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異世界編〜テイクアウトのお店はじめます〜
9.
しおりを挟む午後からは市場で買い物をして、夕食は昼に商業ギルドで食べたお米ーーオリュザを炊いておにぎりを作った。鮭に似た魚が売っていたので焼いて混ぜ込んだシャケおにぎり。
初めてみるおにぎりにウィンクルムは目を輝かせ、パクパクとたくさん食べてくれた。
元々は家畜のエサとして育てられてて、人が食べるようになったのは近年のことらしいけど、お米を売ってて良かった。
レパートリーがめちゃくちゃ増える。
上機嫌で夕食を終え、ウィンをお風呂に入れて寝かしつけた。
可愛い寝姿に謝って、ウサちゃんを小さな腕から抜き取る。
「ごめんね、ウィン。ここからは大人の時間だから」
そっと寝室を出て、自分の部屋へ行く。
本当にこの部屋、ヤリ部屋でしかないな。
まあ、今夜は最後まではしないけど。
時間はまだ早かったのとベッドとバスルーム以外は見てなかったので、抱いていたウサギをベッドに座らせ、部屋の中を見て回った。
タンスとクローゼットも置いてある。俺の服は寝室の方に入ってたし、ヴィータの着替えでも置いてるのかと、クローゼットを開けて言葉を失う。
学ランにフリルのエプロン、白衣、神官服、ベタなメイドにバニー。マニアックなものもある。童貞が殺されるセーターに逆バニー。
この大きめのワイシャツは彼シャツってことか?
……あいつ、バカなのか? これを俺に着ろと?
目眩と嫌な予感を覚えながら、引き出しを開けると、色とりどりのランジェリーが綺麗に収まっていた。
黒い布を1つ取り出してみると、男に必要なのか分からないブラだった。少ない布面積な上に総レースなのは誰得なのか。
隣に畳んであった同系色の布は何も隠す気がないTバック。
似たようなものが引き出しいっぱい入っている。
ここまで来ると感動すら覚える。
期待に答えて、着てあげた方がいいのかな。
下着と彼シャツくらいなら……いいか?
着てみて無いなと思ったら、ヴィータに見せなきゃいいんだし。ちらりとベッドで待機しているウサちゃんを見た。
つぶらな瞳が期待するようにこちらを見ているように見えるのは気のせいかな。
そっとため息をついて、ワイシャツとさっき出した黒のランジェリーセットを持ち、バスルームで着替えた。
ワイシャツは大きいサイズのくせに身体の線が出るタイプのもので、どう見ても、こういう行為を想定されて作られたものだ。
裾はお尻を覆い、太ももくらいまであるから中に着ている下着は脱がなきゃ見えない。
何やってるんだろうなと思うものの、ヴィータの喜ぶ顔を思い浮かべると、いまさら中止には出来なかった。
ベッドルームへ戻り、ウサちゃんと向かい合う。
今夜は一人でするだけにして、ヴィータを呼び出すつもりはない。毎晩の行為は疲れるし、朝寝坊のもとだ。心の中で呼びかけないと来ないはずなので声に出してヴィータを呼んだ。
「ヴィータ、いるなら頷いて」
呼び掛けると、ウサギはコクンと頷いて小首を傾げた。
「あー、今夜は最後まで一人でするから。時間あるなら見てていいよ」
ウサギは不満そうに柔らかい手でベッドを叩いた。
「怒ってもダーメ。毎晩だとお互いに寝不足になっちゃうだろ?」
仕方ないとばかりにウサギは頷いてくれた。
よしよし、と頭を撫でてやりながら、長い耳に小声で話しかける。
「その代わり、今夜はタンスに入ってたヤツ、着たから」
ちらりと裾を捲って見せると、ウサギの目がキラリと光った。
「じゃあ、始めるな?」
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