
そう言って俺たちの前を歩き出す。可愛いケツがプリプリとくねる。思わずガン見してしまう。
15分ほど歩いて八百屋に辿り着く。
根菜ばかりでなく葉物野菜も何種類か並んでいる。
一通り眺めて周り、レタスとキャベツを2球、キュウリを30本、トマトを30個買う。これで生野菜を確保だ。
さらに木の実を見るとピスタチオとマカダミアナッツを見つけたので1kgずつ購入し、ドライフルーツもパイナップルとプルーンがあったのでこれも1kgずつ購入。
全部で27銀貨と10銅貨だった。
帰り際に黒胡椒の粒が売られているのを発見し、一粒2銅貨だったので200粒購入。4銀貨を追加で支払う。
「そんなに生野菜を買っても腐っちゃいませんか?」
アナベルさんに聞かれる。収納は時間停止になってる、とは言えないので適当にごまかす。
「適当な大きさに切って酢や塩水で漬けるんです。嵩張るし重量もありますが、ただ腹を満たすだけの食事が楽しめる食事に変わります。収納持ちならぜひ用意して欲しい保存食ですね。」
そう言うとアナベルさんは感心したように何度も頷いた。
「狩猟や採取の場合は野草や果物を採る事もできますが、地下迷宮なんかだと無理ですもんね。冒険者ギルドで八百屋さんと特約を結んで、斡旋販売しても良いかもしれませんね。」
そんな事を言い出した。それならちゃんとしたピクルスの作り方を教えた方が良いかな?まあそれはまたの機会に、だな。
俺が希望した場所は回ってもらったので、宿へと案内してもらう。着いたのは、リゾートホテルのような立派な建物だった。
今回はさすがにスイートではなかったのでセカンドルームは無かったが、十分な広さの部屋だった。もちろん風呂もあるしトイレも水洗だ。
時間は5時をすぎたばかりだったので、食事を7時に頼み、先に風呂に入ることにする。洗濯もやってくれるとの事だったので、食事を持って来てもらった時に頼むとしよう。
早速風呂にお湯を入れる。待っている間に溜まった洗濯物を出して皮袋に入れておく。新しい着替えもだす。
身に着けていた防具類を全て外し収納する。着心地が良いし安心して命を預けられる信頼できる防具だ。良い買い物だった。
レッグホルスターも防具を外した時に一緒に収納する。これだけ高級な宿ならセキュリティも万全だろう。
風呂に入る前に少し水分を補給しておこうと思い、盥とカップ小、ナルゲンボトルを取り出し、2人で水を飲む。これでたっぷり汗をかいて、老廃物を放出できるだろう。
出した物を一旦収納し、風呂へ向かう。ぱっぱと服を脱ぎ、皮袋へ入れる。
前回と同じくウォルターから洗ってやり、湯船に浸からせる。自分の体と頭を洗い終えて流したらウォルターを上げ、水を与えて湯船に浸かる。
じっくりと汗をかくまで浸かり、仕上げにぬるめのシャワーを浴びて、風呂の栓を抜いて上がり、水を飲む。
出した物を収納し、着替えて洗濯物を入れた皮袋を持ってリビングに戻る。ウォルターは横になって寛いでいた。
少し休んでいると7時になり、夕食が運ばれてきた。食事のセッティングが終わると洗濯物を渡し、明日の朝食は6時にお願いし、洗濯物も朝食と一緒に持って来てもらうように頼んだ。
食事は実に美味かった。名物の魚の酢漬けはシッカリと〆てあり、身が締まって食べ応えがあったし、何より疲れた身体に酢の酸味がありがたかった。
サラダ菜のような生の葉野菜で包んで食べるのだが、千切りにしたキュウリとピーマン、みじん切りの玉ねぎとセロリも一緒に盛られていたので、それらをバランスよく乗せて巻きながら食べた。
魚を酢漬けに出来るなら、野菜も酢漬けにしてピクルスを作れば良いのに。ここにはピクルス液を教えてあげようかな?いや、冒険者ギルドで教えたほうが良いか。
それとも商人ギルドで商品として登録してもらうか。その辺は追い追い考えよう。今回でなくても良いしね。
メインのサーモンのムニエルには根菜の炒め物とマッシュポテトが添えられていた。パンにマッシュポテトを塗りつけ、ムニエルと根菜の炒め物を一緒に乗せて挟み、豪快に齧りついた。
大きめに刻んだブロッコリーとじゃがいもにたっぷりとチーズを乗せて焼いた物もある。小さな鉄製スキレットそのままで出されているので、ジュウジュウと音がしていた。トロトロに溶けたチーズをたっぷりと絡めてハフハフ言いながら食べた。
スープは根菜類のスープだ。鮮やかな緑はブロッコリーだ。じゃがいも、玉ねぎ、人参と色鮮やかなスープだ。これも美味しい。
一通り味見し、魚の酢漬けには一味を、他の物には胡椒をかけて食べる。
食事を頼んだ時に一緒にお願いしていたワインと火酒を飲みながらどんどん食べ進めるが、やはりパンとフルーツは大量に余ったので収納する。
この調子で行くとパンとフルーツがどんどん溜まっていきそうだ。孤児院とかがあるのなら寄付しようかな。
ウォルターにはイノシシの半身が出されていた。内臓は無かったが、骨付なのでまあ良いだろう。バリバリと骨を噛み砕きながら食べている。
2人とも綺麗サッパリと平らげ、食器をワゴンに乗せて廊下に出しておく。
ベッドルームに行ってベッドの上に寝てみたが、フカフカすぎて落ち着かず、毛布だけ借りて床に寝る事にする(笑)。
ウォルターと互いに寄り添いながら横になると、すぐに眠りに落ちた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
231
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる