95 / 284
June
6月28日(金) 九州大会・個人戦・一日目・下
しおりを挟む
セット間の小休憩。
タオルで汗を拭き、ドリンクを飲みながら俺は思考する。
「…………まさか、自分の技が盗まれるとはな」
いや、事実をいえば技と呼べるほどでのものではないし、何なら全てのバドミントンプレイヤーがネットインは常に狙ってプレイしているのだから、そんなに状況として変わったわけではないのだけど、問題はその頻度にあった。
「……頻繁にネットインを出されるのって、案外ウザイものなんだな」
偶然じゃない、二回や三回に一回だけ放たれるネットインというのはそれだけで鬱陶しい。
スマッシュを警戒する以上は前へ詰めるのが難しく、しかしそうなればネットインが今度は対処できない。
だからこそ、優勢だった二セット目をひっくり返されてしまった。
そして、いよいよ最終セット。
相手のサーブから試合は始まる。
送られてきたショートサーブを前に返し、前に返し、攻められる前に攻めるスタイルで展開していくが相手もそんなにヤワではない。
ロビングで仕切り直され、立て直す時間を与えてしまっては、あとは相手のペース。
まだネットイン技術が完璧ではないところを突き、少し深めに守って、ネットから外れたスマッシュだけを狙って攻めてみるもジリ貧でしかなかった。
相手は数本に一度ネットインを決めてくる上に、それなりの本数を打たせているから、その精度も上がってきている。
「セブンティーン・エイト」
だから、これだけ差が開くのも当然であった。
「はぁはぁ……やっぱりしんどいな…………」
それは体力的に、そして精神的に。
これまでの連戦に加えて、満足な場所に球が飛んでこないことに苛立ちを覚える。
……全く、我ながら嫌な戦い方をしていたものだ。
「諦めてはどうかな? ネットインにも慣れてきた。もう君に打つ手はないだろ」
「生憎と諦めないって、どこぞのイケメン君に言ってしまったものでね。それに、一つ言わせてもらうが……慢心していると足を掬われるぞ?」
シャトルを渡し、自陣に戻る。
相手のサーブから始まったラリーは、しかしいつもの展開を見せて、何度目とも分からず相手はスマッシュ体勢をとっていた。
けれど、ここで初めて俺は動く。
この第三セットで守り通していた位置から二歩ほど前――例えネットインが来ようとも返球できる場所で構えた。
来る打球は当然のようにネットイン。
それに一歩強く踏み込んだ俺は、シャトルが浮くことも厭わずに返す。
もちろん、相手もそのことは承知のようで前へ駆け、ダメ押しとばかりに球を叩きにくるが――俺はそれを待っていた。
前に出した脚を軸に体を回せば、打つのではなく壁を立てるように相手のコースへラケットを差し込む。
まるで鏡の反射のように、放たれた瞬間に相手コート奥へと跳ね返ったシャトルは誰にも触れられることなくポトリと落ちる。
世界一速いスポーツであるバドミントンではこんな超至近距離でのボレーなど困難な技であり、しかし、決まれば誰も対処のできない本当の必殺ショット。
――それを俺はやってのけたのだ。
『おぉぉー!』
沸く歓声。それとは裏腹に国立亮吾は唖然とした顔でこちらを見ていた。
「俺の技を盗めば勝てると思ったか? あの技が最強だと勘違いしたか? 舐めるなよ、俺が一番使ってるんだ。弱点くらい知っている」
湧き出る汗をユニフォームの襟部分を引っ張って拭き取れば、俺はそう告げる。
全ては最初から仕組んだこと。仕組まれたもの。
「ナイン・セブンティーン」
そして、今更に気付いたところで抜け出せない罠だ。
何のために俺がわざわざ深く守り、ネットインを執拗に狙わせていたのか。
理由は単純で、その感覚を体に染み込ませるためである。
今度は俺からのサーブということでわざと甘めにロングサーブを打ち出してあげれば、相手はすかさずスマッシュの構えを取る。
それを俺は、またしても二歩ほど前に立って待つわけであるが、これはネットインを警戒しての立ち位置なため国立の持つ本来のスマッシュには反応が間に合わない。
放たれた打球はネットに触れず、真っ直ぐにコートに突き刺さった。
――と、思っていることだろう。
けど、これこそが罠なのだ。
慣れないネットインという技術。
それを執拗に行わせた場合、逆にネットに当てない普通のスマッシュはどんな軌道を辿るだろうか。
答えは簡単。
ネットからかなり浮き上がった、甘い球筋となる。
だから俺は、今の立ち位置でも反応が間に合う。そして、その打球を前に落とす。
得意としており、必殺な、ネットインという意趣返しまで行った上で。
「テン・セブンティーン」
審判のコールが静かに響いた。
……まぁ、先程の一件からネットインは失点に繋がるというプレッシャー、そして優勢から一気に劣勢へと傾いたその心境とを合わせれば、その結果は当たり前のこと。
