18 / 149
第14話 GAKSO(ガクソ)
しおりを挟む
悪夢を見た
内容は思い出せない
命を脅かされて恐怖に身が竦むような
存在意義を見失い途方に暮れてしまうような
出来ていたことが出来なくなる苛立ちのような
身体を蝕まれ抗えられぬ苦痛を与えられるような
或いは
憎悪で身を焼きたくなるほど怨めしい存在への執着
心と体がちぐはぐになってままならない焦燥
大切なものを失い打ち拉がれる絶望
追い求めた何かを得られない無力
ここは何故、こんなにも苦しみに満ちている場所なのだろう
外は死で溢れかえり暗黒に満ち満ちているというのに
幽かな温もりと僅かな光があるせいで、影は色濃くより心を凍てつかせる
どうせいつか何かもが台無しになる
壊れて、朽ちて、腐って、崩れて、終わってしまう
生も死も、一切合切はやがて無へと還る
こんなことなら、はじめから無ければ良かったのに
それでも、なお――――
★
ゆっくりと、しかしやけにハッキリ聖の意識は覚醒した。
頭の中が冴えわたるようにどこか心地良く、最初から起きていたのではないかと錯覚するぐらい身体の感覚が明確に感じられる。辺りを見回すと、全体が目に優しい薄っすらとグリーンの明かりで満たされた部屋にいた。
(どこだここ……?)
ベッドに横たわっていた聖はゆっくり身体を起こす。服を着ていない事に気付いてぎょっとするが、次第に記憶が甦ってくる。そうだ、能条蓮司と試合した後、帰る前に失徳の業が発生して気を失ったんだ。
「病院……かな?」
それにしては、随分と殺風景というか静かすぎる。窓は無く、室内にあるのはベッドとキャスターのついたテーブルとロッカーくらいなもの。室温が調整されているのか寒くもなければ熱くもない。部屋全体がグリーンだと思ったのは照明のせいらしく、よくよく目を凝らすと壁も天井も真っ白だ。清潔感はあるものの、どこか無菌室的な雰囲気で人の温かみのようなものは感じられない。
ふと左手首に目をやると、ブレスレット型の携帯端末がつけられている。画面に指を触れると、細長いディスプレイに『Good morning!』と表示される。見慣れない端末なのでどう操作するのか思案していると、端末から声が聞こえてきた。
『気分は如何ですか、若槻聖くん』
聞き覚えのある声だ。その声を聞いて、それが倒れた時に駐輪場で自転車のカギを拾ってくれた老人のものであることを思い出す。白衣を着て妙なゴーグルをかけた人だった。
「あ、あの」
『君が倒れてから38時間と12分が経過しています。ここは私の研究施設で、ATCからはクルマで20分ほどの所にあります。ご両親には予め連絡してあるのでご心配には及びません。勝手ながら君が眠っている間にあれこれ検査しましたが、特に身体から異常は見られませんでした。身支度を整えたら帰って結構です。君の自転車はありませんが、良ければ超伝磁導式浮遊板をお貸しします』
いっぺんに色々言われて戸惑ったが、どうやら聖が懸念していた事柄については概ね問題ないように思える。勿論、この声の主の言う事を全て信用するならば、なのだが。とはいえ今の聖には事の真偽を確かめる手段は無い。一旦頭の中を整理して、質問を口にしようとしたその時、ドアが開いた。
横開きの自動ドアの前には、先日老人と一緒にいたプラチナブロンドの人形然とした少女がトレーを手に立っている。漂ってきた匂いから、どうやら食事を運んできてくれたらしい。真っ黒でシンプルなキャミソールを着た少女は、大きな瞳で聖を捉えながら微動だにしない。
『マリー、入りなさい。彼に食事を』
老人の声がすると、マリーと呼ばれた少女はゆっくりと入室する。ベッドの横にあるテーブルにトレーを置く際、かがんだ拍子に彼女の胸元がチラリと覗き、聖は思わず目を背ける。
「お召し物ハ、そちラの、ろっかー、ニ。クリーニング及ビ、除菌済ミでス」
やけにイントネーションに特徴がある。一昔前のロボット音声みたいな喋り方だ。外国人のせいか年齢が分かり難いが、声の感じからして年下だと思う。そういう年頃にありがちな一種のキャラづくりだろうかとつい邪推する。そしてふと、聖が気を失う直後の記憶が幽かに過った。
「君が、運んでくれたの?」
恐る恐る聞いてみると、少女は妙な口調のまま答える。
「お食事ハ、私が運びまシタ」
「あ、いや、それはありがとう。じゃなくて、僕をこの研究施設に運んだのは」
「イエス、実験材料を、研究施設へ運ンダのは、私デス」
サンプル?質問の意図が伝わってないのか良く分からない事をいう。というか、キャラ作りにしてはやり過ぎな気がする。もう少し彼女に何か質問をしようと思ったが、テーブルに置かれた食事の匂いが鼻をくすぐったせいで急に空腹を感じた。ひと先ずありがたく頂戴しようとベッドから降りようとしたところで、自分が何も身に付けていない事を思い出し辛うじて踏みとどまる。
「あ、あのさ、えぇっと、マリーさん?着替えたいからちょっとその、外の方に……」
「お召し物ハ、そちラの、ろっかー、ニ。クリーニング及ビ、除菌済ミでス」
マリーは聖を見据えたまま動じない。退室する気配もないので聖はどうしたものかと考えあぐねてしまう。
「彼女に対する羞恥心は無意味ですよ」
すると、先ほどの声の主である老人が姿を見せた。
「まぁ、思春期の男の子なら姿形が異性のそれだと気にしてしまいますか。マリー、退室しなさい。雑務の処理を実行するように」
「畏まりまシタ。新星教授」
そういうとマリーはすぐさま退室し、部屋には全裸の聖と新星教授と呼ばれた老人が残った。気まずい沈黙が流れ、聖が新星に視線を送ると、首をすくめておどけるようにしてから新星が後ろを向く。その隙にそそくさとロッカーから聖の服を取り出し着替える。新品みたいに綺麗になっていたのには驚いた。
「食事をしたままで結構です。今さらですが自己紹介をしておきましょう。私の名は新星。しがない科学者の端くれです。ATCの沙粧女史とはビジネスパートナー、といった所でしょうか。先日彼女と直接お話をする必要があって伺った際、偶然君を見掛け道を尋ねたところ、君は私の目の前で意識を失いました。幸い深刻な状態ではなさそうだったので病院ではなく私の研究施設へ運びました。スタッフには優秀な医師もいますから、ご安心を。しかし検査したものの、君の身体にはこれといった不具合は検出されませんでした。とはいえ、意識レベルが戻らなかった為、お節介とは思いましたがATCの沙粧女史を通じてご両親に連絡、ご了解を頂いた上で丁重にお預かりし、経過観察させて頂いた次第です。ここまでで質問は?」
聖は一度食べ始めると食欲が沸いてしまい、新星が話している間もひたすら手を止めずに食べた。簡素なトレーに盛られていたので味気ないものかと思いきや、思いのほか食が進んでペロリと平らげた。
食事を済ませ、水をぐいっと飲んでひと心地付いた聖は、まずは新星に礼を言った。あわや救急車を呼ばれて大騒ぎ、という事態を避けられたのは非常に大きい。突然見知らぬ他人から連絡があった上、あれこれと面倒を見て貰ったことについては両親からあとで口煩く言われそうだが、本人の無事さえ確認出来ればどうにかなるだろう。親の説教一つで大事を避けられるなら安いものだ。
「ところで、君はテニス選手を目指しているということらしいですが」
突然、話題が変わる。
「何故君はアンドレ・アガシやレイトン・ヒューイットのようなプレイが出来るのです?」
頭を後ろから殴られたような衝撃が聖を襲う。
なんで、それを?
「実は沙粧女史から君が選手育成クラスに入会を決めた時の試合について情報共有がありましてね。更に偶々君と会ったあの日、私はジュニア選手の練習内容を閲覧していました。私は科学者の端くれなのでね、研究の一環として沙粧女史からトレーニング効果の最適化を行うための研究をする名目でATCの9割近いWEBカメラにアクセスする権利を与えて貰っているのです。お陰で君と能条君の試合を見ることが出来ました」
ずっと見られていた?
聖の鼓動が早くなる。秘密がバレるのではないかという焦燥感が聖を襲い、水を飲んだばかりだというのに口の中から水分がなくなる。冷静に考えればバレようはずもないことだが、現にこの老人は真実の一端に触れている。
「正直大変驚いています。もしかして君は別の研究機関で何かしら特殊なトレーニングを受けているのではないかと思いましてね。でなければあんな風に完璧にプロ選手のプレーを再現出来るはずがない。模倣や真似事といったレベルを遥かに超えていた。実に素晴らしい!大変興味深ァい!」
新星は感慨にふけりながら楽しそうに喋っている。
「スポーツを通して人類は新たなステージに立てるというのが私の公向けの信条ですが、それには最先端の科学技術を用いて常に常識を更新して行くと共に、過去の名選手たちが残した実績から多くを学ぶことも同じように肝要なのです。私自身はテニスに関して素人ですが、集積したデータベースを元に日々研究を行っています。沙粧女史が寄越した君と黒鉄選手との試合で見せた君の動きはまさしくアンドレ・アガシそのもの!フォームを真似たとかそういう次元を超越したまさに再現でした!あれは君独自の練習による成果ですか?それとも」
ゴーグルをつけたままの新星教授は、心底興味深そうに尋ねる。
「君自身がアンドレ・アガシとか?」
ゴーグルで隠された新星教授の目にどんな表情が浮かんでいるのか、聖には分かろうはずもない。だが、確信できる。この男の目には、単純な好奇心だけが浮かんでいる。それも、まるでカゴに入れた虫を観察するような、出来たばかりの薬を注射されたラットの反応を記録するような、どこの筋肉をいじればどこが動くのかを死体で試すような、冷酷で無機質な研究者の視線であるに違いなかった。
「ヒャハハハハハハハハハ!!」
聖が何も言えず新星教授の様子に圧倒されていると、彼は突然笑い出した。
「などという事は有り得ないのです!彼はまだ存命ですしラスベガスで優雅に過ごしておられるハズ。それに君は先日、ヒューイットのような戦いぶりも見せていました。あとはそうですねぇ、2人ほどではないにせよ、シュワルツマンとも似たプレーも見せていました。こちらは少々再現率が低かったのでなんとも言えませんがね。君がどのようにしてプロのプレーを再現するに至ったかは謎ですが、それについて調べる為にリソースを割く余裕が今は無いのでね。それにテニスの技術は進化し続けています。過去の名選手のプレーを再現出来るのは驚異的な事ではありますが、所詮は過去は過去なのです。学ぶべき部分があるというだけで最先端には成り得ない。個人的興味は尽きませんが研究対象としては優先順位は高くないのです。ともあれ――」
捲し立てるように話す新星は一度言葉を切る。
「そのうち、解き明かしてみせましょう」
★
「本当に歩いて帰りますか?超伝磁導式浮遊板には自動運転機能がありますから、非常に安全ですよ。使い終われば返しに来ずとも勝手に帰投出来るというのに」
「いえ、これもトレーニングなので」
結局、聖は自宅まで歩いて帰った。倒れた日と、その翌日丸一日と2日間も外泊することとなり、帰宅後は母親からかなりネチネチと説教されてしまった。幸いなことに、外泊の理由については聖の体調不良ではなく急遽決まった泊りがけのトレーニングに参加する、と説明されていたお陰で身体についてあれこれ心配されることは無かった。
自室につくなりベッドに倒れ込んだ聖は、心の底から呟いた。
「すンげ~恐かった。あの人」
<得体の知れねェ迫力はあったな?>
アドは、新星教授の研究施設では話しかけてこなかった。
<人間は普通、自分が気を失っている間の出来事についてあれこれ知る術を持たねェ。目が覚めたンなら自力で状況の確認をして事の真偽を確かめるのもてめェの責任でやるのが当然>というのが理由だそうだ。
つまり、彼らは虚空の記憶を通じて叡智の結晶を与える為のサポートはしてくれるものの、それ以外の部分について聖にあれこれ手を貸すのはルール違反、ということらしい。
<ま、とはいえコッチの都合でオマエを取り巻く環境が変わってきてるって見方も出来るからな。絶対に一切協力しねェ、なんて意地悪は言わねェよ。ただ、なんでもかんでも頼られるわけにはいかねェからな。極力てめェの世話はてめェで焼けってこった。良い子にしてりゃ、たまにサービスしてやるかもな>
アドのスタンスは始めこそ不誠実だと思ったが、与えてくれる力の大きさを考えれば当然のように思えた。それに彼等に頼りきりでは、ハルナに認められる選手になるという目的は達成できない。厳密に言えば全てが自力ではない時点で論理的にはやや破綻しているのだが、この辺りは正直なところ聖の気持ちの問題だ。一番初めにアドが聖に関わって来なければ、聖はあのままテニスを続けていた可能性もあるのだから、多少の助力は当然と割り切る事にしている。
それよりも。
「危うく見抜かれるかと思った」
黒鉄徹磨との試合については、確かに誰かが撮影していてその様子を何かしらの参考にされる恐れがあることは理解できる。だが、まさか蓮司との試合まで見られていたとは。聖は新星教授のあのゴーグルを思い出し、今もなおその視線が向けられているような気がして思わず部屋の中を見渡してしまう。
<別に心配するこっちゃねェよ。人間ごときに仕組みが解明できるもンじゃねェし>
「そうはいうけどさ」
<つーか、あの連中はなンだ?イカレたマッドサイエンティスト集団か?>
新星教授と話しているときに聖は思い出すことが出来なかったが、聖は彼を知っている。といっても、日本の首相が誰かを知っているというのと大差ないレベルの知見なのだが。
「スポーツ科学の研究チーム……組織だよ。確か、名前は『GAKSO』。旧東京五輪――1964年開催――、その開催に向けて設立されたんじゃなかったかな。その頃は大した功績を残せなかったらしいけど、その後も研究を続けてたみたい。それが21世紀になってから開催された2度目の東京五輪では彼等の研究成果が大活躍だったらしくて。金メダルでアメリカを抜いたのは選手はもちろん、彼等の研究成果だってニュースでやってたよ。新星教授はGAKUSOの責任者だったと思う。メディアで見た記憶がある」
彼らは『人間の運動能力向上に必要な多角的研究』を目的としている。
ここでいう『運動能力』は単純にスポーツだけに留まらず、生活に必要な動作全般を指している。元々の組織設立背景が旧東京五輪での活躍ではあったが、それを実現するにはあまりに時間が足らなかった。
世界各地で単発的な小競り合いこそ未だあるものの、兵器による大規模な戦争は縮小傾向にあり、その代わりにスポーツを使って国の権威を示そうとする動きが静かに広がった。オリンピックがそうした大国同士の『代理戦争』的な役割を密かに担うようになったことで、ならば人間そのものを強化しようとする考えに至り、日本政府も研究の後押しを行っている。
