39 / 85
3
12
しおりを挟む
「さとりの純粋な気持ちを利用している気がする。お前が俺を好きだというのは、生まれたばかりの雛が最初に見たものを純粋に慕っているだけかもしれないのに、さとりがかわいくて、あまりに愛しくて、そんなお前の気持ちを利用してすべてを俺のもんにしたくなっちまう」
『お前を傷つけたくないんだ』
さとりの身体をそっと離し、困った顔でやさしくほほ笑むそうすけに、さとりの中でこれまで感じたことのない、甘く切ないような焦れた感覚が生まれた。
そうすけの言っていることはよくわからないけど、少なくとも自分の気持ちはわかる。
さとりはそうすけの腕に手をかけると、背伸びをして、さっきそうすけがしてくれたみたいに、頬にキスをした。最初は右側から。
『……さとり?』
それから、驚いているそうすけをじっと見て、さとりの行為を嫌がっていないことを確かめると、今度は反対側から。ぺろっと自分の唇を舐めてから、最後に正面からそうすけの唇にそっと自分のそれを押し当てたとき、唇の間からそうすけの舌らしきものがぬるっと滑り込んできて、さとりはびっくりした。
「んー……っ、んー……っ、んー……っ!?」
そ、そうすけ……っ、とさとりは慌てるが、頭をがっしりと押さえられていて動けない。口の中はそうすけの舌が好き勝手に動き回っていて、さとりは自分が何かまるで食べ物になったような気がした。そのとき、そうすけの舌がさとりの上顎のあたりをぬるりと舐めた。
ぞくぞくぞくっ……と痺れが腰のあたりを走った。
「んん~……っ!」
いったん治まりかけていたものがそうすけの刺激によって再び反応する。おまけに先のほうからは、何かがじわっと滲み出た感触があって、さとりは漏らしてしまったのかと泣きたくなった。ぎゅっと身体強ばらせると、自分を守るように身を屈める。
「さとり?」
『やっぱり怖がらせたか?』
かすかな落胆のこもった失望と、同時にさとりを心配するそうすけの気持ちが伝わってきたが、さとりはうつむいたまま答えることができない。
そのとき、そうすけが自分の側から離れる気配がして、さとりはますます泣きたくなった。
こんなことぐらいで漏らしてしまうなんて、おいらはやっぱりどこか変なんだ。そうすけに知られたら嫌われてしまうかもしれない。
白いふわふわの妖怪が心配するように、さとりの周りでぴょんぴょん跳ねた。
「さとり」
ふわりと包み込むようにかけられたブランケット越しに、そうすけに抱きしめられる。そうすけは慰めるようにそっと、さとりの背中をぽんぽんと軽くたたいた。
「大丈夫だよ、さとり。お前が嫌なことは何ひとつしないから」
その表情は、かけらもさとりを怒ってはいない。
『怖がらせてごめんな』
さとりを気遣うそうすけのやさしい思いに、さとりの胸はじわっと熱くなった。
「お、おいら、おいら、そうすけに嫌われると思って……」
『……嫌われる?』
「いったいどうしてそう思った?」
『お前を傷つけたくないんだ』
さとりの身体をそっと離し、困った顔でやさしくほほ笑むそうすけに、さとりの中でこれまで感じたことのない、甘く切ないような焦れた感覚が生まれた。
そうすけの言っていることはよくわからないけど、少なくとも自分の気持ちはわかる。
さとりはそうすけの腕に手をかけると、背伸びをして、さっきそうすけがしてくれたみたいに、頬にキスをした。最初は右側から。
『……さとり?』
それから、驚いているそうすけをじっと見て、さとりの行為を嫌がっていないことを確かめると、今度は反対側から。ぺろっと自分の唇を舐めてから、最後に正面からそうすけの唇にそっと自分のそれを押し当てたとき、唇の間からそうすけの舌らしきものがぬるっと滑り込んできて、さとりはびっくりした。
「んー……っ、んー……っ、んー……っ!?」
