129 / 179
第118話
しおりを挟む
「あ、そうだ。モルガの事を紹介したい人が居るというか、たまに訓練を見てあげて欲しい人が居て」
「今のぼくは何だってやるよ!」
「いや、それは大丈夫。たぶん大変なことになるから」
一応モルガは有名な魔術師なはずだし、簡単に色々教えてもらっちゃあんまり良くない気がする。
「これまでは鍛冶師とサポーターをしてて、これからはサポーターじゃなくて冒険者をしたいって友達がいるんだけど、たまに教えてあげて欲しいなって」
「そんなことならお安い御用だね」
「なら多分そこにあと1人今後追加されるかも」
「ちなみに今からその人に会える?」
「そうだな。多分今の時間はお店もそんなに忙しくないだろうし」
ということでキプロの店にやって来た。
「キプロー」
「ユーマさん! どうされました?」
「ハティにはまだキプロと一緒に冒険者をするか聞けてないんだけど、その前にこれから冒険者としてのキプロ達を導いてくれる素敵な師匠を連れてきた」
「え、ユーマさん以外にも教えてくれる方が居るんですか!」
「では冒険者の師匠、モルガさんです」
「魔術師モルガとはこのぼく、モルガだよ!」
「き、聞いたことあります! 貴方がモルガさんなんですね!」
やっぱりモルガは有名らしい。
「へぇ、モルガってホントに有名なんだな」
「ぼくもこんな反応を返してくれたら、やっぱり嬉しいね」
「でも僕、魔法は使えないですし、そもそも戦闘のセンスがあんまりなくて」
「それを俺とモルガでこれから見て教えるから。あとまだ声かけてないけどハティも冒険者どころかサポーターの経験も全然ないし、キプロは教えてもらえてラッキーくらいの気持ちで良いよ」
「ぼくは魔法が得意だけど、教えるだけなら魔法以外の冒険者の戦い方も色々知ってるし任せて」
「心強いです!」
「一応毎朝8時か9時あたりに、俺の家の裏でモニカさんと隣の家のエマちゃんっていう女の子が特訓してるんだけど、来れる日はその時間にキプロも来てもらって、30分から1時間くらい戦い方を教えるってのはどう?」
これはキプロもハティもエマちゃんも丁度良いライバルになると思ったからだ。まぁエマちゃんは冒険者目指してないけど、競う相手がいる方が面白いと思うし。
「分かりました!」
「ぼくもそれでいいよ」
「でも無理に毎日来なくて良いからね、鍛冶屋を優先してもらって。もう少し早く来たら朝ご飯食べてるから、もし皆で食べたかったら7時過ぎくらいに来てよ。別に訓練はしないけど朝ご飯だけ食べに来るでもいいし」
「ありがとうございます!」
「ユーマは人たらしだね」
「キプロも最近1人でここに来て、前は親方とかと生活してただろうからね。急に1人で生活するのは寂しいでしょ」
「あの、僕、本当にご飯だけ食べに行ったりしますよ!」
「良いよ。夜ご飯も寂しかったら来て良いし、俺が居なくてもゴーさんが絶対に居るから」
「僕、僕ぅ、ありがとうございまずぅ」
キプロが泣いてしまった。
「ユーマが泣かせた」
「いや、そんな人聞きの悪い言い方やめてよ」
「でもぼくも少しだけキプロの気持ちは分かるよ。気軽に会いに行っていい場所は必要だと思うから」
「俺はいつでも来て良いって言ってたんだけどな」
「ずみまぜん。僕、この前みなざんでご飯食べたのがだのじぐで、なつがしぐなっぢゃっで」
確かにゴーさんが料理を作り過ぎた時の食事会は楽しかったな。もしかしたらそれでキプロはここに来る前の生活を思い出したのかもしれない。
「まぁそう言うことだから、いつでも来て良いし、俺が居なかったら新しい師匠にも色々相談とかしに来て。モルガもうちに住むことになったんだけど、しばらくは遠くに行ったりせず北の街に居るでしょ?」
「ぼくはそのつもり」
「だってさ」
「わがりまじだ」
泣いているキプロを置いていくのは申し訳ないが、そろそろ帰ることにする。
「じゃあまたな」
「ありがどうございまじだ」
「これからよろしく」
こうしてキプロの店を出て家に帰りながらモルガと話す。
「他人事とは思えなかった」
「モルガも一人暮らししてたらあぁなってたってこと?」
「ぼくの場合はまた村に帰ってた気がする」
「なるほどね」
「あ、ユーマ、色々買い物したいから先帰ってて」
「あぁ、じゃあ俺もちょっと出かけてきていい? 長くても1時間で帰るから」
「分かった」
そう言ってモルガとは家へ帰っている途中で別れた。
「今の時間なら家に居る気がするし、ハティにも声かけに行くか」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」
ということでクリスタルへ向かい、ハティの住む街まで移動する。
「すみません、ユーマです。ハティ居ますか?」
何回来ても貴族の家というのは緊張する。
「ユーマ様、お久しぶりです」
「サイさんこんばんは。ハティって今居ますか?」
「ハティお嬢様は少し前に帰ってこられましたが、私としましては今日はもうサポーターをハティお嬢様にさせるわけには「ちょっと待って」はい」
