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第四章 何かを護る、たった一つの条件
第二十六話 血の契約・前編
しおりを挟む 血の契約――それは、たった一人の人物とある儀式を交わすことで、これまで以上の力を得ることのできる吸血鬼族の可能性。
代償はあるものの、行えば今まで以上の再生能力や身体強化などが手に入る。
――そう、お師匠さまから渡された本には書いてあった。
読んだソレを閉じると書籍特有のパタンとした音が響き、机に置けば月明かりで照らされる。
凝り固まった身体を椅子に預け、グッと背伸び。
小気味よく骨が鳴る。同時に、ドアの叩かれる音も聞こえた。
「どうぞー」
返事をして振り向けば、カチャリと蝶番が音を立てる。
ゆっくりと開く扉の隙間から姿を見せたのは、先程から俺の思考の中心に居座っていた少女だ。
「ルゥか、どうした?」
まだまだ夜は長いとはいえ、子供たちは寝ている――もとい、お師匠さまに寝かしつけられている時間のはず。
バレたら怒られるぞ。そんな含みを持って尋ねてみると、彼女はモジモジと恥ずかしそうに俯き始める。
「うん……あのね、お願いがあって来たの」
「お願い……?」
これまた、珍しい。
こんなに畏まって来たのだから、相応のものなのだろう。
台詞の一部を反復して先を促してあげると、意を決したようにルゥは一度頷いた。
「そう、久しぶりに血が飲みたいの」
そして、その中身は想像以上に軽いものである。
有り体に言ってしまえば、『そんなことか』と感じてしまうほどの内容。
「あ、あぁ……それは構わないが――久しぶり?」
しかし、俺はその内容ではなく言い回しの方が気になり、繰り返すことで尋ねてみた。
なぜなら、他種族が多く集まるこの場所では、子供たちも含めた皆がそれぞれの種族の特性を理解しているからだ。
偏見のないよう、価値観の違いを許容できるように学習させている。
だから、ルゥが『血を飲めない』なんて事態にはならないはず。
であるにもかかわらず、久しぶりときた。
「何で、飲ませてもらわなかったんだ? 少なくともお師匠さまとか、気遣いのできるソニアあたりが提案してくれただろ?」
いくら吸血鬼が一般的な食事でも生きられるとはいえ、魔力を多用するような修行をしながらでは辛かったと思う。
それなのにしなかった、その理由が知りたかった。
「…………何となく、かな。あんまり、レス以外の血は飲まない方がいいと思って」
だというのに、来た答えはそんな曖昧なもの。
まぁ、理由なんて何でもいいか。
「よし、さぁ来い……!」
椅子ごと身体を向き直し、両手を広げて構えれば、ポスンと俺の胸の中にルゥが飛び込んでくる。
優しく抱きとめてあげると、間髪入れずに首筋へと歯が立てられた。
何故だろう。こうやって血を飲ませる行為は、今までの分を数えてもせいぜいが数十回のはず。
それなのに、感じる痛みも飲まれる感覚も――何もかもが懐かしい。
血が抜け、頭が冴え渡っていくようだ。
頭頂部から足元にかけて熱が下り、思考はいつしか先程まで読んでいた文献のことへと戻る。
…………そういえば、確か『吸血鬼によっては、血を飲む相手を選ぶタイプもいる』って書いてあったな。
そしてそのタイプは総じて、『血の契約』による恩恵が大きい――とも。
理由も載っており……『そもそも血の契約とは、契約者以外の血を飲むことができないという制約により自己の強化を図る、吸血鬼の持つ先天的な魔法・魔術。故に、その制約と似た体質を持つ者らは、血の契約に馴染みやすく、より強く発現する』らしいのだ。
なればこそ、ルゥとの相性は良いのかもしれない。
お師匠さまは、全ての選択を俺に任せると言ったが……。
ゆっくりと口を離す彼女の両頬を手で挟み、目を見据える。
「ルゥ、強くなりたいか? それが代償の果てに得られる――」
「――なりたい!」
…………はぇーよ。
こう、俺が色々と言ってただろ。もうちょっと聞いて? ね?
