最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

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第127話

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「お、ユーマ帰ってきたか」
「モニカさんどうしたんですか?」
「少し話を聞いてほしくてな」
「それはモルガがいない所の方が良いですか?」
「いや、むしろモルガには聞いて欲しい」
「それならこれからご飯ですし、その時に話を聞くでもいいですか?」
「あぁ、それで頼む」

 モニカさんの表情を見てもそこまで重大なことではなさそうだ。少し困ってるというか、悩んでる感じはしたけど。

「あ、ユーマ」
「ただいまモルガ」
「ぼくはついに普通の冒険者に戻れたよ!」
「お、おう」
「名前を言わない限り誰もぼくのことに気付かないし、プレイヤー様ばっかりだからまるで普通の冒険者のような気持ちで居られるんだ!」
「良かったんじゃないか?」
「うん、やっぱりまた冒険者を再開して良かった」

 こっちはモニカさんとは逆で、何1つ困っていることはなさそうで、本当に嬉しいのだろう。

「ゴーさんただいま。皆の分のご飯用意してもらって良い? その後俺も手伝うから、約束のゴーレムを作ろう」
「ゴゴ!」

 ゴーさんはいつも通り美味しい料理をテーブルに並べてくれる。

「いただきます」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」
「モニカさん、話ってもう聞いてもいいですか?」
「あぁ、モルガも聞いて欲しい」
「? 分かった」

 そう言うと、モニカさんは食べる手を止めて俺達へ話し出す。

「私はここ1週間ほど冒険者パーティーを組んでいた仲間が居たんだが、1人を除いて皆は他の場所へ行ってしまうらしい」
「え、なんでですか?」
「そもそもここへ来たのはプレイヤー様達を一目見たいからという理由らしくてな。もうここに残る意味はなくなったらしい」
「なるほど」
「それで私ともう1人、ユーマは知っているがこの街出身のカーシャを除いて、4人はここから離れてしまうんだ。私とカーシャも一緒に来ないかと誘われたが、断った」
「そうなんですね」
「モニカはこれからどうするの?」

 確かにモニカさんはカーシャさんと2人でやってくのかな? それとも他の人を探すのか、1人でやってくのか。
 
「私はカーシャとパーティーを組んで冒険者の活動を続けるんだが、モルガ、一緒にやらないか?」
「え、ぼく?」
「あぁ、もちろん実力は知っている。近接戦になれば私が有利だろうが、少しでも離れればモルガに勝てる者は居ないだろう」
「え、まぁ、それほどでも、あるかなぁ?」
「カーシャにはパーティーメンバーのことを私に任されている。今モルガが入ると言えばその時点で採用だ」
「ぼくはもう少し1人でやって、近くの街も日帰りで見てみようと思ってたけど、モニカのパーティーなら入っておく方が良さそうだね。うん、ぼく入るよ」
「そうか。ありがとう」

 ということでモニカさんのパーティーにモルガが入った。が、それなら俺への話ではなく、モルガへの話なのでは?

「じゃあモニカさんの話はこれで解決かな?」
「いや、ユーマにも話がある」
「何ですか?」
「キプロと、ハティだったか? 冒険者を目指しているサポーターが居るという話だったな」
「あぁ、そうですね。これから俺とモルガで鍛えていく予定の2人です」
「その2人も入らないか聞いてみたいと思ってな」
「え、モニカさん達のパーティーにですか?」
「キプロは鍛冶屋があるからずっと冒険者ができるわけではないのは分かっているが、現状人も足りていないし良い機会だと思ってな」
「なるほど」
「ユーマから見て、2人を誘うのはどう思う?」

 そう言われるとまだ訓練すら始まってないため、何とも言えない。

「キプロはモニカさんも知ってると思いますけど、真面目で頑張り屋で少し緊張しいな所があります。サポーターのキプロは、ビビリなところがあるものの、自分の与えられた役割はしっかりと出来るタイプなので、戦えるようになれば全然ありだと思います」
「そうか」
「ハティは本当に分からないですね。俺と出会ってからサポーターと冒険者を目指しだしたので、今は一生懸命頑張ってますけど今後どうなるかは分かりません。ただ、少なくとも今は本気でサポーターになろうと頑張ってるのは伝わります」
「分かった。では、ユーマは私のパーティーにその2人を入れることには賛成か? もしユーマが反対なら毎朝ここで訓練している姿を見て決めようと思うが、ユーマの気持ちを聞いておきたい」

 俺がここで2人のことを決める権利はないが、一応答えるか。

「俺は誘ってもらって全然良いと思いますよ。皆さんのような先輩冒険者が近くにいたほうが、すぐ実力はつくと思いますし」
「そうか、それを聞けて良かった」
「ぼくはあんまり分からないけど、キプロは良い人だったね」
「モルガはキプロが泣いてる姿見ただけでしょ」
「そういえば今日もキプロはご飯食べに来なかったね」
「ま、明日の朝来なかったら俺がキプロを呼びに行こうかな」
「いいね」

 こうしてモニカさんの話も終わり、ご飯も食べ終わった。

「よし、じゃあゴーさん行こうか」
「ゴゴ」

 俺とゴーさんは錬金部屋に行き、まずゴーレム作成に必要なゴーレムの核と魔玉を出す。

「ゴーさんは特別な魔玉だったけど、今回は魔玉だからどうなるかな」
「ゴゴ」
「あ、ゴーレムはゴーさんの好きなように作ってくれていいよ」
「(ゴゴゴゴ……)」

 ゴーさんがどんなゴーレムにするか決めている間に素材を並べる。

「ゴゴ!」
「あ、準備できた?」
「ゴゴ」
「じゃあゴーレム作りに必要なものはそのままスルーして。必要ないものを言ってくれたらそれを片付けてくから」
「ゴゴ」

 そして以前ゴーさんを作った時のように、長い長い素材選びが続く。
 何が素材に選ばれるかわからないため、俺はインベントリにある全てのものを出す。

「これは?」
「……」
「これは?」
「ゴゴ」
「これは?」
「……」

 無心でゴーさんに従うまま素材を置いていくと、やっと全てのアイテムをゴーさんに見せることが出来た。

「なぁゴーさん、その本は本当に必要?」
「ゴゴ」
「その宝石とか不思議な苗から出た果実とかも?」
「ゴゴ」
「……なら仕方がないか」

 全部ゴーさんにゴーレムの素材で使うか見せてしまったがために、宝石箱やスキルを覚えられる心得本、まだ1つも食べていない果実まで全て使うと言われてしまった。

「これだけ豪華な素材を使うなら、特別な魔玉が出るまでダンジョン回ってもよかったか」
「ゴゴゴ」
「あ、それは必要ないのね」
「ゴゴ」

 どうやら今ある素材で最高のゴーレムを作ってみせるという気持ちは伝わってくる。
 ……ゴーさん、君もゴーレムなんだけどね。

「ゴゴ!!」
「はい」
「ゴゴゴ!!」
「はい」
「ゴゴゴゴ!!」

 ゴーさんが素材を魔法の錬金釜へ入れていく。俺はゴーさんのインベントリに入り切らなかった素材をゴーさんの近くに置いていき、ゴーさんはそれを自分のインベントリに入れながら錬金釜へ素材を入れる手も止めない。

「ゴゴ」
「そろそろ完成っぽいな」

 俺は前回の反省を活かし、錬金釜の方を薄目で見る。

「ゴゴゴゴゴ!!!」
「おお」

 ゴーさんが今日1番の大声を出したかと思えば、魔法の錬金釜がとてつもない輝きを放ち、その側にはあれだけ大量の素材を投入したおかげか、ゴーさんよりも大きなゴーレムが出来ていた。

「ググググ」
「ゴゴ」
「ググ」
「あの、君が新しいゴーレムだよね?」
「ググ」
「えっと、ゴーさんの後輩の、名前はグーさんで良いかな?」
「ググ」
「ゴゴ」

 ゴーさんは俺の名付けを聞いたあと、早速グーさんに色々仕事を教えようとしている。

「あの、ちょっとだけゴーさん待って」
「ゴゴ」
「グーさんは俺の言ってること分かる?」
「ググ」
「だよね。じゃあ、ゴーさんみたいにちょっとした魔法的なものを使えたり」
「ググ」
「するんだよね。じゃあ戦闘能力とかは流石に」
「ググ」
「あるんだ。ちょっとこの黄金の槍持ってみて」
「ググ」
「あぁ、なんとなく戦えそうだね。ここで振り回したら危ないしやらせないけど」
「ググ」
「ステータスは、ゴーさんと一緒で名前とかしか見れないのか。じゃあ外に一緒に行ってモンスターを狩ったらレベルが上がるとかではないんだね」
「ググ」

 戦闘は出来るけど、レベルは上がらない。ただ、一緒に外へ出て色々手伝ってくれそうな感じはする。

「ちょっと1人で買い物に行ったりは」
「グググ」
「あ、それは出来ないんだ」
「ゴゴ」
「ググ」
「あ、もしかしてゴーさんと一緒じゃないと動けないの?」
「グググ」
「なんで俺のところに……あ、俺かゴーさんの側じゃないと動けないのね?」
「ググ」

 グーさんもゴーさんと同じように、もしかしたらゴーさん以上に凄い性能をしているかもしれないが、ゴーさんみたいに1人では動けないらしい。

「なんか大きいグーさんがゴーさんの後ろをついて行くのは可愛いな」
「ゴゴ」
「ググ」

 こうして新しいゴーレム、グーさんがゴーさんによって作られたが、色んなことが出来そうなのに1人では動けないという、とても可愛いゴーレムが仲間になったのだった。


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