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しばらくするとテオさんと知らない壮年の男性がやってきた。この人がラファエルさんか。
ラファエルさんは横たわるクマを一目見て言う。
「首回りのタテガミのような金色の毛。間違いない。こいつだ。これで一安心だ。」
ラファエルさんが言うと、おお!と歓声が上がった。相当困っていたようだね。
「こいつを討伐したのは君かね?」
ラファエルさんに尋ねられる。
「はい、私です。倒した方法については申し訳ありませんがお教えできません。ご容赦ください。」
頭を下げる。
「構わんさ。冒険者なら、自分の手の内はそうそう明かすものではない。いらぬ諍いを招くこともあるからな。
しかし君のような若くて強い冒険者が現れたなら、私もそろそろ引退を考えても良いかもしれんな。」
ラファエルさんがそんな事を口にした。いやいや、まだこの村に定住するとは決めてませんが(笑)。
「それは困りますよラファエルさん。タカさんはヴァレンティナのギルド本部から招聘されているんです。もしかすると向こうでお抱えになるかもしれません。
それに、アンドレたちはもう少しでヴェテランに昇格じゃないですか。鍛えてきたパーティーの昇格が間近なんです。それまではラファエルさんには頑張っていただかないと。
アンドレたち以外にも、ヴェテランがせめてもう4~5人育つまではお願いしますよ。」
ニコニコしながらイエルクさんが言う。遣り手所長だな。
ラファエルさんはふう、と溜め息を一つついた。
「確かにそうだな。今後このクラスのクマがまた現れた時に、村の冒険者で対応出来るようにしなきゃならん。
イエルク、近くギルド権限で臨時講習を開け。エース以上は全員参加だ。
それと、いざという時のためにギルドの備品として、タワーシールドとロングスピアを用意してくれ。タワーシールドは最低でも6枚、ロングスピアは最低10本だ。
普段の狩りでは使えないし、個人で買わせるには負担が大きすぎるからな。」
おお、ラファエルさんも遣り手だな。
「タカさんが本部へ行くのに合わせて上申します。今回の件を考えれば、それぐらいの融通はしてもらえるでしょう。」
俺、なんかダシにされてるし。まあ良いか。村の平和のために役立つのなら、俺の立場を上手く利用してください。
「他にも獲物がありますので、横に出していきますね。」
そう告げてホイホイと出していく。
ウォルターが狩った魔獣と動物を10匹ずつ、俺が狩った動物を全部だ。ただし毒蛇は全部出してしまう。毒持ちの動物は捌くのも怖いからね。こちらもまだ収納には納入した三倍以上の量が保管されている。
小出しにしないと値崩れ起こしたら困るからね。
「ウォルター、晩飯用に何か捌いて貰おうか?」
ウォルターに念話を飛ばす。
「そうですね。一角ウサギと一角シカ、一角イノシシをお願いします。皮を剥いで内臓を抜いて貰えば、解体しなくても大丈夫です。内臓は食べられない部分だけ処分していただいて、あとは主が保管してください。」
「分かったよウォルター。任せておいて。」
一角ウサギと一角シカ、一角イノシシを3匹ずつ別に出す。
「すいません、こちらはウォルターの餌にしますので、毛皮と角、牙、魔石を買い取りで、肉と内臓は持ち帰りでお願いします。」
「肉はバラすのか?」
解体担当の1人が訊いて来た。
「内臓を抜いて、肉はバラさないでマルのままで結構です。内臓は食べられない部分を処分してください。残りの内臓は持ち帰ります。」
「分かった。任せときな。持ち帰りの分は30分で仕上げてやる。おやっさん、チェックよろしくな。」
解体担当の職員たちが獲物を吊るし始める。
おやっさんが毛皮と角、牙の状態を確認していく。持ち帰り分のチェックを終わらせ、納品分のチェックに移る。一匹ずつ手早く、しかし丁寧にチェックをつけていく。職人だなぁ。
すべての獲物をチェックし終えたおやっさんは、頭をかきながらこちらに来る。
「これだけの数だと計算に時間がかかる。これから戻ってくる連中の納品も受けなきゃならねぇ。悪ぃが明日の昼まで時間をくれ。午後には小切手を渡せるように準備しておく。」
おやっさんは申し訳なさそうにそう言った。
「構いませんよ。宿泊も食事もこちらで面倒を見てもらっていますし、飲み代くらいは持ち合わせがありますから。」
そう告げるとおやっさんはニカッと笑う。
「そうか、お前ぇイケる口か。ヴァレンティナに行く前に一緒に一杯やらなきゃならんな。」