「いや、うん……。もう少し話すことがあるから、全部聞いて答えてくれ」
やけに前のめりな彼女を宥め、言うはずだった話を再び行う。
同時に、説明の役割も含めて机の本を手渡した。
「何これ……?」
「ルゥが強くなるための本」
けれど、中身が読めないのだろう。
パラパラとページをめくって流し読み、すぐに返してくれる。
「内容は、一人の人物と『血の契約』を交わすことで、吸血鬼としての力を強化するというもの。ただし、それをすれば吸血鬼は契約者以外の血を飲めなくなる」
そのため、簡単に要約したものを伝えると、聞いた彼女は困惑した様子で首を傾けた。
「…………? 私、レスの血しか飲まないよ?」
「それが代償なの……?」と言わんばかりの表情。
そしていつの間にか、契約者が俺になっていた。
……いや、別にそれはいい。
何となく察してはいたし、問題は別にあるから。
「そうだな、俺もその代償については大丈夫だと思う。けどな、俺はこの先も旅を続ける。だから、そう簡単にルゥに血を与えられなくなるんだ」
「そんなのレスに――」
「――付いてくる、って言うんだろ? でもよく考えてくれ。ここにいればお師匠さまがいる。俺よりも強い……何なら世界最強かもしれない人が護ってくれるんだ。それを捨ててまで――無駄な代償を背負ってまで、それは得るべき力なのか?」
唯一の懸念点はそこだった。
俺が何のためにルゥをここまで連れてきたのか。偏に、彼女にとって安全な場所であるからだ。
だから、これ以上一緒に旅を続ける必要はない。
どんな理由で強くなりたいと願ったのかは分からないけれど、それももう必要のないこと。
その事実を俺は考えてほしかった。
「……………………約束」
「……………………?」
ともすれば、ポツリと呟かれる一言。
「前に言ったよ、『レスの傍に置いてほしい』って。だから、私はレスに付いていくの。どこまでも、いつまでも」
…………確かに言われた。
出会って間もない――人間領の宿屋の中で。
あの時の言葉は、そんな綺麗な意味合いを含んでいなかったと思うけれど……それでも、今は違うのだろう。
「そのために、私は強くなった。そして、これからも強くなりたい。レスの迷惑にならないように」
気が付けば、いつしか俺の方が目を見据えられていた。
純粋な、透き通った真紅の瞳が俺の顔を写す。
「……………………なら、やるか」
「うん、する……!」
了承すると、弾けた笑みと小気味よい返事が来た。
それが彼女の選択ならば、俺はどこまでも尊重しよう。
加えて、一度受けた約束は守るのが筋ってものだ。
そんな思考をしていると、今度は質問が投げられる。
「……でも、その契約? って、どうすればいいの?」
「割と簡単だぞ。まず契約者が相手となる吸血鬼の血を飲む。それでもって、今度は吸血鬼が契約者の血を飲めば終了だ」
「それだけ……?」
拍子抜けするかもしれないが、本当にそれだけである。
他に書いていることといえば、この契約法に関する歴史的な解釈くらい。
まぁ、簡単なのはこちらにとっても好都合なんだけどな。
「じゃあ、今から…………する?」
そっと身をこちらに預け、肩を見せつけるように服をズラすルゥ。
体格の関係上、上目遣いに覗かれ、月明かりがその姿をより妖艶なものへと変貌させる。
何だかいけないものを見ているような感覚に陥った俺は目を逸らし、その背後にある壁を見つめるようにした。
「…………いや、今日は止めておこう。何か不測の事態が起きても嫌だし、明日お師匠さまに見てもらいながらにしようぜ」
「うん、分かった」
二つ返事了承してくれる彼女の両脇を抱えると、軽く持ち上げて地面に下ろす。