確かに俺は遅い時間にしかハティを連れ回していなかったことを思い出す。
「少し話があって来ただけです。俺もすぐ帰るんで」
「失礼しました。私が勝手に勘違いをしてしまっただけですね」
「いや、過去の俺の行動を思い返すと、今からハティをサポーターとして連れ出すのは全然ある話なので、間違ってはないですよ」
「すぐに呼んできますので中でお待ち下さい」
「お、お邪魔します」
前も来たが流石貴族の家、部屋もいっぱいあるし、この部屋も広い。
「ユーマさん! どうされましたか? 今からサポーターが必要なら自分は行けます!」
「いや、そうじゃないから。あとサイさんにハティがさっきまでサポーター頑張ってたって聞いたし、その辺の管理もちゃんと自分で出来るようにならないと」
「うっ、でも、自分はユーマさんに誘われるなら絶対に行きたいです!」
うん、これからは絶対にサイさんに確認してからハティを誘うことにしよう。
「今日は残念ながらサポーターの話じゃなくて、俺の知り合いのサポーターがハティと同じように冒険者を目指したいって言ってて、もし良かったらその友達と一緒に冒険者目指してみる? ってお誘いで来たんだ」
「自分はまだサポーターも全然出来ないですけど」
「それはこれから経験をしていくんだし、そもそもハティのことは相手にも伝えてるよ。ちなみにそのサポーターの友達はキプロっていうんだけど、鍛冶師もしてるから毎日ハティと一緒に探索することは出来ない。だからこっちで今充実してるなら、無理にパーティーを組んでほしいとは言わないよ」
そういうとハティは黙って考え込んでしまった。
「一応毎朝8時か9時くらいに俺の家の裏で戦闘訓練を1時間弱くらいする予定だから、そっちも来れる時は来てくれて良いよ。これはキプロとパーティーを組むとか関係なく来て良いからね。ちなみに俺以外に魔術師のモルガも教えてくれることになってて、同じ場所で隣の家の女の子と訓練してる元騎士のモニカさんって人も居るから、仲良くなったら少しは教えてもらえるかもよ」
「あの、ユーマさんから見て自分はどうすれば良いと思いますか?」
「パーティーを組む話? それとも朝の訓練に参加する話?」
「どっちもです」
俺はハティがこっちでどういうことをしているのか知らないし、ハティがどれくらい自由に動けるのかも分からないから、あんまりアドバイスはし辛いんだけど。
「俺がハティの立場だったらって話をするね。まずここから北の街へ毎日通うのは大変だからそれは無し。で、まず1つ無難な選択肢で言うと、あっちで泊まらずに全部こっちで寝るとしたら、夜の来る日と夜の来ない日が3日ずつ続いてるし、夜の来ない日で北の街に行くかな。それならたぶんお父さんとお母さんも許可を出しやすいと思うから。これが1つ目。で、出来るかわからないけど、俺だったらこうするっていう選択肢として、もうこの家から行って帰ってとかせずに、北の街にしっかりと寝泊まりして長期間行っちゃうこと。やっぱりこっちよりもあっちの方がモンスターが倒しやすいし、初心者には環境的にも合ってるかなって思うから」
「なるほど」
「あっちで寝泊まりして、朝の訓練も毎日行って、それが終わったら冒険者ギルドに行ってサポーターをして、たまにキプロとパーティーを組んで探索に行く。慣れてきたら自分でも冒険者ギルドの依頼を受けてみて、臨時のパーティーを組んだりしてみる。それで実力がついてきたらこっちで活動する、とかに俺だったらなるのかな?」
俺からするとハティにはこの辺りのモンスター達は強過ぎる気がする。もう俺はハティもプレイヤーと同じように始まりの街から順番に行けば色々やりやすいなと思うんだけど、流石にそれは無理なんだろうし、そうなると北の街で頑張るのは結構良い選択肢だと俺は思う。
「……自分、北の街に行きたいです! パーティーも組みたいですし、朝の訓練にも参加したいです!」
「それは北の街で寝泊まりするのか、それとも寝泊まりはこっちでするのか」
「自分は北の街でしばらく活動したいです!」
「そっか。そう言ってますけど、サイさんはどうですか?」
「ハティお嬢様がやりたいことを、私は応援するのみです」
専属の護衛からはオッケーが出たし、あとはハティの両親か。
「じゃあキプロにハティがパーティーを組みたいって言ってることは伝えておくね。北の街に来たら俺の家かキプロの鍛冶屋に行くといいよ。今から場所は教えるから」
「分かりました!」
「お父さんとお母さんの説得は頑張ってね」
「お父様もお母様も許してくれるはずです」
「もし泊まる所に不安があるなら、最悪俺の家には泊まれるから。サイさんも俺の寝室で良いなら寝ることができますし」
「ありがとうございます」
「まぁ夜が来ない日に北の街へ来れないなんてことはないと思うから、結果がどうなろうともハティが来るの楽しみにしてるよ」
「はい! 絶対に北の街に住んでみせますから、待っててください!」
こうしてハティがキプロとパーティーを組むことに加え、朝の訓練にも参加することが決まった。
