君のとなりにいる僕

結紀

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第四話

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  「あー食った食った、食い過ぎたー…」
  
 どさ、と貴一さんが腹を擦りながらソファーに腰掛ける。表情は苦しそうだ。  

 「そりゃラーメン大盛りに餃子とチャーハン、唐揚げに青椒肉絲はキツイっすよ」  

 僕はラーメンと餃子だけにしておいた。正解だったな。  

 「よっ、と」  

 僕も貴一さんの隣に腰を落とす。  

 「さ、ポケモンやるか」  

 そう言い出し貴一さんはカバンから携帯ゲーム機を取り出した。  

 「やるんすか」  

 ゲーム機持って来なきゃ。ウロウロとテレビ台の方へ向かう。  

 「みつるん捕まえるの苦労したぞー」
  
 捕まえたポケモンに僕の名前を付けたらしい。

 「そうすか」  

 僕は口元を綻ばせながらゲーム機を起動した。

 「よっしゃー、やるか。貴一さんボコしますよ」  

 「お、かかってこい」  
 
 ✱  
 
 チッチッチッ。
 時計の針の音がよく聞こえる。ちょうど0時を指す頃になっていた。  

 「おっしゃー!勝ち!」  

 貴一さんが両手を上げてはしゃいでいる。大人気ねーな。僕より歳上だろ?  

 「ぐあー、くそー」  

 悔しい。めっちゃ悔しい。
 最後ミスったなー、くそー。まあ、いっか楽しかったし。  

 「んじゃ、風呂入って寝るか」  

 一瞬ドキッとした。一緒に入るのかと思ったり…なわけねーし!  

 「一緒に入るか?」  

 「ぶはっ」  

 盛大にむせた。なんで分かっ……!  

 「冗談だよ」  

 ケラケラと貴一さんが笑っている。ちくしょー。
 僕は不機嫌ヅラしながら風呂に行くよう手で促した。  

 「あーあ、ったく」  

 ソファーに仰向けに寝っ転がり再びゲーム機 を手に取った。
 カチカチとゲームを始めるが気持ちはそちらへ向いていない。  

 「今日も疲れたなー」  

 シャワーの音が気になってしょうがない……。
   うー。ゴロンと寝返りを打ち煩悩を鎮めるように目を瞑った。  
 
 ✱  
 
 何かいい匂いがする。石鹸みたいな。

 「お、みつるん寝てんのか?」  

 僕はうとうとと夢の中に誘われていた。

 「おやすみ」  

 ふっ、と僕の額に何か触れたような気がするが身体は鉛のように動かずソファーに沈んでいく。  

 そういやポケモンパンどうしたっけ?
 そんな事を考えながら僕の意識は心地よい闇へと落ちていった。
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