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第29話
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「ウルもルリも最初は出来るだけ俺に倒させて欲しい」
「クゥ」「アウ」
了解というように、2人は俺に返事をしてくれる。
今俺達はダンジョンに挑戦しており、噂で聞いた、ダンジョンでは装備品のドロップアイテムが多い、というのを確かめようとしている。
ダンジョンに入る前に冒険者ギルドへ寄った時も、何階層のモンスターがこの装備を落とした、などの話ばかりだった。
ただ、剣士が倒したからと言って剣士用の装備が出るわけではないらしいので、鍛冶屋がいらなくなることはない。
ただ、その装備品を売れるようなオークションなんかも近々開催されそうなので、少しの間鍛冶師の肩身は狭くなりそうだ。
「何も考えずに歩いてたら道に迷いそうだけど、流石に気をつけていれば大丈夫だな」
一応冒険者ギルドで低階層の地図は売っていたが、急いでるわけでもないので買わなかった。
「ストーンアントか」
敵はこちらに気付いて威嚇しており、近くの仲間もどんどん周りに集まってきている。
「とりあえずさっきも言った通り、まずは俺だけで倒さないとな」
今のところ向こうから襲いかかってくる様子はないので、こっちから仕掛けることにする。
「シッ! うっし、関節部分は随分と柔らかいんだな」
名前の通り見た目は石のように硬そうなのだが、弱点をつけばすんなりと倒す事ができた。
……ギチギチギチギチ……ギチギチ……
その様子を見て他のストーンアント達が俺の方を睨みつける。
1体が俺に向かって飛び出すと、他のストーンアントも一斉に襲いかかってくるが、俺としてはそっちのほうが動かなくて済むからありがたい。
「じゃあ倒させてもらいますか」
ガチッ……ガチンッ……ギチギチ……
立派な顎で俺の腕を噛みちぎろうとしてくる音と、威嚇するように鳴らし続けているギチギチという音が止まらない。
「流石にこの空間でこれだけ数が多いと短剣の方がいいな」
ガイルはそろそろ短剣を作ってくれただろうか。
この相手に鉄の短剣は攻撃力不足すぎて使えないが、正直性能は低くてもいいから使える短剣は持っておきたい。
「また奥の方からストーンアント出てきてるけど、もしかして無限湧き?」
そんな事があれば他の冒険者達はどうやって倒してるんだろうと思いながらも、仕方なく襲いかかってくる全てのストーンアントを相手した。
「ふぅ~、こんなもんか」
次から次へと襲いかかってくるのは、角ウサギの群れを相手にした時を思い出すな。
「ウルもルリも、ありがとな」
途中からは2人にも手伝ってもらい、ストーンアントを倒した。
「それにしても、いくら数えてもドロップアイテムが足りないよな」
地上のモンスターは何らかのドロップアイテムを必ず1つは落とす。
ダンジョンでは魔石を落とすようなのだが、数が全く足りない。
「ダンジョンのモンスターは必ずドロップアイテムを落とすわけじゃないのか」
おそらく魔石の数は全体で倒した数の2分の1ほどで、装備品も1つだけ落としたが、幸運の指輪がなければこれもどうなっていたかわからない。
「ダンジョンは経験値と装備品目当てで潜る場所なのかな」
お金稼ぎをするなら地上で狩りをする方が今のところ良さそうだ。
「魔石の買取価格もそこまで高くないらしいし、もっと深く潜っていったら変わるのか?」
など考えながら歩いていると、下の階へと続く階段を見つけた。
「ラッキーだな。地下2階に進むか」
この階層の敵は正直相手としては物足りなかったので、検証しながらどんどん先に進むことにする。
「で、この階層はマドハウンドの群れね」
泥に塗れた大きい犬のモンスターが、何体も見える。
ダンジョンのモンスターは群れが多いのだろうか。
まだストーンアントとマドハウンドしか見ていないから分からないが、ダンジョンでは群れでいるモンスターが多そうだ。
「まぁここもサクッと倒して次の階に行こうか」
「やっと敵が湧いてくるシステムを理解できたな」
