私と化け狐と世界

氷菜

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4巻

最強で最恐の妖怪

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私*「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

私は建物から出で、なるべく遠くに逃げようと木と木の間を通りながら走っていた。

優良(・・・主)
私*「え・・・何・・・」
優良(ちょっと、止まって)
私*「何で・・・っ!」

私は、どこからともなく漂う殺気を感じ取り、走るのを止める。そして、慎重に辺りを見渡す。

私*「・・・・・」
優良(・・・感じてるんだね)
私*「うん、まぁね」
優良(うん、そしたら、左に二歩、移動した方がいいよ)
私*「二歩?・・・分かった」

私は優良に言われた通り、横歩きで左に二歩、移動した。そして、私が移動した瞬間・・・

──ズドン!──

私*「っ!?」

私がいた場所に、小さなクレーターが出来ていた。そのクレーターの中心にはメタリックな拳のような形の物体が煙を出しながら立ててあった。

?*「音が無い攻撃まで避けるなんて、流石だなー」
私*「っ!」
?*「シレが警戒するのもわかるわー」

後ろから声が聞こえ、私は振り向いた。するとそこには、青く短い髪で身体の右半分がメタリックのようになっている体つきのよい男性が立っていた。

優良(・・・っ!?あ、あいつは・・・!)
私*(えっ、優良知ってるの?)
優良(主、急いで逃げて!じゃないと・・・)

──ドスッ!──

私*「ガハッ!」

心の中で優良と話していた私は、突然、腹部に打撃を受け、飛ばされる。そして、飛ばされた先の木に背中を強打した。

優良(主!!)
私*「ゲホッ、ゲホッ・・・!」
?*「おいおい、簡単に死ぬなよ?」
私*「はぁ・・・はぁ・・・っ」

私は荒い呼吸の中、男性から逃げようと距離を取ろうとする。しかし・・・

私*「っ!?ぐっ・・・!」
優良(っ!主!?)

急に胸が締め付けられるような刺激が、私に襲いかかる。私がしゃがみ込むと、優良が私の身体から出てきた。

優良「主?主!」
私*「はぁ・・・はぁ・・・うっ・・・!」
?*「おうおう、効いてるねぇ?」
優良「お前・・・主に何をした!」
?*「お?誰かと思ったら・・・優良さんじゃないですかー」
優良「・・・・・」

男性が話しかけるが、優良は一言も返さずに男性の事を睨んでいた。

?*「あの優良さんが、人間と手を組むなんて、やりますねぇ」
優良「・・・質問に答えろ」
?*「・・・・・」
優良「主に・・・何をした」
?*「・・・っ!?」

優良がそう言うと、男性は目を見開いて後退りをした。それもそのはず。なぜならば、優良の身体から黒くモヤモヤとした物が出ていたからだ。

?*「お前・・・まさか・・・」
優良「・・・・・」
?*「っ!」

──シュッ!ザクッ!──

?*「ぐはっ!」

優良が男性を睨んだ直後、優良の周りの黒いモヤモヤとした物が黒くて太い剣になって男性の身体に突き刺さった。その拍子に、男性は吐血する。

私*「っ!ゆ、優良・・・!」
優良「・・・・・」
私*「っ!?」

優良の顔は、一度踏み外せば全てが崩壊してしまう、そんな恐ろしい顔だった。そして、この時私はある事を知った。

『優良には、誰も勝つ事が出来ない、最強で最恐の妖怪』

という事を・・・
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