お前がテンプレ

森彬 樹琳楙

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王国編

6-犠牲

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ドゴーン!!

木々は蒸発し大地は黒焦げ、所々赤く溶けている。数十mは吹き飛ばされただろうか。朦朧する中、ゆっくりと起き上がる。服はボロボロだが、無傷だ。

「うっ、あ」

少し離れた所に陰葦と美穂がいる。重傷だが死んではいなさそうだ。キセルさんは見当たらない。

「グルルル」

傷だらけで血まみれのアースドラゴンがこちらを睨んでいる。俺が何かしたのを察したのだろう。
俺の異能『犠牲』は自身の所有する何かを対価に望む結果を得られるという力だ。重要なのは、この対価が他者から与えられモノであればそれを相手に全て還元出来るという点。
今回俺は、アースドラゴンから受けた致命傷を犠牲にして陰葦と美穂の怪我を治癒した。得られる結果は対価との等価交換だから二人分の怪我を完全に治療出来なかった。それと、致命傷を還されて衰弱したアースドラゴンにはまだ正攻法で勝てそうにない。素体の違いだな。

「怖気づいたのか? さっさと来いよ」
「グルァァーー!!」

ドスッ

言葉を理解したかは分からないが、奴の咆哮のあとに地面から現れた岩石の角が俺の体を貫く。心臓は無くなったろうな。なんて、大量の吐血と朦朧とする意識の中で思いながら俺は死んだ。

「グガァ!?」
ドン!

腹に穴の空いたアースドラゴンが断末魔を上げて倒れ込む。流石に死んだらしい。正直賭けだったが成功したみたいだ。微動だにしないところ第二ラウンドは無いらしい。
暫くして意識を取り戻した美穂に肉体再生をしてもらい、気絶したままの陰葦を担いでギルドに戻る。

「状況は分かりました。ギルドの方で後処理を致しますので、御三方はこのままお休み下さい。元の依頼に関してもこちらで上手いことやっておきますので」

トシントさんに一通り報告して宿に戻る。意外と叱られたり褒められたりはなかったな。凄く淡々としてた。
まぁ、とにかく今日のところは疲れたし、寝るか。

翌朝
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