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第三章 気高き戦士のもとに旗は翻る
第三話 山の頂に舞う死の舞踏
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無慈悲にも空間を進んでいく弾丸は音をも軽く超える速さで相手に迫り、その頭蓋を貫く――はずだった。
しかし、現実に起きた事実は違う。
気がつけば、俺の放った攻撃は推定狼男の右横をすり抜けていた。
――俺が外した?
避けられたのではないと思う。狼男は不自然に身体を動かした様子もなく、悠々とこちらに歩みを進めていたためだ。
もう一度撃つ。
けれど、起こった結末は同様だ。
体を傾けたわけでも、走ったわけでもなく、気がつけば弾は通り過ぎていた。
「なるほど、脅威だ。だが、当たらなければ問題はない」
猛然と歩いているだけの狼男の言葉に、羞恥で顔が熱くなる。
躱されるならともかく、攻撃を自ら外すなど二流以下。
それは武器を十全に扱えていない証拠であり、未熟者の証だった。
「……では、今度はこちらが行こう」
今までは様子見だったのか、狼男はそう言い放つと一気に加速する。
獣人族はモデルとなった動物の特徴をそのまま受け継ぐため、狼特有の普段では味わうことのない速さに俺は瞠目した。
意識を切り替えた時には、既に目の前。
直感を頼りに伸ばしていた左手を引き、銃で首筋を守れば、甲高い音とともに重い衝撃が腕に伝わる。
指先に伸びた爪は天然の武器。それらが動脈を刈り取ろうとしていたことに、遅れて気が付いた。
そんなことを考えているうちに、今度は空いている左手を使って狼男は俺を襲う。
その勢いに圧され後退しながら攻撃を捌く俺に対し、止まらぬ連撃と追随。どの攻撃も的確に急所を狙っており、掠めただけでも命取りだ。
手足による攻撃はリーチが短いという欠点があるものの、得物と違って指関節・手首などにより取り回しが広く、どの位置からでも自由に攻撃することが可能となっていた。
さらには、狙いの正確性が今まで出会ってきたどの相手よりも精密で、受け方を数ミリ単位でも見誤れば形勢は傾くだろう。
だが、逆に言えばそこに付け入る隙もある。
覚悟を決めて、大きく息を吐いた。
続く攻撃に俺は敢えて避けようとはせず、むしろ当たりにいくように動く。
鋭く尖った狼男の爪は下手な刃物よりも容易く俺の皮膚を裂き、抉る。
傷口から赤い血飛沫が飛ぶが、命に別状はない。急所は外し、比較的安全な部位を宛てがったおかげだ。
攻撃直後に起こる硬直の隙をつき、左手に握る銃を逆手に持ち直すと、思いっきり相手の顎をかち上げた。
――だが、浅い。
ぶつかる瞬間に顔を背けたらしく、せいぜい顎を掠めた程度だろう。
けれど、それで十分だ。
顎を叩けば脳が揺れ、次の攻撃に転じることができる。
「――――フッ!」
膂力を用い、捻りを加えた掌底が狼男の胸を打つ。
綺麗に吹き飛んだ相手は二、三度地面をバウンドし、受身を取って立ち上がった。
お互いの距離は開き、現場は仕切り直しの様相を呈している。
再び銃を構えるもしばらく考え、そして止めた。
「…………ちっ。最近は相手が悪すぎるな。避ける、防ぐ、挙句の果てには当たらないって、マジでふざけんなよ」
普通に使っては武器として成り立たないことを悟り、悪態をつきながら銃を仕舞う。
代わりに刀を引き抜いた俺は呼吸を整え、精神を研ぎ澄ました。
こちらから動く様子はない。そう感じ取ったのか、今度は相手が先に攻撃を仕掛ける。
猛烈な加速。一瞬にして肉薄してくるが、今の俺に焦りはない。
心の臓を抉るようにして差し込まれた貫手を刃先に添わせ、鎬を滑らせるように受け流す。
しかし、それさえも読んでいたのか、そのままの流れで左手を薙ぎこちらの目を潰しにかかる。また、おまけとばかりに下腹部を目掛けて膝を蹴り上げてきた。
その膝を土台にバク宙の要領で狼男の手を蹴り弾くと、天地が入れ替わった視界の中、宙に浮く己の体を捻り、首を落とさんとばかりに刀を振るう。
