EDC(Every Day Carry:常時携帯)マニアの元ガンオタが異世界に飛ばされたら

タカ61(ローンレンジャー)

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「以上で説明は終了です。何かご不明な点や疑問はありますか?」

テオさんが丁寧に訊いてくる。

「今のところ特にありません。大丈夫です。もし何かありましたら質問に伺います。」

「それではどうぞ頑張ってください。ご活躍をお祈りいたします。」

手続きも説明も無事終了したので、貼り出されている依頼内容を確認しようと思ったらイエルクさんに声をかけられた。

「タカさん、こちらをお持ちください。ギルドからの支払依頼書です。宿屋と食堂の二軒分あります。これを渡していただければ、お代はギルドに請求されるようになります。」

藁半紙に記載された依頼書2枚を受け取る。これで今夜の宿は心配ないな。あ、待てよ、ウォルターはどうすれば良いんだ?

「イエルクさん、ウォルターはどうすれば良いんでしょう?一緒に部屋に泊まれますかね?」

「うーん、厩舎を使うように言われるかもしれませんね。申し訳ありませんが宿屋で相談してみてください。」

「食事も、ですよね?」

「そうですね、お手数ですがよろしくお願いします。」

最悪、ウォルターの食事は日中に狩りをして貰うことになるかもな。まあ、一緒に依頼をこなすこともできるし、それでも良いか。さあ、依頼の確認だ。

依頼掲示板には薄い木の板に書き込まれた依頼書が掛けてある。常設依頼なのだろう。ヨモギやゲンノウショウコ、ショウガなど薬草類の採取依頼、野ウサギ、鹿、キツネ、イタチなど肉や毛皮の採取依頼、皮鞣しや漁網の繕いなどの雑用依頼などだ。

雑用依頼は推奨ランクがルーキー、薬草類の採取依頼は推奨ランクがビギナー、肉や毛皮の採取依頼はビギナーと一部レギュラーとなっている。森林ウサギは推奨ランクがレギュラーだよ。いきなりイレギュラー依頼になっちゃうな。まあ良いか。

「採取した薬草や獲物は解体場へ直接持ち込んで良いんですか?」

テオさんに訊くと、

「はい。解体場に納品し、受け取り書を貰って来てください。受け取り書を元に報酬をお支払いします。」

との返答。まずは行ってみるか。

「ありがとうございました。解体場へ行ってみます。」

テオさんに声をかけてからウォルターに念話を飛ばし、一緒に解体場へ向かう。スライド式の大きな引き戸が付いた作業小屋だ。入り口は大きく開け放たれている。

中に入るとすぐカウンターがあり、受け付けらしいガッシリした体型の男が、3人の冒険者と談笑していた。何気なくこちらを見ると顔を引き攣らせた。

「失礼します。本日登録したルーキーのタカと言います。コッチは私の従魔で相棒のウォルターです。納品したい物があるのですが宜しいでしょうか?」

俺の声に振り向いた冒険者達も同じように引き攣った顔をしている。こんなに可愛いのになぁ。

「・・・・その従魔とやらはお前の命令を聞くんだな?悪さをしたりはしないな?」

受け付けの男が声をかけてきた。冒険者達はカウンターの端まで後ずさって行った。

「もちろんです。ちゃんと良い子に言う事を聞きますよ。ウォルター、ここで伏せて待ってて。」

ウォルターに声をかけるとその場でぺたりと伏せる。頭を撫でてやってからカウンターへ向かう。

「依頼で上がっていなかった物もあるので、買い取りできない物は言ってください。回収しますので。」

予め断りを入れてから、ここまで来る道すがら採取してきた薬草や野草、果物や木の実などを出していく。全部では無い。いきなり全部出して買い叩かれたら困るからね。

「お前ぇ、収納持ちかよ。こいつぁ大したもんだ。オマケにどれもこれも大きさも品質も最高だ。おい若ぇの、お前ぇさんどこでコレを採って来た?」

受け付けの男が尋ねてくる。別に隠す必要もないし、正直に話そう。

「私は北の森で暮らしていたのですが、一緒に暮らしていた父が川に落ちて行方不明になってしまったので、父を探してここまで降りてきたのです。これらはその道すがら採取した物です。」

そう言うと男は大きく頷いた。

「なるほど、雷神様の森で採った物か。誰も手をつけていない森だ、品質が良いのも納得だ。査定するからちょっと待ってろ。」

男はチェックシートのような物を取り出し、品名、品質、個数、単価を次々と書き込んでいく。

「狩りの獲物もこちらで良いですか?」

男に尋ねると、

「査定は俺がするが、解体台は奥にある。済まんがちょっと待ってくれ。おいモーリッツ!ジェイコブ!カゴとザルを纏めて持ってこい!こっち来て手伝え!」

奥の保管庫と思われる出入り口に向かって大声で呼びかける。奥から2人の男たちがそれぞれカゴとザルを抱えてやって来た。

「どうしたんですかおやっさん?って、うお!大量納品じゃないですか!」

「おいおい、ここんとこ入手できなかった杜松の実にアケビ、自然薯、高麗人参まであるじゃないか!コレはクルト爺さんが泣いて喜ぶぞ。」

口々に話しながらおやっさんに声をかけ、査定の終わった物からカゴやザルに入れていく。一通り査定を終えた男は笑顔でこちらを向く。

「待たせたな。向こうの解体台の方で頼む。」

そう言うと3人ほどが解体をしている吊るし台の方へ向かう。吊るし台の横には石を敷いた獲物置き場がある。すでに鹿や野ウサギが置かれている。ここで良いのかな?

