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May
5月14日(火) 祭りの予感③
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先週に文化祭の内容、そしてキャストまでもが決まって迎えた今日。
本日行われるLHRの議題は、先週に即して作製された台本の配布だった。
表紙にはデカデカとタイトルである『竹取物語』という文字が印字されており、次ページに控えたキャストの一覧なども全て日本語表記。
唯一、セリフ部分のみが英文で綴られ、最後にはご丁寧に原文とその現代語訳までまとめられている。
とは言っても、それが関係するのはもちろん演劇に出演する者のみ。
一般の――裏方を担当する俺たちはこれまで通りに、近くのスーパーから廃棄の段ボールを貰い、絵を描き、工作して必要な小道具を作成していく点で何も変わらない。
「そら、セリフ合わせに付き合って」
――はずだったのだが、何故か俺だけ別の仕事を振られていた。
「……は? 何でだよ、他のキャスト連中と組めばいいだろ?」
「…………仲の良い人がいない」
……あぁ、そういやコイツ、友達少なかったっけ。
いや、俺も人のことを言えた義理じゃないけどさ。
「む、そらに言われたくない……!」
「何も言ってねーよ。勝手に心を読むな」
そもそも自覚してるしな。
しかし、どうしたものか……。
呆れつつも、後頭部を掻きながら俺は考える。
「――あっ、翔真がいるじゃん」
そうして、一つの事実を思い出した。
クラスの人気者、学園の貴公子に合わせて演劇の帝役までもを仰せつかった男であり、俺たちとよく連む青年のことを。
しかし、そんな思い付きに対してかなたはとある方向へと指を向ける。
「アレを見ても同じことが言えるなら、別にいいよ」
「あ? …………――あー、なんかすまん……」
そうして見てみれば、そこには男女問わずのクラスメイトが囲む謎の集団が。
おそらく、その中心に翔真はいるのだろう。
彼らの会話の一部を聞いてみれば、一緒にセリフの読み合わせをしようという声や、採寸を測りたいという旨が届いてきた。
「しゃーねぇな、手伝ってやるか」
特に何か仕事があったわけでもない。
何なら、段ボールを切ったり塗ったりするよりも、知り合いとただセリフを言い合っているだけの方が楽な気もする。
準備がよろしく、余りとなっていた台本をもう一部持って来たかなたは俺に手渡した。
「でも、アレだよね。選んだ演目が竹取物語じゃなかったら、もっと女子が殺到して私が出る必要もなかったよね」
「……ん? 何でだ?」
「だって、そうでしょ。例えば『白雪姫』や『シンデレラ』をやることになってたら、どうなってたと思う?」
問われて俺は考えた。
必要で重要なキャストはどちらも王子様とお姫様――って、あぁなるほどな。
「どう足掻いても王子様役は翔真に決まり、それに付随して女子が殺到する――ってわけか」
「そゆこと」
その点、竹取物語では帝とかぐや姫の絡みは少ない。何なら、肉体的な接触さえないだろう。
俺はアドバイスをしただけで演目を決めたのは翔真であるが、そこまで考えての行動だとするなら流石は学年一と言わざるを得ない。
「……まぁ、今更言ってもしょうがないけどな」
「……だね。取り敢えず、セリフ合わせしよー」
台本を捲り、彼女の出演シーンとなるページまで進める。
「My dear child, I'm not real parent but have given you a lot of love. So, will you ――」
「I'll hear whatever your wishes are. You are no better than a parent to me, though you said to me that ――」
それは五人の貴公子が、かぐや姫へと求婚する場面。
今後の展開としては知る人も多い通り、姫から無茶な要求をされることとなるわけだが……その内容を考えると、終ぞ聞くことができなかったかなたへの説得材料の存在について気になってきた。
どうか願わくば、原作の通りにならないことを祈りたいものだ。
本日行われるLHRの議題は、先週に即して作製された台本の配布だった。
表紙にはデカデカとタイトルである『竹取物語』という文字が印字されており、次ページに控えたキャストの一覧なども全て日本語表記。
唯一、セリフ部分のみが英文で綴られ、最後にはご丁寧に原文とその現代語訳までまとめられている。
とは言っても、それが関係するのはもちろん演劇に出演する者のみ。
一般の――裏方を担当する俺たちはこれまで通りに、近くのスーパーから廃棄の段ボールを貰い、絵を描き、工作して必要な小道具を作成していく点で何も変わらない。
「そら、セリフ合わせに付き合って」
――はずだったのだが、何故か俺だけ別の仕事を振られていた。
「……は? 何でだよ、他のキャスト連中と組めばいいだろ?」
「…………仲の良い人がいない」
……あぁ、そういやコイツ、友達少なかったっけ。
いや、俺も人のことを言えた義理じゃないけどさ。
「む、そらに言われたくない……!」
「何も言ってねーよ。勝手に心を読むな」
そもそも自覚してるしな。
しかし、どうしたものか……。
呆れつつも、後頭部を掻きながら俺は考える。
「――あっ、翔真がいるじゃん」
そうして、一つの事実を思い出した。
クラスの人気者、学園の貴公子に合わせて演劇の帝役までもを仰せつかった男であり、俺たちとよく連む青年のことを。
しかし、そんな思い付きに対してかなたはとある方向へと指を向ける。
「アレを見ても同じことが言えるなら、別にいいよ」
「あ? …………――あー、なんかすまん……」
そうして見てみれば、そこには男女問わずのクラスメイトが囲む謎の集団が。
おそらく、その中心に翔真はいるのだろう。
彼らの会話の一部を聞いてみれば、一緒にセリフの読み合わせをしようという声や、採寸を測りたいという旨が届いてきた。
「しゃーねぇな、手伝ってやるか」
特に何か仕事があったわけでもない。
何なら、段ボールを切ったり塗ったりするよりも、知り合いとただセリフを言い合っているだけの方が楽な気もする。
準備がよろしく、余りとなっていた台本をもう一部持って来たかなたは俺に手渡した。
「でも、アレだよね。選んだ演目が竹取物語じゃなかったら、もっと女子が殺到して私が出る必要もなかったよね」
「……ん? 何でだ?」
「だって、そうでしょ。例えば『白雪姫』や『シンデレラ』をやることになってたら、どうなってたと思う?」
問われて俺は考えた。
必要で重要なキャストはどちらも王子様とお姫様――って、あぁなるほどな。
「どう足掻いても王子様役は翔真に決まり、それに付随して女子が殺到する――ってわけか」
「そゆこと」
その点、竹取物語では帝とかぐや姫の絡みは少ない。何なら、肉体的な接触さえないだろう。
俺はアドバイスをしただけで演目を決めたのは翔真であるが、そこまで考えての行動だとするなら流石は学年一と言わざるを得ない。
「……まぁ、今更言ってもしょうがないけどな」
「……だね。取り敢えず、セリフ合わせしよー」
台本を捲り、彼女の出演シーンとなるページまで進める。
「My dear child, I'm not real parent but have given you a lot of love. So, will you ――」
「I'll hear whatever your wishes are. You are no better than a parent to me, though you said to me that ――」
それは五人の貴公子が、かぐや姫へと求婚する場面。
今後の展開としては知る人も多い通り、姫から無茶な要求をされることとなるわけだが……その内容を考えると、終ぞ聞くことができなかったかなたへの説得材料の存在について気になってきた。
どうか願わくば、原作の通りにならないことを祈りたいものだ。
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