EDC(Every Day Carry:常時携帯)マニアの元ガンオタが異世界に飛ばされたら

タカ61(ローンレンジャー)

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厩舎に戻り、まずは干してあった洗濯物とパラコードを回収した。

今日使った道具の汚れだけを収納から取り出し、排水口に捨てる。

銃も同じように火薬カスや煤などの汚れを収納を利用して捨て、クリーニングする。

この方法は汚れを取り除く事はできても、可動部への注油はできない。WD-40あたりを購入して、近いうちに可動部への注油をしなきゃな。iPadで分解手順が分かる動画を探さないと。

あ、ロックピンの解除に使うポンチとハンマーも必要だし、ちゃんとしたドライバーセットなども必要か。カイルさんにメンテナンスキットを頼むか。

俺は物置用のベッドに腰掛け、まずは届いた3本のバンダリアを取り出した。

色は希望通りちゃんとオリーブドラブだが、ベルトとポーチの色の濃さが微妙に違う。これはしょうがない。オリーブドラブにも明るいもの、暗いもの、様々にあるのだ。

H.C.A.R.用は1つのポーチにマガジンが1本ずつ入る物が4つ付いていた。マガジンの横幅が広いので、それ以上装着するのは無理なのだろう。

マガジンを合わせて幅やバンジーコードの長さを調整し、実際に背負ってベルトの長さを調整する。すぐに使える状態に仕上げて収納する。

グロック用のマガジンポーチはスナップ式のフラップが付いていた。これは専用のマガジンポーチのようなので調整の必要はない。12個並んだマガジンポーチにどんどんマガジンを収め、背負ってベルトの長さを調整し、収納する。

ショットシェル用バンダリアは56発も収納できるようだが、そこまでは必要ないか。

スラッグ、OOOバッグ、バードショットFをそれぞれ7発ずつ収納していく。余裕があるので種類ごとに2発分間隔を開けておく。ベルトを調整し、収納する。

レミントンM870MCSロングを取り出し、ストックに装着するショットシェルポーチを取り出して装着する。

ポーチというよりホルダーと言った方が正しいのだろう。ショットシェルは剥き出しでゴムバンドに挿し込ん出るだけだからね。

6発装着できるので、OOOバッグとバードショットFを3発ずつ収め、収納する。

異世界ショッピングを立ち上げる。

「タカさん、どうしました?マガジンポーチが会いませんでしたか?」

カイルさんはすぐに確認してきた。取り扱い商品に責任を持つその態度は好感が持てる。

「バンダリアもマガジンポーチも問題はありません。確認して早速セッティングしました。
今回は追加発注です。私の購入した銃それぞれの分解清掃に必要なメンテナンスキットをお願いします。

それから、銃用の精密ドライバーセットとポンチセット、レンチセット、ハンマーなどの工具類もお願いします。

残金はまだあるとは思いますが、工具類は高額になるかもしれませんし、追加で金貨1枚送りますね。」

そう言って送金をイメージすると、ピロン、と電子音が鳴った。収納を確認すると金貨が1枚減っている。カイルさんも画面外に視線をやり、すぐに向き直った。

「金貨1枚、間違いなく届きました。メンテナンスキットについてはこちらのミスです。申し訳ありませんでした。工具類も含めてすぐに用意いたします。もちろんメンテナンスキットは無料です。

他に必要なものはありませんか?医薬品や日用品などは大丈夫ですか?」

うん、申し訳ない、そっちは日本のネットショッピングを利用するつもりなんです。畑違いの物を扱わせるのは申し訳ないし、メシは日本が一番だからね(笑)。

「そうですね、食品なども問題なく食べられますし、こちらではポーションがあるので薬もこちらの物で済みそうです。」

角が立たないように上手く言っておく。

「それは良かった。あまりにも畑違いの物を注文されたらどうしようか、と冷や冷やしていました。

ご注文いただいた商品はすぐにお送りします。またのお取り引きをお待ちしています。それではご機嫌よう。」

通信が切れる。

カイルさんとの会話中にポーションの事を話し、今日の分をまだ作っていない事に気づく。飯の前に作っちゃおう。

5種類のポーションをクラス毎に均等に作っていく。S各1本、A各2本、B各4本、C各8本だ。作ってはすぐに収納していく。明日からは忘れないように朝イチで作る事にしよう。