両手はすでに攻撃に使用しており、片脚は浮いている状態。とても攻撃を受けられないような体勢でなお、狼男は驚くべき行動に出た。
口を開いたかと思えば、迫り来る刃を顎の力で食い止める。
そのまま顔を振り、空中で身動きの取れない俺は為す術もなく放り投げられてしまった。
意趣返しのように今度は俺が転げ回る。
上手く受身を取って身体を起こしたかと思えば、眼前には追撃の膝蹴りが迫っていた。
――このタイミングは避けられない。
そう確信した俺は首に力を入れ、頭突きで迎え撃つ。
互いの骨と骨がぶつかり、軋みを上げた。――痛い。だが、問題はない。
足を狙い、刀を横に振るう。
それはジャンプをすることで躱されてしまうものの、逆に相手は致命的な隙を晒してしまった。
好機とばかりに、振るった刀を大上段に構え、重力と腕力にものを言わせて真っ二つにする気持ちで振り下ろした。
それに対して両手を上に掲げる狼男。受ける術は無いはずだが――そう判断する俺だったが、予想に反して相手に傷を与えることはない。
見れば、その自慢の爪だけで刀の攻撃を食い止めている。
着地した地面はその衝撃で凹み、クレーターのようになっていた。
「…………ぐっ、重い……!」
思わず溢れる狼男の弱音。その言葉に反して数秒間持ち堪えてみせると、爪を滑らせて攻撃をいなし、返す動きで回し蹴りを放つ。
冷静にしゃがんで避けた俺は切り上げ、袈裟斬り、横薙ぎと猛攻を仕掛ける。
けれど、それらは全て紙一重で躱されてしまった――ように見えただろう。相手も同じことを思っているはずだ。
しかし、事実として狼男の体には、浅くはあるものの無数の刀傷が付いていた。
「……確かに避けたはずだが…………ちっ、チマチマと面倒だな」
避けても当たるその攻防に苛立ちを隠せないようで、舌打ちが聞こえる。
そのせいか、躱す動きが大きくなり、多少なりとも隙が生じ始めた。
綻びを責めれば崩れるように、その状態が長く続きはしない。
堪らず後ろへ飛び退く狼男に対して、俺は追撃の一歩を踏ま出す。
――はずだった。次の瞬間には視界が上を向き、目の前に広がる世界は揺れている。
何が起きたのかは把握している。飛び退き、地に足の付いていない状態でなお、相手はバク宙からの蹴り上げをしてきたのだ。
まるで、空中を足場にしたかのように。
蹴られた衝撃はまだ残っており、顔が下に向かない。眼球だけを下に向け、精一杯の状況判断を試みてみれば相手は着地する寸前。
おそらく、追撃のためこちらに踏み込んでくるに違いない――そう予期し、左手を動かす。
案の定、距離を詰めようとしてきたため、俺は腰の銃を引き抜いた。狙いは二の次、近づけさせないよう牽制の意味を込めて弾をばら撒く。
相手も引くに引けないのか、上に跳んで俺の攻撃を躱すが――それは下策と言わざるを得なかった。
好機に焦ったのだろう。けれど、身動きの取れない空中に逃げるべきではなかった。
まだ相手の拳が届く距離ではなく、だがしかし、こちらは攻撃範囲内だ。
――勝った!
蹴りあげられて浮いた体は既に地面に降りており、俺は悠々と的を狙う。
魔力を込めればその瞬間、世界は鈍くなったようにゆっくりと目の前の光景が流れていた。弾の動きから相手の一挙手一投足まで全て見え、まるで走馬灯のようだ。
その時なぜか、お師匠さまの言葉を思い出す。
――必殺の時が、最大の隙よ。最後まで気を抜いてはダメ。
その意味は、すぐに分かった。
相手の脚は不自然に空中で止まり、見えない何かを踏み込むようにして蹴り出したのだ。
当然のように攻撃は避けられ、それと同時に接近を許してしまう。
起きた出来事は理解でき、認識さえできているのに重心のせいか体が動かない。
そのまま足を払われバランスを崩す俺の首元に、本物の必殺が迫る。
その瞬間に悟った。
俺は負けたのだ。
しかし、現実に起きた事実は違う。
気がつけば、俺の放った攻撃は推定狼男の右横をすり抜けていた。
――俺が外した?
