最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

文字の大きさ
上 下
142 / 184

第131話

しおりを挟む
「長いな」
「クゥ」「ググ」

 俺とウルとグーさんは、他の3人がコルクアントの巣穴から帰ってくるのを待っている。

「まぁもうこの辺のモンスターは倒しただろうし、ちょっとだけグーさんの性能を確認しても良い?」
「ググ」
「じゃあまずはグーさんはゴーさんと同じことが出来る?」
「グググ」
「出来ないのか。ほとんど同じことは出来る?」
「ググ」
「なるほど。1人で買い物には行けないけど、それ以外だとなんだろな。料理ができないとか?」
「ググ!」
「おお! 1回で当てれた。じゃあそれ以外は大体グーさんも出来るんだ」
「ググ」

 ゴーさんがどこまで調整できるのかは知らないけど、自分の趣味である料理をグーさんができないようにもし作ったのなら、凄く人間臭くて良いなと思ってしまった。
 あれだけ普段俺達のために動いてくれるゴーさんが、自分の趣味を見つけてそれを大事にしていると考えると本当に嬉しい。
 まぁ俺が勝手に思ってるだけでそうじゃない可能性も全然あるけど。

「グーさんは外に出るの好き?」
「ググ」
「モンスターを狩るのは?」
「ググ」
「家で居るのは?」
「ググ」
「……自分の仕事が減るのは?」
「ググググ」

 あぁゴーさん、グーさんは第2のゴーさんなんだね。

「そ、そっか。まぁゴーさんと2人で手分けして頑張ってくれたらうれしいよ」
「ググ」



《ウルのレベルが上がりました》
《ルリのレベルが上がりました》
《エメラのレベルが上がりました》
《シロのレベルが上がりました》

「アウ!」「……!」「コン!」
「お、帰ってきたな」

 これで俺以外の皆のレベルが上がったが、30を超えると更にレベルの上がり辛さを感じる。

「たぶん今回の若いトレントとコルクアントのレベルは俺達より数レベル高かったと思うし、ビッグ・ビーの時みたいに2レベルくらい上がっても良い状況だったんだけど、やっぱりコネファンはレベルが全然上がらないって思ってた方が良いな」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」

 ということで早速ステータスを見せてもらう。

名前:ウル
レベル:31
種族:アイシクルウルフ
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ、シロ、グーさん
スキル:勤勉、成長、インベントリ、『アイシクルウルフ』『氷魔法』
装備品:黒の首輪(魔獣)

名前:ルリ
レベル:31
種族:巨人
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ、シロ、グーさん
スキル:忍耐、超回復、成長、インベントリ、『巨人2』
装備品:黒の腕輪(魔獣)、銀の手斧(魔獣)、銀の小盾(魔獣)

名前:エメラ
レベル:31
種族:大樹の精霊
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ、シロ、グーさん
スキル:支配、成長、インベントリ、『大樹の精霊』『樹魔法』
装備品:黒のチョーカー(魔獣)

名前:シロ
レベル:31
種族:善狐
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ、シロ、グーさん
スキル:聡明、成長、インベントリ、『善狐』『水魔法』
装備品:黒の足輪(魔獣)

「よし、皆ちゃんと31レベルになってるな」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」
「ちょっと待って。一応インベントリの中を確認するから」

 今回もビッグ・ビーの時のように女王アリが居たはずなので、何を落としたか見ておきたい。

名前:天候の指輪(コルククイーンアント)
効果:天気予報、植物系モンスター特効
ドロップ品:特定のモンスターから低確率で手に入る指輪。24時間後までの天気が分かり、ドロップしたモンスターによって、もう1つの効果を得る。

「なんかまた変なの手に入れたな」

 そして今回思ったのは、特定のモンスターから低確率で手に入る、と書いてある装備は大体同じような種類のモンスターから手に入るという話なのかもしれないということだ。

「幸運の指輪は幸運値上昇、天気の指輪は天気予報が出来て、あと1つの能力はモンスターによって変わる。これは他の種類の女王蜂モンスターを倒したら幸運の指輪が出て、女王蟻のモンスターを倒したら天気の指輪が出るということなのでは?」

 そうなるとちょっとハニー・ビーを倒して検証してみたい気持ちはある。

「まぁもし倒すとしてもこの前ハチミツまで貰って仲良くなったハニー・ビーは倒さないでおこうかな」

 とりあえず天気の指輪はインベントリにしまって、次にやることを皆へ共有する。

「じゃあ今回で依頼分は倒せたし、最後の調査依頼に行くか」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」「ググ」