そろそろ良い頃合いかな。

ウォルターに声をかけて食堂へ向かう事にする。先に宿でトイレを借りに行くと、帰り際にカウンターで呼び止められた。

「タカ様、昨夜タカ様が外出中にヨアヒムの妻が参りまして、ポーションの代金をお預かりいたしました。どうぞご確認ください。」

そう言って小さな革袋を取り出した。受け取って中身を出して数える。銀貨が25枚入っていた。

「間違いなく受け取りました。どうもありがとうございました。」

礼を言って外に出て、ウォルターと並んで歩きながら食堂へ向かう。途中で、ピロン、と電子音が鳴った。カイルさんは仕事が早いな。

食堂は昨日よりは人がいたが、いつもの場所は空いていた。ウォルターを待たせてカウンターに向かう。

「一人前お願いします。」

声をかけるとモフ好きお姉さんが笑顔でやって来た。

「ちゃんと無事に帰ってきたね。森はどうだった?」

「森の恵みは多いし、獲物も濃い。良い森だと思います。明日は休んで、明後日からまた入るつもりです。」

お姉さんは俺の話を聞きながら料理を盛り付けていく。

「そうね。少しずつ慣れていくと良いわ。でかいクマも討伐されたって冒険者たちが言ってたし、これで納品も良くなるでしょ。うちも助かるわ。スープなんかも具を変えられなくて困ってたのよ。山菜やキノコが八百屋に入ったらすぐに買って来なきゃ。」

うん、明後日には色々店頭に並ぶと思いますよ(笑)。料理を乗せた盆を受け取り、席へ戻る。盥2つとカップ小、ナルゲンボトルを取り出す。

「ウォルター、何を食べたい?」

ウォルターに尋ねると、

「昨日のシカの脚をお願いします。昼に食べた一角イノシシが大物だったので、脚だけで充分です。」

あら、だったら今日肉にした獲物、半身にしてもらえば良かったかな?