誰だって、安全に、安牌に、ショットは決めたいと思うからな。
でもそれは、バドミントンにおいて致命的だ。
それからというもの、国立はなおも必死に抗い、抵抗するも、一度打ち込んだ楔はなかなか抜けることなく、ネットインもスマッシュもその悉くを俺に返されて、一セット目と同様に一方的な流れになってしまった。
「トゥエンティ・マッチポイント・セブンティーン」
あと一点。それで勝てる。
相手コートに落ちたシャトルを取りにネット際まで足を伸ばせば、国立はわざわざ手渡してきた。
「……やっぱり強いな、君は。畔上翔真が戦いたがるわけだ。誤審がなければ、あの時勝っていたのも君かもしれない」
まるでもう諦めたかのような言葉。
しかし、それを許さない者が一人いた。俺でも、彼自身でもない、俺からすれば全くの赤の他人が。
「亮吾くん! 諦めるなっス! まだ勝てるっスよー!」
思わず二人して……いや、主審も含めたこの場の全員で見上げると、そこには小さな女の子がこちらに向けて叫んでいる。
そしてその横にはかなたが――……。
「琴葉?」
「かなた!?」
告げる名前は違うけれど、息の合ったように叫ぶ俺たち。
というか、この状況で何で俺の方が驚いているんだよ……。
いや、それは確実に、本来ここにいるはずのない無断欠席したアホがそこにいたからなんだけどさ。
「……なるほどな」
そんな中で一人呟く国立。
一体何を納得したのか。
「お互いに負けられない理由ができたな」
「…………は? …………あっ、いや違――!」
「――両者、コートに戻りなさい」
変な勘違いをされたことに訂正を入れようとするも、そこで主審に指摘され、渋々と戻る俺。
……くそっ、こうなったら試合に勝って憂さ晴らしだ。
相手からすれば絶体絶命、こちらからすればこれ以上ない好機という場面。
ショートサーブからスタートしたラリーは相手がいきなりロビングで返してきたために、同じくハイクリアを行って相手を後方に下げた。
その打球も持ち前の制球技術を駆使してコートの隅ギリギリに落としている。
インかアウトか、落ち切るまでの僅かな時間で悩んでいたようであるが、劣勢な状態に割り切ったのだろう。
関係なくスマッシュを打ってくるため、それを相手の打点位置に寸分の狂いなく返していく。
とはいえ、攻められていることには変わらず、左右に振られるわけだけど、コートの対角線――なんていう距離を行き来しているわけでもないため、無事にリターンすることはできていた。
それを数度行う、傍から見れば激しい応酬の中で今度は俺が仕掛ける。
相手の位置の対角線にあたるコート前方の隅へといきなりシャトルを落としたのだ。それもネットインというオプションまで付けて。
しかし、予め読まれていたようで敵は間に合う。
ただし、移動距離の長さという代償は大きかったらしく、返球が甘くなり球が浮き上がってしまったけれど。
そこを叩いて終了――とばかりに俺はプッシュを繰り出すが、そこで予想外のことが起きた。
球を返すその瞬間、目の前には鏡合わせのようにもう一本のラケット面が現れたのだ。
「――くそっ、こんな技まで真似してんじゃねーよ……!」
思わずついた悪態であるが、当然動きが止まるわけでもなく、放たれた球は相手のラケットによって跳ね返り、ゆっくりと打ち上がる。
この時幸いだったことは二つ。
一つはラケットの角度が甘く、シャトルが浮き上がったこと。そしてもう一つは、感覚的にアウトだと確信できたことだ。
……思い出すのは県大会の光景。
あの時もこんな風に打ち上がり、追いかけ、そして俺が負けたんだっけか。
自分の感覚を信じていれば、わざわざ走らず見届けていれば、あんなことにはならなかったというのに。
もっと違う結果にだって、きっとなっていた。
だから、間に合うのかも分からない打球を追う必要はないじゃないか。それに、まだ勝っている。もしインだとしても、次取ればいい。
「――って、そんなわけないだろ!」
身体を翻し、俺は駆ける。
「そんなものは全力じゃない!」
上を向き、ただただひたむきに一つの白い羽根を追って。
「これを見逃して負けたら、きっと俺は後悔する! だから――」
しかし、そこで俺の足は止まった。
諦めたわけじゃない。先にシャトルが落ちたわけでもない。
それは感覚的なもの。
長年の経験が動きを止めさせ、足元を見ればその白線はあった。
同時にすぐ前に落ちるシャトル。そこはすでに俺たちの戦場の向こう側。
「ゲーム! マッチ・ウォンバイ・蔵敷」
審判のコールが心地良く耳に届いた。
タオルで汗を拭き、ドリンクを飲みながら俺は思考する。
「…………まさか、自分の技が盗まれるとはな」
いや、事実をいえば技と呼べるほどでのものではないし、何なら全てのバドミントンプレイヤーがネットインは常に狙ってプレイしているのだから、そんなに状況として変わったわけではないのだけど、問題はその頻度にあった。
「……頻繁にネットインを出されるのって、案外ウザイものなんだな」
偶然じゃない、二回や三回に一回だけ放たれるネットインというのはそれだけで鬱陶しい。
スマッシュを警戒する以上は前へ詰めるのが難しく、しかしそうなればネットインが今度は対処できない。
だからこそ、優勢だった二セット目をひっくり返されてしまった。
そして、いよいよ最終セット。
相手のサーブから試合は始まる。
送られてきたショートサーブを前に返し、前に返し、攻められる前に攻めるスタイルで展開していくが相手もそんなにヤワではない。
ロビングで仕切り直され、立て直す時間を与えてしまっては、あとは相手のペース。
まだネットイン技術が完璧ではないところを突き、少し深めに守って、ネットから外れたスマッシュだけを狙って攻めてみるもジリ貧でしかなかった。
相手は数本に一度ネットインを決めてくる上に、それなりの本数を打たせているから、その精度も上がってきている。
「セブンティーン・エイト」
だから、これだけ差が開くのも当然であった。
「はぁはぁ……やっぱりしんどいな…………」
それは体力的に、そして精神的に。
これまでの連戦に加えて、満足な場所に球が飛んでこないことに苛立ちを覚える。
……全く、我ながら嫌な戦い方をしていたものだ。
「諦めてはどうかな? ネットインにも慣れてきた。もう君に打つ手はないだろ」
「生憎と諦めないって、どこぞのイケメン君に言ってしまったものでね。それに、一つ言わせてもらうが……慢心していると足を掬われるぞ?」
シャトルを渡し、自陣に戻る。
相手のサーブから始まったラリーは、しかしいつもの展開を見せて、何度目とも分からず相手はスマッシュ体勢をとっていた。
けれど、ここで初めて俺は動く。
この第三セットで守り通していた位置から二歩ほど前――例えネットインが来ようとも返球できる場所で構えた。
来る打球は当然のようにネットイン。
それに一歩強く踏み込んだ俺は、シャトルが浮くことも厭わずに返す。
もちろん、相手もそのことは承知のようで前へ駆け、ダメ押しとばかりに球を叩きにくるが――俺はそれを待っていた。
前に出した脚を軸に体を回せば、打つのではなく壁を立てるように相手のコースへラケットを差し込む。
まるで鏡の反射のように、放たれた瞬間に相手コート奥へと跳ね返ったシャトルは誰にも触れられることなくポトリと落ちる。
世界一速いスポーツであるバドミントンではこんな超至近距離でのボレーなど困難な技であり、しかし、決まれば誰も対処のできない本当の必殺ショット。
――それを俺はやってのけたのだ。
『おぉぉー!』
沸く歓声。それとは裏腹に国立亮吾は唖然とした顔でこちらを見ていた。
「俺の技を盗めば勝てると思ったか? あの技が最強だと勘違いしたか? 舐めるなよ、俺が一番使ってるんだ。弱点くらい知っている」
湧き出る汗をユニフォームの襟部分を引っ張って拭き取れば、俺はそう告げる。
全ては最初から仕組んだこと。仕組まれたもの。
「ナイン・セブンティーン」
そして、今更に気付いたところで抜け出せない罠だ。
何のために俺がわざわざ深く守り、ネットインを執拗に狙わせていたのか。
理由は単純で、その感覚を体に染み込ませるためである。
今度は俺からのサーブということでわざと甘めにロングサーブを打ち出してあげれば、相手はすかさずスマッシュの構えを取る。
それを俺は、またしても二歩ほど前に立って待つわけであるが、これはネットインを警戒しての立ち位置なため国立の持つ本来のスマッシュには反応が間に合わない。
放たれた打球はネットに触れず、真っ直ぐにコートに突き刺さった。
――と、思っていることだろう。
けど、これこそが罠なのだ。
慣れないネットインという技術。
それを執拗に行わせた場合、逆にネットに当てない普通のスマッシュはどんな軌道を辿るだろうか。
答えは簡単。
ネットからかなり浮き上がった、甘い球筋となる。
だから俺は、今の立ち位置でも反応が間に合う。そして、その打球を前に落とす。
得意としており、必殺な、ネットインという意趣返しまで行った上で。
「テン・セブンティーン」
審判のコールが静かに響いた。
……まぁ、先程の一件からネットインは失点に繋がるというプレッシャー、そして優勢から一気に劣勢へと傾いたその心境とを合わせれば、その結果は当たり前のこと。
誰だって、安全に、安牌に、ショットは決めたいと思うからな。
でもそれは、バドミントンにおいて致命的だ。
それからというもの、国立はなおも必死に抗い、抵抗するも、一度打ち込んだ楔はなかなか抜けることなく、ネットインもスマッシュもその悉くを俺に返されて、一セット目と同様に一方的な流れになってしまった。