避けられたのではないと思う。狼男は不自然に身体を動かした様子もなく、悠々とこちらに歩みを進めていたためだ。
もう一度撃つ。
けれど、起こった結末は同様だ。
体を傾けたわけでも、走ったわけでもなく、気がつけば弾は通り過ぎていた。
「なるほど、脅威だ。だが、当たらなければ問題はない」
猛然と歩いているだけの狼男の言葉に、羞恥で顔が熱くなる。
躱されるならともかく、攻撃を自ら外すなど二流以下。
それは武器を十全に扱えていない証拠であり、未熟者の証だった。
「……では、今度はこちらが行こう」
今までは様子見だったのか、狼男はそう言い放つと一気に加速する。
獣人族はモデルとなった動物の特徴をそのまま受け継ぐため、狼特有の普段では味わうことのない速さに俺は瞠目した。
意識を切り替えた時には、既に目の前。
直感を頼りに伸ばしていた左手を引き、銃で首筋を守れば、甲高い音とともに重い衝撃が腕に伝わる。
指先に伸びた爪は天然の武器。それらが動脈を刈り取ろうとしていたことに、遅れて気が付いた。
そんなことを考えているうちに、今度は空いている左手を使って狼男は俺を襲う。
その勢いに圧され後退しながら攻撃を捌く俺に対し、止まらぬ連撃と追随。どの攻撃も的確に急所を狙っており、掠めただけでも命取りだ。
手足による攻撃はリーチが短いという欠点があるものの、得物と違って指関節・手首などにより取り回しが広く、どの位置からでも自由に攻撃することが可能となっていた。
さらには、狙いの正確性が今まで出会ってきたどの相手よりも精密で、受け方を数ミリ単位でも見誤れば形勢は傾くだろう。
だが、逆に言えばそこに付け入る隙もある。
覚悟を決めて、大きく息を吐いた。
続く攻撃に俺は敢えて避けようとはせず、むしろ当たりにいくように動く。
鋭く尖った狼男の爪は下手な刃物よりも容易く俺の皮膚を裂き、抉る。
傷口から赤い血飛沫が飛ぶが、命に別状はない。急所は外し、比較的安全な部位を宛てがったおかげだ。
攻撃直後に起こる硬直の隙をつき、左手に握る銃を逆手に持ち直すと、思いっきり相手の顎をかち上げた。
――だが、浅い。
ぶつかる瞬間に顔を背けたらしく、せいぜい顎を掠めた程度だろう。
けれど、それで十分だ。
顎を叩けば脳が揺れ、次の攻撃に転じることができる。
「――――フッ!」
膂力を用い、捻りを加えた掌底が狼男の胸を打つ。
綺麗に吹き飛んだ相手は二、三度地面をバウンドし、受身を取って立ち上がった。
お互いの距離は開き、現場は仕切り直しの様相を呈している。
再び銃を構えるもしばらく考え、そして止めた。
「…………ちっ。最近は相手が悪すぎるな。避ける、防ぐ、挙句の果てには当たらないって、マジでふざけんなよ」
普通に使っては武器として成り立たないことを悟り、悪態をつきながら銃を仕舞う。
代わりに刀を引き抜いた俺は呼吸を整え、精神を研ぎ澄ました。
こちらから動く様子はない。そう感じ取ったのか、今度は相手が先に攻撃を仕掛ける。
猛烈な加速。一瞬にして肉薄してくるが、今の俺に焦りはない。
心の臓を抉るようにして差し込まれた貫手を刃先に添わせ、鎬を滑らせるように受け流す。
しかし、それさえも読んでいたのか、そのままの流れで左手を薙ぎこちらの目を潰しにかかる。また、おまけとばかりに下腹部を目掛けて膝を蹴り上げてきた。
その膝を土台にバク宙の要領で狼男の手を蹴り弾くと、天地が入れ替わった視界の中、宙に浮く己の体を捻り、首を落とさんとばかりに刀を振るう。
両手はすでに攻撃に使用しており、片脚は浮いている状態。とても攻撃を受けられないような体勢でなお、狼男は驚くべき行動に出た。
口を開いたかと思えば、迫り来る刃を顎の力で食い止める。
そのまま顔を振り、空中で身動きの取れない俺は為す術もなく放り投げられてしまった。
意趣返しのように今度は俺が転げ回る。
上手く受身を取って身体を起こしたかと思えば、眼前には追撃の膝蹴りが迫っていた。
――このタイミングは避けられない。
そう確信した俺は首に力を入れ、頭突きで迎え撃つ。
互いの骨と骨がぶつかり、軋みを上げた。――痛い。だが、問題はない。
足を狙い、刀を横に振るう。
それはジャンプをすることで躱されてしまうものの、逆に相手は致命的な隙を晒してしまった。
好機とばかりに、振るった刀を大上段に構え、重力と腕力にものを言わせて真っ二つにする気持ちで振り下ろした。
それに対して両手を上に掲げる狼男。受ける術は無いはずだが――そう判断する俺だったが、予想に反して相手に傷を与えることはない。
見れば、その自慢の爪だけで刀の攻撃を食い止めている。
着地した地面はその衝撃で凹み、クレーターのようになっていた。
「…………ぐっ、重い……!」
思わず溢れる狼男の弱音。その言葉に反して数秒間持ち堪えてみせると、爪を滑らせて攻撃をいなし、返す動きで回し蹴りを放つ。
冷静にしゃがんで避けた俺は切り上げ、袈裟斬り、横薙ぎと猛攻を仕掛ける。
けれど、それらは全て紙一重で躱されてしまった――ように見えただろう。相手も同じことを思っているはずだ。
しかし、事実として狼男の体には、浅くはあるものの無数の刀傷が付いていた。
「……確かに避けたはずだが…………ちっ、チマチマと面倒だな」
避けても当たるその攻防に苛立ちを隠せないようで、舌打ちが聞こえる。
そのせいか、躱す動きが大きくなり、多少なりとも隙が生じ始めた。
綻びを責めれば崩れるように、その状態が長く続きはしない。
堪らず後ろへ飛び退く狼男に対して、俺は追撃の一歩を踏ま出す。
――はずだった。次の瞬間には視界が上を向き、目の前に広がる世界は揺れている。
何が起きたのかは把握している。飛び退き、地に足の付いていない状態でなお、相手はバク宙からの蹴り上げをしてきたのだ。
まるで、空中を足場にしたかのように。
蹴られた衝撃はまだ残っており、顔が下に向かない。眼球だけを下に向け、精一杯の状況判断を試みてみれば相手は着地する寸前。
おそらく、追撃のためこちらに踏み込んでくるに違いない――そう予期し、左手を動かす。
案の定、距離を詰めようとしてきたため、俺は腰の銃を引き抜いた。狙いは二の次、近づけさせないよう牽制の意味を込めて弾をばら撒く。
相手も引くに引けないのか、上に跳んで俺の攻撃を躱すが――それは下策と言わざるを得なかった。
好機に焦ったのだろう。けれど、身動きの取れない空中に逃げるべきではなかった。
まだ相手の拳が届く距離ではなく、だがしかし、こちらは攻撃範囲内だ。
――勝った!
蹴りあげられて浮いた体は既に地面に降りており、俺は悠々と的を狙う。
魔力を込めればその瞬間、世界は鈍くなったようにゆっくりと目の前の光景が流れていた。弾の動きから相手の一挙手一投足まで全て見え、まるで走馬灯のようだ。
その時なぜか、お師匠さまの言葉を思い出す。
――必殺の時が、最大の隙よ。最後まで気を抜いてはダメ。
その意味は、すぐに分かった。
相手の脚は不自然に空中で止まり、見えない何かを踏み込むようにして蹴り出したのだ。
当然のように攻撃は避けられ、それと同時に接近を許してしまう。
起きた出来事は理解でき、認識さえできているのに重心のせいか体が動かない。
そのまま足を払われバランスを崩す俺の首元に、本物の必殺が迫る。
その瞬間に悟った。
俺は負けたのだ。
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