「ウォルター、今日肉にしてもらった獲物、マルのまんまだけど、半身にするとか脚を外すとかした方が良いかい?」

盥の中に肉を出し、水を注ぎながらウォルターに訊く。

「多ければ残りはまた収納してもらえば良いので大丈夫です。」

まあそうだよね。収納しておけば傷む心配はないし。何なら俺が半身に割ってやればいいんだし。

「じゃあ食べようウォルター。いただきます。」

塩茹でされた肉は昨日とは違い骨付きの脚だ。皮付きでしっかり煮込まれていて、豚足を思い起こさせる。

フォークを突き立てて骨を押さえ、スプーンで擦り落とすように柔らかい肉を外していく。簡単に肉がほぐれていく。

パンにマッシュポテトを塗りつけ、収納から取り出したからし菜と肉を乗せ、もう1枚からし菜を乗せて別のパンで挟む。かなりデカいサンドイッチの出来上がりだ。

ガブリと齧りつき、スープを啜る。モグモグと食べ進めているとモフ好きお姉さんが盆を持ってやって来た。

「えへへ、今日もご一緒させてね。」

向かいの席に腰を下ろす。

「どうぞどうぞ。今日はからし菜はどうします?」

こちらから訊いてみる。

「良いの?なんだか悪いなぁ。納品対象でしょ?」

確かにそうだけど、いっぱいあるからね。

「納品単位に満たない半端ですから大丈夫ですよ。取っておいて萎びさせてしまうより、美味しく食べちゃう方が良いでしょう?どうぞ遠慮なさらずに。」

そう言って2枚取り出してお姉さんに渡すと満面の笑顔で受け取り、いそいそとサンドイッチを作り始める。

「良かったら他の2人にもこの食べ方を教えてあげてください。この店のメニューになれば、こうして自分で作る手間が省けますし。」

そう言ってもう4枚取り出してお姉さんに渡す。

「そうね、良いかもしれない。ありがとう。遠慮なく頂くわ。」

お姉さんはそう言ってからし菜を盆に乗せる。

大きな口であむ、とサンドイッチにかぶりついた。うん、良い笑顔だ。俺は1つ目のサンドイッチを食べ終え、2つ目を作り始める。

出来上がる頃にはお姉さんは食事を終え、ウォルターに抱きついていた。どっちも可愛いなぁ。

「これ、早速食べさせてみる。ありがとうね。」

モフモフを堪能したお姉さんは厨房へ戻って行った。ポニーテールが揺れている。

2つ目のサンドイッチを食べ終え、骨に残った肉をしゃぶり尽くして食事を終える。

出した物を収納し、盆を下げにカウンターへ向かう。

「ご馳走様でした。今日も美味しかったです。」

中に声をかけると、三十路手前くらいの女性と四十半ばの女性が出てきた。

「ちょっとあんた、美味しい食べ方を教えてくれてありがとうね。こちらこそご馳走様だよ。」

「ありがとう、美味しかったよ。ちょっと手間はかかるけど、うちのメニューに出来るように考えるからね。」

2人は口々に礼を言った。

「お役に立てて嬉しいです。からし菜は根っこごと採取依頼を出して、畑で栽培したら良いかもしれませんね。上手くいけば新鮮なからし菜を常に手に入れることが出来るようになるかもしれませんよ。それでは。」

2人に頭を下げてウォルターの所に向かう。

「ウォルター、俺は酒場に行きたいんだけど、厩舎に先に戻ってもらっても良いかな?」

と話しかける。すぐ隣だし、ウォルターだけで戻らせても平気だろう。

「畏まりました。先に戻っておきます。お気をつけて。」

ウォルターはそう言うと立ち上がり、スタスタと歩き出した。

宿の裏へと消えたところまで見送り、酒場へと足を向ける。

今日はテーブルが満席、カウンターも埋まっていて、立ち飲みしている客が大勢いる。ああ、定期船の関係者か。

カウンターの一番端のわずかな隙間に隣の客に会釈して滑り込む。隣同士向かい合ってワイワイと会話を交わしながらカップを傾けているので邪魔にはならないだろう。

人が多いのはあまり好きじゃない。今日はサクッと一杯だけ飲んで出よう。

「何にするかね?」

マスターが注文を取りに来た。

「ワインをお願いします。」

「9銅貨だ。」

棒銅貨を1枚渡す。

マスターは奥へ行き、カップにワインを注いで戻って来た。カウンターにカップと銅貨を1枚置いて戻っていく。

一口含んで味を見る。酸味が強く、軽めの赤ワインだった。香りは良い。

味見分を飲み干し、カップに残るワインを一息に飲み干す。それに気づいた一つ隣の客が驚いた顔をしている。

「若いの、良い飲みっぷりだな。」

一杯どうだ、奢るぞ、と言われる前に退散しよう。

「冒険者なので、水代わりに飲んでますから。マスターご馳走様でした。」

空になったカップをカウンターに置きマスターに声をかけ、隣の客に会釈して外へ出る。

月が半分雲に隠れている。明日は雨が降るかもしれないな。ちょうど良いか。

厩舎に戻り、靴を脱ぎベッドに上がる。

「お帰りなさい主。いかがでしたか?」

ウォルターに訊かれた。

「定期船の関係者で混んでいたから、すぐに帰ってきたよ。明日は雨になりそうだし、明日の朝はのんびりしようか。」

レッグホルスターを外して枕元に置き、靴下を脱ぎながらウォルターに話しかける。

「分かりました。お疲れでしょう、今日はもうお休みください。」

ウォルターに言われたので横になり、毛布を被る。

「おやすみウォルター。」

「おやすみなさい主。」

おやすみの言葉を交わし合って眠りについた。

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