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第37話 フェイタル・エリア
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対戦相手の弖虎・モノストーンは、身長こそそれなりに高いが、華奢な身体つきで肌は色白く、どことなく陰気で反抗的な感じのする少年だった。他人に対する敵意を隠さないその様子は、出会った当初の蓮司を思わせる。しかし蓮司の場合、本人の負けず嫌いな性格と憧れの先輩である徹磨を倒した聖への対抗心から来るものだったから、まだ親しみを覚える余地があった。それに対し弖虎の持つ雰囲気は、蓮司のそれとは全く異なっている。気だるげな表情の瞳に浮かぶ軽侮の暗い光は、他人のみならず自身にすら向けられているかのようで、14歳という年齢にして既に厭世的な価値観が彼の中に根付いているかに見えた。
<見た目の割に、ゴリゴリ攻撃してきやがるじゃねェか>
ポイントの合間に、アドが弖虎のテニスをそう評価する。開幕の1ポイント目から、弖虎は恐ろしく攻撃的なプレーを連発してきた。隙あらば攻撃してくるといった生易しいものではない。こちらに隙があろうと無かろうと、無関係に強烈なショットを放ってきたのだ。
<陰キャ小僧がお前にキレた時みてェだなァ?>
以前、聖が蓮司と試合をした時のこと。蓮司の目から見れば聖は、憧れの先輩である徹磨と互角以上に渡り合い、あまつさえ勝ってしまった名も知らぬ新参者だった。蓮司は突然現れた同い年のライバルに猛烈な対抗意識を燃やし、徹磨の仇討ちと言わんばかりに聖へ挑んできた。しかし、その試合の序盤で聖は蓮司に圧倒されてしまう。当時の聖はまだ、プロを目指すジュニア選手とまともに試合ができるほどの実力を身につけていなかったのだから当然なのだが、そんなことは蓮司の知るところではない。
『コイツは手を抜いている』と思った蓮司は聖に腹を立て、強引で攻撃的なテニスを仕掛けてきた。結果として途中から聖は自発的に能力を使い、さらに撹拌事象によって聖が逆転勝ちし、本当の実力を見せた――と、蓮司は思っている――ことで一応丸く収まった。確かに、今相手をしている弖虎の戦い方はあのときの蓮司に似ているといえば似ている。相手のポジションなどお構いなしに、自分の打ちたいタイミングで攻撃を仕掛けてくる強引なテニスだ。
(いや、でも、これは蓮司というより……)
超攻撃的なプレーであることに間違いはない。だが、聖は弖虎のプレーに蓮司ではない別の誰かの面影を幽かに感じ取っていた。『自分の方が強い』あるいは『オレをナメるな』という感情をぶつけてきた蓮司とは異なる、もっと自分本位で、独善的かつ狂暴なプレー。相手に対して、まるで部屋に入り込んだ虫を叩き潰そうとするような剣呑さを孕んだ態度。そういう猛攻を仕掛けてくる弖虎に対し、聖はひたすら粘り強くディフェンスを展開した。
(あぁ、そうだ。確かこの前の団体戦で……)
プレイの最中、聖はこの狂暴なテニスと重なる1人の選手を思い出した。常に怒りの表情を浮かべテニスをしていた、ピンク色の髪をした少女。名前は、確か――。
★
――同時刻、木代市内某所
「はァ!? ざっけンなゴラァ! どこに目ェつけてやがンだ! 殺すぞ!」
「いやいやアウト! 余裕でアウト! 全然アウト! こーんなにアウト!」
スゲが大袈裟に両手を広げ、どれほどアウトだったのかをジェスチャーで表現する。スゲの目にはアウトに見えたからこそのジャッジだったが、それでもボール半個分程度の際どいところだ。離れた場所にいる相手の目にはインに見えていてもおかしくはない。
しかし、ピンク色に染め上げた髪を適当にゴムで縛り、丈の短いシャツにデニムのホットパンツを穿いた少女伴美波は納得しない。ネットに詰め寄りスゲに対して聞くに堪えない罵声を浴びせる。これでも、殴りかからないだけかなり丸くなった方だ。スゲはスゲで怒り狂う彼女――通称バンビと呼ばれている――に多少ビビりながらも自分の正当性を主張すべく抵抗を試みていた。