どうやら気に入られたようだ。前世では外で飲むのが面倒で宅飲みばかりだったので、飲み仲間というのがいなかった。せっかく異世界に来たんだ。付き合いを広げるのも悪くない。
「お手柔らかにお願いしますね。一応成人前なので」
そう言うと大声で笑う。
「ガッハッハッハ。心配するな、ちゃんと俺が仕込んでやるさ。」
こういうおっさん、好きだわぁ(笑)。最近の若い子には敬遠されるのかもしれんが、俺はそもそもアラフィフだからね(笑)。良いお付き合いが出来そうだ。
そんな与太話をしている最中に、持ち帰り分はもう3匹目にかかっていた。内臓は一匹分ずつ別の盥に入れてくれてる。ありがたい。
「タカさん、申し訳ありませんが明日は森に入らずに1日お休みしていただけませんか?クラスアップの手続きをしたいのですが、チェックシートが上がってこないと貢献値が把握できませんので。」
イエルクさんからお願いされる。別に金に困ってるわけじゃないし、1日2日ノンビリしても問題ない。
「分かりました。明日は森へは入らずに、午後からギルドに伺います。」
そう言うと安心した顔をした。
「おう、持ち帰り分、上がったぜ。」
声をかけられる。
「ありがとうございました。解体手数料は報酬から引いてください。」
そう言いながら収納していく。
「んじゃ預かり証を渡すから、タグを頼む。」
おやっさんに言われてカウンターに向かい、タグを渡す。
おやっさんはタグを固定し、墨でチェックシートに写していく。4枚それぞれに写し終わると、小切手とは違う用紙にタグを写し取る。そして、チェックシート4枚に書き記されている品名と数量を書き写していく。
最後に、以上の品、間違いなく納品された事を証明する、と記載しサインした。
「明日はこれを持って先にコッチに来てくれ。こっちのチェックシートの内容と間違いない事を確認した上で小切手を切る。それからギルドカウンターで支払いだ。」
おやっさんから預かり証を受け取り、収納へしまう。
「それでは明日の午後にまた伺います。失礼します。」
皆んなに向かって頭を下げ、ウォルターの元へ向かう。
「さあウォルター、一旦宿に戻って一休みしよう。食事はその後だ。」
ウォルターの背に跨りながら言うと、
「かしこまりました主。では参ります」
と言いながら立ち上がり、宿へ向けて歩き出した。
ラファエルさんは横たわるクマを一目見て言う。
「首回りのタテガミのような金色の毛。間違いない。こいつだ。これで一安心だ。」
ラファエルさんが言うと、おお!と歓声が上がった。相当困っていたようだね。
「こいつを討伐したのは君かね?」
ラファエルさんに尋ねられる。
「はい、私です。倒した方法については申し訳ありませんがお教えできません。ご容赦ください。」
頭を下げる。
「構わんさ。冒険者なら、自分の手の内はそうそう明かすものではない。いらぬ諍いを招くこともあるからな。
しかし君のような若くて強い冒険者が現れたなら、私もそろそろ引退を考えても良いかもしれんな。」
ラファエルさんがそんな事を口にした。いやいや、まだこの村に定住するとは決めてませんが(笑)。
「それは困りますよラファエルさん。タカさんはヴァレンティナのギルド本部から招聘されているんです。もしかすると向こうでお抱えになるかもしれません。
それに、アンドレたちはもう少しでヴェテランに昇格じゃないですか。鍛えてきたパーティーの昇格が間近なんです。それまではラファエルさんには頑張っていただかないと。
アンドレたち以外にも、ヴェテランがせめてもう4~5人育つまではお願いしますよ。」
ニコニコしながらイエルクさんが言う。遣り手所長だな。
ラファエルさんはふう、と溜め息を一つついた。
「確かにそうだな。今後このクラスのクマがまた現れた時に、村の冒険者で対応出来るようにしなきゃならん。
イエルク、近くギルド権限で臨時講習を開け。エース以上は全員参加だ。
それと、いざという時のためにギルドの備品として、タワーシールドとロングスピアを用意してくれ。タワーシールドは最低でも6枚、ロングスピアは最低10本だ。
普段の狩りでは使えないし、個人で買わせるには負担が大きすぎるからな。」
おお、ラファエルさんも遣り手だな。
「タカさんが本部へ行くのに合わせて上申します。今回の件を考えれば、それぐらいの融通はしてもらえるでしょう。」
俺、なんかダシにされてるし。まあ良いか。村の平和のために役立つのなら、俺の立場を上手く利用してください。
