16 / 24
ハルカの末路
しおりを挟む
「サイテー!マジ意味分かんない!」
レオナルドにもマティアスにも拒絶され、ハルカは仕方なく魔術師長ガイの元に向かう。
エドワードは好みじゃないし、皇帝アレクシオはもっとナイ。
贅沢は出来ても、一切自由のない鳥籠の鳥のような生活が待っているのだ。
絶対嫌だ。
「ガイ…?どこにいるの?」
王太子の婚約者、という肩書きを振りかざして警備を突破し、魔術師長の部屋へと入り込んだ。
棚には禍々しい色の瓶が所狭しと並び、中には様々な液体や気持ち悪い生き物のパーツが入っている。
「やっぱキモい」
部屋を見回して、ハルカは呟く。
「勝手に入って来て、その言い草は頂けませんね」
「ぎゃっ!」
突然後ろから囁かれ、ハルカは盛大な悲鳴を上げた。
しかしそこにいるのがガイだとわかると、すぐに気を取り直してツンと取り澄ました。
「はじめまして。私のことは知ってるでしょ?いろいろ考えたんだけど、あなたと結婚してあげようと思って」
「は…?」
ガイが露骨に嫌そうな顔をする。
「その顔はなによ、嬉しいでしょ?そうだ、私と結婚したらブリジットの家の悪巧みを教えてあげる。脱税とか、賄賂とか、汚職とか、証拠のある場所知ってるの。全部回収して王様のところに持って行ったら、あいつらすぐに火あぶりになっちゃうんだから」
ハルカがクスクスと笑うと、ガイがひっそりと口角を上げた。
「それはつまり、ブリジット殿の公爵家が悪事を働いていると?」
「そうよ!あの女も超悪役顏だし、影ではすごいんだから。お腹の中は真っ黒よ!」
マティアスと違って乗ってきたガイに、ハルカはペラペラと機嫌よく喋る。
だから気付かなかった。
ガイが静かに怒りを溜めていたことに。
「ブリジット殿を侮辱する者は何人たりとも許さん」
「は?」
その瞬間、ハルカの体がどす黒い煙に包まれる。
一体何がと思う間もなく、ハルカの体はどんどんと小さくなり、毛むくじゃらの醜い生き物へと変化していた。
『いやああああああああああああ!』
「お前に似合いの器だな」
気持ち悪いその生き物を、ガイは無表情で窓から蹴り出す。
元はハルカだった何かは、数え切れない程の本数の足を不器用に操りながら茂みへと消えて行った。
レオナルドにもマティアスにも拒絶され、ハルカは仕方なく魔術師長ガイの元に向かう。
エドワードは好みじゃないし、皇帝アレクシオはもっとナイ。
贅沢は出来ても、一切自由のない鳥籠の鳥のような生活が待っているのだ。
絶対嫌だ。
「ガイ…?どこにいるの?」
王太子の婚約者、という肩書きを振りかざして警備を突破し、魔術師長の部屋へと入り込んだ。
棚には禍々しい色の瓶が所狭しと並び、中には様々な液体や気持ち悪い生き物のパーツが入っている。
「やっぱキモい」
部屋を見回して、ハルカは呟く。
「勝手に入って来て、その言い草は頂けませんね」
「ぎゃっ!」
突然後ろから囁かれ、ハルカは盛大な悲鳴を上げた。
しかしそこにいるのがガイだとわかると、すぐに気を取り直してツンと取り澄ました。
「はじめまして。私のことは知ってるでしょ?いろいろ考えたんだけど、あなたと結婚してあげようと思って」
「は…?」
ガイが露骨に嫌そうな顔をする。
「その顔はなによ、嬉しいでしょ?そうだ、私と結婚したらブリジットの家の悪巧みを教えてあげる。脱税とか、賄賂とか、汚職とか、証拠のある場所知ってるの。全部回収して王様のところに持って行ったら、あいつらすぐに火あぶりになっちゃうんだから」
ハルカがクスクスと笑うと、ガイがひっそりと口角を上げた。
「それはつまり、ブリジット殿の公爵家が悪事を働いていると?」
「そうよ!あの女も超悪役顏だし、影ではすごいんだから。お腹の中は真っ黒よ!」
マティアスと違って乗ってきたガイに、ハルカはペラペラと機嫌よく喋る。
だから気付かなかった。
ガイが静かに怒りを溜めていたことに。
「ブリジット殿を侮辱する者は何人たりとも許さん」
「は?」
その瞬間、ハルカの体がどす黒い煙に包まれる。
一体何がと思う間もなく、ハルカの体はどんどんと小さくなり、毛むくじゃらの醜い生き物へと変化していた。
『いやああああああああああああ!』
「お前に似合いの器だな」
気持ち悪いその生き物を、ガイは無表情で窓から蹴り出す。
元はハルカだった何かは、数え切れない程の本数の足を不器用に操りながら茂みへと消えて行った。
6
お気に入りに追加
2,127
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
その国外追放、謹んでお受けします。悪役令嬢らしく退場して見せましょう。
ユズ
恋愛
乙女ゲームの世界に転生し、悪役令嬢になってしまったメリンダ。しかもその乙女ゲーム、少し変わっていて?断罪される運命を変えようとするも失敗。卒業パーティーで冤罪を着せられ国外追放を言い渡される。それでも、やっぱり想い人の前では美しくありたい!
…確かにそうは思ったけど、こんな展開は知らないのですが!?
*小説家になろう様でも投稿しています
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された悪役令嬢は王子様に溺愛される
白雪みなと
恋愛
「彼女ができたから婚約破棄させてくれ」正式な結婚まであと二年というある日、婚約破棄から告げられたのは婚約破棄だった。だけど、なぜか数時間後に王子から溺愛されて!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
追放済みの悪役令嬢に何故か元婚約者が求婚してきた。
見丘ユタ
恋愛
某有名乙女ゲームの悪役令嬢、イザベラに転生した主人公は、断罪イベントも終わり追放先で慎ましく暮らしていた。
そこへ元婚約者、クロードがやって来てイザベラに求婚したのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした
ひなクラゲ
恋愛
突然ですが私は転生者…
ここは乙女ゲームの世界
そして私は悪役令嬢でした…
出来ればこんな時に思い出したくなかった
だってここは全てが終わった世界…
悪役令嬢が断罪された後の世界なんですもの……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる