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本編
24.甘やかな時間 *
しおりを挟む本当の意味で気持ちを伝え合ってからの初めての行為。
何度も抱き合っているし、その記憶は今もちゃんとあるのに、なぜかとても気恥ずかしい。
覆い被さってくるウィリアムを見上げると、すぐに顔を寄せられ、呼吸を奪うように深く口付けられた。
「んーーぁ……んん」
長い舌を挿入され、喉の奥まで犯される。苦しくて阻止しようとした舌を絡めとられ、ウィリアムの口腔へ吸い上げられた。
「んぁ……!」
酸欠状態の脳内はウィリアムに与えられる快楽に狂わされ、ひたすら強い刺激を求めた。恥ずかしさでおかしくなりそうなのに重なった腰は揺れ、腕はウィリアムの頭を掻き抱く。
早く、彼の熱を感じたい。
「ウィル……もう」
名前を呼びながら、彼の服を引っ張ると願いは届き、身につけていたもの全てが剥ぎ取られ、ウィリアム自身も裸になった。
腕を伸ばして抱き寄せると、ウィリアムの纏う薔薇の香りがさっきよりも強く感じられる。
この香りに何度乱されただろう。条件反射のように身体が熱り、瞳が情欲に濡れる。
重なったウィリアムの身体も発熱したように熱くなっていた。熱を高め合い、このまま抱き合っているうちに溶けてしまいそうだ。
ウィリアムと混ざり合うならそれでも構わないかもしれない。
そう伝えると、くすりと笑われた。
「おかしいですか」
「いや、私も同じことを思っていた」
「ずっとこうしていたいです……」
「賛成したいところだが、そろそろリヒトを可愛がりたい」
そういうと、僕の背を抱きしめていた手は解かれ、胸元をやんわりと撫でられた。
「ん……ぁ……」
まだ柔らかだった先端がウィリアムの指先に弄られ、硬くなる。芯を持った突起を押し潰され、くるくると捏ね回された。じんわりと母乳が滲む。
「ん、あ……やぁ……ん、ん、ん」
「声を抑えて。防音結界を張ってやれないからあまり声を上げるとアルフォンスが起きてしまう」
そう耳元に囁かれ、慌てて両手で口を覆った。僕の行動にウィリアムは楽しそうな笑みを浮かべると、胸の先端から溢れ出した乳を赤い舌が見せつけるように舐め取る。
「ーー!!」
濡れた突起を吸いつかれ、アルフォンスがするようにちゅうちゅうと乳を吸い上げられる度に甘い痺れが背をかける。
息子のアルフォンスはまだしも、ウィリアムに授乳するのは背徳感と羞恥心で気が狂いそうだ。
もうやめて欲しいと訴えたいが、声を出せば淫らな嬌声が先に出てしまいそうで出来ない。口を押さえているせいで、手で押し返すこともできず、ただウィリアムに翻弄されるしかなかった。
「ぁ……ぃ……んんっ」
声を抑えているせいで快感が逃がせず、余計に感じてしまう。過ぎる刺激に涙が滲んで目尻を伝った。
このままでは本当に気が触れそうだ。
恥ずかしさを押し殺し、腰を振り足を絡ませ続きをねだる。すると、ようやく顔を上げたウィリアムが自身の下唇についた母乳を舐めとりながら問うた。
「もう欲しいのか?」
頷くとカウチの上で身体を返され、うつ伏せにされた。腰を持ち上げられ、双丘のそばにウィリアムの息遣いを感じる。
まさかーー
恐る恐る目で訊ねると。
「香油の手持ちがない」
それだけいうと、ウィリアムは僕の尻を開き、奥まったところを露出させると躊躇いなく舌を差し入れた。
「んんっ」
唾液を足されながら指も使い解されていく。僕は声を殺し、腰を震わせることしか出来ない。
「……っ……んッ……!」
中を掻き回す指が徐々に増やされていき、スムーズに動くようになって来ると、その先の快感を知る身体が疼き始めた。下腹部でそそり立つ先端もまだ触れてもないのに先走りが滲んでいる。
「ウィル、もぅ……!」
これ以上焦らされては堪らないと声をあげた。散々弄られ焦らされた身体を持て余した僕をウィリアムは膝に抱き上げ向かい合わせに座らせる。
落ちないようにウィリアムの首に腕を回すと、キスで口を塞がれた。
「ん……ふぁ……」
深く気持ちの良いキスに酔いしれていると、腰に手を回され、ゆっくりと後孔に挿入された。じわじわと侵入してくる陰茎に堪らず、腰を落とそうとすると、ウィリアムの腕に阻まれる。
早く奥まで欲しい、と目で訴えると、あやすように腰を揺すられやんわりと却下されてしまった。
ちゅっと水音を立てて口唇が離れ、ウィリアムの肩に顔を押し付けられる。
「今日はゆっくりリヒトを愛したい」
耳朶を食まれながらそんなことを囁かれてしまえば、僕にはもう抵抗する気はない。ウィリアムの好きにしてくれとばかりに抱きつく腕の拘束を強めるだけだ。
「たくさん感じてくれ」
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