窓から月を見上げれば、いつも以上に輝いて見えた。
代償はあるものの、行えば今まで以上の再生能力や身体強化などが手に入る。
――そう、お師匠さまから渡された本には書いてあった。
読んだソレを閉じると書籍特有のパタンとした音が響き、机に置けば月明かりで照らされる。
凝り固まった身体を椅子に預け、グッと背伸び。
小気味よく骨が鳴る。同時に、ドアの叩かれる音も聞こえた。
「どうぞー」
返事をして振り向けば、カチャリと蝶番が音を立てる。
ゆっくりと開く扉の隙間から姿を見せたのは、先程から俺の思考の中心に居座っていた少女だ。
「ルゥか、どうした?」
まだまだ夜は長いとはいえ、子供たちは寝ている――もとい、お師匠さまに寝かしつけられている時間のはず。
バレたら怒られるぞ。そんな含みを持って尋ねてみると、彼女はモジモジと恥ずかしそうに俯き始める。
「うん……あのね、お願いがあって来たの」
「お願い……?」
これまた、珍しい。
こんなに畏まって来たのだから、相応のものなのだろう。
台詞の一部を反復して先を促してあげると、意を決したようにルゥは一度頷いた。
「そう、久しぶりに血が飲みたいの」
そして、その中身は想像以上に軽いものである。
有り体に言ってしまえば、『そんなことか』と感じてしまうほどの内容。
「あ、あぁ……それは構わないが――久しぶり?」
しかし、俺はその内容ではなく言い回しの方が気になり、繰り返すことで尋ねてみた。
なぜなら、他種族が多く集まるこの場所では、子供たちも含めた皆がそれぞれの種族の特性を理解しているからだ。
偏見のないよう、価値観の違いを許容できるように学習させている。
だから、ルゥが『血を飲めない』なんて事態にはならないはず。
であるにもかかわらず、久しぶりときた。
「何で、飲ませてもらわなかったんだ? 少なくともお師匠さまとか、気遣いのできるソニアあたりが提案してくれただろ?」
いくら吸血鬼が一般的な食事でも生きられるとはいえ、魔力を多用するような修行をしながらでは辛かったと思う。
それなのにしなかった、その理由が知りたかった。
「…………何となく、かな。あんまり、レス以外の血は飲まない方がいいと思って」
だというのに、来た答えはそんな曖昧なもの。
まぁ、理由なんて何でもいいか。
「よし、さぁ来い……!」
椅子ごと身体を向き直し、両手を広げて構えれば、ポスンと俺の胸の中にルゥが飛び込んでくる。
優しく抱きとめてあげると、間髪入れずに首筋へと歯が立てられた。
何故だろう。こうやって血を飲ませる行為は、今までの分を数えてもせいぜいが数十回のはず。
それなのに、感じる痛みも飲まれる感覚も――何もかもが懐かしい。
血が抜け、頭が冴え渡っていくようだ。
頭頂部から足元にかけて熱が下り、思考はいつしか先程まで読んでいた文献のことへと戻る。
…………そういえば、確か『吸血鬼によっては、血を飲む相手を選ぶタイプもいる』って書いてあったな。
そしてそのタイプは総じて、『血の契約』による恩恵が大きい――とも。
理由も載っており……『そもそも血の契約とは、契約者以外の血を飲むことができないという制約により自己の強化を図る、吸血鬼の持つ先天的な魔法・魔術。故に、その制約と似た体質を持つ者らは、血の契約に馴染みやすく、より強く発現する』らしいのだ。
なればこそ、ルゥとの相性は良いのかもしれない。
お師匠さまは、全ての選択を俺に任せると言ったが……。
ゆっくりと口を離す彼女の両頬を手で挟み、目を見据える。
「ルゥ、強くなりたいか? それが代償の果てに得られる――」
「――なりたい!」
…………はぇーよ。
こう、俺が色々と言ってただろ。もうちょっと聞いて? ね?
