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November
11月11日(月) 欠けた学園生活①
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週の明けた月曜日。
いつもと同じようにそらと登校し、ただ授業を受けるだけの一日であるにもかかわらず、その日は何かが違っていた。
……何というか、教室が静かなのだ。
授業の合間の休み時間――普段と変わらないメンバーで周りは会話を繰り広げているというのに、活発さを感じられない。
それもそのはず。
クラスの中心人物であり、学園の人気者でもある畔上くんが金曜日に引き続き、学校を休んでいるからである。
おかげさまで、そらは終始読書に没頭、詩音もまた私と会話はするけれど、時折視線が外れ、ボーっとどこか虚空を見つめることが多かった。
……多分、私の背後にある畔上くんの席を見つめているんだと思う。
影響はそれだけではない。
妙な差異に苛まれつつも、何とか過ごした四時間。
やっとお昼休みになり、一人減った三人で囲む昼食は驚くほどに会話がなかった。
なぜなら、詩音は男性が苦手ということで、好意を持っている畔上くんが相手の時以外は基本的に話さなくなる。
この一年半で少しはそらに慣れたようだけど、それでも口数が減ってしまうのは避けられないようだ。
また、そらもそらで人と積極的に関わろうとはせず、しかも会話がなくても何とも思わないタイプであるため、自然と黙って箸を動かすようになっていた。
畔上くんとの会話が成り立っていたのは、彼が会話の主導権を握っていたからであり、同時に話も合っていたのだろう。
そう考えると、そらとは幼馴染であり、詩音とも親友である私が何とかしないといけないのだけど……
「……今日、ホッキーの日らしいよ」
「あぁ……そういえばそうだな。俺、トッホ派だけど」
「わ、私はプリッヅが好き……かな」
「……………………そう」
『…………………………………………』
…………まぁ、無理な話。
まるでお通夜のようなテンションで、ひたすらに口を動かす私たちの姿をクラスメイトはどんな気持ちで見ているのだろうか。
♦ ♦ ♦
授業が終わっても、違和感が拭われることはない。
部活そのものは予め決められていた副部長が取り仕切ることで問題なく行われているものの、流れている空気が全体的に緩く感じる。
畔上くんを見物しに来る女生徒の存在がないだけ、私たちの仕事が楽に進むなぁ……と思っていたのだけど、そう楽観視できる状況ではないらしかった。
……やはり、自分を見ていなくても女性がそこにいるというだけで男の子はやる気になるのだろうか。
それとも、今までのは畔上くんのリーダーシップ性が発揮されていたのだろうか。
どちらにしても、彼の存在はこの学校にとって――そして、私の生活にとって思いのほか重要だったのだと言えよう。
「……畔上くんって、凄かったんだね」
そんなことを呟いてみたら、近くで聞いていたそらは呆れたようなため息と半眼を向けて答える。
「今さら何言ってるんだよ……。そんなこと、この学校の関係者なら知って当たり前の事実だ」
勉強だけじゃない。運動だけじゃない。
その人間性と、周囲を気遣っていた姿勢……そして、影響力。
そこまで含めて凄いと言っていることをそらは分かった上で、さも当然のように頷いていた。
「…………まぁでも、本人がそれを分かってないみたいだけどな」
そうして向けられた視線の先には、いつもならいるはずの人影も荷物も何もない。
詩音がドリンクを運んでくるも、一本余分に持ってきてしまい、持て余した様子で握り続けている。
失って初めて、そのものの価値を知る――とはよく言うけれど、私はこの言葉の意味をようやく理解した気がした。
いつもと同じようにそらと登校し、ただ授業を受けるだけの一日であるにもかかわらず、その日は何かが違っていた。
……何というか、教室が静かなのだ。
授業の合間の休み時間――普段と変わらないメンバーで周りは会話を繰り広げているというのに、活発さを感じられない。
それもそのはず。
クラスの中心人物であり、学園の人気者でもある畔上くんが金曜日に引き続き、学校を休んでいるからである。
おかげさまで、そらは終始読書に没頭、詩音もまた私と会話はするけれど、時折視線が外れ、ボーっとどこか虚空を見つめることが多かった。
……多分、私の背後にある畔上くんの席を見つめているんだと思う。
影響はそれだけではない。
妙な差異に苛まれつつも、何とか過ごした四時間。
やっとお昼休みになり、一人減った三人で囲む昼食は驚くほどに会話がなかった。
なぜなら、詩音は男性が苦手ということで、好意を持っている畔上くんが相手の時以外は基本的に話さなくなる。
この一年半で少しはそらに慣れたようだけど、それでも口数が減ってしまうのは避けられないようだ。
また、そらもそらで人と積極的に関わろうとはせず、しかも会話がなくても何とも思わないタイプであるため、自然と黙って箸を動かすようになっていた。
畔上くんとの会話が成り立っていたのは、彼が会話の主導権を握っていたからであり、同時に話も合っていたのだろう。
そう考えると、そらとは幼馴染であり、詩音とも親友である私が何とかしないといけないのだけど……
「……今日、ホッキーの日らしいよ」
「あぁ……そういえばそうだな。俺、トッホ派だけど」
「わ、私はプリッヅが好き……かな」
「……………………そう」
『…………………………………………』
…………まぁ、無理な話。
まるでお通夜のようなテンションで、ひたすらに口を動かす私たちの姿をクラスメイトはどんな気持ちで見ているのだろうか。
♦ ♦ ♦
授業が終わっても、違和感が拭われることはない。
部活そのものは予め決められていた副部長が取り仕切ることで問題なく行われているものの、流れている空気が全体的に緩く感じる。
畔上くんを見物しに来る女生徒の存在がないだけ、私たちの仕事が楽に進むなぁ……と思っていたのだけど、そう楽観視できる状況ではないらしかった。
……やはり、自分を見ていなくても女性がそこにいるというだけで男の子はやる気になるのだろうか。
それとも、今までのは畔上くんのリーダーシップ性が発揮されていたのだろうか。
どちらにしても、彼の存在はこの学校にとって――そして、私の生活にとって思いのほか重要だったのだと言えよう。
「……畔上くんって、凄かったんだね」
そんなことを呟いてみたら、近くで聞いていたそらは呆れたようなため息と半眼を向けて答える。
「今さら何言ってるんだよ……。そんなこと、この学校の関係者なら知って当たり前の事実だ」
勉強だけじゃない。運動だけじゃない。
その人間性と、周囲を気遣っていた姿勢……そして、影響力。
そこまで含めて凄いと言っていることをそらは分かった上で、さも当然のように頷いていた。
「…………まぁでも、本人がそれを分かってないみたいだけどな」
そうして向けられた視線の先には、いつもならいるはずの人影も荷物も何もない。
詩音がドリンクを運んでくるも、一本余分に持ってきてしまい、持て余した様子で握り続けている。
失って初めて、そのものの価値を知る――とはよく言うけれど、私はこの言葉の意味をようやく理解した気がした。
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