「クゥ」「アゥ」
マドハウンドの群れを倒したあと、次の階ではストーンスパイダーの群れを、そしてその次はこれまでの敵が一緒に出てきたので、その全てを倒した。
流石に敵が湧きすぎだと感じた俺達は、色々検証した結果、同じ場所に留まって戦うと仲間を呼ばれてしまうということに気がついた。
「それにしても結構倒したな」
戦っていてもまだ余裕はあるのだが、数が多くて少し疲れた。
「で、次はボス戦ね」
5階層ごとにボスがいるらしく、とりあえず地下5階へ続く階段の前で待機している。
「ウルもルリも疲れてないか?」
「クゥ!」「アゥ!」
俺とは真逆で2人とも元気な笑顔を見せてくれる。
「疲れてなくても、飽きたりしたら言ってくれよ」
そう声をかけながら幸運の指輪が装備されていることを確認する。
俺は幸運の指輪を付けたり外したりして、どれくらいの効果があるか調べてたんだが、外した時は魔石のドロップ率が現状の半分ほどになり、全く笑えない結果となった。
「ほんとこの指輪が無かったら、どうなってたんだろうな」
正直モンスターから装備品がドロップすると言っても、魔石が落ちないとお金を稼ぐことはできないし、お金が稼げないと装備を良くすることができない。
だから装備品のドロップを狙ってるんだと言われればそれまでだが、自分が使える装備かもわからないのにそこまでダンジョンで狩りをする必要が今のところ感じられない。
もっと奥の方に行けばドロップ率が上がったり、強い装備が落ちたりするのかもしれないが。
なので今はただ楽しいからという理由だけで潜っている。
「もっと奥に進んだら、良い装備も欲しいけど、魔獣用の装備とかもドロップしないかな?」
このダンジョンは20階層あるらしく、誰もまだクリア出来ていないと聞いている。
「流石にここは俺達よりも早くあいつらがクリアするだろうな」
かつての仲間は最初にこの街を解放したはずなので、絶対にダンジョンには潜っているはず。
そこに俺が今から本気で最下層を目指しても、先にクリアすることは出来ないだろう。
ただ、俺はゲーム内時間で1日程寝ていたのにまだクリアできてないということは、途中からはこれまでのようにサクサク進めなくなるんだろうな。
「まぁまずはボスと戦ってみるところからだな」
休憩は出来たので、いよいよ階段を降りて初めてのダンジョンボスに会いに行く。
……ボゥ……ボゥ……ボゥ……
「びっくりした」
俺達が来たことによって壁にくっついている松明が順番に灯されていく。
『グ、ガガ、グ、ギ』
「おいおい、確かにこういうとこでよく敵に出てくるけど、どうやって倒すんだ?」
目の前で大きなストーンゴーレムがコアを中心に形成されていき、今はこちらを見下ろしている。
これまでずっと物理攻撃の弱点が存在する敵とばかり戦ってきたので、このゲームはそういうものなのだと思っていたが、ここにきて急に裏切られた気分だ。
「いや、北の街で戦ったウッドウォーカーも火魔法を使えなけりゃ弱点は無いようなもんだったし、こいつも一応水魔法とかが弱点だと考えると妥当なのか?」
頭の中でどうやって倒すのかを考える。
俺達は火力が無いわけではないのだが、物理攻撃が通りにくい相手は苦手だ。
ウルは氷魔法を使えるが、俺もウルもルリも物理攻撃がメインなので、こういった物理に強く、魔法に弱そうな相手はキツイ。
「地道に削るしかないか」
『グオーーーーッ』
ドシーーンッ……ドシーーンッ……
ストーンゴーレムの動作は遅いが、攻撃の威力は高く、あいつの一撃一撃が地面を揺らす。
「ルリはいつも通りボスの近くで戦って、ウルはいつもより魔法多めで頼む!」
「クゥ!」「アゥ!」
相手の攻撃がこちらに当たる気配は今のところないが、1ミスで終わりのためなかなか気が抜けない。
安全なのは遠くから魔法を撃つウルなのだが、たまに岩を投げて攻撃してくるので、その岩の破片が俺に飛んでこないか注意しながら戦わないといけないのも面倒臭い。
「明らかに胸の中にストーンゴーレムのコアがあるんだけど、ほんと地道に削ってくしかないな」
少しずつ少しずつダメージを与えていくが、それによってゴーレムの動きが悪くなることはない。
こういう相手は初心者の頃だとなかなか精神的にキツイものがあるんだよな。
飛ばなくなるだったり、第2形態になるだったり、戦っている最中にHPバー以外でダメージを与えていると実感できる要素があればやる気も維持されるのだが、このストーンゴーレムにはそういったものがないため、これまでの相手とはまた違った難しさ、強さがある。
「けどまぁ胸のあたりがちょっと凹んできたし、思ってたよりも早く倒せそうだな」
ストーンゴーレムがウルを狙って大きな隙を見せた時に、ルリが怪力のスキルを発動させてコア付近を猛攻撃したのが良かった。
あの時が1番削れたからまた隙を晒してくれないか期待しているんだけど、残念ながらあれから大きな隙は与えてくれていない。
「クゥ!」
「よしナイスだ!」
ウルが氷魔法で胸のあたりを何度も攻撃することで少し凍らす事が出来たので、あそこに大きな一撃を与えればコアまで一気に届きそうだ。
「ルリ! 全部スキル使ってやってくれ!」
「アウ!」
ルリの怪力以外のスキルはタフネスと硬質化なので、あまり攻撃には適さないのだが、相手の攻撃を少し受けてでもコアを狙えという意図が伝わったのか、ストーンゴーレムの真正面からコアに向かって攻撃を繰り出す。
『グオーー、ーッ』
「アウ!」
ストーンゴーレムも黙って見ているわけがなく、ルリに向かって攻撃してくるのだが
「おっもっ」
その攻撃を受け止めようとし、俺が壁まで吹き飛ばされてしまう。
「ぐはっ、流石に1発横にそらすのが限界だな」
ストーンゴーレムの攻撃に合わせて、俺がルリの前に出てあいつの攻撃を横にそらしたのだが、空中で攻撃を受けたから俺の身体は思いっきり壁に激突するまでふき飛ばされた。
「アウ!」
けど、この1発の軌道を俺が変えたことで、ルリの攻撃が相手につき刺さる。
「アウアウアウ!!」
『グオーーッ、ガガ、グ』
パリンッ、という音とともにストーンゴーレムのコアが砕け散ると、ストーンゴーレムは次第に身体を保てなくなる。
そして身体を構成していた石がバラバラになったあと、ストーンゴーレムは綺麗サッパリ消えてしまった。
「クゥ」「アウ」
了解というように、2人は俺に返事をしてくれる。
今俺達はダンジョンに挑戦しており、噂で聞いた、ダンジョンでは装備品のドロップアイテムが多い、というのを確かめようとしている。
ダンジョンに入る前に冒険者ギルドへ寄った時も、何階層のモンスターがこの装備を落とした、などの話ばかりだった。
ただ、剣士が倒したからと言って剣士用の装備が出るわけではないらしいので、鍛冶屋がいらなくなることはない。
ただ、その装備品を売れるようなオークションなんかも近々開催されそうなので、少しの間鍛冶師の肩身は狭くなりそうだ。
「何も考えずに歩いてたら道に迷いそうだけど、流石に気をつけていれば大丈夫だな」
一応冒険者ギルドで低階層の地図は売っていたが、急いでるわけでもないので買わなかった。
「ストーンアントか」
敵はこちらに気付いて威嚇しており、近くの仲間もどんどん周りに集まってきている。
「とりあえずさっきも言った通り、まずは俺だけで倒さないとな」
今のところ向こうから襲いかかってくる様子はないので、こっちから仕掛けることにする。
「シッ! うっし、関節部分は随分と柔らかいんだな」
名前の通り見た目は石のように硬そうなのだが、弱点をつけばすんなりと倒す事ができた。
……ギチギチギチギチ……ギチギチ……
その様子を見て他のストーンアント達が俺の方を睨みつける。
1体が俺に向かって飛び出すと、他のストーンアントも一斉に襲いかかってくるが、俺としてはそっちのほうが動かなくて済むからありがたい。
「じゃあ倒させてもらいますか」
ガチッ……ガチンッ……ギチギチ……
立派な顎で俺の腕を噛みちぎろうとしてくる音と、威嚇するように鳴らし続けているギチギチという音が止まらない。
「流石にこの空間でこれだけ数が多いと短剣の方がいいな」
ガイルはそろそろ短剣を作ってくれただろうか。
この相手に鉄の短剣は攻撃力不足すぎて使えないが、正直性能は低くてもいいから使える短剣は持っておきたい。
「また奥の方からストーンアント出てきてるけど、もしかして無限湧き?」
そんな事があれば他の冒険者達はどうやって倒してるんだろうと思いながらも、仕方なく襲いかかってくる全てのストーンアントを相手した。
「ふぅ~、こんなもんか」
次から次へと襲いかかってくるのは、角ウサギの群れを相手にした時を思い出すな。
「ウルもルリも、ありがとな」
途中からは2人にも手伝ってもらい、ストーンアントを倒した。
「それにしても、いくら数えてもドロップアイテムが足りないよな」
地上のモンスターは何らかのドロップアイテムを必ず1つは落とす。
ダンジョンでは魔石を落とすようなのだが、数が全く足りない。
「ダンジョンのモンスターは必ずドロップアイテムを落とすわけじゃないのか」
おそらく魔石の数は全体で倒した数の2分の1ほどで、装備品も1つだけ落としたが、幸運の指輪がなければこれもどうなっていたかわからない。
「ダンジョンは経験値と装備品目当てで潜る場所なのかな」
お金稼ぎをするなら地上で狩りをする方が今のところ良さそうだ。
「魔石の買取価格もそこまで高くないらしいし、もっと深く潜っていったら変わるのか?」
など考えながら歩いていると、下の階へと続く階段を見つけた。
「ラッキーだな。地下2階に進むか」
この階層の敵は正直相手としては物足りなかったので、検証しながらどんどん先に進むことにする。
「で、この階層はマドハウンドの群れね」
泥に塗れた大きい犬のモンスターが、何体も見える。
ダンジョンのモンスターは群れが多いのだろうか。
まだストーンアントとマドハウンドしか見ていないから分からないが、ダンジョンでは群れでいるモンスターが多そうだ。
「まぁここもサクッと倒して次の階に行こうか」
「やっと敵が湧いてくるシステムを理解できたな」
「クゥ」「アゥ」
マドハウンドの群れを倒したあと、次の階ではストーンスパイダーの群れを、そしてその次はこれまでの敵が一緒に出てきたので、その全てを倒した。
流石に敵が湧きすぎだと感じた俺達は、色々検証した結果、同じ場所に留まって戦うと仲間を呼ばれてしまうということに気がついた。
「それにしても結構倒したな」
戦っていてもまだ余裕はあるのだが、数が多くて少し疲れた。
「で、次はボス戦ね」
5階層ごとにボスがいるらしく、とりあえず地下5階へ続く階段の前で待機している。
「ウルもルリも疲れてないか?」
「クゥ!」「アゥ!」
俺とは真逆で2人とも元気な笑顔を見せてくれる。
「疲れてなくても、飽きたりしたら言ってくれよ」
そう声をかけながら幸運の指輪が装備されていることを確認する。
俺は幸運の指輪を付けたり外したりして、どれくらいの効果があるか調べてたんだが、外した時は魔石のドロップ率が現状の半分ほどになり、全く笑えない結果となった。
「ほんとこの指輪が無かったら、どうなってたんだろうな」
正直モンスターから装備品がドロップすると言っても、魔石が落ちないとお金を稼ぐことはできないし、お金が稼げないと装備を良くすることができない。
だから装備品のドロップを狙ってるんだと言われればそれまでだが、自分が使える装備かもわからないのにそこまでダンジョンで狩りをする必要が今のところ感じられない。
もっと奥の方に行けばドロップ率が上がったり、強い装備が落ちたりするのかもしれないが。
なので今はただ楽しいからという理由だけで潜っている。
「もっと奥に進んだら、良い装備も欲しいけど、魔獣用の装備とかもドロップしないかな?」
このダンジョンは20階層あるらしく、誰もまだクリア出来ていないと聞いている。
「流石にここは俺達よりも早くあいつらがクリアするだろうな」
かつての仲間は最初にこの街を解放したはずなので、絶対にダンジョンには潜っているはず。
そこに俺が今から本気で最下層を目指しても、先にクリアすることは出来ないだろう。
ただ、俺はゲーム内時間で1日程寝ていたのにまだクリアできてないということは、途中からはこれまでのようにサクサク進めなくなるんだろうな。
「まぁまずはボスと戦ってみるところからだな」
休憩は出来たので、いよいよ階段を降りて初めてのダンジョンボスに会いに行く。
……ボゥ……ボゥ……ボゥ……
「びっくりした」
俺達が来たことによって壁にくっついている松明が順番に灯されていく。
『グ、ガガ、グ、ギ』
「おいおい、確かにこういうとこでよく敵に出てくるけど、どうやって倒すんだ?」
目の前で大きなストーンゴーレムがコアを中心に形成されていき、今はこちらを見下ろしている。
これまでずっと物理攻撃の弱点が存在する敵とばかり戦ってきたので、このゲームはそういうものなのだと思っていたが、ここにきて急に裏切られた気分だ。
「いや、北の街で戦ったウッドウォーカーも火魔法を使えなけりゃ弱点は無いようなもんだったし、こいつも一応水魔法とかが弱点だと考えると妥当なのか?」
頭の中でどうやって倒すのかを考える。
俺達は火力が無いわけではないのだが、物理攻撃が通りにくい相手は苦手だ。
ウルは氷魔法を使えるが、俺もウルもルリも物理攻撃がメインなので、こういった物理に強く、魔法に弱そうな相手はキツイ。
「地道に削るしかないか」
『グオーーーーッ』
ドシーーンッ……ドシーーンッ……
ストーンゴーレムの動作は遅いが、攻撃の威力は高く、あいつの一撃一撃が地面を揺らす。
「ルリはいつも通りボスの近くで戦って、ウルはいつもより魔法多めで頼む!」
「クゥ!」「アゥ!」
相手の攻撃がこちらに当たる気配は今のところないが、1ミスで終わりのためなかなか気が抜けない。
安全なのは遠くから魔法を撃つウルなのだが、たまに岩を投げて攻撃してくるので、その岩の破片が俺に飛んでこないか注意しながら戦わないといけないのも面倒臭い。
「明らかに胸の中にストーンゴーレムのコアがあるんだけど、ほんと地道に削ってくしかないな」
少しずつ少しずつダメージを与えていくが、それによってゴーレムの動きが悪くなることはない。
こういう相手は初心者の頃だとなかなか精神的にキツイものがあるんだよな。
飛ばなくなるだったり、第2形態になるだったり、戦っている最中にHPバー以外でダメージを与えていると実感できる要素があればやる気も維持されるのだが、このストーンゴーレムにはそういったものがないため、これまでの相手とはまた違った難しさ、強さがある。
「けどまぁ胸のあたりがちょっと凹んできたし、思ってたよりも早く倒せそうだな」
ストーンゴーレムがウルを狙って大きな隙を見せた時に、ルリが怪力のスキルを発動させてコア付近を猛攻撃したのが良かった。
あの時が1番削れたからまた隙を晒してくれないか期待しているんだけど、残念ながらあれから大きな隙は与えてくれていない。
「クゥ!」
「よしナイスだ!」
ウルが氷魔法で胸のあたりを何度も攻撃することで少し凍らす事が出来たので、あそこに大きな一撃を与えればコアまで一気に届きそうだ。
「ルリ! 全部スキル使ってやってくれ!」
「アウ!」
ルリの怪力以外のスキルはタフネスと硬質化なので、あまり攻撃には適さないのだが、相手の攻撃を少し受けてでもコアを狙えという意図が伝わったのか、ストーンゴーレムの真正面からコアに向かって攻撃を繰り出す。
『グオーー、ーッ』
「アウ!」
ストーンゴーレムも黙って見ているわけがなく、ルリに向かって攻撃してくるのだが
「おっもっ」
その攻撃を受け止めようとし、俺が壁まで吹き飛ばされてしまう。
「ぐはっ、流石に1発横にそらすのが限界だな」
ストーンゴーレムの攻撃に合わせて、俺がルリの前に出てあいつの攻撃を横にそらしたのだが、空中で攻撃を受けたから俺の身体は思いっきり壁に激突するまでふき飛ばされた。
「アウ!」
けど、この1発の軌道を俺が変えたことで、ルリの攻撃が相手につき刺さる。
「アウアウアウ!!」
『グオーーッ、ガガ、グ』
パリンッ、という音とともにストーンゴーレムのコアが砕け散ると、ストーンゴーレムは次第に身体を保てなくなる。
そして身体を構成していた石がバラバラになったあと、ストーンゴーレムは綺麗サッパリ消えてしまった。
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