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Emotion In Starless Sky

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 何時もと同じ朝を迎え、少女は服を着替える。青を中心にコーディネートされた服装に身を包み、肩に触れるボブカットの先端を軽く指で跳ね除け、家を出た。
 今朝の夢は少し不思議だった。女戦士となった自分が、崩壊する世界で最愛の少年に護られながら、漆黒の空に戦いを挑む……。それは昨夜寝る前に少しだけプレイした、パズルRPGゲームの影響だとは容易に想像できた。
 星無き空に紡ぐ、愛と未来の行方。そのキャッチコピーが、2人のために生まれてきたとさえ思えてくる。少し痛々しいと思われようと、それが今の偽りなき思い。

 人は誰もが、迷いながら生きる。だから人は、澪標となる存在を求める。それは人、物、そして神と呼ばれる存在。人によって異なるそれは、少女にとってはとある少年だった。
 力になりたい。あたしがついてる。数え切れないほど、そう言った。好きと言ったことは数回しか無く、何時から愛しているとしか言わなくなった。悲しみや苦しみさえも受け止める、それが愛すると云うこと。
 ……誰かの澪標となるために、あたしはそう名付けられたのかもしれない。
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