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第二頁:見覚えのない岩山
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出発して早々、家からの一望では確認できてなかった、
大きな岩山に遭遇した。
あまり配達で行かない方角とはいえ、
目的地までほぼ平原しかないと認識していただけに、
この足止めは予想外で、
岩山を無理に横断しようとしたり、
逆に避けて進むのも、明らかに時間がかかりそうだった。
不測の事態に悩みつつ、岩山から少し離れ視界を拡げると、
岩山のある部分に、大きな穴があるのを発見。
穴の近くまで行くと、穴のすぐそばに
「この先、近道のトンネルです」と書かれた立札があった。
しかもたかが立札に、
金メッキのような、異様に豪華な装飾が施されており、
トンネルの入り口と思われる大穴からは、
いつの間にか、どこからか、
何か香ばしい食べ物の匂いまで漂ってくるではないか。
我が愛馬は『明らかに罠でしょ』と怪訝な目線で入るのを渋っていたが
「これを届けられなきゃ、また数日後には水だけの生活だぜ?」
と半ば事実ながらも、大げさ且つ脅し口調で、
愛馬にはトンネルの中へと走ってもらうことにした。
全く、結局は優秀な愛馬のおかげで、
これまでも無謀な配達を遂行できていたというのに‥‥
我ながら、こうして振り返ると、
恥ずかしいほど恥知らずだった過去の自分に、
今こそ、あの大穴に入りたくなってくる思い‥‥
と言いたいところだが、やっぱりあの大穴があるトンネルに入るのは、
もう金輪際ご免だ。
なぜならあれは、ただのトンネルではなかったのだから‥‥。
大きな岩山に遭遇した。
あまり配達で行かない方角とはいえ、
目的地までほぼ平原しかないと認識していただけに、
この足止めは予想外で、
岩山を無理に横断しようとしたり、
逆に避けて進むのも、明らかに時間がかかりそうだった。
不測の事態に悩みつつ、岩山から少し離れ視界を拡げると、
岩山のある部分に、大きな穴があるのを発見。
穴の近くまで行くと、穴のすぐそばに
「この先、近道のトンネルです」と書かれた立札があった。
しかもたかが立札に、
金メッキのような、異様に豪華な装飾が施されており、
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いつの間にか、どこからか、
何か香ばしい食べ物の匂いまで漂ってくるではないか。
我が愛馬は『明らかに罠でしょ』と怪訝な目線で入るのを渋っていたが
「これを届けられなきゃ、また数日後には水だけの生活だぜ?」
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全く、結局は優秀な愛馬のおかげで、
これまでも無謀な配達を遂行できていたというのに‥‥
我ながら、こうして振り返ると、
恥ずかしいほど恥知らずだった過去の自分に、
今こそ、あの大穴に入りたくなってくる思い‥‥
と言いたいところだが、やっぱりあの大穴があるトンネルに入るのは、
もう金輪際ご免だ。
なぜならあれは、ただのトンネルではなかったのだから‥‥。
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