「いや、うん……。もう少し話すことがあるから、全部聞いて答えてくれ」
やけに前のめりな彼女を宥め、言うはずだった話を再び行う。
同時に、説明の役割も含めて机の本を手渡した。
「何これ……?」
「ルゥが強くなるための本」
けれど、中身が読めないのだろう。
パラパラとページをめくって流し読み、すぐに返してくれる。
「内容は、一人の人物と『血の契約』を交わすことで、吸血鬼としての力を強化するというもの。ただし、それをすれば吸血鬼は契約者以外の血を飲めなくなる」
そのため、簡単に要約したものを伝えると、聞いた彼女は困惑した様子で首を傾けた。
「…………? 私、レスの血しか飲まないよ?」
「それが代償なの……?」と言わんばかりの表情。
そしていつの間にか、契約者が俺になっていた。
……いや、別にそれはいい。
何となく察してはいたし、問題は別にあるから。
「そうだな、俺もその代償については大丈夫だと思う。けどな、俺はこの先も旅を続ける。だから、そう簡単にルゥに血を与えられなくなるんだ」
「そんなのレスに――」
「――付いてくる、って言うんだろ? でもよく考えてくれ。ここにいればお師匠さまがいる。俺よりも強い……何なら世界最強かもしれない人が護ってくれるんだ。それを捨ててまで――無駄な代償を背負ってまで、それは得るべき力なのか?」
唯一の懸念点はそこだった。
俺が何のためにルゥをここまで連れてきたのか。偏に、彼女にとって安全な場所であるからだ。
だから、これ以上一緒に旅を続ける必要はない。
どんな理由で強くなりたいと願ったのかは分からないけれど、それももう必要のないこと。
その事実を俺は考えてほしかった。
「……………………約束」
「……………………?」
ともすれば、ポツリと呟かれる一言。
「前に言ったよ、『レスの傍に置いてほしい』って。だから、私はレスに付いていくの。どこまでも、いつまでも」
…………確かに言われた。
出会って間もない――人間領の宿屋の中で。
あの時の言葉は、そんな綺麗な意味合いを含んでいなかったと思うけれど……それでも、今は違うのだろう。
「そのために、私は強くなった。そして、これからも強くなりたい。レスの迷惑にならないように」
気が付けば、いつしか俺の方が目を見据えられていた。
純粋な、透き通った真紅の瞳が俺の顔を写す。
「……………………なら、やるか」
「うん、する……!」
了承すると、弾けた笑みと小気味よい返事が来た。
それが彼女の選択ならば、俺はどこまでも尊重しよう。
加えて、一度受けた約束は守るのが筋ってものだ。
そんな思考をしていると、今度は質問が投げられる。
「……でも、その契約? って、どうすればいいの?」
「割と簡単だぞ。まず契約者が相手となる吸血鬼の血を飲む。それでもって、今度は吸血鬼が契約者の血を飲めば終了だ」
「それだけ……?」
拍子抜けするかもしれないが、本当にそれだけである。
他に書いていることといえば、この契約法に関する歴史的な解釈くらい。
まぁ、簡単なのはこちらにとっても好都合なんだけどな。
「じゃあ、今から…………する?」
そっと身をこちらに預け、肩を見せつけるように服をズラすルゥ。
体格の関係上、上目遣いに覗かれ、月明かりがその姿をより妖艶なものへと変貌させる。
何だかいけないものを見ているような感覚に陥った俺は目を逸らし、その背後にある壁を見つめるようにした。
「…………いや、今日は止めておこう。何か不測の事態が起きても嫌だし、明日お師匠さまに見てもらいながらにしようぜ」
「うん、分かった」
二つ返事了承してくれる彼女の両脇を抱えると、軽く持ち上げて地面に下ろす。
窓から月を見上げれば、いつも以上に輝いて見えた。
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番外編: 語られないフェアリーテイル
こちらも毎日投稿しておりますので、よければ。
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