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しおりを挟む 次第にそんな声が聞こえるようになったある日、シュイはマーリーン公からモンド村がなくなったことを聞いた。石を生み出した村は龍神さまへの贈り物として捧げられるのが習わしで、喜ばしいことなのだと言われても、それが本当のことだとは思えなかった。
ヒースたちが亡くなったとは信じられず、シュイは何度も脱走を図った。そのたびに捕まり、王都へと連れ戻された。次第に拘束が厳しくなっても、シュイは諦めなかった。何度も逃亡を繰り返すシュイに、マーリーン公は部下を村へ使いにやると、証拠となる品を持ってこさせた。だが、それでもシュイは信じなかった。証拠なんていくらでも作ることはできる。シュイの両親が生きているのだと偽ったように、人は平気で嘘をつくことができる。
頑固にも脱走を繰り返すシュイに、マーリーン公は遠くの村々を視察し、人々を慰撫するという名目で、シュイをモンド村へと連れていった。そこにはシュイが知る故郷はなかった。変わり果てた村の姿に、シュイはその場に崩れ落ちるように意識を失った。
一週間、シュイはほとんど何も口に入れることができなかった。無理やり口に入れさせても、耐えきれず吐いてしまう。自分が知る村はもうどこにも存在しないのだと、ヒースたちは死んでしまったのだと頭ではわかっていても、心が受け入れるのを拒否した。目を閉じればいまでもありありと懐かしい光景を思い浮かべることができる。そのすべてがもうどこにもないのだと、そんなこと信じられるわけがない。
シュイの前に、まだ幼いあの子が連れてこられたのはそんなときだ。
ヒースたちが亡くなったとは信じられず、シュイは何度も脱走を図った。そのたびに捕まり、王都へと連れ戻された。次第に拘束が厳しくなっても、シュイは諦めなかった。何度も逃亡を繰り返すシュイに、マーリーン公は部下を村へ使いにやると、証拠となる品を持ってこさせた。だが、それでもシュイは信じなかった。証拠なんていくらでも作ることはできる。シュイの両親が生きているのだと偽ったように、人は平気で嘘をつくことができる。
頑固にも脱走を繰り返すシュイに、マーリーン公は遠くの村々を視察し、人々を慰撫するという名目で、シュイをモンド村へと連れていった。そこにはシュイが知る故郷はなかった。変わり果てた村の姿に、シュイはその場に崩れ落ちるように意識を失った。
一週間、シュイはほとんど何も口に入れることができなかった。無理やり口に入れさせても、耐えきれず吐いてしまう。自分が知る村はもうどこにも存在しないのだと、ヒースたちは死んでしまったのだと頭ではわかっていても、心が受け入れるのを拒否した。目を閉じればいまでもありありと懐かしい光景を思い浮かべることができる。そのすべてがもうどこにもないのだと、そんなこと信じられるわけがない。
シュイの前に、まだ幼いあの子が連れてこられたのはそんなときだ。
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