「他にも獲物がありますので、横に出していきますね。」
そう告げてホイホイと出していく。
ウォルターが狩った魔獣と動物を10匹ずつ、俺が狩った動物を全部だ。ただし毒蛇は全部出してしまう。毒持ちの動物は捌くのも怖いからね。こちらもまだ収納には納入した三倍以上の量が保管されている。
小出しにしないと値崩れ起こしたら困るからね。
「ウォルター、晩飯用に何か捌いて貰おうか?」
ウォルターに念話を飛ばす。
「そうですね。一角ウサギと一角シカ、一角イノシシをお願いします。皮を剥いで内臓を抜いて貰えば、解体しなくても大丈夫です。内臓は食べられない部分だけ処分していただいて、あとは主が保管してください。」
「分かったよウォルター。任せておいて。」
一角ウサギと一角シカ、一角イノシシを3匹ずつ別に出す。
「すいません、こちらはウォルターの餌にしますので、毛皮と角、牙、魔石を買い取りで、肉と内臓は持ち帰りでお願いします。」
「肉はバラすのか?」
解体担当の1人が訊いて来た。
「内臓を抜いて、肉はバラさないでマルのままで結構です。内臓は食べられない部分を処分してください。残りの内臓は持ち帰ります。」
「分かった。任せときな。持ち帰りの分は30分で仕上げてやる。おやっさん、チェックよろしくな。」
解体担当の職員たちが獲物を吊るし始める。
おやっさんが毛皮と角、牙の状態を確認していく。持ち帰り分のチェックを終わらせ、納品分のチェックに移る。一匹ずつ手早く、しかし丁寧にチェックをつけていく。職人だなぁ。
すべての獲物をチェックし終えたおやっさんは、頭をかきながらこちらに来る。
「これだけの数だと計算に時間がかかる。これから戻ってくる連中の納品も受けなきゃならねぇ。悪ぃが明日の昼まで時間をくれ。午後には小切手を渡せるように準備しておく。」
おやっさんは申し訳なさそうにそう言った。
「構いませんよ。宿泊も食事もこちらで面倒を見てもらっていますし、飲み代くらいは持ち合わせがありますから。」
そう告げるとおやっさんはニカッと笑う。
「そうか、お前ぇイケる口か。ヴァレンティナに行く前に一緒に一杯やらなきゃならんな。」
どうやら気に入られたようだ。前世では外で飲むのが面倒で宅飲みばかりだったので、飲み仲間というのがいなかった。せっかく異世界に来たんだ。付き合いを広げるのも悪くない。
「お手柔らかにお願いしますね。一応成人前なので」
そう言うと大声で笑う。
「ガッハッハッハ。心配するな、ちゃんと俺が仕込んでやるさ。」
こういうおっさん、好きだわぁ(笑)。最近の若い子には敬遠されるのかもしれんが、俺はそもそもアラフィフだからね(笑)。良いお付き合いが出来そうだ。
そんな与太話をしている最中に、持ち帰り分はもう3匹目にかかっていた。内臓は一匹分ずつ別の盥に入れてくれてる。ありがたい。
「タカさん、申し訳ありませんが明日は森に入らずに1日お休みしていただけませんか?クラスアップの手続きをしたいのですが、チェックシートが上がってこないと貢献値が把握できませんので。」
イエルクさんからお願いされる。別に金に困ってるわけじゃないし、1日2日ノンビリしても問題ない。
「分かりました。明日は森へは入らずに、午後からギルドに伺います。」
そう言うと安心した顔をした。
「おう、持ち帰り分、上がったぜ。」
声をかけられる。
「ありがとうございました。解体手数料は報酬から引いてください。」
そう言いながら収納していく。
「んじゃ預かり証を渡すから、タグを頼む。」
おやっさんに言われてカウンターに向かい、タグを渡す。
おやっさんはタグを固定し、墨でチェックシートに写していく。4枚それぞれに写し終わると、小切手とは違う用紙にタグを写し取る。そして、チェックシート4枚に書き記されている品名と数量を書き写していく。
最後に、以上の品、間違いなく納品された事を証明する、と記載しサインした。
「明日はこれを持って先にコッチに来てくれ。こっちのチェックシートの内容と間違いない事を確認した上で小切手を切る。それからギルドカウンターで支払いだ。」
おやっさんから預かり証を受け取り、収納へしまう。
「それでは明日の午後にまた伺います。失礼します。」
皆んなに向かって頭を下げ、ウォルターの元へ向かう。
「さあウォルター、一旦宿に戻って一休みしよう。食事はその後だ。」
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