 ということで俺達は調査依頼を進めるために現場へと向かう。



「あった。たぶんあれが調査依頼の内容にあった謎のくぼみだろうけど、なんか多いな」

 くぼみというよりいくつもの穴が空いている。

「お、モグラ?」

 襲いかかってくる訳でもないのに、地面に出てくるとは思わなかった。

「穴の正体は、えっと……ノコギリモグラの仕業だったのか」

 一応穴が出来た理由はノコギリモグラだということは分かった。

「でも大体調査依頼はこっからだよな」

 なぜノコギリモグラが地面にでてきてるのか、そしてなぜあんなに穴ができてるのか、これを調べたい。

「ん? なんかあっちにもくぼみがあるな」

 もう少し奥には、こっちとは違ってちゃんとしたくぼみがある。

「あれ、謎のくぼみってあっちか?」

 近くで見てみると、さっきのいくつも穴があったくぼみと呼んで良いのか分からないようなものではなく、しっかりと大きなくぼみがこちらにはあった。

「あ、コルクアント」

 1体のコルクアントがそのくぼみへと足を踏み入れると、くぼみの中から土が吹き出てどんどんコルクアントが下へと落ちていく。

「うわぁ、これたぶんアリジゴクだな」

 アリジゴクの姿を見ることは出来なかったが、中を覗いてもさっきまで居たコルクアントの姿は見えなかった。

「一応倒しとくか。シロとウルに任せても良い?」
「クゥ!」「コン!」

 シロが水魔法を使い、地上に出てきたアリジゴクをウルが氷魔法でトドメを刺す。

「一瞬しか見えなかったけど、なんかヤバそうな牙持ってたな」

 ウルが倒す直前にあいつがパラライズアリジゴクという名前なのは確認できた。

「パラライズアリジゴクってことは麻痺だろうな。まぁお前にはこの辺にいっぱいアリのモンスターが居たし、ここはパラダイスだったかもな! なんて、ハハハ、はは……はぁ、何言ってるんだろ俺は」

 サポーターのバンさんが言いそうなことを思いついて言ってみたが、ここは動画になってても絶対カットしよう。

「うん、帰ろっか」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」「ググ」

 俺は魔獣達にオヤジギャグが伝わらなくて、本当に良かったと心から思った。



「お疲れ様でした」

 魔獣ギルドで討伐依頼の達成報告をした後、冒険者ギルドで納品依頼の報告を終わらせて、今は調査依頼の報告をしている。

「……てことでパラライズアリジゴクってモンスターが原因だったようです」
「なるほど、あまりそのあたりで見られるようなモンスターではないため、報告してくれた方はくぼみの原因が分からなかったのでしょう」
「そうなんですね。あと近くにノコギリモグラの穴が大量にあったんで、最初はそっちが謎のくぼみかと思いました」
「なぜノコギリモグラだと?」
「地面に出てきてたんで」
「? それは何か獲物を見つけてノコギリモグラが出てきた様子でしたか?」
「いや、何もなかったですけど外に出てましたね」
「パラライズアリジゴクの存在によって、少し生態系が崩れている可能性がありますね。しばらく警戒しないといけないかもしれません」

 ということで調査依頼の報酬として5万Gもらい、今回の依頼を終えた。

「さて、どうしよう」

 俺としては今回の依頼を受けて、やっぱりガッツリと討伐系の依頼をするのは楽しいなと思ったんだが、まぁ今日はここまでかな。

「一旦グーさんはゴーさんに返そう」
「ググ」

 最初はグーさんが何が出来るのかを調べたくて色々やってたが、この討伐依頼にもパーティーメンバーとして普通に連れてきてしまった。

「結構採取してくれたね。ありがとう」
「ググ」

 薬草をはじめ、水晶や翡翠などの石、食べられない実や葉っぱという、俺には何に使うか分からない錬金素材を取ってきてくれた。

「あ、ゴーさん」
「ゴゴ」

 俺達が家に帰ってくると、ゴーさんは畑の世話をしていた。

「グーさんと探索に行ったけど、色んな物を集めてくれて凄い活躍してくれたよ」
「ゴゴ」
「またお願いするかも。今日はありがとうグーさん」
「ググ」
「ゴゴ」

 相変わらず仕事熱心なゴーレム達だ。もう俺は畑を自分だけでいじることは無いのだろう。

「あ、そう言えば夢の羊毛をまだ使ってないな」

 サポーターのルーロさんが言うには寝具としてとても人気だと聞いてるし、ちょっと職人ギルドに行って作ってもらうか。

「でも北の街の職人ギルドでいいのかな?」

 どの街の職人ギルドなら良い寝具を作ってくれるのかと考えていると、家の外から俺のことを呼ぶ声が聞こえる。

「あ、俺が出るよ」
「ゴゴ」「ググ」

 ゴーさん達を制止して俺が出る。

「はーい、どなたですか?」

 そう言って扉を開けると、笑顔でこちらを見るハティとその後ろにいつも通り居るサイさん、そして緊張した表情でどこか俺に助けを求めるような視線を向けてくるキプロが立っていた。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

動物大好きな子が動物と遊んでいたらいつの間にか最強に!!!!

常光 なる
ファンタジー
これは生き物大好きの一ノ瀬夜月(いちのせ ないと)が有名なVRMMOゲーム Shine stay Onlineというゲームで 色々な生き物と触れて和気あいあいとする ほのぼの系ストーリー のはずが夜月はいつの間にか有名なプレーヤーになっていく…………

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...