「トゥエンティ・マッチポイント・セブンティーン」
あと一点。それで勝てる。
相手コートに落ちたシャトルを取りにネット際まで足を伸ばせば、国立はわざわざ手渡してきた。
「……やっぱり強いな、君は。畔上翔真が戦いたがるわけだ。誤審がなければ、あの時勝っていたのも君かもしれない」
まるでもう諦めたかのような言葉。
しかし、それを許さない者が一人いた。俺でも、彼自身でもない、俺からすれば全くの赤の他人が。
「亮吾くん! 諦めるなっス! まだ勝てるっスよー!」
思わず二人して……いや、主審も含めたこの場の全員で見上げると、そこには小さな女の子がこちらに向けて叫んでいる。
そしてその横にはかなたが――……。
「琴葉?」
「かなた!?」
告げる名前は違うけれど、息の合ったように叫ぶ俺たち。
というか、この状況で何で俺の方が驚いているんだよ……。
いや、それは確実に、本来ここにいるはずのない無断欠席したアホがそこにいたからなんだけどさ。
「……なるほどな」
そんな中で一人呟く国立。
一体何を納得したのか。
「お互いに負けられない理由ができたな」
「…………は? …………あっ、いや違――!」
「――両者、コートに戻りなさい」
変な勘違いをされたことに訂正を入れようとするも、そこで主審に指摘され、渋々と戻る俺。
……くそっ、こうなったら試合に勝って憂さ晴らしだ。
相手からすれば絶体絶命、こちらからすればこれ以上ない好機という場面。
ショートサーブからスタートしたラリーは相手がいきなりロビングで返してきたために、同じくハイクリアを行って相手を後方に下げた。
その打球も持ち前の制球技術を駆使してコートの隅ギリギリに落としている。
インかアウトか、落ち切るまでの僅かな時間で悩んでいたようであるが、劣勢な状態に割り切ったのだろう。
関係なくスマッシュを打ってくるため、それを相手の打点位置に寸分の狂いなく返していく。
とはいえ、攻められていることには変わらず、左右に振られるわけだけど、コートの対角線――なんていう距離を行き来しているわけでもないため、無事にリターンすることはできていた。
それを数度行う、傍から見れば激しい応酬の中で今度は俺が仕掛ける。
相手の位置の対角線にあたるコート前方の隅へといきなりシャトルを落としたのだ。それもネットインというオプションまで付けて。
しかし、予め読まれていたようで敵は間に合う。
ただし、移動距離の長さという代償は大きかったらしく、返球が甘くなり球が浮き上がってしまったけれど。
そこを叩いて終了――とばかりに俺はプッシュを繰り出すが、そこで予想外のことが起きた。
球を返すその瞬間、目の前には鏡合わせのようにもう一本のラケット面が現れたのだ。
「――くそっ、こんな技まで真似してんじゃねーよ……!」
思わずついた悪態であるが、当然動きが止まるわけでもなく、放たれた球は相手のラケットによって跳ね返り、ゆっくりと打ち上がる。
この時幸いだったことは二つ。
一つはラケットの角度が甘く、シャトルが浮き上がったこと。そしてもう一つは、感覚的にアウトだと確信できたことだ。
……思い出すのは県大会の光景。
あの時もこんな風に打ち上がり、追いかけ、そして俺が負けたんだっけか。
自分の感覚を信じていれば、わざわざ走らず見届けていれば、あんなことにはならなかったというのに。
もっと違う結果にだって、きっとなっていた。
だから、間に合うのかも分からない打球を追う必要はないじゃないか。それに、まだ勝っている。もしインだとしても、次取ればいい。
「――って、そんなわけないだろ!」
身体を翻し、俺は駆ける。
「そんなものは全力じゃない!」
上を向き、ただただひたむきに一つの白い羽根を追って。
「これを見逃して負けたら、きっと俺は後悔する! だから――」
しかし、そこで俺の足は止まった。
諦めたわけじゃない。先にシャトルが落ちたわけでもない。
それは感覚的なもの。
長年の経験が動きを止めさせ、足元を見ればその白線はあった。
同時にすぐ前に落ちるシャトル。そこはすでに俺たちの戦場の向こう側。
「ゲーム! マッチ・ウォンバイ・蔵敷」
審判のコールが心地良く耳に届いた。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。
後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。
香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。
一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。
しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる