私と化け狐と世界

氷菜

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1巻

左眼

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私*「おはよー・・・」

私は、テンションをいつもより少し低くして教室に入った。すると、教室にいた人間の視線が私に飛ぶ。そして、私の姿を見た人は驚いたような表情をして口をポカーンと開けていた。

──あっ、何か嫌な予感・・・

友達A「どうしたのー!?その目・・・」
私*  「あ、え、えーっと・・・」

現実は厳しい。私の嫌な予感、それは『容姿について触れられる』という事。私の今の格好は、左眼に眼帯、左腕には絆創膏が貼ってある。左腕は制服のおかげで何とか隠すことが出来ているが、眼帯は隠しようがない。

これらは、怪我をしたせいでも病気のせいでもない。変な研究者のような人達に身体をいじられてつけられたのだ。その為、私の容姿については触れないでほしかったのだった。

──やっぱり聞いてくるよねぇ・・・

友達A「梨由ちゃん?」
私*  「ちょっと『ものもらい』になっちゃったんだよねぇ・・・」
友達A「そうなの!?大丈夫?」
私*  「うん、大丈夫・・・」
友達A「お大事に・・・」
私*  「ありがとう・・・」

嘘をついた。ここで『研究者のような人達に連れていかれて身体を改造させられた』なんて現実味のない事を言っても、信じてもらえない。仮に信じてもらえたとしても、ただその情報が広まるだけ。私はそれを恐れて嘘をついた。嘘をつくしかなかった。

──ちょっと待って・・・今日、体育は・・・

私は時間割りを確認した。体育があるとなればジャージに着替えるしかない。それは、制服を脱ぐという事。そうすると、左腕の絆創膏を見せることになる。そして、また友達に嘘をつかなくてはならないのだ。しかし、時間割りには体育の文字はなかった。

──よかったァ・・・

私はホッとして、自分の席に戻った。

~放課後~

──終わったぁ・・・

SHRが終わると、私は急いで帰る支度をした。支度をしている時、何人かに『今日暇?』とか『この後、カラオケ行かない?』という誘いをされたが、『今日は家の用事がある』と断った。実際の所、用事なんて無い。とにかく早く帰りたかったのだ。

私*「じゃあね!」
友達「じゃあねー!」

友達に別れを告げ、私は家までの道を早歩きで帰っていく。しかし、すぐには家には帰れないのが現実だった。

?*「学校、どうだった?」
私*「っ!」

後ろから声をかけられ、私は後ろを振り向いた。そこには、名前の知らない白衣姿の女性が立っていた。ニヤニヤと笑いながら・・・

私*「・・・何か用ですか」
?*「その顔、怖いわよー?」
私*「用がないなら、帰らせてもらいます」

私は女性に背中を向けた。すると・・・

?*「私から逃げない方がいいわよ?」
私*「・・・・・」
?*「知ってるわよね?足の速い男性二人がいることに・・・」
私*「・・・っ!」

そう、この女性にはある男性二人がついている。その男性らは、目では見たことはないが、とても足が速いらしい。その事は、初めて女性に会ったときから知っていた。

私*「私を脅すつもりですか・・・」
?*「そんなんじゃないわよ。ただ、学校では何も問題がないかを知りたいだけよ」
私*「・・・別に何もありません」
?*「そう・・・」
私*「それだけですか?」
?*「ん?そうよ?」
私*「それなら、帰らせてもらいます」

私はそう言い、急ぎ足で家に帰った。女性から逃げる様に・・・

家に帰ると私はリビングに行き、冷蔵庫から冷水を取り出してコップに注いで飲んだ。

私*「はぁ・・・」

私は一つのため息を吐き、部屋に戻って制服から私服に着替える。そして、ベッドに横になった。

──私・・・どうなるんだろ・・・

そんな事を考えながら天井を見つめる。

──そういえば、左眼ってどうなってるんだろう・・・

私は、左眼の眼帯を一度も外してはいなかった。ふと、左眼がどうなってるのか気になった私は、鏡の前に移動し、ゆっくりと眼帯を外して鏡に映っている自分の左眼を見てみた。

私*「えっ・・・嘘・・・」

鏡に映った私の左眼は、青い瞳をしていた。アニメとかである、澄んだ青色だった。私の右眼は黒色で左眼は青と、完全にオッドアイの状態になっていた。

私*「まさかの青・・・ん?」

驚いていた時、私の青い瞳の中に何かが映り、目を凝らして左眼を見た。その青い瞳の中には、星のような形の物があった。

私*「星・・・?」

その星は、六角形の星で三角と逆の三角が重なっているようなそんな星だった。

私*「私の左眼が・・・」

自分の左眼を観察をした後、急に自分の身体をいじられたことが本当だと改めて知らされたことを感じ、ショックを受けた。

──落ち込んでもしょうがないか・・・

私*「・・・寝よう」

落ち込んでもしょうがない、そう思った私はベッドの中へ入り、眠りについた。
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