「美波、セルフジャッジでは相手のジャッジに従いなさい。亘、ボールがバウンドする前にジャッジするのはやめなさい」
ベンチに腰掛け腕組みしている眼鏡をかけた男、榎歌考狼がピシャリと言う。すると、まだまだ罵声を浴びせ足りなかったらしいバンビの顔が、今にも爆発せんと言わんばかりに真っ赤な風船のごとく膨れ上がる。そして「やってられっかッ!」と爆発して吐き捨てると、バンビはラケットを放り投げてコートから出て行った。
「あぁ、ちょっとバンビ!」
その様子を見ていた五味彩葉が慌ててバンビを追う。
「今の、入っていたんですか?」
榎歌の隣にいた九頭竜鏡花が、ボールの落ちた辺りに視線を向けながら尋ねる。榎歌は一瞬だけ腕時計を見たあと静かにうなずく。鏡花の顔には、それなら正しいのはバンビの方じゃないか、という表情が浮かんだ。
「それでもセルフジャッジです。意図的でないならば相手のジャッジに従わなければなりません」
考えを見透かされ、少し恥ずかしくなる鏡花。
「公式戦では主審がつきますが、それでも大きな大会でもない限り審判補助は有りませんから、ミスジャッジは起こり得ます。その度に心を乱しているようでは話になりません。20秒経過」
ひと昔前まで審判補助はプロの試合でのみ用いられていたが、最近では技術の開発が進み、アマチュアの大会でも普及してきている。しかしその一方で、全面的な機械判定の導入に対しては否定的な意見もある。
「それに、バンビが打ったのはテニスにおける禁忌領域です」
「フェイ、タル……?」
「ラインからラケット1本分内側のエリアです。そこは自ら狙うのも、相手に狙われるのも致命的な場所。テニスの神域とも言います」
「狙うのも、狙われるのもダメな場所?」
「ダメとは言いません。ただ、そこを意図的に狙うと嫌われます」
「嫌われる……? 相手に、ですか?」
鏡花が疑問を口にしたと同時に、バンビが罵声と共に気炎を撒き散らしながら戻ってきた。隣では彩葉が声をかけてなんとか宥めようとしている。戻るのを待っていたヤベの手からラケットをひったくると、バンビはサーブのポジションについてゲームを再開しようとした。
「美波、あなたのサーブじゃありません」
サーブを打とうとするバンビに、榎歌が立ち上がって声をかける。
「60秒経過しています。ペナルティであなたは3ポイント失い、先ほどのポイントと合わせてゲームを失いました。アタルのサーブから再開です。ゲームカウントは1-5」
榎歌に腕時計を示されながらそう言われ、バンビは発狂でもしたかのような絶叫を上げる。両足で力いっぱいコートを踏みつけ、お手本のような地団太を踏むバンビ。ヤベは近くでその様子を見ながら、以前ならそのまま襲い掛かってきただろうに、随分と丸くなったなぁと声に出さずひっそり思う。
涼しい顔で告げるべきことを告げた榎歌は再びベンチに座る。
「あの、コーチ。嫌われるって、誰にでしょう?」
続きの気になった鏡花が再度質問すると、榎歌は少しだけ微笑んで言った。
「テニスの神様、ですよ」
★
<はン、こいつァ楽勝かもなァ?>
第1セットは聖が6-1で獲り、第2セットも先行でブレイクして3-0となった。スコアだけを見れば聖が優勢なのは明らかだ。しかし、聖はスコアほど精神的な余裕を持つことが出来ずにいた。
弖虎のプレーは脅威的な攻撃力を見せ、時おり聖が一歩も動けないようなポイントの獲られ方をする。どうやら弖虎は基本的に、ラインの内側からラケット1本分手前か、あるいはラインそのものを狙ってボールを打ってきているようだった。そんなところを狙われたら、誰であろうと守勢を強いられることは必至だ。反撃はおろか、そのままポイントを奪われてもおかしくない。
だが、その狙いは同時に高いリスクを伴うのは言うまでもない。そのショットの成功率が5割を切るようなら、それはつまり自滅の道を突き進むことに他ならず、現に聖は弖虎の猛攻を凌ぐことで着実にポイントを積み重ね、ゲームを獲得していった。
<ヤサグレ中坊にありがちなイキリプレーじゃねェか。10球に2、3回入る程度のスーパーショットを自分の実力だと勘違いしてやがンな。コイツ、この合宿中なにしてやがったンだ? ずっと寝てたンか? これでIMGの秘蔵っ子てンなら笑わせるぜ>