新星が口にしていた「スポーツを通して人類は新たなステージに立てる」というポリシーについても、スポーツが持つ健全なイメージを隠れ蓑にした人体実験の正当化であるという批判は時折あがっている。しかし、前世紀から飛躍的に進化した義手、義足、義眼などのいわゆる『義体パーツ』や、自分自身の細胞を使った臓器培養、血液貯蔵といった研究成果は医療分野の大きな発展に貢献した上、日本のみならず少子高齢化に頭を悩ませる各国が問題解決に必要とする時間を引き延ばすなど、その恩恵は多大なものである為、そうした批判はことごとく無視されている。
<へェ~。思わぬ大物とコネが出来たじゃねェか。あのジジイなら人間改造手術ぐれェ出来そうだな。いっそ頼んで機械の体を手に入れてみちゃどうだ?あの金髪ダッチワイフみてェによ。そうすりゃ肉体強度不足による失徳の業は軽減できるかもなァ>
「あの金髪って?」
<おめェがおっぱいチラ見したアイツだよ。ありゃ9割人間じゃねェぜ>
「え」
食事を運んできてくれた、マリーと呼ばれた人形のような少女。
機械のような雰囲気といえばリピカを思い出すが、印象は異なる。リピカは見た目からしてまるで人形のようで、喋り方も感情の起伏もどこか人間離れしている。一方、マリーはもっと肉感的というか、人間が人形のフリをしているかのような印象だ。人形っぽい印象という意味では同じなのだが、人形が人間の様に動くのと、人間が人形のように振舞うのとでは印象が異なる。
「彼女、人間じゃないの?」
<9割な。どこがどうなってるかまでは知らねェが、身体はほぼ機械だ。喋り方も思いっきりロボだっただろ?ワ・レ・ワ・レ・ハ・ウ・チュ・ウ・ジ・ン・つって。あ、こりゃ宇宙人か>
「9割!?」
最近では非常に高性能な人体パーツが市場にも出回るようになったとニュースで見たのを聖は思い出す。中には、肉体との神経接続に成功した機械義体なる革新的な医療機具も出始めているという。新星教授の秘書のような立ち回りをしていたところを見るに、彼女の身体はそういう技術の結晶なのかもしれない。
技術の結晶、という言葉が頭に浮かんだ聖は、つい叡智の結晶と比較してしまう。技術とはつまり、多くの人間の知恵や経験の粋を集めた、それこそ叡智の結晶だ。9割ということは、もしかすると脳以外は全部機械なのかもしれない。彼女の妙な喋り方は、人工声帯や内蔵マイクによる発声だったからなのだろうか。
聖がそんなことに思考を巡らせていると、イラついた声色でアドが茶々を入れてきた。
<ボケ殺したァおめェ随分だなオイ>
「拾い難いんだよ……」
<おめェにツッコミのセンスがねェだけだ。もっと真面目に笑いについて学ンでくれ>
真面目な思考を中断され、なんだか疲れを覚える聖。
「とにかく、あの新星教授には気を付けないとな……」
<気にすンなよ。オメーはオメーのやるべきことをやりゃ良いンだ。あんなのは所詮、スポーツ専門のマッドサイエンティストってだけさ。アイツに何がどうこう出来るとも思えねェ。もしアイツの相手をするンだとしたら、そりゃあ――>
言葉を待つが、変な所で言葉を切って先を続けないアド。
「そりゃあ?」
<オメーがシニア向けの大会に出る時じゃねェ?>
「んん?意味が分からないんだけど」
<っせーなー、とにかくあンなジジイは放っとけ。それよかオメェ、連休最終日に団体戦出るんだろ?それについて対策練った方が良いンじゃねェの?ついでにいうと今日は思いっきりド平日の水曜日でそろそろ昼だけどよ、高校の授業をすっぽかすなんざァ、学費を払ってくださってるご両親に申し訳ねェと思わンの?プロ目指すにせよ勉強は疎かにしちゃいかンだろ?それともサボってタバコでもふかしに行くか?>
「あ、やば!」
聖は慌てて着替え、急いで学校へ向かった。
続く
内容は思い出せない
命を脅かされて恐怖に身が竦むような
存在意義を見失い途方に暮れてしまうような
出来ていたことが出来なくなる苛立ちのような
身体を蝕まれ抗えられぬ苦痛を与えられるような
或いは
憎悪で身を焼きたくなるほど怨めしい存在への執着
心と体がちぐはぐになってままならない焦燥
大切なものを失い打ち拉がれる絶望
追い求めた何かを得られない無力
ここは何故、こんなにも苦しみに満ちている場所なのだろう
外は死で溢れかえり暗黒に満ち満ちているというのに
幽かな温もりと僅かな光があるせいで、影は色濃くより心を凍てつかせる
どうせいつか何かもが台無しになる
壊れて、朽ちて、腐って、崩れて、終わってしまう
生も死も、一切合切はやがて無へと還る
こんなことなら、はじめから無ければ良かったのに
それでも、なお――――
★
ゆっくりと、しかしやけにハッキリ聖の意識は覚醒した。
頭の中が冴えわたるようにどこか心地良く、最初から起きていたのではないかと錯覚するぐらい身体の感覚が明確に感じられる。辺りを見回すと、全体が目に優しい薄っすらとグリーンの明かりで満たされた部屋にいた。
(どこだここ……?)
ベッドに横たわっていた聖はゆっくり身体を起こす。服を着ていない事に気付いてぎょっとするが、次第に記憶が甦ってくる。そうだ、能条蓮司と試合した後、帰る前に失徳の業が発生して気を失ったんだ。
「病院……かな?」
それにしては、随分と殺風景というか静かすぎる。窓は無く、室内にあるのはベッドとキャスターのついたテーブルとロッカーくらいなもの。室温が調整されているのか寒くもなければ熱くもない。部屋全体がグリーンだと思ったのは照明のせいらしく、よくよく目を凝らすと壁も天井も真っ白だ。清潔感はあるものの、どこか無菌室的な雰囲気で人の温かみのようなものは感じられない。
ふと左手首に目をやると、ブレスレット型の携帯端末がつけられている。画面に指を触れると、細長いディスプレイに『Good morning!』と表示される。見慣れない端末なのでどう操作するのか思案していると、端末から声が聞こえてきた。
『気分は如何ですか、若槻聖くん』
聞き覚えのある声だ。その声を聞いて、それが倒れた時に駐輪場で自転車のカギを拾ってくれた老人のものであることを思い出す。白衣を着て妙なゴーグルをかけた人だった。
「あ、あの」
『君が倒れてから38時間と12分が経過しています。ここは私の研究施設で、ATCからはクルマで20分ほどの所にあります。ご両親には予め連絡してあるのでご心配には及びません。勝手ながら君が眠っている間にあれこれ検査しましたが、特に身体から異常は見られませんでした。身支度を整えたら帰って結構です。君の自転車はありませんが、良ければ超伝磁導式浮遊板をお貸しします』
いっぺんに色々言われて戸惑ったが、どうやら聖が懸念していた事柄については概ね問題ないように思える。勿論、この声の主の言う事を全て信用するならば、なのだが。とはいえ今の聖には事の真偽を確かめる手段は無い。一旦頭の中を整理して、質問を口にしようとしたその時、ドアが開いた。
横開きの自動ドアの前には、先日老人と一緒にいたプラチナブロンドの人形然とした少女がトレーを手に立っている。漂ってきた匂いから、どうやら食事を運んできてくれたらしい。真っ黒でシンプルなキャミソールを着た少女は、大きな瞳で聖を捉えながら微動だにしない。
『マリー、入りなさい。彼に食事を』
老人の声がすると、マリーと呼ばれた少女はゆっくりと入室する。ベッドの横にあるテーブルにトレーを置く際、かがんだ拍子に彼女の胸元がチラリと覗き、聖は思わず目を背ける。
「お召し物ハ、そちラの、ろっかー、ニ。クリーニング及ビ、除菌済ミでス」
やけにイントネーションに特徴がある。一昔前のロボット音声みたいな喋り方だ。外国人のせいか年齢が分かり難いが、声の感じからして年下だと思う。そういう年頃にありがちな一種のキャラづくりだろうかとつい邪推する。そしてふと、聖が気を失う直後の記憶が幽かに過った。
「君が、運んでくれたの?」
恐る恐る聞いてみると、少女は妙な口調のまま答える。
「お食事ハ、私が運びまシタ」
「あ、いや、それはありがとう。じゃなくて、僕をこの研究施設に運んだのは」
「イエス、実験材料を、研究施設へ運ンダのは、私デス」
サンプル?質問の意図が伝わってないのか良く分からない事をいう。というか、キャラ作りにしてはやり過ぎな気がする。もう少し彼女に何か質問をしようと思ったが、テーブルに置かれた食事の匂いが鼻をくすぐったせいで急に空腹を感じた。ひと先ずありがたく頂戴しようとベッドから降りようとしたところで、自分が何も身に付けていない事を思い出し辛うじて踏みとどまる。
「あ、あのさ、えぇっと、マリーさん?着替えたいからちょっとその、外の方に……」
「お召し物ハ、そちラの、ろっかー、ニ。クリーニング及ビ、除菌済ミでス」
マリーは聖を見据えたまま動じない。退室する気配もないので聖はどうしたものかと考えあぐねてしまう。
「彼女に対する羞恥心は無意味ですよ」
すると、先ほどの声の主である老人が姿を見せた。
「まぁ、思春期の男の子なら姿形が異性のそれだと気にしてしまいますか。マリー、退室しなさい。雑務の処理を実行するように」
「畏まりまシタ。新星教授」
そういうとマリーはすぐさま退室し、部屋には全裸の聖と新星教授と呼ばれた老人が残った。気まずい沈黙が流れ、聖が新星に視線を送ると、首をすくめておどけるようにしてから新星が後ろを向く。その隙にそそくさとロッカーから聖の服を取り出し着替える。新品みたいに綺麗になっていたのには驚いた。
「食事をしたままで結構です。今さらですが自己紹介をしておきましょう。私の名は新星。しがない科学者の端くれです。ATCの沙粧女史とはビジネスパートナー、といった所でしょうか。先日彼女と直接お話をする必要があって伺った際、偶然君を見掛け道を尋ねたところ、君は私の目の前で意識を失いました。幸い深刻な状態ではなさそうだったので病院ではなく私の研究施設へ運びました。スタッフには優秀な医師もいますから、ご安心を。しかし検査したものの、君の身体にはこれといった不具合は検出されませんでした。とはいえ、意識レベルが戻らなかった為、お節介とは思いましたがATCの沙粧女史を通じてご両親に連絡、ご了解を頂いた上で丁重にお預かりし、経過観察させて頂いた次第です。ここまでで質問は?」
聖は一度食べ始めると食欲が沸いてしまい、新星が話している間もひたすら手を止めずに食べた。簡素なトレーに盛られていたので味気ないものかと思いきや、思いのほか食が進んでペロリと平らげた。
食事を済ませ、水をぐいっと飲んでひと心地付いた聖は、まずは新星に礼を言った。あわや救急車を呼ばれて大騒ぎ、という事態を避けられたのは非常に大きい。突然見知らぬ他人から連絡があった上、あれこれと面倒を見て貰ったことについては両親からあとで口煩く言われそうだが、本人の無事さえ確認出来ればどうにかなるだろう。親の説教一つで大事を避けられるなら安いものだ。
「ところで、君はテニス選手を目指しているということらしいですが」
突然、話題が変わる。
「何故君はアンドレ・アガシやレイトン・ヒューイットのようなプレイが出来るのです?」
頭を後ろから殴られたような衝撃が聖を襲う。
なんで、それを?
「実は沙粧女史から君が選手育成クラスに入会を決めた時の試合について情報共有がありましてね。更に偶々君と会ったあの日、私はジュニア選手の練習内容を閲覧していました。私は科学者の端くれなのでね、研究の一環として沙粧女史からトレーニング効果の最適化を行うための研究をする名目でATCの9割近いWEBカメラにアクセスする権利を与えて貰っているのです。お陰で君と能条君の試合を見ることが出来ました」
ずっと見られていた?
聖の鼓動が早くなる。秘密がバレるのではないかという焦燥感が聖を襲い、水を飲んだばかりだというのに口の中から水分がなくなる。冷静に考えればバレようはずもないことだが、現にこの老人は真実の一端に触れている。
「正直大変驚いています。もしかして君は別の研究機関で何かしら特殊なトレーニングを受けているのではないかと思いましてね。でなければあんな風に完璧にプロ選手のプレーを再現出来るはずがない。模倣や真似事といったレベルを遥かに超えていた。実に素晴らしい!大変興味深ァい!」
新星は感慨にふけりながら楽しそうに喋っている。
「スポーツを通して人類は新たなステージに立てるというのが私の公向けの信条ですが、それには最先端の科学技術を用いて常に常識を更新して行くと共に、過去の名選手たちが残した実績から多くを学ぶことも同じように肝要なのです。私自身はテニスに関して素人ですが、集積したデータベースを元に日々研究を行っています。沙粧女史が寄越した君と黒鉄選手との試合で見せた君の動きはまさしくアンドレ・アガシそのもの!フォームを真似たとかそういう次元を超越したまさに再現でした!あれは君独自の練習による成果ですか?それとも」
ゴーグルをつけたままの新星教授は、心底興味深そうに尋ねる。
「君自身がアンドレ・アガシとか?」
ゴーグルで隠された新星教授の目にどんな表情が浮かんでいるのか、聖には分かろうはずもない。だが、確信できる。この男の目には、単純な好奇心だけが浮かんでいる。それも、まるでカゴに入れた虫を観察するような、出来たばかりの薬を注射されたラットの反応を記録するような、どこの筋肉をいじればどこが動くのかを死体で試すような、冷酷で無機質な研究者の視線であるに違いなかった。
「ヒャハハハハハハハハハ!!」
聖が何も言えず新星教授の様子に圧倒されていると、彼は突然笑い出した。
「などという事は有り得ないのです!彼はまだ存命ですしラスベガスで優雅に過ごしておられるハズ。それに君は先日、ヒューイットのような戦いぶりも見せていました。あとはそうですねぇ、2人ほどではないにせよ、シュワルツマンとも似たプレーも見せていました。こちらは少々再現率が低かったのでなんとも言えませんがね。君がどのようにしてプロのプレーを再現するに至ったかは謎ですが、それについて調べる為にリソースを割く余裕が今は無いのでね。それにテニスの技術は進化し続けています。過去の名選手のプレーを再現出来るのは驚異的な事ではありますが、所詮は過去は過去なのです。学ぶべき部分があるというだけで最先端には成り得ない。個人的興味は尽きませんが研究対象としては優先順位は高くないのです。ともあれ――」
捲し立てるように話す新星は一度言葉を切る。
「そのうち、解き明かしてみせましょう」
★
「本当に歩いて帰りますか?超伝磁導式浮遊板には自動運転機能がありますから、非常に安全ですよ。使い終われば返しに来ずとも勝手に帰投出来るというのに」
「いえ、これもトレーニングなので」
結局、聖は自宅まで歩いて帰った。倒れた日と、その翌日丸一日と2日間も外泊することとなり、帰宅後は母親からかなりネチネチと説教されてしまった。幸いなことに、外泊の理由については聖の体調不良ではなく急遽決まった泊りがけのトレーニングに参加する、と説明されていたお陰で身体についてあれこれ心配されることは無かった。
自室につくなりベッドに倒れ込んだ聖は、心の底から呟いた。
「すンげ~恐かった。あの人」
<得体の知れねェ迫力はあったな?>
アドは、新星教授の研究施設では話しかけてこなかった。
<人間は普通、自分が気を失っている間の出来事についてあれこれ知る術を持たねェ。目が覚めたンなら自力で状況の確認をして事の真偽を確かめるのもてめェの責任でやるのが当然>というのが理由だそうだ。
つまり、彼らは虚空の記憶を通じて叡智の結晶を与える為のサポートはしてくれるものの、それ以外の部分について聖にあれこれ手を貸すのはルール違反、ということらしい。
<ま、とはいえコッチの都合でオマエを取り巻く環境が変わってきてるって見方も出来るからな。絶対に一切協力しねェ、なんて意地悪は言わねェよ。ただ、なんでもかんでも頼られるわけにはいかねェからな。極力てめェの世話はてめェで焼けってこった。良い子にしてりゃ、たまにサービスしてやるかもな>
アドのスタンスは始めこそ不誠実だと思ったが、与えてくれる力の大きさを考えれば当然のように思えた。それに彼等に頼りきりでは、ハルナに認められる選手になるという目的は達成できない。厳密に言えば全てが自力ではない時点で論理的にはやや破綻しているのだが、この辺りは正直なところ聖の気持ちの問題だ。一番初めにアドが聖に関わって来なければ、聖はあのままテニスを続けていた可能性もあるのだから、多少の助力は当然と割り切る事にしている。
それよりも。
「危うく見抜かれるかと思った」
黒鉄徹磨との試合については、確かに誰かが撮影していてその様子を何かしらの参考にされる恐れがあることは理解できる。だが、まさか蓮司との試合まで見られていたとは。聖は新星教授のあのゴーグルを思い出し、今もなおその視線が向けられているような気がして思わず部屋の中を見渡してしまう。
<別に心配するこっちゃねェよ。人間ごときに仕組みが解明できるもンじゃねェし>
「そうはいうけどさ」
<つーか、あの連中はなンだ?イカレたマッドサイエンティスト集団か?>
新星教授と話しているときに聖は思い出すことが出来なかったが、聖は彼を知っている。といっても、日本の首相が誰かを知っているというのと大差ないレベルの知見なのだが。
「スポーツ科学の研究チーム……組織だよ。確か、名前は『GAKSO』。旧東京五輪――1964年開催――、その開催に向けて設立されたんじゃなかったかな。その頃は大した功績を残せなかったらしいけど、その後も研究を続けてたみたい。それが21世紀になってから開催された2度目の東京五輪では彼等の研究成果が大活躍だったらしくて。金メダルでアメリカを抜いたのは選手はもちろん、彼等の研究成果だってニュースでやってたよ。新星教授はGAKUSOの責任者だったと思う。メディアで見た記憶がある」
彼らは『人間の運動能力向上に必要な多角的研究』を目的としている。
ここでいう『運動能力』は単純にスポーツだけに留まらず、生活に必要な動作全般を指している。元々の組織設立背景が旧東京五輪での活躍ではあったが、それを実現するにはあまりに時間が足らなかった。
世界各地で単発的な小競り合いこそ未だあるものの、兵器による大規模な戦争は縮小傾向にあり、その代わりにスポーツを使って国の権威を示そうとする動きが静かに広がった。オリンピックがそうした大国同士の『代理戦争』的な役割を密かに担うようになったことで、ならば人間そのものを強化しようとする考えに至り、日本政府も研究の後押しを行っている。
新星が口にしていた「スポーツを通して人類は新たなステージに立てる」というポリシーについても、スポーツが持つ健全なイメージを隠れ蓑にした人体実験の正当化であるという批判は時折あがっている。しかし、前世紀から飛躍的に進化した義手、義足、義眼などのいわゆる『義体パーツ』や、自分自身の細胞を使った臓器培養、血液貯蔵といった研究成果は医療分野の大きな発展に貢献した上、日本のみならず少子高齢化に頭を悩ませる各国が問題解決に必要とする時間を引き延ばすなど、その恩恵は多大なものである為、そうした批判はことごとく無視されている。
<へェ~。思わぬ大物とコネが出来たじゃねェか。あのジジイなら人間改造手術ぐれェ出来そうだな。いっそ頼んで機械の体を手に入れてみちゃどうだ?あの金髪ダッチワイフみてェによ。そうすりゃ肉体強度不足による失徳の業は軽減できるかもなァ>
「あの金髪って?」
<おめェがおっぱいチラ見したアイツだよ。ありゃ9割人間じゃねェぜ>
「え」
食事を運んできてくれた、マリーと呼ばれた人形のような少女。
機械のような雰囲気といえばリピカを思い出すが、印象は異なる。リピカは見た目からしてまるで人形のようで、喋り方も感情の起伏もどこか人間離れしている。一方、マリーはもっと肉感的というか、人間が人形のフリをしているかのような印象だ。人形っぽい印象という意味では同じなのだが、人形が人間の様に動くのと、人間が人形のように振舞うのとでは印象が異なる。
「彼女、人間じゃないの?」
<9割な。どこがどうなってるかまでは知らねェが、身体はほぼ機械だ。喋り方も思いっきりロボだっただろ?ワ・レ・ワ・レ・ハ・ウ・チュ・ウ・ジ・ン・つって。あ、こりゃ宇宙人か>
「9割!?」
最近では非常に高性能な人体パーツが市場にも出回るようになったとニュースで見たのを聖は思い出す。中には、肉体との神経接続に成功した機械義体なる革新的な医療機具も出始めているという。新星教授の秘書のような立ち回りをしていたところを見るに、彼女の身体はそういう技術の結晶なのかもしれない。
技術の結晶、という言葉が頭に浮かんだ聖は、つい叡智の結晶と比較してしまう。技術とはつまり、多くの人間の知恵や経験の粋を集めた、それこそ叡智の結晶だ。9割ということは、もしかすると脳以外は全部機械なのかもしれない。彼女の妙な喋り方は、人工声帯や内蔵マイクによる発声だったからなのだろうか。
聖がそんなことに思考を巡らせていると、イラついた声色でアドが茶々を入れてきた。
<ボケ殺したァおめェ随分だなオイ>
「拾い難いんだよ……」
<おめェにツッコミのセンスがねェだけだ。もっと真面目に笑いについて学ンでくれ>
真面目な思考を中断され、なんだか疲れを覚える聖。
「とにかく、あの新星教授には気を付けないとな……」
<気にすンなよ。オメーはオメーのやるべきことをやりゃ良いンだ。あんなのは所詮、スポーツ専門のマッドサイエンティストってだけさ。アイツに何がどうこう出来るとも思えねェ。もしアイツの相手をするンだとしたら、そりゃあ――>
言葉を待つが、変な所で言葉を切って先を続けないアド。
「そりゃあ?」
<オメーがシニア向けの大会に出る時じゃねェ?>
「んん?意味が分からないんだけど」
<っせーなー、とにかくあンなジジイは放っとけ。それよかオメェ、連休最終日に団体戦出るんだろ?それについて対策練った方が良いンじゃねェの?ついでにいうと今日は思いっきりド平日の水曜日でそろそろ昼だけどよ、高校の授業をすっぽかすなんざァ、学費を払ってくださってるご両親に申し訳ねェと思わンの?プロ目指すにせよ勉強は疎かにしちゃいかンだろ?それともサボってタバコでもふかしに行くか?>
「あ、やば!」
聖は慌てて着替え、急いで学校へ向かった。
続く
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

シーフードミックス
黒はんぺん
SF
ある日あたしはロブスターそっくりの宇宙人と出会いました。出会ったその日にハンバーガーショップで話し込んでしまいました。
以前からあたしに憑依する何者かがいたけれど、それは宇宙人さんとは無関係らしい。でも、その何者かさんはあたしに警告するために、とうとうあたしの内宇宙に乗り込んできたの。
ちょっとびっくりだけど、あたしの内宇宙には天の川銀河やアンドロメダ銀河があります。よかったら見物してってね。
内なる宇宙にもあたしの住むご町内にも、未知の生命体があふれてる。遭遇の日々ですね。
天使の隣
鉄紺忍者
大衆娯楽
人間の意思に反応する『フットギア』という特殊なシューズで走る新世代・駅伝SFストーリー!レース前、主人公・栗原楓は憧れの神宮寺エリカから突然声をかけられた。慌てふためく楓だったが、実は2人にはとある共通点があって……?
みなとみらいと八景島を結ぶ絶景のコースを、7人の女子大生ランナーが駆け抜ける!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる