最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

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第111話

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《マグマの番人を討伐しました》

「皆お疲れ様」
「クゥ!」「アウ!」「……」「コン!」
「エメラも十分活躍してたから大丈夫だって」
「(ふるふるっ)」
「まぁ相性が悪かったよ」

 基本的に今回はシロが活躍したが、他の皆も十分活躍してくれた。
 ただ、マグマの番人は体力が半分になったあと地形変化を起こし、マグマの川に入ったりするようになるため、完全にエメラは攻撃をすることができなくなった。

「それに俺達のレベルだともうマグマの番人はそこまで脅威じゃないから」

 熱想石を使って自分で呼び出したボスだし、ちょっとだけ俺達のレベルと同じくらいになってないかなとも期待していたが、流石にそんなことはなかった。

「す、すげぇ」
「あ、バンさんもお疲れ様でした」
「あっという間に倒しちまったな。もうこんなにプレイヤー様は強くなったのか」
「そう言ってもらえると嬉しいです」

 ただ、一見俺との会話に集中しているように見えて、ずっとバンさんの視線の先には宝箱がある。

「じゃあもう開けますね」
「おお! 楽しみだ!」

 このあともまだ調べたいことがあるので、すぐに宝箱を開ける。

 6万G、マグマな置物、マグマな楽譜、マグマ袋、装備品『怒りのアンクレット』、宝の地図、角笛、切れるはさみ

 この中身の感じだと、わざわざ雨の日に拘って倒す必要はなさそうだ。

「すげぇ」
「そんな美味しい話は無かったか」
「宝箱だぞ! この体験だけでも貴重に決まってるだろ?」

 バンさんは宝箱を見て興奮しているが、俺からするとあまり感動はない。
 前はユニークボスの初討伐と初単独討伐がセットであったので宝箱の中身も豪華だったが、今回のように何も特殊な条件がない場合だと、こんな感じなんだということが分かって良かった。
 
「(初討伐と単独初討伐は結構重要で、一度自分や他の誰かに倒された事のあるボスは、ユニークだろうとあんまり価値は高くなさそうだな)」
「これ、宝の地図だろ? 探しに行かないのか?」
「あ、確かにそれは気になるかも」

 今考えるとマグマな置物の中にも何かあるかもしれないので、初討伐でなくともユニークボスの宝箱には価値があることに気付いた。

「お、これは全然前と違うな」

 俺は前回自分で探さず全てキプロに任せたため、あまり宝の地図を見ることはなかったが、それでも前回の宝の地図とは全く違う場所にバツ印が付けられていることは分かる。

「ってそんなこと今は後にして、バンさん行きますよ!」
「え、まだ進むのか?」
「この先に洞窟があるので、そこまで行ったあと宝の地図を見ましょう。そこだと雨宿りも出来ますし」

 そうして俺達はエメラのタマゴがあったあの洞窟へとやってきた。

「ふぅ、皆ありがとう。それにしてもエメラは張り切ってたな」
「……!」
「暗いだけならこの辺のモンスターには苦戦しないと思ってたが、こんなにも簡単に倒しちまうとは」
「ありがとうございます。バンさんもこれまでで1番洞窟内でのサポートが上手かったです。流石ベテランって感じですね」
「まぁ他の奴は洞窟に入る機会なんてそんなにねぇからな。その点俺は……」

 何気にこの洞窟に最初からビビらず入ったのはバンさんだけだ。
 俺はそのことに感動したし、もっと褒めたかったのだが、自分で色々話してるバンさんの話に割り込めず、結局俺からバンさんをこれ以上褒めることはなかった。

「じゃあ奥に行きますか」
「ん? 行き止まりだぞ? いや、なんかここにあるのか?」
「おぉ、流石です」
「ここは少し他の壁と違う、のか? ちょっと掘ってみるか」
「今回は俺の装備で開けますね」

 そう言って壁を触り、一瞬にして奥への道が開く。

「俺も結構サポーターとして色んな経験してきたんだけどなぁ。さっきから新しいことが起きすぎだっ、くそっ」
「この先に俺は用があるんですよね」

 バンさんが悔しがっているのを無視して、俺達は植物に囲まれた部屋へと進み、その中に入る。

「す、すげぇ」
「ずっとバンさんそれしか言ってないですよ」
「仕方がないだろ、全部新しいことばっかなんだよ」
「お、今回は切り株の上に石があるな」

 マグマの番人を倒したあと以外、ここに来てもこの切り株の上には緑に輝く石が出現しなかったが、今回はあるためこの石はボスを倒さないと出てこない仕様なのだろう。

「ちょっと下がっててくださいね」
「あ、あぁ」

 バンさんにこのあと起こることの説明は敢えてしなかった。

「うぉぉぉ!! 大丈夫なのか!? めちゃくちゃ動いてるぞ! このまま植物に捕らえられて、一生ここに……」
「大丈夫ですよ、もうそろそろ終わりますから」

 前に一度取った時と同じ様に、目の前の切り株に向かって植物が伸びていく。

「あれ、今回は何も置いてないな」

 前回は切り株の上にタマゴがあり、さっき取った石を木の窪みにはめることで取り出すことが出来たのだが、今回は報酬が用意されていない。

「上の方には剣とか槍とか色々ぶら下がってるのになぁ」
「あれは取れねぇのか?」
「植物が邪魔をして取らせてくれないはずですよ」
「目の前にあるが、お預けか」

 もう完全にどうすれば良いかわからない。無駄にこの石をあの木の窪みにはめて、何の報酬も得られないというのも嫌だし、かといってこの石を持ち帰ったところでそこまで価値のあるものなのかわからない。
 そもそもこの石って持って帰って良いのか?

「どうしようかなぁ」
「何も起きないなら仕方ねぇし、そこにはめてみれば良いんじゃねぇか?」
「まぁそうですね」

 バンさんの後押しもあり、前と同じように窪みへと石をはめ込む。

「何も起こらねぇな」
「そうですね」

 しばらく待ったが特に変化はなく、もう諦めることにする。

「まぁそういう時もある」
「そうですね。じゃあここは明るいですし、さっきの宝の地図の場所を探してもらっても良いですか?」
「任せてくれ、すぐ見つけてやるから」

 俺は自分でも分かるくらいテンションが下がってしまったため、バンさんが俺を励ますように明るい声で話してくれるようになった。

「たぶん分かった」
「もうですか?」
「そりゃ俺を舐めてもらっちゃ困る。ほら、ここのことは忘れて行くぞ。宝だ宝!」
「そうですね。次はあると良いなぁ」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」

 洞窟を出てまた雨の中外を歩かないといけないと思っていたら、俺達が洞窟の中でいる間に雨は上がったらしい。

「これで雨はもう邪魔じゃなくなったな」
「まぁ宝を探すのは暗いのが結構厄介ですけどね」
「雨の中探すよりマシだろ?」
「それは確かにそうです」

 バンさんについて行き、宝の地図の印のところまで歩いていく。

「ここらへんだと思うんだが」
「やっぱり掘らないと駄目なんですかね」
「そうだな」

 俺は前も魔法の万能農具を持ってき忘れたのに、今回も持ってきていなかった。

「(いや、流石に今回は予定になかったし仕方ないよな)」
「どうした?」
「あぁ、こっちの話です。俺が掘るのでスコップ貸してもらってもいいですか?」
「やってくれるのか。じゃあ頼むぞ」
「はい」

 バンさんと俺の照明で、夜でありながらも掘っている場所は明るい。

「何も手に持ってないのに明るいのは良いな」
「この装備装飾品が手に入ってなかったら、もっと夜に活動することは減ってたと思います」
「とか言いながら結構探索してたと俺は思うけどな」
「まぁ否定は出来ないですね」

 そんなやり取りをしながら俺は掘り進めていく。

「あ、なんか今当たった」
「お! 来たか!」
「掘り出しますね」

 今回はすぐに見つかり、宝箱の大きさも当たり前かもしれないが前より大きかった。

「じゃあもうここで開けちゃいますね」
「よし! まさか今日だけで2つも宝箱を見つけるなんてな」
「よっ、と」

 50万G、宝石箱、魔道具『アイテム袋(下級)』

 シンプルに嬉しいものばかりが入っていた。というか早速アイテム袋が出たな。

「皆が想像する、ザ・宝箱の中身って感じでしたね」
「宝石箱にも宝石がいっぱい入ってるぞこれ」
「ですね。ちょっとさっき何も起きなくて残念な気持ちだったんですけど、この宝箱のおかげで元気出ました」
「あの空間は見るだけでも凄かったのに、なかなか贅沢だな」
「俺とウルとルリは2回目ですし、エメラはあそこから出たタマゴで生まれましたから」

 こうして宝箱も開けて満足した俺達は、ゆっくりと冒険者ギルドまで帰る。

「じゃあありがとうございました」
「こっちも楽しかったぜ。面白い体験だった」
「次の人には最後まで猫被ってくださいね」
「もう言葉遣いは諦める。俺には無理だな!」
「あっちの冒険者ギルドの職員さんこっち見て睨んでますよ」
「うわ、あぶねぇ。(俺はあいつらから言葉遣いに気をつけろって言われてんだよ。なんかサポーターの講師として示しがつかないとかでよ)」
「あ、そうだったんですね」

 バンさんとはここでお別れしたが、俺がバンさんから離れた瞬間職員さんに捕まってたので、何かこれから言われるのだろう。

「バンさんってたぶん自分の思ってる以上に声でかいんだよな」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」

 冒険者ギルドを出た俺達は、今回入手したアイテムを確認するために、一旦家へと帰るのだった。


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