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「現状は把握できました。それでは、今後の事について話し合いをさせていただけますか?」

俺はデミウルゴス様にそう告げた。

「今後の事、とな?」

デミウルゴス様から問いかけられる。

「はい、今後の事です。私が死んだ事によって、残された家族は経済的に困窮し、不幸な人生を歩む事になってしまいます。

先ずはそれに対する補償をお願いいたします。」

俺はキッパリと三柱の神様達に告げた。

「残された家族への補償か。具体的にはどうすれば良いのじゃ?」

デミウルゴス様の問いに対して俺は答えた。

「地球には宝くじというものがあります。日本で一番当選額が高いのはロト7と言う宝くじで、キャリーオーバーが積み重なれば最高で10億円になります。

その10億円の当選くじを、私の遺品となる財布の中に入れておいてください。アマテラス様なら地球での因果律を操作するくらいはできますでしょう?

それと、私の家族に、大金を手にしてもその大金に溺れる事なく、正しく健やかな生を過ごせるよう、強く清らかな心と健康な体を与えてやってください。

幸せな家庭を作るという夢があったのに、志半ばで家族と別れる事となった私からの願いです。この通り伏してお頼みいたします。どうぞよしなに。」

神様達に向かって土下座し、頭を下げた。残された家族が幸せに過ごせるのなら、いくらでも頭を下げてやるさ。

「面をあげよ。頭を下げねばならんのは儂らの方なのじゃ。お主の願い、必ずや叶えようぞ。良いなアマテラス。」

「はっ。間違いなく。」

デミウルゴス様のお言葉に、アマテラス様がしっかりと答えた。良かった。これで一安心だ。

「これでお主の家族は生活に困る事はないじゃろう。お主を失った悲しみは癒せはせぬじゃろうが、不自由なく暮らせる事は保証しよう。して、お主の事なんじゃが。」

デミウルゴス様が言葉を続ける。

「本来であればお主は死ぬべきではなかった人間じゃ。輪廻転生の輪の方でも受け入れする事が出来ん。

お主の魂は、行く先もなく漂っている状態じゃ。このままではお主は生まれ変わる事もできず、ただ時空の狭間で漂い続けなければならなくなってしまう。

それでは儂らも申し訳ない。そこでじゃ、もしお主さえ良ければ、ルーテミスの世界で新しい人生を歩んではどうかな?」

おぉぅマジか。交通事故に遭ったわけでもないのに異世界転生来ちゃったよ。

「このまま未来永劫時空の狭間で漂い続けるのは私としても不本意ですので、そのお申出、ありがたく受けさせていただきます。」

そう言うとデミウルゴス様は満足そうに微笑んだ。

「では転生するにあたって色々と打ち合わせせねばならんな。お主の新しい人生のためにな。」

「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。ところで今更なんですが、ルーテミス様の管理するリアースと言う世界はどんな所なのですか?」

ルーテミス様に聞いてみる。

「はい、私の管理するリアースは、あなたの住む世界と違い魔法が発達し、様々なことが魔法でできる世界です。

その結果、科学、化学共にそれほど発展しておらず、あなたたちの世界で言えば日本で例えると江戸時代くらいでしょうか。

文化的には中世ヨーロッパのような文明です。鉄を精製できるくらいまでは進みましたが、爆発物や内燃機関などは発明されていません。一般的な武器は刀剣などの直接攻撃する物です。」

次の質問だ。

「飛び道具はどの程度まで進んでいますか?」

「斧やナイフ、槍などの投擲武器、弓矢や弩などの射撃武器、バリスタやカタパルトなどの大型投射武器までですね。これらに魔力を纏わせることによって威力をあげたりしています。」

なるほど、まんまファンタジー世界なのね。

「種族は人間だけですか?」

「いいえ、人間の他にもエルフ、ドワーフ、ホビット、獣人、妖精、魔族など、様々な知生体が暮らしています。」

この辺はお約束通りだな。

「種族同士の敵対関係はどうなっていますか?」

「基本的には各種族同士で国を作り暮らしています。

ただ、国の中でも他種族に対して排他的な国と友好的な国があります。排他的な国は他種族に対して戦争をけしかけたりもしていますが、全ての国がそうではありません。

逆に多種族が仲良く助け合いながら暮らす国もあります。その辺は種族によるものではなく、個々の考え方ですね。」

ふむふむ。多民族国家も存在すると。こういった所は地球と一緒か。

「世界を滅ぼそうとする魔王のようなものは存在しますか?」

「異世界から現れ、この世界を滅ぼそうとするような者は存在しません。

ただ、悪魔と呼ばれるものは存在します。生物の心を操り悪さをさせて、怒りや悲しみ、恐怖や絶望といった感情を糧にしています。

残念ながら生物に心と感情がある限り、完全に討ち滅ぼす事はできないでしょう。どのような生物も、邪な考えを持つものは必ず存在しますから。

それらを率いてこの世に混乱を撒き散らす存在が魔王と呼ばれています。

かつて自らの欲望のままに武力で全ての種族を傅かせようと軍勢を率いた魔王と呼ばれる悪魔が何度か現れましたが、その度に全種族が力を合わせて討ち破り、今は平和を保っています。」

おっとっと、これはマズいな。要注意だ。

「魔物や魔獣はいますか?」

「はい。魔法は世界に漂う『魔素』を操り現象を引き起こします。

魔素を体内に取り込み魔力とし、己の意思で操って様々な現象を起こすのですが、取り込んだ魔素をうまく操り放出できないと、身体に溜まった魔素の力により肉体が変化し、魔素の蓄積量によっては自我を失い暴れるようになります。

それが魔物や魔獣と呼ばれるものです。普通の獣が魔素によって変化したものと理解してください。」

「魔族はまた別なんですか?」

「はい。魔族は生まれつき魔素を取り込める量が多く、また、そのせいで肉体も変化し頑強で強い力を持った種族です。強い魔力を持ち、強力な魔法を使いこなすために魔族と呼ばれています。」

なるほどね。魔法種族を縮めて魔族な訳か。

「私も魔法を使えますか?」

期待しながら質問する。

「申し訳ありません。残念ですが異世界の魂では魔法を扱うことはできません。魔素を取り込む回路が存在しないのです。

その代わり、貴方の望む異能力を授けましょう。魔力を使わず自由に使える貴方だけの特殊能力です。ただし、私の世界の理を覆すような異常な物でなければ、と言う条件は付けさせていただきますが。」

お、先に手を回されてしまった。そりゃそうよね。神々を顕現させて思うように操れる能力をください、なんて望みを叶えたら、世界がとんでもないことになっちゃうもんね。もちろんそんな力を望むつもりはないけど。

よし、ここはしっかりと交渉して異能力(チート)を授けて貰おうではないか。今まで読み込んできたネット小説のネタを実現してもらうぞ!

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