転生悪役令嬢は婚約破棄で逆ハーに?!

アイリス

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ハルカの末路

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「サイテー!マジ意味分かんない!」

レオナルドにもマティアスにも拒絶され、ハルカは仕方なく魔術師長ガイの元に向かう。
エドワードは好みじゃないし、皇帝アレクシオはもっとナイ。
贅沢は出来ても、一切自由のない鳥籠の鳥のような生活が待っているのだ。
絶対嫌だ。



「ガイ…?どこにいるの?」

王太子の婚約者、という肩書きを振りかざして警備を突破し、魔術師長の部屋へと入り込んだ。
棚には禍々しい色の瓶が所狭しと並び、中には様々な液体や気持ち悪い生き物のパーツが入っている。

「やっぱキモい」

部屋を見回して、ハルカは呟く。

「勝手に入って来て、その言い草は頂けませんね」

「ぎゃっ!」

突然後ろから囁かれ、ハルカは盛大な悲鳴を上げた。
しかしそこにいるのがガイだとわかると、すぐに気を取り直してツンと取り澄ました。

「はじめまして。私のことは知ってるでしょ?いろいろ考えたんだけど、あなたと結婚してあげようと思って」

「は…?」

ガイが露骨に嫌そうな顔をする。

「その顔はなによ、嬉しいでしょ?そうだ、私と結婚したらブリジットの家の悪巧みを教えてあげる。脱税とか、賄賂とか、汚職とか、証拠のある場所知ってるの。全部回収して王様のところに持って行ったら、あいつらすぐに火あぶりになっちゃうんだから」

ハルカがクスクスと笑うと、ガイがひっそりと口角を上げた。

「それはつまり、ブリジット殿の公爵家が悪事を働いていると?」

「そうよ!あの女も超悪役顏だし、影ではすごいんだから。お腹の中は真っ黒よ!」

マティアスと違って乗ってきたガイに、ハルカはペラペラと機嫌よく喋る。
だから気付かなかった。
ガイが静かに怒りを溜めていたことに。

「ブリジット殿を侮辱する者は何人たりとも許さん」

「は?」

その瞬間、ハルカの体がどす黒い煙に包まれる。
一体何がと思う間もなく、ハルカの体はどんどんと小さくなり、毛むくじゃらの醜い生き物へと変化していた。

『いやああああああああああああ!』

「お前に似合いの器だな」

気持ち悪いその生き物を、ガイは無表情で窓から蹴り出す。
元はハルカだった何かは、数え切れない程の本数の足を不器用に操りながら茂みへと消えて行った。
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