最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

文字の大きさ
133 / 214

第122話

しおりを挟む
「ふぅ、ただいま」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」

 ずっとログアウトしていなかったので、急いでご飯を食べに帰って、またコネファンへと戻ってきた。

「あ、ゴーさん。ここへ帰ってくる前に職人ギルドで鉱石の加工をお願いしたから、今日はゴーレム作り出来ると思う」
「ゴゴ」
「料理楽しい?」
「ゴゴ!」

 人数も増えて料理の時間が増えるだけでなく、人によってメニューも変えているゴーさんには頭が上がらないが、こうもテキパキと楽しそうに料理をされるとこっちも止められない。

「おはよう」
「あ、モニカさんおはようございます」
「顔を洗ってくる。モルガはまだ起きてないのか?」
「たぶんまだ寝てますね」
「もし朝ごはんの時間までに起きて来なかったら私が起こそう」
「お願いします」

 今家の中には俺、ウル、ルリ、エメラ、シロ、ゴーさん、モニカさん、モルガの8人が住んでいる。
 ゴーさんは食べないし寝ないしでちょっと特殊だけど、本当に多くなったなと思う。

「ゴゴ」
「おお、今日も美味しそうだな」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」

 ウルには大イノシシ肉をそのまま焼いたものが、ルリにはおそらくフラワー・ビーの蜂蜜がかけられたフレンチトーストが、エメラには野菜スティックと色んな野菜やフルーツがミキサーにかけられたであろうスムージーが、最後のシロは闇ウサギ肉を焼いたものとシカ肉を煮込んだシチューが出された。

「いや、インベントリに入れてるからこれだけの料理を同時に出せるのは分かるよ。分かるけど、それにしても種類が多すぎない?」
「ゴゴ」
「あ、俺の分もありがとう」
「ゴゴ」

 焼き魚と味噌汁にご飯、最近肉料理が続いたから魚にしてくれたのかな? それか朝は魚を食べることが多いからそれを見て合わせてくれたのかも。

「美味しそうな匂いだ。まだモルガは起きてないのか」
「そうですね」
「モルガ、朝ご飯だ。皆で食べるぞ」

 モニカさんがそう言うと、部屋からパジャマ姿のモルガが出てくる。

「ぉ……」
「ん?」
「ぉ……ぅ」
「あぁ、おはよう。すぐ食べるぞ」
「ぁぃ」

 モルガは朝が弱いのか。もうモニカさんとモルガが親子にしか見えない。

「いただきます、うん、美味しい」
「ゴーさん、まだ米はあるか? 無いなら私が今度買ってくるが」
「ゴゴ!」
「では今日の帰りにでも買ってこよう」
「お米ありがとうございます」
「いや、私が今出来るのはこれくらいだからな」
「でもそろそろゴーさんも買い物を覚えたら、それも必要なくなるかもしれないです」
「なに! ゴーさんが買い物に1人で行くのか?」
「一応前に場所は伝えたので、たぶん行こうと思えば今も行けますね」

 ゴーさんの話をしていると、ようやく頭が起きてきたのかモルガの声がリビングに響き渡る。

「おいしい! これおいしすぎるよ!」
「それならゴーさんに感謝して」
「ゴーさん、ぼくもうこんなおいしいご飯食べたらどこにも行けないよ」
「たぶんこれからもっとモルガにあった料理を出してくれるようになるから、楽しみにしてて」
「ゴゴ」

 モルガは朝弱いけど元気になるのも早いとメモしておこう。

「そうだ、今日はキプロが朝来るかもしれなくて、明日はハティも来る可能性があるんだった」
「エマにも今日その説明をしよう」
「ぼくは今日キプロが朝ご飯食べに来ると思ってたけど、来なかったね」

 言われてみれば確かにそうだ。

「まぁそのうち来ると思うし、無理にこっちから言うのはやめておこう」
「そうだね」
「ちなみに今日もし誰も来なかったら、エマを一緒に見てくれるのか?」
「まぁそうですね。モルガもそれでいい?」
「ぼくはそれで問題ないよ」
「ならいくつか訓練用の武器を私の方で用意しておこう」
「ありがとうございます」

 皆ゴーさんのご飯を食べ終えた頃、エマちゃんが家にやってくる。

「おはようございます」
「後でエマに話がある。あと今日はユーマとこのモルガがエマのことを見てくれるぞ」
「えっ、どういうことですか?」

 エマちゃんへの説明はモニカさんに任せ、俺は少し畑を見に行く。

「あ、そういえば不思議な苗からできた実をまだ使ってないな」
「ユーマ、色々育てているとは聞いていたけど、これは凄いね」
「今はこれ全部ゴーさんがお世話してるんだけどね」
「す、凄いけど、それって良いの?」
「仕事を奪おうとしたらゴーさん怒るんだよね。それか悲しそうにするか」
「ぼくだったら絶対に人に任せちゃう」
「というかこっち来てるけどモルガはエマちゃんに挨拶した?」
「魔術師モルガって言ったらぼくのこと知ってたよ」

 やっぱりモルガは有名らしい。

「ちょっと俺は作業するから、先に向こう行ってて」
「分かった」

 そう言ってモルガはモニカさんとエマちゃんのいる場所に行った。

「ゴーさん、たぶん不思議な苗の実は1つ残してたら周りに影響を与えてくれると思うし、あとは全部収穫しちゃっていいよね?」
「ゴゴ」

 実をつけたまま残しておけば周りに影響を与えると思うので、聖なる果実と幸運の果実、癒しの果実がなっているものは果実を1つだけ取らずに置いといて、他のは全部取ってしまう。

「不思議な苗は1本につき5個だな。普通の果物ができる木は植えとくだけでまた実を作ってくれるけど、流石に不思議な苗はずっと増え続けることは無いよな」

 さて、不思議な苗から出来た実をどう使うのか難しいが、こういう時はゴーさんに預けておくに限る。

「てことで持っててもらっていい?」
「ゴゴ」
「一応使う時は言ってほしいけど、最悪同じ種類のものを数個残してるなら、俺に言わなくても使っていいよ」
「ゴゴ」

 最初はこういった貴重なものは自分で色々使い道を考えようと思っていたのだが、ゴーさんが来てから考えることをやめた気がする。

「ユーマ、そろそろ始めるぞ」
「あ、すぐ行きます」

 ウル達は俺とゴーさんが話してる途中で、ハセクさんを見つけてそっちの手伝いに行ったので、今は俺しか居ない。

「準備運動も終わったし早速始めたいんだが、始めて良いか?」
「はい、大丈夫です。もしかしたら後で来るかもしれないですけど、キプロも毎日は来れないと思うので、こういう時は始めましょう」
「分かった。ではまず私とエマでやるから、ユーマとモルガは見ていてくれ」
「了解です」
「分かった」

 そしていつものようにモニカさんとエマちゃんは訓練を始めた。

「モニカは両手剣なんだね。元騎士って言うから盾と片手剣とかが慣れてるのかなって思ってたけど」
「たぶんモニカさんのお父さんが大剣使いだから、それに引っ張られてるってのはあると思う」
「へぇ、なるほどね」

「エマ、もっと堂々と構えるんだ」
「はい!」
「ブレてはいけない、そうだ、攻撃されてもブレるな」

 こうしてしばらく続いたモニカさんとエマちゃんの戦いは、エマちゃんの体力がなくなったところで一度終わった。

「ではユーマとモルガに少し戦ってもらおうか」
「え」
「ぼくは魔法でいいの? 武器を使っても全然強くないし」
「あぁ、ユーマがモルガの魔法を避けてくれ」
「俺の意見は」
「これはエマに見せるための戦いだ。モルガも攻撃力のある魔法はやめてくれ」
「分かった」

 ということで俺は魔法を避けることになったらしい。

「俺はモルガに攻撃しますか?」
「そうだな、攻撃はしなくて良いが、モルガに近づこうとはしてほしい」
「分かりました」
「ではいくぞ」
「いいよ」
「いけます」
「……はじめ!」

 早速モルガは水魔法を正面から飛ばしてくるが、流石にそれは当たらないし、それをおとりにして横から土魔法を当てようとしてるのも見えている。

「おっと、やっぱり風魔法もきてたか」
「今のは全部威力は弱いけど、どれかは当てるつもりだったのに」
「まぁモルガが手加減してくれてるからな。今のを全部同時にモルガなら撃てたでしょ?」
「ぼくだって鬼じゃないからね」

 そうは言うが、明らかにさっきより避けにくい魔法攻撃が増えた。

「いやっ、これはっ、ギリギリだな!」
「ユーマ凄い! 全部避けてるよ!」
「あっ、ぶない、っ」

 俺の限界を試すように、モルガはさっきから魔法の数とタイミングを変えて俺に当てようとしてくる。

「これは?」
「いやっ、それはマズイ!」

 片手剣で魔法は防いだが、俺の身体は地面へと吹き飛ばされた。

「はぁ。まぁ、今はこんなもんか」
「ユーマ大丈夫だった?」
「なんだその嬉しそうな顔は」
「ぼく凄いでしょ」
「あぁ、魔術師モルガ様の一面が見れたよ」

 地面についた背中やお尻の土を払い、俺とモルガはモニカさん達のいる場所へ戻る。

「こんなんで良いですか?」
「2人とも凄かったです!」
「モルガの魔法も凄かったが、ユーマの戦闘センスも凄かったな」
「ぼくもそれは驚いちゃった」
「まぁこれは慣れかな。最後の方はほぼ予想で避けてたし」

 ウル達もハセクさんの手伝いやアイス作りが少し前に終わっていたのか、俺の方に寄ってくる。

「ウル達にはカッコ悪いとこ見せちゃったな」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」
「ぼくユーマを攻撃して皆に嫌われてない?」
「大丈夫大丈夫、訓練ってのはウル達もちゃんと分かってるし」

 モルガとの訓練は、ワイルドベアーやホブゴブリンと戦った時を思い出すような、ステータスの限界を少し感じた。

「今日はこれくらいにしようか」
「ありがとうございました!」
「バイバイ」
「結局キプロは今日来なかったけど、明日からはメンバー増えるかもしれないからよろしくね」
「はい、楽しみにしてます」

 こうして朝の訓練はほぼ俺とモルガの戦闘を見る会になってしまったわけだが、エマちゃんが満足そうにしてたのでそれはそれで良かったと自分を納得させるのだった。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

処理中です...