「この敷石の上で良いですか?」

尋ねると大きく頷く。

「おう、頼まぁ。」

と言われたので、森林ウサギと一角鹿を出した。

「おいおい、お前ぇさんはどんだけデタラメな収納持ちなんだよ?あの量の薬草類に、さらにこの大きさの森林ウサギに一角鹿だと?全く魂消るぜ。」

そう言いながら獲物の足を掴んでひっくり返したりしながら品質を確認し、チェックシートに記載していく。

「丸で買い取りで良いのか?」

と確認されたので、ウォルターに訊いてみる。

「ウォルター、少し肉を貰っておこうか?」

「主、出来ればそれぞれの内臓と後ろ脚を一本ずつお願いできますか?今晩と明日の朝の食事にします。」

ウォルターからの返事を受けて、男に告げる。

「皮を剥いでからそれぞれの後ろ脚を一本ずつと、食べられる内臓をお願いします。それ以外は買い取りで結構です。」

「おう、分かった。商人ギルドへの売値で持ち帰り分を差っ引くからな。しっかし立派な獲物だぜ。状態も良い。良い値をつけさせてもらうぜ。おうお前ぇら、こいつの解体を先に頼む。後ろ脚を一本ずつと、食える内臓は持ち帰りだ!」

「「「分かりました!」」」

すぐに3人がかりで協力して獲物を吊るし始める。引き上げるのも大変そうだ。

「お前ぇさんはコッチだ。解体が終わるまでに計算して受け取りを作るから、ちっとばかし待っててくれや。」

そう言って俺の肩を叩き、先ほどのカウンターへと促す。男についてカウンターへ向かう。男は算板のような物を取り出し、品目ごとに計算して買い取り額と貢献値の計を出していく。

「おやっさん、魔石が出ましたよ!森林ウサギも!」

「おう、今行く!悪ぃなちょっと待ってろ!」

男はそう俺に声をかけ、小走りに解体台の方へ向かっていった。職員たちと魔石を確かめ、小走りに戻ってくる。

空き項目に魔石の価格と貢献値、持ち帰りの肉の分の差し引きを書き込み、縦計を出す。合計買い取り額と合計貢献値をチェックシートに書き込むと、小切手のような物を出し、それらを書き写す。

「冒険者タグを貸してくれ。」

男に促されるままに冒険者タグを首から外して渡す。

男は固定台のような物にタグをはめ込み、チェックシートの右端を固定台の上に載せると、墨のような物で擦る。すると、タグに打刻された内容が写し出される。

小切手のような物にも同様の処理をし、両方にサインをしてから小切手を渡してきた。

「これをギルドカウンターに出しゃあ報酬が貰える。久しぶりの大量納入だし、品切れだった物もあるから少し色をつけてある。ご苦労さんだったな。また頼まぁ。」

バンバンと肩を叩かれる。結構痛い(笑)。

「ありがとうございました。とりあえず二週間ほどは滞在する予定なので、また良い物を納品出来るよう頑張ります。」

俺は男に向かって頭を下げた。

「ガッハッハ、礼を言うのはこっちの方だぜ。何せどれも品質がA+、中にはS-の物もあった。若ぇのに大した腕だよ。よっぽど厳しく教え込まれたんだろ?教えてくれた師匠に感謝だな。」

そんな話をしていると後ろから声をかけられた。

「おーい、持ち帰り分の用意が出来たぜ。」

「おう、受け取ってきな!」

男が言ってくれたので頭を下げて解体台へと向かう。それぞれの切り離した後ろ脚一本ずつは台の上に、内臓はそれぞれ別の桶に入れてある。まずは桶の中身だけ収納し、続いて足も収納した。

「ありがとうございました。またよろしくお願いします。」

解体担当者たちに頭を下げる。男たちは笑顔で手を上げた。カウンターを見るとおやっさんはすでに姿を消していた。
表に出てウォルターを連れてギルドへ向かう。壁際にウォルターを待たせてカウンターのテオさんに声をかける。

「テオさん、これをお願いします。」

小切手をカウンターに載せる。

「ああ、タカさん。早速納品してこられたんですね。ええっと・・・・え?こ、この金額は?」

俺は屈んでコソッと耳打ちする。

「実は私、収納持ちなんです。なので、今まで溜めてた分を纏めて納品しまして。」

そう言うと、何度か金額を確かめてから口を開く。

「タカさん、奥のカウンターへお願いします。」 

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