そ、そうすけ……っ、とさとりは慌てるが、頭をがっしりと押さえられていて動けない。口の中はそうすけの舌が好き勝手に動き回っていて、さとりは自分が何かまるで食べ物になったような気がした。そのとき、そうすけの舌がさとりの上顎のあたりをぬるりと舐めた。
ぞくぞくぞくっ……と痺れが腰のあたりを走った。
「んん~……っ!」
いったん治まりかけていたものがそうすけの刺激によって再び反応する。おまけに先のほうからは、何かがじわっと滲み出た感触があって、さとりは漏らしてしまったのかと泣きたくなった。ぎゅっと身体強ばらせると、自分を守るように身を屈める。
「さとり?」
『やっぱり怖がらせたか?』
かすかな落胆のこもった失望と、同時にさとりを心配するそうすけの気持ちが伝わってきたが、さとりはうつむいたまま答えることができない。
そのとき、そうすけが自分の側から離れる気配がして、さとりはますます泣きたくなった。
こんなことぐらいで漏らしてしまうなんて、おいらはやっぱりどこか変なんだ。そうすけに知られたら嫌われてしまうかもしれない。
白いふわふわの妖怪が心配するように、さとりの周りでぴょんぴょん跳ねた。
「さとり」
ふわりと包み込むようにかけられたブランケット越しに、そうすけに抱きしめられる。そうすけは慰めるようにそっと、さとりの背中をぽんぽんと軽くたたいた。
「大丈夫だよ、さとり。お前が嫌なことは何ひとつしないから」
その表情は、かけらもさとりを怒ってはいない。
『怖がらせてごめんな』
さとりを気遣うそうすけのやさしい思いに、さとりの胸はじわっと熱くなった。
「お、おいら、おいら、そうすけに嫌われると思って……」
『……嫌われる?』
「いったいどうしてそう思った?」
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
おっさん家政夫は自警団独身寮で溺愛される
月歌(ツキウタ)
BL
妻に浮気された上、離婚宣告されたおっさんの話。ショックか何かで、異世界に転移してた。異世界の自警団で、家政夫を始めたおっさんが、色々溺愛される話。
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
強面な将軍は花嫁を愛でる
小町もなか
BL
異世界転移ファンタジー ※ボーイズラブ小説です
国王である父は悪魔と盟約を交わし、砂漠の国には似つかわしくない白い髪、白い肌、赤い瞳をした異質な末息子ルシャナ王子は、断末魔と共に生贄として短い生涯を終えた。
死んだはずのルシャナが目を覚ましたそこは、ノースフィリアという魔法を使う異世界だった。
伝説の『白き異界人』と言われたのだが、魔力のないルシャナは戸惑うばかりだ。
二度とあちらの世界へ戻れないと知り、将軍マンフリートが世話をしてくれることになった。優しいマンフリートに惹かれていくルシャナ。
だがその思いとは裏腹に、ルシャナの置かれた状況は悪化していった――寿命が減っていくという奇妙な現象が起こり始めたのだ。このままでは命を落としてしまう。
死へのカウントダウンを止める方法はただ一つ。この世界の住人と結婚をすることだった。
マンフリートが立候補してくれたのだが、好きな人に同性結婚を強いるわけにはいかない。
だから拒んだというのに嫌がるルシャナの気持ちを無視してマンフリートは結婚の儀式である体液の交換――つまり強引に抱かれたのだ。
だが儀式が終了すると誰も予想だにしない展開となり……。
鈍感な将軍と内気な王子のピュアなラブストーリー
※すでに同人誌発行済で一冊完結しております。
一巻のみ無料全話配信。
すでに『ムーンライトノベルズ』にて公開済です。
全5巻完結済みの第一巻。カップリングとしては毎巻読み切り。根底の話は5巻で終了です。
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる