俺が彼女を二度殺した理由。

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職質

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「遂に援交属性まで追加されちまったな……」

 人生初の職務質問は10分程度であったが、永遠のように感じた。
 出来ることなら、最初で最後であって欲しい。

「いやー、一瞬でも女子高生に見えてしまって申し訳ありません」

 だから嬉しそうにすんな。
 実際、浄御原のヴィジュアルは整ってはいるが、どちらかというと大人っぽいキレイ系だ。
 ただまぁ、決して老けて見えるわけではないので〝女子高生〟だとゴリ押しされれば勢いで納得させられてしまう。その程度だ。

「んじゃもう早いとこ、殺人鬼の〝俺〟とご対面と行こうぜ。もう十分イロイロと疲弊したからな」
「分かりました。それでは失礼します」

 次はどんな嫌がらせが待っているのだろうとビクビクしていたが、さすがにこの展開は予想していなかった。

 俺の唇から浄御原の唇が離れた瞬間、彼女の顔は真っ赤になった。

「……どうして気絶しないんですか?」
「いや……、さすがに動揺はしているが」
「童貞のクセに……」

 俺を童貞と踏み、キスで気を失うと計算したのだろう。
 狙いが外れた彼女は俺を睨みながら、鳩尾に右フックを決めてきた。
 お前が自爆しただけなのに逆恨みにも程がある。
 薄れゆく意識の中で、思った。
 きっと彼女は、本来そんなキャラクターではないのだろう。
 無理をするからこうなる。俺が。


「とりあえず当然のようにラブホにいることにはもう突っ込まん。今度こそ手引きには成功したんだろうな?」

 3日目ともなれば、この一連の流れにも慣れたものだ。
 俺は今、キングサイズのベッドに寝そべり、スマホを適当に弄りながら話している。
 浄御原に至っては大人向けの映像作品でお馴染みの電動マッサージ器で肩をほぐしながら、備え付けのティーバッグで入れたお茶を啜っている。

「それは分かりません。まだ〝近江さん〟と会っていませんから」
「ちょっと待て! じゃあ今まで勘で転移してたってことか!?」
「ですから言ったじゃないですか。手引きは苦手だって」

 と、彼女は何の悪びれもなく答えた。
 この調子だといつまで掛かるか分からんな。

「とは言っても、ある程度当たりをつけてはいるんですけどね」

 さすがにそれは何となく分かる。
 今まで会った〝俺〟はいずれも4年前のから分岐した可能性だった。

「それは分かるよ。じゃなかったらタダの嫌がらせだからな」
「私が未熟なばかりに……。申し訳ありません」

 そう素直に謝られるとこちらとしても調子が狂う。

「でも、近江さんも何か思うところがあったのでは? あなた自身の可能性について」

 そりゃ嫌でも考えさせられる。正しい道を選べているのか。
 どの世界線の〝俺〟もそんな確信を持っていなかった。

「まぁな。でもそれを他人に言われるのは腹が立つ。特にお前」
「それは失礼しました。では今日はそろそろ解散にしましょうか」
「そうだな。お疲れさん。あと明日は常識的な服装で頼む……」
「承知しました」

 本当に分かったのかどうか怪しいが、今日はもう色々と疲れた。
 俺はそのまま床に就いた。
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