相手に聞こえないのを良いことに、面白がって好き放題言うアド。だが正直なところ、聖もアドの言うことにおおむね同意してしまう。確かに脅威的な攻撃力を持っているが、こんな雑なプレーをする彼が、本当にアメリカで優秀な成績を収めたのだろうか。
(相手のプレーが明確な分、守りに徹する練習にはなる。たまに全く動けないようなとんでもないボールが来るけど、正直あれは取れなくて当然だ。でも、あんなのはアドのいうように何球かに数回。あれが決まっても気にしなくていいはず。相手が何をどうしようと、堅実にプレーするべきだ、とは思うけど……)
弖虎の放つショットは常に獰猛さをまとっている。厳しい場所を狙ってこないときでさえ、球威は恐ろしく強烈だ。それゆえ、聖は自分の意志でコントロールしてミスを誘発させたり、相手のポジションを崩して自分からポイントを奪えるようなチャンスメイクをしたくてもさせてもらえない。試合のスコアは優勢だが、少し見方を変えれば相手の出来次第で試合が動いてしまっているともいえる。
(このままなら勝てる。でも、こんな雑なプレーに付き合わされるのは、ちょっとな)
試合前、松岡は選手達に勝てと檄を飛ばした。もちろんそれは何がなんでも勝てば良いというような話ではなく、勝利するつもりで全力で戦いに挑み、合宿で得た多くのことを完全に身につけろという意味だと聖は解釈している。勝つことは目標であって、目的ではない。この合宿を通して強くなることが目的なのだ。この試合は、合宿での目的が達成されているかどうかの確認であり、ここでの勝ち負け自体に大きな意味はない。その一方で、ここで勝てないようでは目的を達成できているとは言い難く、相手本位のこの状況は聖にとって少々居心地の悪いものと言えた。
(とはいえ、それならこういう状況でも冷静にしっかり勝ち切るのが重要なはず。思い通りではない状況でも、集中力を切らしちゃダメだ)
テニスの試合は長時間に渡る。1セットしかやらないアマチュアの試合でさえ、ルールによっては1時間を越えることなどザラにあり、プロなら3セットマッチが基本、男子に至っては5セットマッチというシチュエーションが存在する。時には試合時間は4時間にも5時間にも及ぶことがあり、これは他のスポーツと比較しても異常なほど長い。
加えて、テニスには野球でいうホームラン、バスケットでいう3ポイント、ボクシングでいう1発KOといった逆転要素が無い。勝つためには1ポイントを少しずつ積み重ねていかねばならない。そういった競技特性からテニスはメンタルのスポーツであると呼ばれ、例え優勢に試合を進めていたとしても、ちょっとした心境の変化が逆転を招くきっかけになり得る。テニスの試合で勝つには、最後まで勝ち切るための精神的タフネスが不可欠だ。
『いいか、試合っていうのは恐いんだ。何が起こるか分からない。調子よくブレイクを続けて1セット目をストレートで獲る、よし、勝てる! 楽勝だ! ところがそうはいかない。2セット目、うっかりブレークされてそのまま獲られる。あちゃ~、でも次獲ればいいや。それじゃ遅いんだ。勝てそうなときほど、自分から勝ちにいかなきゃダメなんだ!』
練習後の講義で、松岡がそう言っていたことを思い出す聖。プレーにおいて、相手がミスをするのをじっくり粘って待つことと、自分が消極的なまま勝ち星の方から手元に転がってくるのを待つのは全く違う。勝利は自ら掴みにいくべきものであり、試合では勝敗がつくその瞬間まで、油断は禁物なのだ。
聖は可能な限り、ボールをコート中央に集めるセンター・セオリーに努める。スピードよりも高さと深さに注力することで、弖虎の角度をつけた攻撃を封じる。この方法なら、万が一無理やり攻撃されても、ショットの成功率を削ることができる。その戦い方はさながら、大振りパンチを狙う相手に足を使って距離を保つアウトボクサーのようだった。
(決定打を獲られないようにするのは勿論、打たせないように。今のオレのディフェンスじゃカウンターを狙うのは正直厳しい。打ち疲れて相手の球が甘くなったとしても、こっちからの攻撃は慎重にしないと……!)
弖虎が攻め、聖が守る。この試合で初めて少しラリーのやりとりが続く。さすがの弖虎も強襲が通用しない――そもそも成功率が低いのだが――と見たのか、僅かながら出力調整を下げ、攻撃の機会を窺っているようだ。
(来るッ!)
自分で打ったボールが僅かに浅くなったと感じた瞬間、聖は弖虎から攻撃の意志を読み取る。直後、跳ね際での猛烈なハードヒットが襲い掛かる。コースはまたもライン際。弖虎が執拗に狙うその場所が、禁忌領域と呼ばれる極めてリスクの高い場所であることを聖はこの合宿中に学んだ。
「……イン」
聖は弖虎の打ったショットに追い付けず、ボールを見送らざるを得なかった。そしてボールの着弾位置を、聖は正確に目で捉えることができなかった。ラインを僅かに割ったような、或いは少しだけ掛かっていたような。ボールとラインの間にハッキリとした隙間が見えなかった以上、セルフジャッジでの試合はイン判定にするのが原則だ。聖はそれに則り、ジェスチャーでショットが有効であったことを告げる。
(今のは仕方ない。あれは無理だ。でも、そう何度も決まりゃしない。次)
幸いゲームの進行に余裕はあるため、聖は気持ちを切り替える。これまでも全く反応できずにエースを獲られたポイントはあったわけだし、今のは打たれるようなボールを返してしまった自分に責任があると考えた。
<ま、なにごとも勉強だわな>
ふと、アドが言う。何のことかは分からなかったが、恐らく今の自分のジャッジの仕方について甘いと感じたのだろう。試合展開がもっと競っているなら聖ももう少しきちんと見極めるところだが、現状は大きく優勢なのだ。弖虎の決定打狙いは成功したら仕方ない。それよりも堅実に守り、弖虎に無理をさせて自滅に向かう失敗をなるべく多く誘発させるようにした方が良い、聖はそう考えた。
(本当なら、もう少し自分のテニスで勝負したかったけど、相手のプレーに惑わされるな。彼はミスが多い。好きにやらせればいい)
聖はボールを拾って、弖虎に送る。ボールを受け取った弖虎は聖を見もせずに、さっさとサーブ位置につく。視界の端で動きを捉えているのだろう、聖がリターンポジションにつくとすぐにトスを上げた。
弖虎のプレーで最も脅威的に感じるのは、第1サーブの精度だ。強引に決定打を狙ってくるストロークとは違い、サーブだけは極めて精度が高い。スピードはもちろん、確率、コースどれをとっても非の打ち所がない。それにも関わらず、その後に続く強引な決定打狙いのせいでキープに至らない。
(これだけサーブが良いのに、その後が勿体なさ過ぎる!)
そう思いながら、辛うじてリターンする聖。球威があるためきちんとボールを捉えられれば、自分が想定するよりも良いリターンが返せる。加えて、徐々に弖虎のサーブにタイミングがしっかり合い始めたようだ。聖のリターンはサーブ直後で体勢の整いきっていない弖虎に向かい飛んでいく。この状況なら、弖虎からの攻撃は無い、はずだった。
まるで壁に叩きつけたスーパーボールが跳ね返るような球威で、聖のリターンを弖虎は攻撃的に打ち返した。弖虎のバランスは整っていなかった。聖のリターンも決して甘くはなかった。それにも関わらず、間髪入れずに叩き返された。
(今、のも……まぁ、仕方ない、よな)
聖はあまりの出来事に言葉を失う。一撃でポイントを獲った弖虎は、面倒くさそうに首を回しながら、チラリと聖に視線を向ける。驚いてねぇでさっさとボールを寄越せ、とでも言いたげな表情だ。
ボールを回収しながら、聖の頭に嫌な予感が過ぎる。
(相手の攻撃が入って来なかったから、差は開いちゃいるけど)
これまで獲得してきた全てのポイントを、聖は頭の中で再生させる。
(あれらがもし、入っていたら、返球できただろうか?)
最後まで油断しないで、勝ち切るまで集中する。自分にそう言い聞かせてはいたが、聖は途中から、自分が相手の攻撃に対して必死に追いかけようとするのをやめていたことに気付く。決まったなら仕方ない、と。
不意に、聖は喉の渇きを覚えた。この試合、さきほどのポイント以外、長い打ち合いになることが殆どなかった。そのため、チェンジコートの際でも水分捕球せずさっさとポジションに向かってしまっていたのを思い出す。口に残った唾を飲み込んでみても、渇きは癒えない。むしろ粘性を帯びた唾液が喉に絡んで、不快な感じがした。サーブを打とうとしている弖虎に、視線を向ける。
年下の少年の双眸に宿る暗い光が、黒点のように揺らめいていた。
続く
<見た目の割に、ゴリゴリ攻撃してきやがるじゃねェか>
ポイントの合間に、アドが弖虎のテニスをそう評価する。開幕の1ポイント目から、弖虎は恐ろしく攻撃的なプレーを連発してきた。隙あらば攻撃してくるといった生易しいものではない。こちらに隙があろうと無かろうと、無関係に強烈なショットを放ってきたのだ。
<陰キャ小僧がお前にキレた時みてェだなァ?>
以前、聖が蓮司と試合をした時のこと。蓮司の目から見れば聖は、憧れの先輩である徹磨と互角以上に渡り合い、あまつさえ勝ってしまった名も知らぬ新参者だった。蓮司は突然現れた同い年のライバルに猛烈な対抗意識を燃やし、徹磨の仇討ちと言わんばかりに聖へ挑んできた。しかし、その試合の序盤で聖は蓮司に圧倒されてしまう。当時の聖はまだ、プロを目指すジュニア選手とまともに試合ができるほどの実力を身につけていなかったのだから当然なのだが、そんなことは蓮司の知るところではない。
『コイツは手を抜いている』と思った蓮司は聖に腹を立て、強引で攻撃的なテニスを仕掛けてきた。結果として途中から聖は自発的に能力を使い、さらに撹拌事象によって聖が逆転勝ちし、本当の実力を見せた――と、蓮司は思っている――ことで一応丸く収まった。確かに、今相手をしている弖虎の戦い方はあのときの蓮司に似ているといえば似ている。相手のポジションなどお構いなしに、自分の打ちたいタイミングで攻撃を仕掛けてくる強引なテニスだ。
(いや、でも、これは蓮司というより……)
超攻撃的なプレーであることに間違いはない。だが、聖は弖虎のプレーに蓮司ではない別の誰かの面影を幽かに感じ取っていた。『自分の方が強い』あるいは『オレをナメるな』という感情をぶつけてきた蓮司とは異なる、もっと自分本位で、独善的かつ狂暴なプレー。相手に対して、まるで部屋に入り込んだ虫を叩き潰そうとするような剣呑さを孕んだ態度。そういう猛攻を仕掛けてくる弖虎に対し、聖はひたすら粘り強くディフェンスを展開した。
(あぁ、そうだ。確かこの前の団体戦で……)
プレイの最中、聖はこの狂暴なテニスと重なる1人の選手を思い出した。常に怒りの表情を浮かべテニスをしていた、ピンク色の髪をした少女。名前は、確か――。
★
――同時刻、木代市内某所
「はァ!? ざっけンなゴラァ! どこに目ェつけてやがンだ! 殺すぞ!」
「いやいやアウト! 余裕でアウト! 全然アウト! こーんなにアウト!」
スゲが大袈裟に両手を広げ、どれほどアウトだったのかをジェスチャーで表現する。スゲの目にはアウトに見えたからこそのジャッジだったが、それでもボール半個分程度の際どいところだ。離れた場所にいる相手の目にはインに見えていてもおかしくはない。
しかし、ピンク色に染め上げた髪を適当にゴムで縛り、丈の短いシャツにデニムのホットパンツを穿いた少女伴美波は納得しない。ネットに詰め寄りスゲに対して聞くに堪えない罵声を浴びせる。これでも、殴りかからないだけかなり丸くなった方だ。スゲはスゲで怒り狂う彼女――通称バンビと呼ばれている――に多少ビビりながらも自分の正当性を主張すべく抵抗を試みていた。
「美波、セルフジャッジでは相手のジャッジに従いなさい。亘、ボールがバウンドする前にジャッジするのはやめなさい」
ベンチに腰掛け腕組みしている眼鏡をかけた男、榎歌考狼がピシャリと言う。すると、まだまだ罵声を浴びせ足りなかったらしいバンビの顔が、今にも爆発せんと言わんばかりに真っ赤な風船のごとく膨れ上がる。そして「やってられっかッ!」と爆発して吐き捨てると、バンビはラケットを放り投げてコートから出て行った。
「あぁ、ちょっとバンビ!」
その様子を見ていた五味彩葉が慌ててバンビを追う。
「今の、入っていたんですか?」
榎歌の隣にいた九頭竜鏡花が、ボールの落ちた辺りに視線を向けながら尋ねる。榎歌は一瞬だけ腕時計を見たあと静かにうなずく。鏡花の顔には、それなら正しいのはバンビの方じゃないか、という表情が浮かんだ。
「それでもセルフジャッジです。意図的でないならば相手のジャッジに従わなければなりません」
考えを見透かされ、少し恥ずかしくなる鏡花。
「公式戦では主審がつきますが、それでも大きな大会でもない限り審判補助は有りませんから、ミスジャッジは起こり得ます。その度に心を乱しているようでは話になりません。20秒経過」
ひと昔前まで審判補助はプロの試合でのみ用いられていたが、最近では技術の開発が進み、アマチュアの大会でも普及してきている。しかしその一方で、全面的な機械判定の導入に対しては否定的な意見もある。
「それに、バンビが打ったのはテニスにおける禁忌領域です」
「フェイ、タル……?」
「ラインからラケット1本分内側のエリアです。そこは自ら狙うのも、相手に狙われるのも致命的な場所。テニスの神域とも言います」
「狙うのも、狙われるのもダメな場所?」
「ダメとは言いません。ただ、そこを意図的に狙うと嫌われます」
「嫌われる……? 相手に、ですか?」
鏡花が疑問を口にしたと同時に、バンビが罵声と共に気炎を撒き散らしながら戻ってきた。隣では彩葉が声をかけてなんとか宥めようとしている。戻るのを待っていたヤベの手からラケットをひったくると、バンビはサーブのポジションについてゲームを再開しようとした。
「美波、あなたのサーブじゃありません」
サーブを打とうとするバンビに、榎歌が立ち上がって声をかける。
「60秒経過しています。ペナルティであなたは3ポイント失い、先ほどのポイントと合わせてゲームを失いました。アタルのサーブから再開です。ゲームカウントは1-5」
榎歌に腕時計を示されながらそう言われ、バンビは発狂でもしたかのような絶叫を上げる。両足で力いっぱいコートを踏みつけ、お手本のような地団太を踏むバンビ。ヤベは近くでその様子を見ながら、以前ならそのまま襲い掛かってきただろうに、随分と丸くなったなぁと声に出さずひっそり思う。
涼しい顔で告げるべきことを告げた榎歌は再びベンチに座る。
「あの、コーチ。嫌われるって、誰にでしょう?」
続きの気になった鏡花が再度質問すると、榎歌は少しだけ微笑んで言った。
「テニスの神様、ですよ」
★
<はン、こいつァ楽勝かもなァ?>
第1セットは聖が6-1で獲り、第2セットも先行でブレイクして3-0となった。スコアだけを見れば聖が優勢なのは明らかだ。しかし、聖はスコアほど精神的な余裕を持つことが出来ずにいた。
弖虎のプレーは脅威的な攻撃力を見せ、時おり聖が一歩も動けないようなポイントの獲られ方をする。どうやら弖虎は基本的に、ラインの内側からラケット1本分手前か、あるいはラインそのものを狙ってボールを打ってきているようだった。そんなところを狙われたら、誰であろうと守勢を強いられることは必至だ。反撃はおろか、そのままポイントを奪われてもおかしくない。
だが、その狙いは同時に高いリスクを伴うのは言うまでもない。そのショットの成功率が5割を切るようなら、それはつまり自滅の道を突き進むことに他ならず、現に聖は弖虎の猛攻を凌ぐことで着実にポイントを積み重ね、ゲームを獲得していった。
<ヤサグレ中坊にありがちなイキリプレーじゃねェか。10球に2、3回入る程度のスーパーショットを自分の実力だと勘違いしてやがンな。コイツ、この合宿中なにしてやがったンだ? ずっと寝てたンか? これでIMGの秘蔵っ子てンなら笑わせるぜ>
相手に聞こえないのを良いことに、面白がって好き放題言うアド。だが正直なところ、聖もアドの言うことにおおむね同意してしまう。確かに脅威的な攻撃力を持っているが、こんな雑なプレーをする彼が、本当にアメリカで優秀な成績を収めたのだろうか。
(相手のプレーが明確な分、守りに徹する練習にはなる。たまに全く動けないようなとんでもないボールが来るけど、正直あれは取れなくて当然だ。でも、あんなのはアドのいうように何球かに数回。あれが決まっても気にしなくていいはず。相手が何をどうしようと、堅実にプレーするべきだ、とは思うけど……)
弖虎の放つショットは常に獰猛さをまとっている。厳しい場所を狙ってこないときでさえ、球威は恐ろしく強烈だ。それゆえ、聖は自分の意志でコントロールしてミスを誘発させたり、相手のポジションを崩して自分からポイントを奪えるようなチャンスメイクをしたくてもさせてもらえない。試合のスコアは優勢だが、少し見方を変えれば相手の出来次第で試合が動いてしまっているともいえる。
(このままなら勝てる。でも、こんな雑なプレーに付き合わされるのは、ちょっとな)
試合前、松岡は選手達に勝てと檄を飛ばした。もちろんそれは何がなんでも勝てば良いというような話ではなく、勝利するつもりで全力で戦いに挑み、合宿で得た多くのことを完全に身につけろという意味だと聖は解釈している。勝つことは目標であって、目的ではない。この合宿を通して強くなることが目的なのだ。この試合は、合宿での目的が達成されているかどうかの確認であり、ここでの勝ち負け自体に大きな意味はない。その一方で、ここで勝てないようでは目的を達成できているとは言い難く、相手本位のこの状況は聖にとって少々居心地の悪いものと言えた。
(とはいえ、それならこういう状況でも冷静にしっかり勝ち切るのが重要なはず。思い通りではない状況でも、集中力を切らしちゃダメだ)
テニスの試合は長時間に渡る。1セットしかやらないアマチュアの試合でさえ、ルールによっては1時間を越えることなどザラにあり、プロなら3セットマッチが基本、男子に至っては5セットマッチというシチュエーションが存在する。時には試合時間は4時間にも5時間にも及ぶことがあり、これは他のスポーツと比較しても異常なほど長い。
加えて、テニスには野球でいうホームラン、バスケットでいう3ポイント、ボクシングでいう1発KOといった逆転要素が無い。勝つためには1ポイントを少しずつ積み重ねていかねばならない。そういった競技特性からテニスはメンタルのスポーツであると呼ばれ、例え優勢に試合を進めていたとしても、ちょっとした心境の変化が逆転を招くきっかけになり得る。テニスの試合で勝つには、最後まで勝ち切るための精神的タフネスが不可欠だ。
『いいか、試合っていうのは恐いんだ。何が起こるか分からない。調子よくブレイクを続けて1セット目をストレートで獲る、よし、勝てる! 楽勝だ! ところがそうはいかない。2セット目、うっかりブレークされてそのまま獲られる。あちゃ~、でも次獲ればいいや。それじゃ遅いんだ。勝てそうなときほど、自分から勝ちにいかなきゃダメなんだ!』
練習後の講義で、松岡がそう言っていたことを思い出す聖。プレーにおいて、相手がミスをするのをじっくり粘って待つことと、自分が消極的なまま勝ち星の方から手元に転がってくるのを待つのは全く違う。勝利は自ら掴みにいくべきものであり、試合では勝敗がつくその瞬間まで、油断は禁物なのだ。
聖は可能な限り、ボールをコート中央に集めるセンター・セオリーに努める。スピードよりも高さと深さに注力することで、弖虎の角度をつけた攻撃を封じる。この方法なら、万が一無理やり攻撃されても、ショットの成功率を削ることができる。その戦い方はさながら、大振りパンチを狙う相手に足を使って距離を保つアウトボクサーのようだった。
(決定打を獲られないようにするのは勿論、打たせないように。今のオレのディフェンスじゃカウンターを狙うのは正直厳しい。打ち疲れて相手の球が甘くなったとしても、こっちからの攻撃は慎重にしないと……!)
弖虎が攻め、聖が守る。この試合で初めて少しラリーのやりとりが続く。さすがの弖虎も強襲が通用しない――そもそも成功率が低いのだが――と見たのか、僅かながら出力調整を下げ、攻撃の機会を窺っているようだ。
(来るッ!)
自分で打ったボールが僅かに浅くなったと感じた瞬間、聖は弖虎から攻撃の意志を読み取る。直後、跳ね際での猛烈なハードヒットが襲い掛かる。コースはまたもライン際。弖虎が執拗に狙うその場所が、禁忌領域と呼ばれる極めてリスクの高い場所であることを聖はこの合宿中に学んだ。
「……イン」
聖は弖虎の打ったショットに追い付けず、ボールを見送らざるを得なかった。そしてボールの着弾位置を、聖は正確に目で捉えることができなかった。ラインを僅かに割ったような、或いは少しだけ掛かっていたような。ボールとラインの間にハッキリとした隙間が見えなかった以上、セルフジャッジでの試合はイン判定にするのが原則だ。聖はそれに則り、ジェスチャーでショットが有効であったことを告げる。
(今のは仕方ない。あれは無理だ。でも、そう何度も決まりゃしない。次)
幸いゲームの進行に余裕はあるため、聖は気持ちを切り替える。これまでも全く反応できずにエースを獲られたポイントはあったわけだし、今のは打たれるようなボールを返してしまった自分に責任があると考えた。
<ま、なにごとも勉強だわな>
ふと、アドが言う。何のことかは分からなかったが、恐らく今の自分のジャッジの仕方について甘いと感じたのだろう。試合展開がもっと競っているなら聖ももう少しきちんと見極めるところだが、現状は大きく優勢なのだ。弖虎の決定打狙いは成功したら仕方ない。それよりも堅実に守り、弖虎に無理をさせて自滅に向かう失敗をなるべく多く誘発させるようにした方が良い、聖はそう考えた。
(本当なら、もう少し自分のテニスで勝負したかったけど、相手のプレーに惑わされるな。彼はミスが多い。好きにやらせればいい)
聖はボールを拾って、弖虎に送る。ボールを受け取った弖虎は聖を見もせずに、さっさとサーブ位置につく。視界の端で動きを捉えているのだろう、聖がリターンポジションにつくとすぐにトスを上げた。
弖虎のプレーで最も脅威的に感じるのは、第1サーブの精度だ。強引に決定打を狙ってくるストロークとは違い、サーブだけは極めて精度が高い。スピードはもちろん、確率、コースどれをとっても非の打ち所がない。それにも関わらず、その後に続く強引な決定打狙いのせいでキープに至らない。
(これだけサーブが良いのに、その後が勿体なさ過ぎる!)
そう思いながら、辛うじてリターンする聖。球威があるためきちんとボールを捉えられれば、自分が想定するよりも良いリターンが返せる。加えて、徐々に弖虎のサーブにタイミングがしっかり合い始めたようだ。聖のリターンはサーブ直後で体勢の整いきっていない弖虎に向かい飛んでいく。この状況なら、弖虎からの攻撃は無い、はずだった。
まるで壁に叩きつけたスーパーボールが跳ね返るような球威で、聖のリターンを弖虎は攻撃的に打ち返した。弖虎のバランスは整っていなかった。聖のリターンも決して甘くはなかった。それにも関わらず、間髪入れずに叩き返された。
(今、のも……まぁ、仕方ない、よな)
聖はあまりの出来事に言葉を失う。一撃でポイントを獲った弖虎は、面倒くさそうに首を回しながら、チラリと聖に視線を向ける。驚いてねぇでさっさとボールを寄越せ、とでも言いたげな表情だ。
ボールを回収しながら、聖の頭に嫌な予感が過ぎる。
(相手の攻撃が入って来なかったから、差は開いちゃいるけど)
これまで獲得してきた全てのポイントを、聖は頭の中で再生させる。
(あれらがもし、入っていたら、返球できただろうか?)
最後まで油断しないで、勝ち切るまで集中する。自分にそう言い聞かせてはいたが、聖は途中から、自分が相手の攻撃に対して必死に追いかけようとするのをやめていたことに気付く。決まったなら仕方ない、と。
不意に、聖は喉の渇きを覚えた。この試合、さきほどのポイント以外、長い打ち合いになることが殆どなかった。そのため、チェンジコートの際でも水分捕球せずさっさとポジションに向かってしまっていたのを思い出す。口に残った唾を飲み込んでみても、渇きは癒えない。むしろ粘性を帯びた唾液が喉に絡んで、不快な感じがした。サーブを打とうとしている弖虎に、視線を向ける。
年下の少年の双眸に宿る暗い光が、黒点のように揺らめいていた。
続く
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