「なんかいつの間にかちょろっと訓練するつもりが、結構ちゃんとしたものになってきたな」
街のクリスタルを目指して歩きながら、俺はハティの両親への説得が上手く行くことを願うのだった。
「今のぼくは何だってやるよ!」
「いや、それは大丈夫。たぶん大変なことになるから」
一応モルガは有名な魔術師なはずだし、簡単に色々教えてもらっちゃあんまり良くない気がする。
「これまでは鍛冶師とサポーターをしてて、これからはサポーターじゃなくて冒険者をしたいって友達がいるんだけど、たまに教えてあげて欲しいなって」
「そんなことならお安い御用だね」
「なら多分そこにあと1人今後追加されるかも」
「ちなみに今からその人に会える?」
「そうだな。多分今の時間はお店もそんなに忙しくないだろうし」
ということでキプロの店にやって来た。
「キプロー」
「ユーマさん! どうされました?」
「ハティにはまだキプロと一緒に冒険者をするか聞けてないんだけど、その前にこれから冒険者としてのキプロ達を導いてくれる素敵な師匠を連れてきた」
「え、ユーマさん以外にも教えてくれる方が居るんですか!」
「では冒険者の師匠、モルガさんです」
「魔術師モルガとはこのぼく、モルガだよ!」
「き、聞いたことあります! 貴方がモルガさんなんですね!」
やっぱりモルガは有名らしい。
「へぇ、モルガってホントに有名なんだな」
「ぼくもこんな反応を返してくれたら、やっぱり嬉しいね」
「でも僕、魔法は使えないですし、そもそも戦闘のセンスがあんまりなくて」
「それを俺とモルガでこれから見て教えるから。あとまだ声かけてないけどハティも冒険者どころかサポーターの経験も全然ないし、キプロは教えてもらえてラッキーくらいの気持ちで良いよ」
「ぼくは魔法が得意だけど、教えるだけなら魔法以外の冒険者の戦い方も色々知ってるし任せて」
「心強いです!」
「一応毎朝8時か9時あたりに、俺の家の裏でモニカさんと隣の家のエマちゃんっていう女の子が特訓してるんだけど、来れる日はその時間にキプロも来てもらって、30分から1時間くらい戦い方を教えるってのはどう?」
これはキプロもハティもエマちゃんも丁度良いライバルになると思ったからだ。まぁエマちゃんは冒険者目指してないけど、競う相手がいる方が面白いと思うし。
「分かりました!」
「ぼくもそれでいいよ」
「でも無理に毎日来なくて良いからね、鍛冶屋を優先してもらって。もう少し早く来たら朝ご飯食べてるから、もし皆で食べたかったら7時過ぎくらいに来てよ。別に訓練はしないけど朝ご飯だけ食べに来るでもいいし」
「ありがとうございます!」
「ユーマは人たらしだね」
「キプロも最近1人でここに来て、前は親方とかと生活してただろうからね。急に1人で生活するのは寂しいでしょ」
「あの、僕、本当にご飯だけ食べに行ったりしますよ!」
「良いよ。夜ご飯も寂しかったら来て良いし、俺が居なくてもゴーさんが絶対に居るから」
「僕、僕ぅ、ありがとうございまずぅ」
キプロが泣いてしまった。
「ユーマが泣かせた」
「いや、そんな人聞きの悪い言い方やめてよ」
「でもぼくも少しだけキプロの気持ちは分かるよ。気軽に会いに行っていい場所は必要だと思うから」
「俺はいつでも来て良いって言ってたんだけどな」
「ずみまぜん。僕、この前みなざんでご飯食べたのがだのじぐで、なつがしぐなっぢゃっで」
確かにゴーさんが料理を作り過ぎた時の食事会は楽しかったな。もしかしたらそれでキプロはここに来る前の生活を思い出したのかもしれない。
「まぁそう言うことだから、いつでも来て良いし、俺が居なかったら新しい師匠にも色々相談とかしに来て。モルガもうちに住むことになったんだけど、しばらくは遠くに行ったりせず北の街に居るでしょ?」
「ぼくはそのつもり」
「だってさ」
「わがりまじだ」
泣いているキプロを置いていくのは申し訳ないが、そろそろ帰ることにする。
「じゃあまたな」
「ありがどうございまじだ」
「これからよろしく」
こうしてキプロの店を出て家に帰りながらモルガと話す。
「他人事とは思えなかった」
「モルガも一人暮らししてたらあぁなってたってこと?」
「ぼくの場合はまた村に帰ってた気がする」
「なるほどね」
「あ、ユーマ、色々買い物したいから先帰ってて」
「あぁ、じゃあ俺もちょっと出かけてきていい? 長くても1時間で帰るから」
「分かった」
そう言ってモルガとは家へ帰っている途中で別れた。
「今の時間なら家に居る気がするし、ハティにも声かけに行くか」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」
ということでクリスタルへ向かい、ハティの住む街まで移動する。
「すみません、ユーマです。ハティ居ますか?」
何回来ても貴族の家というのは緊張する。
「ユーマ様、お久しぶりです」
「サイさんこんばんは。ハティって今居ますか?」
「ハティお嬢様は少し前に帰ってこられましたが、私としましては今日はもうサポーターをハティお嬢様にさせるわけには「ちょっと待って」はい」
確かに俺は遅い時間にしかハティを連れ回していなかったことを思い出す。
「少し話があって来ただけです。俺もすぐ帰るんで」
「失礼しました。私が勝手に勘違いをしてしまっただけですね」
「いや、過去の俺の行動を思い返すと、今からハティをサポーターとして連れ出すのは全然ある話なので、間違ってはないですよ」
「すぐに呼んできますので中でお待ち下さい」
「お、お邪魔します」
前も来たが流石貴族の家、部屋もいっぱいあるし、この部屋も広い。
「ユーマさん! どうされましたか? 今からサポーターが必要なら自分は行けます!」
「いや、そうじゃないから。あとサイさんにハティがさっきまでサポーター頑張ってたって聞いたし、その辺の管理もちゃんと自分で出来るようにならないと」
「うっ、でも、自分はユーマさんに誘われるなら絶対に行きたいです!」
うん、これからは絶対にサイさんに確認してからハティを誘うことにしよう。
「今日は残念ながらサポーターの話じゃなくて、俺の知り合いのサポーターがハティと同じように冒険者を目指したいって言ってて、もし良かったらその友達と一緒に冒険者目指してみる? ってお誘いで来たんだ」
「自分はまだサポーターも全然出来ないですけど」
「それはこれから経験をしていくんだし、そもそもハティのことは相手にも伝えてるよ。ちなみにそのサポーターの友達はキプロっていうんだけど、鍛冶師もしてるから毎日ハティと一緒に探索することは出来ない。だからこっちで今充実してるなら、無理にパーティーを組んでほしいとは言わないよ」
そういうとハティは黙って考え込んでしまった。
「一応毎朝8時か9時くらいに俺の家の裏で戦闘訓練を1時間弱くらいする予定だから、そっちも来れる時は来てくれて良いよ。これはキプロとパーティーを組むとか関係なく来て良いからね。ちなみに俺以外に魔術師のモルガも教えてくれることになってて、同じ場所で隣の家の女の子と訓練してる元騎士のモニカさんって人も居るから、仲良くなったら少しは教えてもらえるかもよ」
「あの、ユーマさんから見て自分はどうすれば良いと思いますか?」
「パーティーを組む話? それとも朝の訓練に参加する話?」
「どっちもです」
俺はハティがこっちでどういうことをしているのか知らないし、ハティがどれくらい自由に動けるのかも分からないから、あんまりアドバイスはし辛いんだけど。
「俺がハティの立場だったらって話をするね。まずここから北の街へ毎日通うのは大変だからそれは無し。で、まず1つ無難な選択肢で言うと、あっちで泊まらずに全部こっちで寝るとしたら、夜の来る日と夜の来ない日が3日ずつ続いてるし、夜の来ない日で北の街に行くかな。それならたぶんお父さんとお母さんも許可を出しやすいと思うから。これが1つ目。で、出来るかわからないけど、俺だったらこうするっていう選択肢として、もうこの家から行って帰ってとかせずに、北の街にしっかりと寝泊まりして長期間行っちゃうこと。やっぱりこっちよりもあっちの方がモンスターが倒しやすいし、初心者には環境的にも合ってるかなって思うから」
「なるほど」
「あっちで寝泊まりして、朝の訓練も毎日行って、それが終わったら冒険者ギルドに行ってサポーターをして、たまにキプロとパーティーを組んで探索に行く。慣れてきたら自分でも冒険者ギルドの依頼を受けてみて、臨時のパーティーを組んだりしてみる。それで実力がついてきたらこっちで活動する、とかに俺だったらなるのかな?」
俺からするとハティにはこの辺りのモンスター達は強過ぎる気がする。もう俺はハティもプレイヤーと同じように始まりの街から順番に行けば色々やりやすいなと思うんだけど、流石にそれは無理なんだろうし、そうなると北の街で頑張るのは結構良い選択肢だと俺は思う。
「……自分、北の街に行きたいです! パーティーも組みたいですし、朝の訓練にも参加したいです!」
「それは北の街で寝泊まりするのか、それとも寝泊まりはこっちでするのか」
「自分は北の街でしばらく活動したいです!」
「そっか。そう言ってますけど、サイさんはどうですか?」
「ハティお嬢様がやりたいことを、私は応援するのみです」
専属の護衛からはオッケーが出たし、あとはハティの両親か。
「じゃあキプロにハティがパーティーを組みたいって言ってることは伝えておくね。北の街に来たら俺の家かキプロの鍛冶屋に行くといいよ。今から場所は教えるから」
「分かりました!」
「お父さんとお母さんの説得は頑張ってね」
「お父様もお母様も許してくれるはずです」
「もし泊まる所に不安があるなら、最悪俺の家には泊まれるから。サイさんも俺の寝室で良いなら寝ることができますし」
「ありがとうございます」
「まぁ夜が来ない日に北の街へ来れないなんてことはないと思うから、結果がどうなろうともハティが来るの楽しみにしてるよ」
「はい! 絶対に北の街に住んでみせますから、待っててください!」
こうしてハティがキプロとパーティーを組むことに加え、朝の訓練にも参加することが決まった。
「なんかいつの間にかちょろっと訓練するつもりが、結構ちゃんとしたものになってきたな」
街のクリスタルを目指して歩きながら、俺はハティの両親への説得が上手く行くことを願うのだった。
105
お気に入りに追加
376
あなたにおすすめの小説
もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!
ゆるり
ファンタジー
【書籍化!】第17回ファンタジー小説大賞『癒し系ほっこり賞』受賞作です。
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~』です)
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。
最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。
この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう!
……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは?
***
ゲーム生活をのんびり楽しむ話。
バトルもありますが、基本はスローライフ。
主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。
カクヨム様でも公開しております。
ゲームで第二の人生を!~最強?チート?ユニークスキル無双で【最強の相棒】と一緒にのんびりまったりハチャメチャライフ!?~
俊郎
SF
『カスタムパートナーオンライン』。それは、唯一無二の相棒を自分好みにカスタマイズしていく、発表時点で大いに期待が寄せられた最新VRMMOだった。
が、リリース直前に運営会社は倒産。ゲームは秘密裏に、とある研究機関へ譲渡された。
現実世界に嫌気がさした松永雅夫はこのゲームを利用した実験へ誘われ、第二の人生を歩むべく参加を決めた。
しかし、雅夫の相棒は予期しないものになった。
相棒になった謎の物体にタマと名付け、第二の人生を開始した雅夫を待っていたのは、怒涛のようなユニークスキル無双。
チートとしか言えないような相乗効果を生み出すユニークスキルのお陰でステータスは異常な数値を突破して、スキルの倍率もおかしなことに。
強くなれば将来は安泰だと、困惑しながらも楽しくまったり暮らしていくお話。
この作品は小説家になろう様、ツギクル様、ノベルアップ様でも公開しています。
大体1話2000~3000字くらいでぼちぼち更新していきます。
初めてのVRMMOものなので応援よろしくお願いします。
基本コメディです。
あまり難しく考えずお読みください。
Twitterです。
更新情報等呟くと思います。良ければフォロー等宜しくお願いします。
https://twitter.com/shiroutotoshiro?s=09

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~
夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。
多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』
一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。
主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!!
小説家になろうからの転載です。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組
瑞多美音
SF
福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……
「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。
「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。
リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。
そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。
出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。
○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○
※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。
※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる